1. テス
《ネタバレ》 18世紀の田園風景が見事な色調で堪能できる作品である。ポランスキー監督がこの映画を撮るきっかけとなったのは、彼の妻シャロン・テートの薦めである。なぜ、シャロンが原作に惚れ込んだかは定かでないが、少なくとも、主人公の生き方に惹かれるものがあったのではないかと想像できる。シャロンは、ハリウッドが誇る女優の中でも抜きん出た美貌を持っており、夫は才能豊かな映画監督で、世間からは羨望の的となっていた。方や、テスは、類まれな美貌を持ちながらも、世間体に縛られる環境や一族の境遇と相まって、力のある者のエゴイズムにより追い詰められて、幸せとは程遠い一生をおくる。映画でも忠実に描かれているが、純粋で自分に正直な少女が法律や社会に滅ぼされていく様は哀れである。しかし、それでも愛に生きようとする強い意志は感動的である。正に、シャロンが惹かれた女の行き方だったのだろう。運命とは残酷である。自ら認めた魅力的な役を夫の演出で演じると思われたシャロンには、「テス」にも増して残酷な運命が待っていた。結婚から2年後、愛する夫の子を宿しながら、狂信集団によって自宅で惨殺されてしまう。夫が監督する映画で「テス」を演じることは叶わなかった。享年26歳。悲劇から10年、妻の代役としてポランスキーは17歳の少女を抜擢する。「テス」に関わるもう一人の主役であるナスターシャ・キンスキーは、この映画で一気にスターとなる。シャロンが惹かれた「テス」は、ナスターシャの代名詞となることで、彼女と共に輝き出すことになったのだ。 [地上波(字幕)] 10点(2008-08-09 22:10:56)(良:1票) |
2. デジャヴ(2006)
《ネタバレ》 先入観から心理サスペンス的な作品を期待していた分、やや肩透かしでしたが、それでも、所々に張り巡らされた伏線は、ストーリーの進展とともに、納得と心地よい衝撃になっていき、謎解きに似た緊張感を感じた。特に、過去と現在の繋がりをカーチェイスの場面でダブらせる設定は見事で、死体で登場したクレアが助かる過程も無理なく受け入れられる。まあ、唯一納得できないのは、最後に車とともに爆発したダグが、何食わぬ顔で現れたことだ。しかも、クレアと初めて会ったようによそよそしい態度だし。 [映画館(字幕)] 7点(2007-03-27 22:44:36) |
3. 電車男
ストーリーはけっこう面白い。当然、有り得ない話と割り切ればですが。最後が普通で間延びした印象です。全体の印象を下げていますね。とはいえ、示されている教訓はけっこう多い。勇気を出さないと良い結果は得られない。友達は大切にしよう。酔っ払いに絡まれている人は顔を見て助けよう。美人でエリートのOLも男の好みが変わっている可能性がある。 [地上波(邦画)] 6点(2006-09-17 00:00:33) |
4. 天使にラブ・ソングを・・・
さすがにシスターになるだけあって、素直で良い人たちですね。世間知らずな所があっても、自己中心的でない分、嫌味が感じられず、終始、さわやかさが感じられた。仏教じゃあ、ああは、行かないよなあ。坊さんや尼さんでは、ギャグがきつくなるだけだ。それにしても、ギャングが間抜けで良かった。 7点(2004-08-12 00:05:33) |
5. デトロイト・ロック・シティ
私の周りにもけっこうキッスファン多いです。私よりちょっと下の年齢層ですけど。ファン心理をよく描いて、笑いもあり、本物も出てるし、タイトルもナイス、と言うかそのまんまだ。役者としても活躍のジーン・シモンズは私もファンです。エンターテイメントに徹したパフォーマンスは感心してます。昔、彼が「いつ死んでもいいように、悔いが残らないよう今日精一杯生きるんだ」と言っていたが、いい言葉だと手帳に書き留めてました。先日、素顔でテレビ出てたけど、けっこうな歳になったな、お互いに。 7点(2004-05-29 07:48:59) |
6. テルマ&ルイーズ
どっちがテルマで、どっちがルイーズか判らない上に、「何で殺す必要が?」「何で死ぬ必要が?」と疑問だらけだったのですが、ひとつ重要な教訓がありました。マグマやガスは、時々抜いておかないと、突然爆発するということです。周りが、マグマの蓄積を気づかずにいると、その時、慌てふためき、被害者になりかねません。えーと、かみさんの趣味は、・・(汗)。 6点(2004-05-06 17:53:05) |
7. ディア・ハンター
戦争の狂気とそれに巻き込まれた若者たちの友情を描いた名作です。戦場のあまりに強烈な描写のため、印象が偏りがちですが、デ・ニーロを中心として友情の素晴らしさと悲しさを強く感じました。普通の若者たちが、戦争を体験し、傷つきながらも、友を思い必死に行動する様子が描かれていきます。このような悲しみは、ベトナム戦争時代のアメリカだけのものではないのでしょう。とかく、悲惨な状況下でしか、真に信頼できる友達であるか否かを証明できないことが悲しい現実なのかもしれません。最後の友の死を悲しみ涙を流すシーンが胸に迫ります。チミノ監督の最高傑作です。 9点(2004-04-08 20:20:01) |