1. 南極料理人
《ネタバレ》 ラストのファストフードであるハンバーガーを食べて「うまっ!」と言うシーンは、やたらとハイブラウなものに対する強烈なアンチテーゼを感じたし、爽快だった。しかしこれは不思議な映画だ。食に関する映画かというとそうでもない気もするし、人間を描いているかというとそうでもない気がする。だからといって面白くないかというと、そうでもない。 [DVD(邦画)] 7点(2013-03-26 23:58:55)(良:1票) |
2. ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド ゾンビの誕生
ダイナミックな、悪くいうと雑なカメラワークはなんだかざらざらした粗い砂が口に混じるような居心地の悪さと野性味を感じさせる。サヴィニーのリメイクはあれはあれで素晴らしい出来であったが、本家はモノクロというところが逆に迫力を増す。あれほど爽やかなバッドエンドはあるだろうか。あっさりと悲劇を見せつけ、静止画でのエンディング。素晴らしすぎる。これほど緩急のついたクールなエンディングは無い。それを思うと、オープニングもまた素晴らしいとしかいいようがないことを思い出す。ふらふら歩いてきたおっさんにいきなり襲われるという恐怖は新鮮だったのだろう。ゾンビという素材を初めて扱いながらも、ゾンビ自体の露出には謙抑である。要はゾンビは「見せない」恐怖が肝なのである。ゾンビそのものよりも、それがだんだん迫ってくる雰囲気や、その数、なんか食ってる様子、ドンドン扉がたたかれている様子、窓の合間からちらりと見える様子、それらが恐怖を煽ることになる。そして人間の本質を炙り出すことになる。傑作。 [DVD(字幕)] 8点(2011-07-30 23:35:36) |
3. 渚のシンドバッド
変に青春を甘いものにしようとする意思が全く無くて、むしろ裸になってさらけ出そうとする泥臭さがこの映画を傑出させている。ラストの海なんて「ベタすぎるだろ」と思いきや吉田をぼこぼこにやりこめる感じ(しかも「あたしが男でも好きになった?」とかいうかなり無理矢理な責め方)が強烈。 大人でも答えが出ないような問題を子供が一生懸命答えを出そうとする、あるいは答えを出したような気になっているようなイタさがこの映画の良さであり、観客に与える痛みだ。 [DVD(邦画)] 7点(2010-12-08 23:35:55) |
4. ナイト・オン・ザ・プラネット
地球を巡りながら夜明けを迎えるとは、なんて気の利いた構成だろう。何気ない日常を切り取っているようにみえて、ジム・ジャームッシュの構図は実に技巧的である。LA編でのウィノナが颯爽と車を飛ばす後ろで旅客機が轟然と横切る。そして空港のシーンへ移る素晴らしい演出。ニューヨーク編ほどユーモアに満ち溢れた空間はないし、パリ編は人種的な問題がちらりと覗きながらもあくまで人間を描いている。ローマ編はベニーニの一人芝居に近い、圧倒的な芸(といって良いと思う)を見せつけられる。ロータリーをいったりきたりしてなかなか客を乗せなかったり、「一方通行は最高♪」とか言いつつ逆走するシーンは大のお気に入りである。一転してヘルシンキ編では底なしの悲しみが場を覆う。ミカとアキというネーミングはくすっとするが、ラストのアキの表情は笑えないほど絶望的である。しかしそれでも地球には朝がくる。タクシーの車内という偶然に満ちた空間を通じて、人々の機微を鮮やかに映し、夜は明けていく。ラストシーンの「おはよう」は全ての人に向けられた挨拶である。 [DVD(字幕)] 9点(2010-09-08 00:47:41) |
5. 楢山節考(1958)
《ネタバレ》 歌舞伎調。前口上がなんとも洒落ています。正に昔話の世界を再現したようです。全編セットかつ、照明も独特です。特に「掟は必ず守ってもらいやしょう」の演出は目を離せない。他にも舞台が二つに割れる場面など、普通の映画では観られない演出が多かったです。喜んで、というとおかしいかもしれませんが、自ら進んで楢山へ行こうとする母と、それを辛く感じる息子の対比がなんとも惨い。結局のところ、息子は涙を流しながらも村の因習に逆らえずに母親を置き去りにするしかないのです。そして自らも楢山へ行くことを覚悟しながら生きて行かざるを得ないのです。これほど残酷な物語が他にあるでしょうか。 [DVD(邦画)] 9点(2010-09-06 20:28:34) |
6. ナイト・オブ・ザ・リビングデッド 死霊創世紀
トム・ザビーニによるロメロのリメイクということでしたが、いやーかなり良い出来でした。すげー怖いし、ドキドキするし、人間対ゾンビだけじゃなくて人間対人間もある。その人間ドラマ。 でもおれはロメロのオリジナルはまだ観てません。 ああいう状況になって初めて人間の本質が見えるんですね。 にしてもラストを単なるホラーに終わらせないとこが捻りが利いていてぐっときます。強烈過ぎる社会風刺。ゾンビがかわいそうになりました(笑) クーパーをためらいなく撃つバーバラ。なんかぐっときます。 ゾンビ映画素晴らしいですね。二つの意味で取り憑かれそうです。 [DVD(字幕)] 6点(2009-06-21 22:27:53) |
7. ナイトメアー・ビフォア・クリスマス
とても斬新でストーリー性にも優れていると思います。ティムバートンの原点。 [DVD(字幕)] 7点(2008-11-17 00:42:20) |
8. ナイロビの蜂
凡作。明確なテーマが無いままだらだらと終わってしまいました。題材盛りだくさんにしすぎ。だから全部が中途半端で平凡な感じになってしまった気がします。新薬の人体実験云々の話も描写が少なすぎて、その悲惨な実態がほとんど描かれておらず、ほぼ登場人物の説明のみで語られているので「へぇ~」としか思えず、スラム街やアフリカの大自然もわざと見せているようにしか見えませんでした。あのカーチェイスとか、テッサが医師と村を回るのを延々と見せるシーンとか、必要あったのかな? 薄っぺらかったです。 [DVD(字幕)] 4点(2008-03-14 18:35:37)(良:1票) |