1. 時計じかけのオレンジ
記号的なオブジェや色、シンメトリーな構図、空間の奥行きを感じさせるカメラワーク、幾何学的な造形。人間を冷笑しているかのような客観的な描写。たしかに洗練された映像センスだと思う。でもそれを手放しで賞賛できない自分がいます。内容的には体制批判や管理社会への風刺なのだと思いますが、何しろ映像や音楽なんかのインパクトが強烈過ぎて、その一瞬の不快感(あるいは快感)で終わってしまう。暴力や欲望という本能を見せ付けるためだけの映像美、という気がして…。まあそれは主人公の視点だからしょうがない。ただレイプを芸術っぽく表現してしまう所に監督の悪趣味さ、無責任さを感じてしまうんです。極めて男性的な視線と、根底に性蔑視が感じられて嫌だった。そんな映画から何らかのメッセージをくみ取ろうとする事がバカバカしくなりました。 [CS・衛星(字幕)] 2点(2007-03-13 02:26:42)(良:2票) |