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1.  エターナル・サンシャイン 《ネタバレ》 
人類にとって最も深い悲しみとは何だろう。おそらくそれは大切な何かを、或いはかけがえのない誰かを、「喪失」することだ。家族を友だちを愛犬を恋人を、つまりは愛した誰かを、私たちは時に失う。そうしてある日突然訪れる深く耐え難い悲しみに、私たちは傷つき苛まれる。そんな時、私たちは自らの弱さにまかせて願うだろう。この記憶をまるごと消し去ることが出来たならどんなにかいいだろうと。耐え難い「喪失」をひとまわり大きな「さらなる喪失」でまるごとくり抜いてしまえたなら、と。だが『「喪失」による悲しみをも喪失』した時、人間は本当に幸福なのだろうか。本作『エターナル・サンシャイン』は、一筋縄ではいかない小賢しい話法を用いて恋愛の本質を綴る類いの正直いけ好かない映画だ。だが、いけ好かないはずなのにそれでも私の胸を悔しいほどストレートに打つ。それはこの映画がまさに人類の切ない夢=『「喪失」とさらなる喪失』の物語を驚くほど真摯に見つめているからだ。愛しあい、そして別れたジョエルとクレメンタイン。彼らが再び惹かれあうラストは、恋の奇跡を謳った安直なハッピーエンドにも見える。だが消去した過去と同じように、2人はいつかまた同じ別れに辿り着くだろう。クレメンタインが言うように、2人は同じ道を、永遠ではないその道を、再びいたずらに辿るだけだ。耐え難い「喪失」に靴先を向けて。それでもジョエルは言う。オーケーだと。それでオーケーなのだと。永遠ではない愛に、はたして価値はないだろうか。答えは否だ。断じて否だ。クレメンタインが氷上の記憶を決してぬりかえられなかったように、永遠ではなかった愛にもかけがえのない価値がある。同じ道を行きやがて「喪失」に辿り着いても、おそらく彼らが再び「さらなる喪失」を選択することはないだろう。その時、彼らは耐え難い「喪失」をついに真正面から受け止める。そうしてそれぞれがそれぞれに、耐え難いその悲しみを今度こそ幸福な血肉とする。ラストショットは雪に戯れる2人の姿だ。それはその先のハッピーエンドを示す夢のような未来の光景ではない。ニット帽に隠されたクレメンタインの髪の毛は、それが過去であることを示す赤色だ。それでも、そう、それでも、だ。永遠を叶えられなくてもそれでも、消去されることなく残った記憶は永遠の煌めきで輝き続ける。映画は言う。オーケーだと。それでオーケーなのだと。
[ブルーレイ(字幕)] 9点(2011-04-02 19:30:32)(良:2票)
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