2. トランボ/ハリウッドに最も嫌われた男
「共産主義」にもいろいろあるわけで。例えば、日本で60年前後に登場した新左翼勢力のほとんどはソ連を共産主義ではないとしていました。本作でその「共産主義」の内容が説明されない意図は、2015年のアメリカの状況と照らし合わせて考えるべきなのでしょうが、私の手には余ります。 現在の日本で本作を見ると、一般論として提示するために描かなったという穿った見方さえ可能になるなと、感慨深いものがありました。 例えば22・23年に問題となった例をあげると、関東大震災時に朝鮮人大虐殺があったことに触れただけで、東京都が関与する企画で上映できなくなった映像作品が存在します。映画でドリンクを浴びせかけられるシーンがありましたが、洗脳された生徒によって階段から突き落とされて大けがを負った日の丸・君が代に反対する教師の姿がオーバーラップします。 正義とは、自己の信念とは、国家と市民の関係とは、見る者に様々な考察を要求する作品になっていると思います。 [地上波(字幕)] 7点(2024-01-05 21:35:52) |