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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1244
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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1.  デッドリー・マンティス 《ネタバレ》 
北極から大カマキリがアメリカに飛んで来て大変なことになったという映画である。日本では「極地からの怪物 大カマキリの脅威」の名前で2013年(多分)にDVDが発売されている。 最初に南極海で火山が噴火したら北極にカマキリが出たというのは、思わせぶりな説明がついていたが意味不明である(バタフライ効果?)。カマキリは水爆実験で巨大化したとかではなく最初から大型のカマキリだったようだが、本物のカマキリとの違いが見えるわけでもなく、要は大きいだけの単なるカマキリである。ただしカマキリのくせに怪獣声で鳴くのは変だった。 造形物はそれなりに作ってあり、飛ぶ時に翅が高速で震えるのはそれらしい映像だった。カマキリの犠牲になった人々はいたが、人が食われるとどれほど悲惨かということは見せていない。ワシントンDCへの襲来場面では、こういうものに虫がとまっていることはありそうだと思わせる場面はあった。  ドラマ的には、ヒロインを間に挟んで男2人の微妙なライバル関係ができるのかと思ったらそうでもなく、おざなりでしょうもないロマンス展開だった(よくあることだが)。なお北極の場面で、この辺には木が生えていないと言った直後の風景映像で樹木が見えるのは間が抜けていた。 また事件の解明の過程で登場人物がやたらに「消去法」を使っていたのは、台詞にあったようにシャーロック・ホームズを真似た推理小説風の展開を目指したのかも知れない。しかしカマキリ映画ならではと思わせる必然性のある趣向でもなく、孤立的なアイデアにとどまっている。 ほか開始早々レーダーによる北米の防空監視体制に関するくどい説明があり、その後に出た「地上監視隊」というのも1958年まで実在した民間防衛組織のようで(Ground Observer Corps、最後に謝辞が出る)、東西冷戦の時代を背景として、北の空からの脅威に備えるべきという広報宣伝の意図があったようでもある。ちなみに現在のNORADは毎年12月にカマキリでなくサンタクロースを追跡しているが、実はこの映画の時点でもすでにやっていたらしい。 真面目に作った特撮映画のようだが単なるカマキリなので面白味がなく、その他の点で特に感心させられることもない。ただしこれが後の東宝怪獣映画のカマキラス(1967年初出)のもとになったのかとは思った。
[DVD(字幕)] 4点(2023-12-09 14:18:15)
2.  T-34 レジェンド・オブ・ウォー 《ネタバレ》 
昔の「鬼戦車T-34」(1965)を下敷きにした映画で、収容所から戦車で脱走してチェコ国境を目指すという基本的な流れは同じである。もとは砲弾なしの戦車が徒手空拳で暴れる形だったが、今回は主人公が捕虜になる前段階から始めることで戦車同士が戦う場面を入れ、また脱走時にも都合よく砲弾を持っていたことにして最後まで砲撃の機会を用意していた。 加えて旧作で、戦車を追いかけたが置いて行かれた女性に相当する人物を、この映画では最後まで同行させる形にして、旧作を見た観客の満たされなかった願いを気持ちよくかなえる話を作っている。終盤で出たクリンゲンタールKlingenthalというのは実在の地名だが、ここは街外れがすぐチェコとの国境になっている場所で(ストリートビューでチェコ側から見られる)、ここまで来たからにはもう脱出目前という意味だったらしい。 そのほか、のどかな道端で戦車とドイツ婦人が出会うとか、ちょっとした街に入ってビールをもらうといった展開にも見覚えがある。略奪はしないといいながら、結局いろいろ恵んでもらったりして和ませる雰囲気も出していた。当然ながら一般の人々を害するようなこともなく、前にも増して穏健で角を立てない作りに見える。なお最後に大戦中の戦車兵らへの献辞が出ていたのは旧作の形式を尊重したと思われる。  戦車映画としては当然旧作よりも派手に見える。別に戦車好きでもないので特に突っ込んで語りたくなることもないが、砲弾の行方にこだわった映像化は面白くなくもない。また弾が当たった衝撃がガーンというのは印象的だった(女性が気の毒)。 世間的には戦車がバレエ曲に合わせて踊るのが話題になっていたようだが、残念ながらあまり華麗でも可憐でもなく、やはり戦車には戦車にできることしかできないと思わされた。また星空の下のラフマニノフはいかにも通俗的に聞こえたが、世界的な作曲家はチャイコフスキーだけでなく人材豊富だということのアピールかも知れない。 なおヒロイン(プスコフ出身22歳おひつじ座168cm)はにっこり笑うと可愛い人だった。演者のイリーナ・スタルシェンバウムという人はドイツ風の名字なので、ドイツ語の通訳をしているのも自然に見える。最近ではDie stillen Trabanten (2022)というドイツ映画にも出演したそうで、西欧にも活躍の場を求めているらしい(国際情勢が厳しいが)。
[インターネット(字幕)] 7点(2022-12-31 10:12:18)
3.  提督の艦隊 《ネタバレ》 
原題の「ミヒール・デ・ロイテル」は17世紀オランダの提督の名前である。 冒頭の場面で、ここはどこかと思っているといきなり海戦中だったのは驚かされたが、その後も全編を通じて帆船時代の戦列艦の戦闘場面がそれらしく作ってある。戦術的なことはよくわからなかったが、敵本国の港にいる艦隊を「海兵隊」(陸戦隊)で襲撃した場面と、オランダ艦の喫水が浅くできているのが映像化されていたのは印象的だった。ちなみに一般人の応援団が海辺で観戦するのがオランダ風なのかと思った。  ドラマ部分は複雑な政治史が背景にあるのでわかりにくいが、要は国内で敵味方を分断する政治闘争に巻き込まれながらも、主人公がいわば軍人としての分を守り(家族も守りながら)、党派を超えてオランダという国のために働いたことを顕彰する映画だったらしい。結果として、21世紀のオランダにも愛国心のようなものがあるらしいとは思わされた。 戦闘での無惨な場面はそれほどないが、劇中で最も残酷だったのは海戦ではなく、陸で民衆がやらかした虐殺だった(写実的絵画が残されている)。またどうでもいいことだが、最初の海戦の場所は字幕で「スヘフェニンゲン」と書いてあるが、これは「キンタマーニ」や「エロマンガ島」と並ぶ世界の珍地名として知られる「スケベニンゲン」のことである。  ちなみに自分がこの映画を見た動機は、トロンプとデ・ロイテルという、個人的に名前を知っていた数少ないオランダ人が出ていたことである。太平洋戦争の開戦当初、この2人の名前のついたオランダ軍艦が現在のインドネシアにいて、うち軽巡洋艦デ・ロイテルは昭和17年2月のスラバヤ沖海戦で日本海軍が撃沈したので日本でも知られているが、同じ名前はこれまで何度もオランダ軍艦の名前に使われており(今もある)、主人公がオランダ海軍で英雄扱いされてきたことが知れる。ほか劇中で主人公の盟友になった首相も、現代のドック型揚陸艦ヨハン・デ・ウィットに名前が使われているので、オランダではそれなりの偉人であるらしい。 この映画ではオランダとイギリスが戦争し、また第二次大戦ではどちらも日本とは敵味方だったわけだが、現代ではイギリスの空母とオランダの軍艦が一緒に太平洋に来て、海上自衛隊と共同訓練したりして(2021.8.25)、世界の枠組みも変わっていくものだという感慨がある。いわゆる昨日の敵は今日の友というようなことかと一応思っておく。
[インターネット(字幕)] 7点(2021-09-18 09:58:13)
4.  天空からの招待状 《ネタバレ》 
監督の齊柏林氏はもともと航空写真家で、自分が空から見てきた台湾の姿を紹介するため一念発起して空撮ドキュメンタリー映画の製作に取り組んだとのことである。それで大成功を収めたが、続編を撮影中の2017年にヘリコプターの墜落事故で亡くなったというのが痛ましい。 この映画も全て空からの撮影で、スケール感が失われて地形が模様に見える高度から、人々の表情がわかる低空での映像もある。自然景観や人々の暮らし、伝統的な一次産業は好意的に撮られており、水田らしき場所で水路に陽光が反射したのはキラリと光る一等地の圃場だというアピールに見えた。また人々が農作業をしている両側で、緑の植物が風になびいて流れるような構図は見事だった。 一方で否定的に扱われた人工物として、海に接する排水口(大潭発電所?)の映像は戦慄を催した。また土砂採取の現場が何本もの虫食い跡のように見えたのも気色悪い。  当然ながら単なる空撮映像の羅列というわけではなく、故郷の島を母親にたとえ、その子である人間が都合よく使うだけでなく労わることが大事だと訴えている。監督が長年空から見て問題だと思ってきたことが、地表の人々には見えていないという危機感が根本にあったらしい。 具体的な問題点としては、まずは山地開発による山崩れや土砂流出といったことが印象づけられる。また西海岸の養魚場で地下水を大量に使用するため地盤沈下が発生し、墓地も浸水して「土葬が水葬になった」というのは、「熱帯魚」(1995)の映像でも見えていた気がする。ほか水質汚濁や廃棄物処理など環境保全の基本的事項とともに、近年の時流に乗った形で石炭火力の問題を指摘するとか有機農産物への取組みを紹介していた。 日本人の感覚としては、今さらそれを言われても、というのもなくはなかったが、しかしさすがにこれはまずくないかと思ったのは、大都市近郊の急峻な山地で稜線を削って高層住宅などが建設されている場所だった。傾斜の度合いが多摩丘陵などと比べ物にならないわけで、今の日本でいえばメガソーラーによる環境破壊が危惧されていることにつながるかと思った。  なお今回初めてじっくり見たのが、台湾の最高峰である「玉山」(3,952m)の姿だった。いわゆる新高山(ニイタカヤマ)だが、ノボレと言われても険しいのでどこから登るかわからず無理そうに見える。しかしこの映画のために「台湾原声童声合唱団」の子どもらが登り、狭い主峯の上で揃ってパフォーマンスをやっていたのはご苦労様だった。マイナス2度だったとのことだがみんな笑顔で、若い人々が元気なのは大変いいことだと思わされた。
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2021-08-14 09:33:09)
5.  デス・レター 呪いの手紙 《ネタバレ》 
大まかにいえばサスペンス調の展開が面白かった。主人公の男だけだと本人の精神状態の問題かという疑いが生じて読み取りが面倒になるが、都合よく好奇心旺盛で強気の刑事が相棒についてくれて客観性が保たれたので安心できる。また「本当の罪は、逃げたこと」というのも道徳的・教育的観点からは好印象で、ロシアにも普通に倫理や良心といったものがあるのだなと思わされた。ラストの巻き戻しは都合良すぎに見えたが、時間が前後すること自体は序盤から予告されていたので許容範囲ではあり、結構後味のいいエンディングになっていたのは悪くない。 また映像的には、ロシアといえば寒々している、という勝手なイメージそのままの寒色系の世界ながら、現代モスクワの都市景観が美しく映像化されており、壮麗な摩天楼群(「モスクワ・シティ」というらしい)と孤独な登場人物が対比されていたようだった。  問題点としては、どうも結果として統一感に欠けていた気がする。最初と最後はつながったようでもあるが、単純にわかりやすく感動的な「本当の罪」の部分は別系統の話だったのを、少々細工して付加しただけのように見える。 また納得感の得られない箇所も多い。例えば受取人の元夫は単なる連絡役のようだったが、そういう役職のようなものを置く必然性はあるのか、また配達人でもないのに呪われたのはなぜかといったことが不審な点として残る。また少女はいわば告発人らしいが、そのように都合よく罪人を発見する仕組みがあらかじめ準備されていたのかも疑問に思われる。そもそも配達人が手紙を見てしまうというのが何か宿命的なことのように捉えられていたのも不自然だった(18世紀の男は一応「金目の物」目当てだったと説明していたが)。 見る側のせいかも知れないが詰めが甘いようでもあり、それでも結局は後味のいいエンディングでごまかされた気がした。  その他細かい点では、主人公がパーティ会場前でタクシーを降りた時、車の窓に悪役の顔が映ったのは怖くはないが少し驚かされた。同じように序盤でPCのディスプレイに刑事の顔を映した場面もあり、こういうのが好きなのかも知れない。 またこの映画で特に忘れがたいのはその刑事が非常に魅力的に見えたことで、これで「女だったのか」などとは冗談でも言えない。この人のかわいい+きつい顔を最後にもう一度見ることができ、切ない感覚を残したのも後味のいいエンディングに貢献していた。
[インターネット(字幕)] 6点(2021-02-06 11:17:53)
6.  テリファイド 《ネタバレ》 
場所はブエノスアイレスだそうだが都心ではなく南米風にも見えず、戸建てが並ぶ郊外の緑豊かな住宅地である。日本でいえば呪怨の家で、事故物件住みます中高年のようなことをやっている印象だった。若い女性は出ないので、そういう面での彩りはない。 ホラーとして特に独創的に見えるところはなく、怖さを突き詰めようとした感じもないがまあ悪くない。看板娘的な存在のはずの裸体のものは、見えたり見えなかったりする設定のためか意外に出番が少なかったが、少し離れたところから見えると言ったとたんに迫って来たのは、見たな~という感じで悪くない。物静かなゾンビ少年も悪くなかった。  出来事の原因に関しては、偉そうな博士が何か適当に説明していたが荒唐無稽で聞く気にならない。こんな説明ならなくていい。 それより個人的には初老の男の意見として、見なかったふりして放置するのがいい、と述べたところに共感した。しかしその男が後で目をやられていたのは、見ようとしないのなら目など不要だろう、という皮肉な意味だったかも知れない。また主人公らしき男が、見えていたものを見えなくした(隠した)ことを微妙な関係の女性に咎められていたが(連れ子は見たくないという意味?)、その後に一度逃げてからまた戻っていたのは、もう見えないふりをせず、正面から対決しようと決心したということか。 どうも見える/見えない、あるいは見る/見ないの対比にこだわった映画にも見えたが、少なくとも自分には意味不明瞭なまま終わってしまった。とりあえずヤバいものはやはり見ないことにするのが基本ではないかとは思うが、見ないでいると致命的な結果に至ることもあるとすれば一般論ではなかなか語れない。ちなみに怖いのが嫌ならこの映画は見なくていい。  全体としては、悪くないとはいえるが意味不明なところもあり、絶賛するほどではないが嫌いでもないので悪くない点にしておく。なおハリウッドでリメイクされる予定はどうなったか知らないが、それとは別にこれ自体の続編も準備中らしい。今作のラストから直接つながる形になるそうで、そういえば最初から続きを予感させる背景音楽のようではあった。
[インターネット(字幕)] 6点(2020-11-28 08:52:07)
7.  デッド・シティ 《ネタバレ》 
南米ベネズエラで起きている深刻な難民問題について、世界に向けて告発しようとする映画である。この映画では500万人としているが、日本の外務省公式ページでも「これまでに約450万人のベネズエラ国民が近隣諸国(特にコロンビア,ペルー,チリ等)に流出」と書かれている(2020/6/6閲覧)。終盤のインタビュー場面では本物の難民の映像も使っていたように見えた。 その原因は、要は現政権の失政だと言いたいらしい(ハイパーインフレの影響が大きいとのこと)。冒頭で見えた「MADURO DICTADOR」という落書きは、現在も同国にいるマドゥーロ大統領(日本政府は支持していない)を独裁者として非難する言葉である。中盤のTV報道のテロップでは閣僚とともにいち早く国外へ逃げたことになっていたが、終盤でもまた「現政権の姿勢」に触れて、製作側の問題意識がどこにあるかを明瞭にしていた。劇中発生していた停電も現実の反映だったのかも知れない。 これは本物の国際的な大問題であり、単に権力者を揶揄して面白がるだけの映画にはなっていない。ちなみに劇中のWHOはまともな働きをしていたが、なぜか東アジアの強権国家らしきものの影も見えた(医師宅に掛け軸もあった)。次の事務局長がベネズエラから出たりすることもあるかどうか。  そのような背景がありながらも、この映画では難民の発生原因をゾンビに置き換えたことで、見た目はゾンビ映画になっている。またウイルス性ゾンビのため感染症映画としての性格もある(原題と英題もそうなっている)。 最初は断片的な事件を並べておき、ラジオ放送で少し緊迫感を煽ったと思ったら、いきなり次の場面で周囲がいわゆる阿鼻叫喚の巷と化していたのは驚きがあった。また当初、政権側が反政府勢力のせいにしていたらしいのは笑った。その後はロードムービー的にゾンビとの戦いが展開し、結末がどうなるか途中で気づく場合もあるかも知れないが、その通りになるので安心してもいい。 映像面では、邦題と違って都市的景観はわずかだが、地方の風景がけっこう印象的に撮れている。農村部での山脈の鳥瞰的な撮り方が、序盤の首都の空撮と似ていたのは意味不明だが面白かった。またエンドクレジットの背景で、南米イメージのアート調にアレンジした劇中場面の再現映像は個人的に好きだ。 以上のようなことで、どうせ軽薄なゾンビ映画だろうと思ったら全く違っていた。ちなみにいまこのご時世では、ラスト近くの「そのために国境がある」という言葉に非常に共感した…すぐ後で否定されていたが、要は主人公の義母と同じになってもいいのかということである。
[インターネット(字幕)] 7点(2020-06-06 10:27:41)
8.  天才バカヴォン 蘇るフランダースの犬 《ネタバレ》 
この人物の映画は2つ目だが大体どんなものかはわかっている。大笑いというほどでもないが終始にやけ気味の顔で見ていた。 ネロとパトラッシュがまるきりそのままの姿なのは感動的で、この格好で実名付きで出てきても誰も気づかないのは意外に知名度が低かったらしいがそれはいいとして、人間社会に恨みがあるなら日本でなくベルギー(フランドル)社会に復讐してもらいたい。小ネタもいろいろ出ていたようだが自分としては世情に疎いので、「浜崎」というのはこういうイメージを持たれていたのかとか、「こまごめピペット」とは何のことだったか(器具でなく)と考えてからもしかしてアレのことかと思い出したというところはあった。また時節柄、鼻の粘膜に指で触るなとか、南米産のサルなど何がついているかわからないといった心配をさせられた。 物語的なところでは、これまで何十年間も隠されてきたものすごい秘密が明らかにされるのかと期待していたら、最初からネタバレしていたことに気づかないでいたおれはバカかと思ったが、それもウソだったらしく結局どうでもよくなった。しかし日昇ということに関しては、途中で極めてまっとうな理屈を説明していたにもかかわらず、最後になって荒唐無稽な超自然現象を起こしておいて「これでいいのだ」と言われても、別に悪いとは言わないが、宇宙の秩序が崩壊しているとしか思われないのでハジメちゃんに何とかしてもらいたい。ちなみにママは優しそうでちゃんとした人なので和まされた(好きだ)が、夫の奇矯な行動を周囲に詫びる様子など見ると、やはり昭和(戦前)生まれの人物像が表現されているようでもある。 そのようなことで、あまりまともな感想が出て来ないがそういう映画だった。好きな人は好きだろうとは思う。決して面白くなくはない。
[インターネット(邦画)] 6点(2020-04-06 19:51:59)(良:1票)
9.  デスフォレスト 恐怖の森5 《ネタバレ》 
監督・脚本がまた代わっている。福田陽平監督はこの手のホラーではお馴染み感がある。 今回は本格的な東京進出ということで、渋谷を舞台にした若者の生活圏が表現されている。「…チャン」とか「…メン」とかの若者言葉(オタク用語?)が多用されていたが、変にくどいので劇中人物までが「どうなってんだよ最近の日本語」と言っていたのは笑った。また若者なら知らない者のない?フリーゲームとの関係について、因果関係を逆にしていたのは一応の言い訳になっている。 映像技術の面では前回以下のようだったが、上空にいて獲物を見つけると降下して来るのは悪くない。今回も鳥のイメージだったかも知れない。  内容的には、若者の集まる街で被害が広がる展開のためやたらに登場人物が死んでいく。五次元だの仏教だの適当なことを言う奴は必ず死ぬ、とか思っていたら順当に死んでいたが、どうも最後は本当にそういう結末になっていたらしい。レギュラーの男はみなが行くところに毎回行けず、一人取り残される境遇を嘆いていたということか。また蝋燭が108本消えたからには、もしかすると平成の怪異はこれで終了なのかも知れない。 それにしてもバケモノ連中の正体は結局明らかにされず、前回のミステリー展開は一体何だったのかという思いは残る。しかし今回は時間も長くして(1時間半もある)、賑やかに盛り上げておいてから有無を言わさず終了した印象があり、ここでシリーズが打ち止めになったのも一応納得だった。いわば5連作の最後を飾る娯楽大作といった位置づけかと思われる。  なお今回は美少女・美女系だけでも大人数になっており、ほかにお笑い関係とかコスプレーヤーとかいろいろ出ていたようだがほとんど知らないので誰が誰だかわからない。個別の人物で印象的だったのはアイドルオタで、「女の子を守ったり…する…推しごと」を実践しようとする気概を見せていたのは感動した。こいつはヒーローだと思ったがやはり順当に死んでいた。 ほとんど唯一見たことがあったのが秋山依里(元・秋山奈々)という人で、前に見た「アイズ」(2015)では無駄にかわいい精神科医役だったが今回は刑事をやっている。同僚刑事の「正義の味方だよバカヤロー」も感動的だったが、この人もカワイイので絶対正義で間違いない。登場人物がほとんど全滅する中で、この人は無事に終わってハッピーエンドだった。
[DVD(邦画)] 5点(2020-01-25 10:29:35)
10.  デスフォレスト 恐怖の森4 《ネタバレ》 
一般的な低予算ホラー水準で推移しているように見える。 前回まだしも見えていた人間ドラマ要素はほとんどなく、代わりにフリー記者を中心にしたミステリー調の展開になっている。これまで秘められていた各種事実が小出しになってはいたが、それで最後に何らかの到達点があるわけでもなく、結局予想も期待も裏切られた形で終わる。一方でホラー色は薄まっており、特に今回は映像効果が貧弱で昭和特撮並みに見える(もとからこの程度だったか?)。これで次回に向けて観客の関心をつなぐことができたのかと心配になるが、とりあえずここまで来たからには次回で完璧に真実を明らかにし、完璧に納得のいく結末を作ってもらわなければ困るという気にはさせられた。ちなみにフリー記者役の熱演がやたらに印象付けられる映画ではあった。 ほか細かい点として、「ご家族のところに…」「縁起でもない…」のやり取りは少し面白かった。また年長の看護師が絶体絶命になった場面の挙動がユーモラスだったが、ここは少し早回しにしていたかも知れない。もう一つ、題名のデスフォレストがどこにあるのか劇中では明らかにされていないが、今回「篠森病院」という名前が出ていたことからすると、本当に篠森(しのもり)という地名だったのかと思った。  なお今回はDVDにメイキングが付いていたので一応見た。名前からして異色のサイボーグかおりという人は、劇中では意外に普通の女子だったが(終盤の顔が見せ場か)メイキングでは本来の個性が丸出しのようで、理屈っぽく熱く語るのにためらいのない人だった。 また安手の邦画ホラーにアイドルは付き物だが、今回特に若い看護師(介護職?)役の藤田あかりという人の出番を見て、さすがにこれはもう笑うしかないと思わされた。その後にメイキングを見ると劇中そのままの雰囲気でしゃべっていて、どうも完全に地のままだったらしいのでまた笑わされた。この人は2018年に芸能界を引退したそうだが、この映画の出演はいい思い出になったのではないか。 そのほか謎の老婆役の下東久美子という人もレギュラー出演だが、メイキングには顔を出しておらず、またネット上で調べても他の低予算ホラーへの出演のほかコミュニティ演劇のようなものに出ていた(多分)程度の情報しかない。この人の存在が最もミステリアスだ。
[DVD(邦画)] 4点(2020-01-25 10:29:32)
11.  デスフォレスト 恐怖の森3 《ネタバレ》 
冒頭、前回出演の下垣真香という人が実年齢なりの大人っぽい姿で出たので一瞬期待したが、いきなり前回の感動物語をぶち壊しにする展開になっていたのは怒った。監督・脚本が代わったので、まずは前回スタッフの仕事をチャラにしてみせたのかも知れないが、その割に今回分のドラマがまともにできているわけでもない。 まず率直な疑問として、女子高生が性的暴行をされないで済んでいるのはなぜかと思うわけだが、実はされていたのを観客への配慮から映像化せず、曖昧にほのめかすだけにしたのかと後で思った(小学生が見る映画だったのか)。本当にそうなら黙認していた母親も相当の鬼畜ということになるわけだが、その段階から始めて最後の和解に至ったのであれば、今回なりに達成感のある人間ドラマができたとはいえそうである。 しかし実際には、よくわからない状態から始まって大した展開もなく、死ぬべき者は都合よく死んで愚かな者は愚かなままで終わったように見える。また大顔キャラがDV加害者を狙うのはいいとして、被害者(の支援者)まで襲うのは行動原理が不明瞭でストーリーに寄与していたようでもない。加えて特に今回は都合のいい展開が多すぎで(路傍にスマホ他)目に余るものがあったが、そういうことを含めて一般的な低予算ホラー並みとはいえる。 ちなみにレギュラー化しているフリー記者が今回は主役に昇格した感じで、物語の構造に変化が出ていたかも知れない。  映像面では、平野部の水田で野焼き(燻炭づくり?)をしていたのが目についた。また解説文では今回いよいよ東京進出というようなことが書いてあったが、事件の後は素直に田舎へ帰ったようで(秩父市か飯能市か)、ラストの映像からすると暗い森に棲んで変な声で啼く鳥のようなもの、というイメージかと思った。ほか終盤の娘と母親の再会場面は、一瞬のミスリードを狙ったのかも知れないが、あるいは回り道だったがやっとわかり合えた、ということの映像的表現かとも思った。そんなことまで読み取ろうとする真面目な観客は多くない。 ちなみに今回はアンクレットankletという言葉を習った。右足につけるのは特定の相手がいないという意味だそうだ。  追記: 娘がいわば“生贄”だったとすれば、そこから次回の老人につながっていくとも取れるが、それで最終的にまとまった話ができていたようでもない。どうも話がつながりそうでいて断片化した印象がある。
[DVD(邦画)] 4点(2020-01-25 10:29:30)
12.  デスフォレスト 恐怖の森2 《ネタバレ》 
同じ監督の第2作だが脚本の主担当は代わったらしい。前回が基本型とすれば、今回はドラマ性と娯楽性を増して強化した形になっている。 場所設定は一転してなぜか女子高だが、撮影場所にした廃校を、校舎移転中の寂しい場所として使ったのは悪くない発想だ。禁断の園っぽい雰囲気ながら演者はとても高校生には見えないが(1人だけ当時10代か)、高校演劇部らしい?わざとらしさがかえっていい印象につながっており、一応この劇中世界につき合ってやるかという気にはさせられた。  今回は特に物語面の充実が特徴である。前回タイプの人物は簡単に死んで破滅型の愛も報われず、結局は単純バカ的に心正しく前向きな人物と、その人物に引っ張られて現状打破を決意した人物が残っていた。その上で人助けということを軸にして、完璧主義に縛られてはならないということと、他人のためが自分のためにもなることをそれぞれ知った形になっている。結果として、危機に際して居合わせた人物同士が影響し合って人間的に向上したという、極めて正統派の青春物語になっていたのが自分としては非常に心地いい。 バケモノ類に関しては、大顔キャラに立体感があるとか白塗りが実体感を増しているのは進化した印象もある。大顔が正面から迫るのは一応怖いが、同時に笑いの衝動を抑えられないところもあり、またフラッシュをたくと慌てた顔でプルプルっと震えるのは可愛かったりする。ほかにあからさまなドッキリで爆笑させられる場面もあったりして、これならよくいうように皆で集まって騒ぎながら見るのにふさわしい。ちなみにグロ場面は比較的リアルだが、演出的にドライなので嫌悪を感じるものでもない。 なお「ロケーション/熱海市観光推進室」はガキっぽい俗悪映画に名前が出ていて呆れたこともあったが、今回はいい映画に協力した(たまたまだろうが)。  キャストに関しては初めて見た人ばかりだが、W主演はそれぞれいい感じを出していて好きだ。倉持由香という人は、一般映画としては当然だろうが尻ばかり強調する場面はなく、主に顔の雰囲気を見せている。下垣真香という人は本来もっと大人の役をすべきだろうが、今回は確信犯的天然真面目キャラになっていたのは嫌いでない(ちょっと惚れた)。なお脚本家役をやった人は、現在は芸能活動をやめて帰郷して結婚して子育て中とのことである。どうかお幸せに。
[DVD(邦画)] 6点(2020-01-25 10:29:27)
13.  デスフォレスト 恐怖の森 《ネタバレ》 
ゲーム原作ホラーとのことで、安手ながらそれなりに映画として見られるものになっている。一見正隆監督は、前に「いばらのばら」(オムニバス映画「恋につきもの」(2013)より)を見たことがあって全く期待していなかったが、まともに作ればそれなりだということが今回わかった。  全体としては簡素な作りで1時間に収めている。前半ではかえって時間が余っているようにも見えたが、中盤に至って林の中で「あれ」と指差した先に何かいて、浮足立ったように逃げ出した場面はいい感じだった。ガキの人間関係は煩わしいが、全部を他人のせいにするクレーマー気質の連中が先にいなくなり、残った人物で終盤の危機を乗り切るのはオーソドックスな展開で悪くない。 夜の場面は周囲が真っ暗で、光が当たった所だけ見えるのはいわばドキュメンタリーホラーの投稿映像の感覚ではないか(普段見ないがホラーDVDの「新作案内」に入っているようなもの)。もとからそうなのだろうが大顔キャラクターは出方が特徴的で、またフラッシュで一瞬白くはっきり見えるのはこのバケモノにふさわしい映像化と思われる。白塗り男も年齢不詳の独特な顔(笹野高史的)でけっこう不気味だ。濃厚なホラーというよりは、ゲーム原作らしい?ドライな印象でそれなりに面白い映画だった。  全部で5作あるとわかって見れば、今回はまず導入部として基本型を作ったようでもある。バケモノキャラクターのほか記者や謎の老婆はシリーズ共通の登場人物らしいので、次回以降の展開にも一応期待しておく。 ちなみに大顔キャラ役は奥咲姫(おく さき)という女優らしいが、事務所のプロフィールを見ると可愛い顔の写真が載っていて和まされた。そのうちちゃんと顔を見せてもらいたい(最後の写真がそうだったのか)。
[DVD(邦画)] 4点(2020-01-25 10:29:25)
14.  でんきくらげ 《ネタバレ》 
昔から名前が気になっていたので興味本位で初めて見た。このシリーズは6作あるそうだが全部制覇しようという気は全くない。 内容としてはそれほど盛り上がるものでもなかったが、話はちゃんとできているので一応見られる映画にはなっている。結果的に主人公はどこまでものし上がるつもりがあるわけでもなく、母親を楽にさせて一緒に暮らすことが目標だったようで意外につつましい望みだが、これから一生それで済むのかはわからない。 主演女優はあまり馴染みがなかったが、「ガメラ対宇宙怪獣バイラス」(1968)には出ていたので見たことがなくはない。不自然なまでにオッパイを隠す(一人で電話している時も隠す)割に時折乳首が見えたりして徹底しないのはどういう方針なのかと思ったが、単にチラ見せが尊いというだけのことか。昭和の女性にしては脚がきれいだと思わせるところはあった。 自分としては何を面白がればいいのかよくわからない映画だったので、とりあえず現時点での平均点をつけておく。  以下余談として、この時代には5万円というのがそれなりの金額だったと思わせる台詞があったが当時の感覚がわからない。消費者物価指数の推移からみて現在の1/3程度の物価水準だったと思えばいいか。歴史的事件としては、昭和28年の鶴田浩二襲撃事件に関連して5万円という金額が出て来るが、その頃と高度成長期でも金銭価値は違うだろうから、劇中で怖い人が5万円掴まされて納得していたのは扱いに差が出ていたと思われる。
[DVD(邦画)] 5点(2020-01-01 09:17:33)
15.  テール しっぽのある美女 《ネタバレ》 
ノルウェーの民間伝承に出る森の精霊「フルドラ」(定形単数huldra、不定形単数hulderフルデル)を扱った映画で、尻尾のある美女が男を惑わすという点を基本にして、ほかに歌とか再生といった関連要素を加えている。「トロール・ハンター」(2010)に続くノルウェー発の未確認生物映画のようだが、素っ裸の女性に男2人というのは「ジェーン・ドウの解剖」(2016)に先んじた感じもする。身長が160cm台というのはわりと小柄な方ではないか。 ちなみに原題のThaleの意味はわからなかったが、単に美女の個体名(ターレ)だったと思えばいいのか。少なくとも邦題にあるテールtailのことではないらしい。  ジャンルはホラーとのことだが特に怖くはなく、低レベルのドッキリがあるだけである。若干グロい・汚いところもあるが自分的にはそれほど大したものではない。映画紹介に書かれた通り、特殊清掃の現場で発見された謎の美女の正体が何なのかを明らかにしていく話だが、設定とか展開はわりと適当な感じなので、あまり突っ込まないようにして見た方がいい。 途中段階ではロリコンジジイの話かと思ったが、最後は一応の物悲しい雰囲気を出しており、例えばネコを愛玩しながら生きていた老人が死んで、その後にネコが外の世界に出て行った感じと思えば身につまされるものはある。ただし終盤で娘との再会場面があり、また最後に「(母方の)祖父と母に捧ぐ」という言葉が出ていたことからすれば、ロリコンでもネコでもなく父と娘の関係がテーマだったらしい。ラストのナレーションで語られたことが劇中でも表現できていれば感動的だったろうが、そうでもなかったのでもっとちゃんと作ってもらいたい。  全体的に低予算映画のようではあるが、映像面では(CGの造形を除き)悪い感じはしなかった。ノルウェーっぽい風景も少し出ており、湖?(入江?)の向こうにある羊蹄山のような山はどこなのかが気になった。「ターレ」は美女といっても野性味が出ているが(女優は20代末)、少女時代は可憐で可愛らしい。外見だけ見て野生動物を欲しがるな。
[インターネット(字幕)] 4点(2019-11-30 14:29:14)
16.  ディール・ブレイク 《ネタバレ》 
アイスランドの映画である(寒々としている)。シリーズ2作目とのことだが、単純な続きではなく独立的なサイドストーリーのようなものらしい。 内容としてはアクションのあまりないクライムサスペンスである。最後の部分を除いて説明的なところは全くなく、専ら状況に語らせる展開なのでわかりにくい。また日本人にとっては顔の見分けがつきにくいのも問題で、せめて人名はまめに出してもらいたいものだと思った。  物語としては麻薬の密売に関わる犯罪組織が、警察内部に協力者を確保しながら街の支配権を争う話になっている。この2作目では警察官が主人公だが、その警察でも内部統制が緩く、情実人事とか汚職を見て見ぬふりの風潮があったらしい。また血讐blóðhefndの風習を残しているかのような場面もあり、それでは何のために警察があるのかもわからなくなる。刑務所の看守が受刑者と癒着していたのも問題で、そういう現代の先進国らしからぬ現状を批判する意図があると取れなくはない。 しかし人口35万の小国であることから、警察一般への批判というより特定機関を名指しで悪事を暴くような印象が出ており、これを単なるフィクションとして見るのは結構難しい。何か確証があって告発しているのか、または存在しないことをでっち上げてまで社会批判したいのか、あるいは実態と関係なしに自国を舞台にした犯罪映画を作りたかっただけなのかがわからないので非常に困惑する。 ただエンドクレジットを見るとアイスランド産業・革新省?が制作に関わっており、またレイキャヴィーク首都圏警察その他国家機関も協力していたらしいので、少なくとも国と一線を画した立場で権力批判していたのではないようでもある。そもそも2013年に初めて武装警察の発砲で人が死んだことが話題にされるお国柄で、こういう犯罪映画が成り立つのかと思うわけだが、しかし外務省(日本)の海外安全ホームページによると、この国にも「麻薬の常習者や売人」がいること自体は間違いないらしいので、こういうことも絶対なくはないという程度に思っておけばいいのか。どういう見方をすればいいかわからないのでかなり混乱させられる映画だった。  なお劇中の外国人について、パレスチナ自治政府の旗のあるレストランは難民の経営だろうが、セルビア人の密売人も90年代のユーゴスラビア紛争の難民だったらしい。そのセルビア人は、憎むべき悪人でいながら当人もかなり厳しい状況に置かれており、これから生まれる娘をネタに脅迫されていたのはお気の毒というしかない。悪の根源は内にも外にもあるが、本当に恐ろしいことは外の世界にあるということか。 ほか何気に日本車を貶める台詞が出ていたのは気に食わない。「レイキャヴィク・ホエール・ウォッチング・マサカー」(2009)に続き、個人的にはこの映画でまた対アイスランド感情が若干悪化した。
[インターネット(字幕)] 5点(2019-11-16 16:28:46)
17.  天国への応援歌 チアーズ ~チアリーディングに懸けた青春~<TVM> 《ネタバレ》 
読売テレビのドキュメンタリーをもとにして日本テレビが製作した高校チアリーディング部のドラマである。ちなみに映画・TVドラマの「チア☆ダン」のチアダンスとは違うもので、映画の台詞で「誰かを放り投げたり」と言われていた方の競技ということになる。もとのドキュメンタリーは大阪府豊中市の高校の出来事だが、このドラマで見えた海や船溜まりのある風景は神奈川県三浦市だったらしい。 物語としては、前年に全国大会で優勝した際の部長が突然死去し、一度は意気消沈していた部員が奮起して、次の全国大会でまた優勝を果たす話である。「スポ根」ではなく「チア根」(苦しいことを楽しむ)だそうだが基本的には根性物で、当然ながら存在する選抜漏れの部員も含めて最後はそれぞれ得るものがあったという話になっている。劇中使われる「でーきーる」という掛け声はよかったかも知れない。  苦情としては、まず当初時点の低迷と最後の高揚の差を大きくしたいのだろうが最初の方を落ち込ませ過ぎで、本当にこんな悲惨な状態から全国大会優勝まで持って行けるのか怪しいものだという気がして来る。まあこういうドラマはだいたいそういうことになっている気はするわけだが。 またコーチを狂言回し的な役割にしていたらしいが成功しているとは思えない。いたる所でコーチの声でナレーションが入るが、まるきり当事者意識の感じられない観察とか論評ばかりでコーチの人格が疑われる。登場人物としても、自主性を重んじる建前らしいが部長や部員が苦しむのを眺めて放置するだけで、コーチの役割というものをどう考えているのかわからない。口を開けば皮肉か叱責か説教で、「練習の雰囲気が暗すぎる」とはお前のせいではないのかと言いたくなる。どうも「チア☆ダン」とあまりに開きのある人物像で呆れてしまった。  キャストについては当時注目の若手を揃えて人目を引く形になっており、3年生役は実際に全員が17~18歳くらいだったようで可愛らしい(今より)。撮影前には訓練でいろいろさせられていたようでご苦労様だが、どうせ若いから多少きついのは何でもなかろうと思ったりもする。個人的に人物+外見で一番いい役だと思ったのは主人公の親友(演・市川由衣)だった。ほか部長に指名されなかった瞬間の沢尻エリカの表情が好きだ。
[DVD(邦画)] 5点(2019-01-22 20:59:46)
18.  テツワン探偵ロボタック&カブタック 不思議の国の大冒険<OV> 《ネタバレ》 
東映特撮番組「テツワン探偵ロボタック」(1998~1999)の特別編である。当時は当然見ていなかった。 見た目は1970年代の「がんばれ!!ロボコン」のようでいかにも小学生向けの番組だが、宇宙刑事に始まるメタルヒーローシリーズに属するという考え方もあるらしい。確かに、いつもは呑気なロボコン風ロボットでも、危機が迫ると少し格好いい戦闘形態に変化して(CGで)アクションをこなして火薬も爆発するのは東映特撮ヒーロー物のパターンになっている。また現在もあるように、前作の「ビーロボカブタック」(1997~1998)との共演形式になっており(いわゆる「クロスオーバー」)、本編とは全く違う異世界設定にしてあるらしい。  物語としては、悪徳国家の悪徳大統領が隣国の王女(美少女)を「キャワイイ~」という理由で拉致して嫁にしようとした(これは許せない)のを、正義の主人公が阻止する話になっている。主人公にとっては切ない恋物語だが、同時に正直者が馬鹿をみる類のありがたい教訓を残す話である。全般的に見る者を笑わせるように作ってあり、「おれの妻になるのだ」との横暴な発言に対し、健気な王女が決然と「身体を奪うことはできても…」と真顔で答えたのは(申し訳ないが)爆笑してしまった。当時から大人の目を意識しながら作っていたということか、あるいは小学生向け番組を見て笑っている大人はおれだけか。 またこの特別編ではレギュラーが普段と全く違う役柄で出ていたようで、本編を知っている人ならそれ自体が面白かったかも知れない。岡っ引きの親分をやっていたのは後の黒川芽以(当時から黒川芽以)で、「番屋でゆっくり話を聞こうか」という台詞はいわゆるタイホしちゃうぞという意味と思われる。ただこの当時は普通の小学生女子のように見えて、顔もほっそりして黒川芽以らしくない。 ゲスト出演者では、ほとんど同時期の「がんばっていきまっしょい」(1998)で“ヒメ”役だった清水真実という人が出ている。このビデオでは本物のお姫様役で、「がんばって…」のようなあか抜けない地方の女子高生ではなく正規の美少女になっている。そのほか国王役で出ていたのは、1980年代に「夢見るぞ」で一世を風靡した赤星昇一郎という人物だった(知っている人は知っている)。
[DVD(邦画)] 6点(2018-12-16 17:29:21)
19.  天使のいる図書館 《ネタバレ》 
主人公に倣って思ったことをそのまま正直に書く。 ◇主人公の人物像が支離滅裂である。奇矯な行動や硬直的な思考は先天的なもののようでもあるが、それなら自宅でも四角四面でなければ変ではないか。外でだけ無理しているというより完全な別人格に見えて著しく不自然である。書籍類を机に叩きつけるとか人を指さすのは本人の地なのか演技なのかわからないが、ものの食い方が汚いのはさすがに許容しかねるものがある。また、幼時の出来事のために神様の類を否定するに至ったことと、現在の変な状態は関係あるのかどうかも不明である。 ◇劇中で問題にされていたのは神道の神様だと思うが、題名の天使というのは神道でいうと何に当たるものなのか。あるいは自分が信じたいものは何でも神、と言った時点で神道も何も関係なくなって西洋風イメージの天使でもいいことになったのか。主人公自身が天使だったと思ってもいいのかも知れない(そう思いたかった)が、するとあの羽根は誰が落としたのか。 ◇現実になされた結婚を祖母が否定してしまうと孫の存在までが完全否定されるはずだが、それを当の孫はどう思っていたのか。ある程度の年齢になれば、今ある現実に適合するよう自分の生涯イメージを再構築するくらいの賢明さが備わるものではないのか。人は死ぬ間際まで煩悩に苛まれ続けるということを表現したかったのか。 ◇観光誘客の意図が前面に出過ぎで、最初からPRしたい場所を回るように物語が組まれているのが気に障る。主人公が夜中に一人で出歩いていたが、奈良県葛城地域というのは治安に問題ない場所なのか。 ◇劇中語られていた図書館のあり方についても物申したいことがあるが、専門外のため自粛する(一応、図書館関係の全国団体が協力している)。  ご当地映画としての性質から無理にひん曲げた部分がどれだけあったのかはわからないが、全体として非常に残念な映画だった。ただし現時点でネット上で見た限りではおおむね評判がいいようなので、どうかそっちの方を信用していただきたい。 なお小芝風花さんを見ようとする分にはいい映画と思われるが、自分としては主人公がレファレンスコーナーでにっこりしている宣伝写真そのままの姿を本編でも見たかった。この表情が物語の終着点だろうという気がする。
[DVD(邦画)] 2点(2017-10-12 23:53:17)
20.  テハンノで売春していてバラバラ殺人にあった女子高生、まだテハンノにいる 《ネタバレ》 
とりあえず題名に惹かれて見た。邦題は原題のほとんど直訳らしい。 題名からするとまず「テハンノ」というのがどこなのか気になって仕方ないので映画を見る前に調べたが(どうせソウルのどこかだろうとは思ったが)、要は漢字で書けば「大学路」で、ソウル市観光公式サイト(日本語)によれば「若さ溢れる演劇の街」だそうである。ただし劇中では魔窟のような扱いになっている。 表音文字のはずのハングルで대학로 dae-hak-ro と書いてあるのに「テハンノ」と読めというのは理不尽なものを感じるが、これはハングルというものがいわば“漢字を使わないで漢字を表記する”コンセプトの文字だからと思えばいいのかも知れない。一方で上記の市公式サイトではなぜかカタカナで「テハクロ」と表記しており、これは日本人が「大学路」という漢字に結びつけやすいだろうという親切心ということか。しかし実際に行った日本人が「テハクロ」と発音して現地住民に鼻で笑われたなどということになったらどうしてくれるのかと思うわけだが、この映画を見て行こうと思った人ならそうならないことは間違いない。そんな人がどれだけいるかは別として。  映画本体に関しては、少なくとも最初のうちはけっこう笑える。婆さんの愚痴たれなどはまるきり異民族の行動様式なので笑ったが、これはもしかして現地の観客にとっても笑う場面だったのか。続く「夕暮れのTVセット」などはもう支離滅裂で脱力感しかないが、しかし中盤の月の場面になると変に物悲しい雰囲気になり、これは意外に真面目な映画なのかと一瞬思わされる。 後半になっても映像的には凝ったようでいながら大して盛り上がらないまま終わってしまうが、それでも素っ気ないエンディングの背景音楽が哀愁を帯びた感じで余韻を残すので、それなりの映画を見た気分にさせられてしまう。なお開始直後にエンドロールの巻き戻しのようなのが出ていたのが、むかし起こった出来事の回想をこれから始める、という意味だったとすれば、少なくとも映画公開の時点ではまだテハンノにいたということかも知れない。 こんな映画を褒めるわけにはいかないが、なかなか愛嬌のある感じで嫌いともいえない。  ちなみに自分としても「万」の単位が何なのかは気になった(当時も今も1円≒10ウォン)。また女子高生がセーラー服のようなのを着ているのは、もしかして日本統治時代から続いている慣習だとすれば、いわゆる「日帝残滓」であるから徹底的に攻撃して排除すべきではないか。
[DVD(字幕)] 5点(2017-10-07 20:23:06)
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