1. 映画ドラえもん のび太の恐竜2006
《ネタバレ》 DVDジャケットの絵に、大きく満月が背景に描かれている。映画の始まりとともに満月が夜空に浮かぶ。ピー助はやや欠けた満月にむかって遠吠えをする。そして映画のラスト、満月にピンク色のボールにかさなっていく。これら、満月の描き方がこの映画では象徴的である。 映画前半はのび太とピンク色ボールとの関係が細かく描かれていたが、ラストはそれが無かった。もちろん映画の終わりにはボールが登場するが、劇内においては登場しない。代わりに、あのエンディングにしている。これは作り手たちのある意味覚悟があったに違いない。だけども僕はやっぱり最後、ボールとのび太の風景を見たかった。 絵の質感も好感が持てた。過去の継承(不易)と、現代の風(流行)の相克のバランスは、この映画製作において相当頭を悩ませたことだろう。そこで、筆致の妙で流行を表現したのだと感じた。しなやかな動きと涙の表情がよく合っていたと感じた。 過去の優れた作品を(もしくは未熟だった作品を)、現在の技法や感性でリメイクし、新たな視点を与えることは、大変有意義なことだ。それとこれを比較しながら観るのも楽しい。 [DVD(邦画)] 8点(2015-01-27 00:06:27)(良:1票) |
2. エスター
《ネタバレ》 この映画を未鑑賞でこれから観る可能性が少しでもある方にとって、以下のネタバレを遠慮なく書いている拙レビューを読むことは、著しい損害を与えることになるので、くれぐれもご注意ください。 さて、 すべてを観終わり、真相が明らかになったうえで映画の出来事を思い返すと、僕は胸が締め付けられるような寂しさと憤りを覚えた。 僕は今30代前半の男だ。当然同世代(レンジは前後5年)のお姉さんとなかよくなりたいって思う。しかし僕が体が9歳の少年のままだったら、きっと同世代のお姉さんは僕を男性としてみてくれないだろう。ましてや奇形人として蔑まれるに違いない。 そんなとき、魅力的なお姉さんと出会い、でもそのお姉さんには旦那も子供もいたとしたら・・・。 エスターもそうだ。彼女も大人の女性(の精神)として、いけてる男性と出会えば、自分のものにしたいと望んだことだろう。 ただしその方法がサイコパスであるため、エスターはうまくいかなかった。もうちょっと命への尊崇の念があればうまくいったのかもしれない。 旦那をめった刺しにしたのもそうだ。自分を女として受け入れなかったから、むかついたんだろう。児童ポルノ法的に難しいのかもしれないが、あそこでエスターはランジェリー着てもっと妖艶に夫に迫り、夫と一緒に観客も生唾ゴクン出来るくらいエロければ・・・。 マックス(聾の娘)をかわいがっていたのも、マックスの「姉として」というよりも、むしろ「母として」愛でていたことに気付くと、なんかぞっとした。 そしてBD収録の「別のエンディング」が気に入っている。あれでこそエスター。美しさを感じた。 [ブルーレイ(吹替)] 8点(2014-05-08 02:03:14)(良:1票) |
3. エクソシスト
《ネタバレ》 「嫌な予感」を描く映画である。冒頭のイラクの遺跡発掘現場からして嫌な予感で満ち満ちている。失明したおっさん、野犬の喧嘩、やかましいツルハシのリズム、そしてなにより嫌な予感がする”振り子時計の振り子が止まる”。 母は異常な娘を、様々な医療機関に連れていく。そのときの診察方法が痛々しく描かれている。これは重大な主張であろう。悪魔祓いという前時代的なトピックと、医学という現代のトピックとの対比。白衣をまとう医師たちは、母に対し小難しい医学用語満載で説明する。だんだん母は医学不信になっていく。これも嫌な予感。怖がらせる映画、グロい映画ばかりがホラー映画ではない。上品で高尚なホラー映画だ。怖くてグロい映画見たければ、どっかその辺のおもちゃ映画を見たほうがよい。 [DVD(字幕)] 8点(2013-12-18 21:43:14) |
4. エンター・ザ・ボイド
《ネタバレ》 なんだよノエ、長いこと待たせておいて、何やってたかと思ったら、こんなもん撮ってやがって。 まず映像がPOV、死んだ後もPOVなものだから視界が当然限られてくるわけで、しかも視線が真下に固定、こんな撮影でノエのやりたかったことが本当に撮れているのだろうか。 たぶんだけど、ノエがラブホテルに(当然男と)いった時に、隣はどうなってるんだろうって思いをはせたのがこの映画の志だと思う。 ちょっと昔のノエならば、あの中絶のシーンも天井から見下ろすんじゃなくて、モザイクなしにめっちゃ目の前で凝視する撮り方してたろうに。甘い! とはいえ、オープニングとエンディングの強烈な文字の明滅はノエっぽくてよい。 [映画館(字幕)] 2点(2010-05-31 21:04:58) |
5. エイリアン2/完全版
《ネタバレ》 これは前作の良さ、怖さを非常に発展させた、エンターテインメントだね。すばらしい。 耳に残るテーマ曲とかテーマソングがあればよかった。 [DVD(吹替)] 8点(2010-03-28 01:09:22) |
6. エイリアン
宇宙船っていう時点であまり実感がわかないけど、孤独な空間での恐怖ってのがワクワクした。 [DVD(吹替)] 8点(2010-03-28 01:05:33) |
7. ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破
《ネタバレ》 やりすぎだ!万歳三唱したくなった。 [映画館(邦画)] 9点(2009-07-08 23:41:47)(良:1票) |
8. A2
《ネタバレ》 ある信者は「宗教団体だから心の病を持った人が集まる。彼らを拒んだら宗教ではない。」と言った。オウムが正しい宗教団体だったとは言えないが、この主張は正しい。日本は宗教立国ではないわけだからなおさらだろう。 しかし、オウムの教えに答えを求めてしまった彼らは愚かだと、言ってしまっていいのだろうか。たまたまオウムは人殺し集団になってしまったが、中で信仰を深める彼らは、こんな時代なのにもかかわらず宗教に救済を求めていたわけだ。それはわれわれが忘れていたことなのではないか。食べ物に手を合わせるだとか、お地蔵様に手を合わせるとか、「祈る」ってことをわれわれはおろそかにしてはいないだろうか。 信仰を持つと言うことが実は人らしい幸福に繋がるのではないかと、薄く感じた。 [DVD(邦画)] 9点(2008-10-30 19:28:39) |
9. A
《ネタバレ》 富士宮本部道場が取り壊される前日夜、のび太似の荒木広報副部長は森と二人で無人の道場にいた。荒木は「記録として撮ってほしい」と言った。道場の中は出家信者たちが生活していたり修行していた場所だから、人々の生活の面影が生々しい。でも決して冷たい印象はなかった。壁には「修行!修行!修行!修行!」とか「尊師の教えは~~」とか自己啓発的な言葉が書いてあるが、おそらく強制退去を命じられた際、最近書かれたとおぼしき床の走り書きが泣けた。 「So Long サンクスフレンズ」 そりゃそうだ、自分が血の汗流して頑張った場所である。俺にとっての実家みたいなもんか。それが抗えない力によって強制退去、取り壊しになるとき、憤りも切なさもごっちゃになる。そんなとききっと壁に別れの言葉を残したいと思うだろう、人ならば。でもまさかオウム信者が「サンクスフレンズ」という言葉を書くとは思わなかった。 [DVD(邦画)] 9点(2008-10-30 19:27:45) |
10. ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序
《ネタバレ》 あの正8面体の使徒の変化っプリは、数学好きの僕としてはとてもうれしかった。 拍手したくなったくらい。 [映画館(邦画)] 8点(2007-11-30 00:23:39) |
11. X-MEN:ファイナル ディシジョン
《ネタバレ》 1作目も2作目も観ていないのですが、観ました。 面白かったです。 エンドロールが終わった後のあのシーンの意味よくわからなかったのですが、みなさんのレビュー拝見して理解できました。面白い。 ミュータントとしての宿命に戸惑う彼らの苦悩はよくわかったし、それで立ち向かっていく様子がいい感じだった。赤い橋をうりゃーと持ち上げてアルカトラズにつなげるのは感動しました。 アメリカの世論(反対デモをしていた連中)はどういうことなのか、よくわかりませんでした。 ファイナルデシジョンと言ってるのに、まだ続きそうな雰囲気 [映画館(字幕)] 8点(2006-09-25 23:30:56) |
12. eiko【エイコ】
麻生久美子好きにはたまらない映画。だから僕にはたまらない! [DVD(字幕)] 8点(2006-02-09 22:55:20) |
13. エレファント
犯行を行った少年2人も亡くなった彼ら彼女らと同じ目線で描かれていて、作者側の事件に対する憎しみは限りなく排除されている。でも当然憎むべきは犯人二人であり、ボーリングフォーコロンバインを観ているのであれば銃社会そのものも憎むことができるだろう。映画の中に怒りをぶつけることができず、てくてく廊下を歩く長い時間の間、とにかくやり場のない怒りを感じていた。映画的盛上げも時間構成をいじくっているだけであるが、それがなんとも巧妙で、現実を繰り返し冷たく見つめる。もしこの編集がなかったらたんなる残酷な冗長映画だっただろう。 観ていてなんとも気持ちの悪い映画だった。 8点(2004-12-13 14:13:46) |
14. エレファント・マン
《ネタバレ》 心がキレイで姿がキケイの人、姿がキレイで心がキケイの人。心と姿が等価値あるいは心のほうが優位ならば、世の中にはキケイがなんと多いことか。サンシャイン通りの劇場ポスター見てキケイ監督デビッドリンチのキケイ映画エレファントマンを観てしまう僕も心はキケイなんだと思う。でも敢えて面白かったといいましょう。だって映画だもの。あ、でもエレファントマンは実在の人物なんだそうな。てことはあれか。僕も見世物小屋の前でワクワクしながらメリックさんの姿を見てるあいつらと同じということか。そしてメリックさんのもつドラマ性を利用して舞台化したり映画化するデビッドリンチも藤原竜也君も同じなのか。本当に心がキレイな人は我々の前には現れないのだろうか。 でもレビューを書こう。 無理やりCGとかでリアルに作ろうとしている現代の映像屋さんたちがエレファントマンを観たら「あんなんじゃ全然キケイじゃないよ」とか思うのかもしれないが、大きな間違いである。あれがいいのである。メリックの特殊メイクは本当にすばらしい。リアルすぎず、雑すぎず。内側の俳優さんの演技が良く現れ、感情移入がとてもしやすい。それでいてデビッドリンチのキケイっぷりも損なうことがない。最初は目を逸らしてしまうが慣れてくると表情が切なくて正視できなくなる(本当に心がキレイな人は我々の前には現れない、ということか?)。もし医師が嘘でも「キケイは治るよ」とメリックに言っていれば、彼は生きたかもしれない。ぜひそうであって欲しい。でなければ我々にとって、生きることはたいした事でなくなってしまいそうで怖い。とはいえ最期の表情は本当に安らかだった。僕も演劇をやっていたのですが、公演が成功した日の夜は幸せで「今なら死んでも構わない」と思うときがある。彼もあの時同じような心境だったのだろう。とにかくメリックさんに対する同情の気持ちで胸がいっぱいになっている。 という風に、この話はメリックの孤独な物語なのだが、それ以上に人間のキケイ性をむき出しにした、いわば映画を含めたショービジネスに対するオブジェクションともとれる不朽の名作。 10点(2004-12-01 02:30:56) |
15. エド・ウッド
自分は映画創りに才能がないかもしれないと不安に感じつつも、飛びぬけたプラス思考と情熱と映画が好きだという気持ちだけでメガホンを握る。どうせ一度の人生ならば、好きなことやって過ごそうぜ、例え誰からも認められなくても、俺は映画を創るぞ!そんな男エドウッド。尊敬します。 9点(2004-11-08 21:42:23)(良:1票) |
16. エトワール(2000)
映画としてはつまんないが、エトワールたちの生き様にはおおいに考えさせられることがあった。僕も演劇をずっと続けてきているが、それで食べていけるわけ無く、だけど辞めたくなく、見上げれば演劇で食ってるすげえやつら、見渡すと演劇で食っていこうとバイトしながら活動してるやつら。舞台に生きる人たちに光アレ。 4点(2004-11-08 21:35:34)(良:1票) |
17. 映画に愛をこめて/アメリカの夜
ネコのシーンが印象に残ります。ネコのしぐさは本当にほほえましくて笑えます。ニャーニャーと鳴く声を後から加えているのもとてもかわいいです。そして何より、ネコがちゃんとミルクを飲んでくれて、「オッケー」が出た時のスタッフ一同の安堵の表情を見て、この人たちは本当に映画を創るのが好きなんだろうって思いました。自分も仕事に愛情と熱意を持って生きたいと思います。 9点(2004-10-05 01:41:19)(良:1票) |
18. エイミー(1997)
みんなでうたを歌いながら捜索する様子に拍手。緊迫感を出しつつそれでいてポップ。 7点(2004-04-08 01:03:04) |
19. えびボクサー
《ネタバレ》 B級映画の定義をよく知らないが、(タランティーノの「パルプフィクション」もB級映画の一員?)でもえびボクサーは純粋なB級映画である。えびの質感、肌触り、動き、・・・特撮じゃないからいいか、とおもったら、ラストの走り回りはCGっぽいね。あの姿には本当に笑わせてもらった。この笑い方はBならではだと思う、そしてそれはとても面白い。しかしその反面、えびの切ない瞳に感情移入してしまった。月を想うかぐや姫のよう。だんだんとそれに気づきはじめる主人公のおっさんの変化っぷりもけっこう丁寧に描かれている。グローブをつけられたえびが男と抱き合う時、(あそこで抱き合うからしょせんB級なんだな)えびは確かに男を愛していた。男もしかり。こう書くと嫌な感じだから、お互い分かりあえた、と書いておく。それは「くだらねぇー」では片付けられない感動を与えてくれる。その時の人間の衣装が間抜けなのもこの感動には必要である。「えび」という“キャスティング”は『体の不自由性からくる感動』(サイモンバーチ、五体不満足など)をとてもよく、可笑しくあらわすことができた。えびが出てくるからB級でなきゃいけない。逆にいえばこの映画をそれこそハリウッド最新技術で飾ったりダイナミックなシナリオで盛上げるとこの映画の良さが失われるだろう。B級は21世紀も必要だ!(「21世紀だから何でもあり」という台詞があった)大きなお世話だが、ハリポタもBにすればひょっとすると・・・・? 9点(2004-03-12 01:21:27)(良:1票) |
20. es[エス](2001)
脚本はアラっぽいけど実験自体がものすごいから、興味深く観れました。実験が始まる前に個人の性格をインタビューしてます。みんなばらばらで、それらをうまく看守と囚人に分けることによって、「良いデータ」を得ようとする大学の博士たちの恐怖。しかし、人間のesは博士の想像以上に絶望的に恐ろしいものだった。なぜ責任感の強い真面目な彼は看守のリーダーになってゆくのか?自分の中のesが怖い。もし自分があの実験に加わったとしたら?・・・ 8点(2004-02-04 02:01:29) |