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なんのかんのさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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21.  にっぽん泥棒物語 《ネタバレ》 
泥棒の話が映画で好まれたのは、それが声を出してはいけない状況を伴うからかもしれない。サイレント映画ではとりわけ好まれてたんじゃないか。で、この映画、泥棒が忍び込んでいくと、子どもがフトンからじっと見ているカットになる、お菓子でなだめて帰ろうとすると、もっと頂戴と泣き出す。サイレント映画にでもありそうなコント。でもやっぱり社会派監督だから、松川事件がからんできてコメディに徹してはくれないが、三国連太郎のトボケぶりと、伊藤雄之助検事のネチネチぶりが楽しく、そもそも裁判という厳めしい公の場で、こそ泥の話をしていくその対照が面白い。泥棒というのはなぜ滑稽なのだろう、コソコソしているからか。弁護士が千葉真一だった。室田日出男は当然泥棒の一味だろうと思っていたら、進歩的な新聞記者だった。
[映画館(邦画)] 7点(2008-12-17 12:10:43)
22.  日本の青春 《ネタバレ》 
『壁あつき部屋』や『人間の条件』ともつながる“軍隊の内なる暴力”のテーマを扱っていて、でも60年代後半という、剛直より軟弱へという時代の流れを感じさせるとこが、いま見ると面白い(映画で言えば任侠ものから寅さんへという時期)。武満徹の音楽もフォーク調。藤田まことが軟弱な人間の真率さを演じるが、やや哀感過剰気味、これが60年代末のトーンだ。元上官佐藤慶は、時代がどう移ろうともその時代時代をちゃんと生きているという自負があり、バーの一角での対決が、セリフ劇として見応えがあった。しかしそれがこの映画の限界でもあって、図式が整いすぎて、イメージが膨らむ余地が少ない。主人公が家に帰って終わるってのはどうかなあ。それが、家にしか帰るところがないという絶望や苦みでなく、まだ帰るところがあるというニュアンスでまとめられていた。それでいいのかなあ。奈良岡朋子がカワイイやつになってしまっていたけど、そのカワイさの束縛ってのもあるんじゃないか。
[映画館(邦画)] 7点(2008-10-09 12:14:21)
23.  ニキータ
フランス映画で「リアリティがない」って悪口はあんまり意味ないのかもしれない。どうもあの国のリアリティは、たとえばアメリカとは閾値に違いがあるようで、自由に出来る部分が広いみたい。ニキータ自身が大使になって大使館に入っちゃえるぐらい警備が手薄でもアリになるらしい。ベニスでの狙撃なんかも、ちょっと無理が感じられるんだけど、あの国ではかなりの程度まで嘘っぽさが許されるのね。そう頭ではフランスの伝統を入れていても、私がノレたのは最初の料理店の銃のプレゼントのあたり。ふんわかした気分が一転して三分以内の仕事の緊張にすりかわり、トイレの窓はふさがってて厨房での銃撃戦になっていく。あの程度のリアリティと嘘の配分が私にはいい。で恋人が絡んでくるのがまたフランス映画で、もたれるの。
[映画館(字幕)] 6点(2013-12-20 09:42:13)
24.  21グラム
話をばらばらにして時間もばらばらにして、見るほうがそれを再構成していく楽しみはたしかにあるだろうが、それが映画の芯のモチーフになっているのならこちらも本腰を入れてそれを楽しめるけど、あくまで本作のはテーマを描くための手法のようで、そうなるととたんに冷めちゃう。なんか無理に向こうのゲームに付き合わされたようで。三人とも内省的な人物なので陰気。恩返しの接近が愛に変わり、それでも人生は続く、という話なのか。脇の轢いたほうの妻なんかにリアリティがあった。旦那が自首していったあとでも、一心に車の血を洗っている。隠れテーマとして「子ども」があるのか。子どもを作らせてという妻や、子どもの消滅や、いろいろ。
[DVD(字幕)] 6点(2013-12-01 15:45:38)
25.  ニュー・ジャック・シティ
ほとんどが黒人、脇はイタリアンと東洋系で、ホワイトアングロサクソン、いません。善玉悪玉を人種で分散させるような配慮、いりません。何も黒人が白人やっつけるとこを黒人見たかったわけじゃなく、うちらだけで全部やっちゃうさっぱり感がウケたんでしょう。それで「ドラッグはいけない」という教訓もちゃんとついて、音楽はもちろんラップ。イキのいい映画ってのは、どうしても犯罪ものになってしまうのか。やるかやられるかで命がかかってるし、やたら走るし。冒頭の空撮がいいよ。ラストの青空も意表をついた。でも話はちょっと小粒の印象。
[映画館(字幕)] 6点(2013-06-21 09:24:47)
26.  荷車の歌
社会派の一代記ものなわけだけど、女性の男性告発の姿勢もうかがえるところがユニーク。たとえば木下恵介だと、一代記なら夫婦が一つの単位になって話が進むんだけど、ここではやがて妻が夫を告発していくわけ。左時枝(!)の娘が出てきて面白くなる。ふてぶてしい女性像が加わり、ただ耐えるだけでない厚みが出た。同じ女だろ、と姑に食ってかかるんだ。木の洞の握り飯のエピソードは、こんな陳腐な展開で泣けてなるものか、と歯を食いしばりつつ泣けてしまう。浦辺粂子との絡みで不機嫌になった母が隅っこでムシロ編みを始めるところのドッシリ感は、日本の母そのものって感じ。風景のシーンが出るとホッとする。巡礼してるとき、山道ですれ違う坊さんの衣が風に吹かれるさまが美しかった。
[映画館(邦画)] 6点(2013-04-04 09:39:50)
27.  人魚伝説
何のことはない、これ現代版『大魔神』ですわな。ラストの大殺戮はもう荒ぶる神。個人は弱いけど、そのなかにああいう神になるエネルギーを秘めてるんだ、いうところがポイント。ちゃんと題名に「伝説」と記してるんだから、リアリズムで見ちゃいけないんでしょう。「そんなことのために殺されたのか」いう怨みは、もう人類の歴史始まって以来、個が公に対してずっと抱いていた怨みなわけで、そういうものが蓄積されると怨霊になるぞ、という話で、これが伝説たるゆえん。弱点は曖昧に原発問題を導入してことで、伝説だからこそかえってぼんやりでなくカッチリとした輪郭をとっておいてほしいところ。公の側は、ああ跡を残しちゃうような下手な殺し方はしないだろう。印象深いシーンとしては、プールに夕立が降りそそぐのを水中から見上げたシーン。清水健太郎の死体が沈んでいくところも美しかった。
[映画館(邦画)] 6点(2012-12-31 10:47:11)
28.  日本橋(1956)
褪色のひどいフィルムで観たせいもあるかもしれないが、鏡花と市川さんのすれ違いばかりが感じられ、堪能とまではいかなかった。夜の橋の静かな雰囲気なんかいいんだけど。ウジを食べるとこなんかアップにする必要あったかな。女の意地の哀しさもので、教授がコロッと坊さんになったりして、こういうとこを乾いた笑いに持っていくのが市川さん得意なはずなんだが、これは苦笑い。市井ものにやや幻想味が交じるという、向いた題材なんだがなあ。いつもならフッと現実から遊離していくとこをしっかり捉えるのに、取り逃がして分解させちゃったって感じ。すると宙に浮いた部分が馬鹿馬鹿しく見えてしまう。
[映画館(邦画)] 6点(2012-10-10 10:23:06)
29.  にごりえ
これは今見ると、文学座の動く俳優名鑑としての面白さが一番だ。タイトルのとこでは多いため「主な配役」しか表示されない。そのほかでもチョイ役で有名役者がどんどん出てきて、いや当時はまだ無名の若手だったのか、そういうこと考えながら顔を見ているのがけっこう楽しめた。「十三夜」で娘役で出てきた丹阿弥谷津子は、後年帝劇で蜷川演出で「にごり江」をやったとき、同じ「十三夜」で今度は母親役を演じていた。そういう楽しみもある。で中身、「文芸映画」ってのの定義はよく分からないが、単に文芸作品を原作にしてるってだけではたくさんあり、そのフィルムの味わいが「映画」としてよりも「原作」により多く負っているのを「文芸映画」と呼べるとしたら、これなんか典型的なそれ。樋口一葉の日本文学史における重要さを改めて思った。あの人は江戸文芸的なものとプロレタリア文学とをつないでいたんじゃないか。話としては「おおつごもり」が好き。ただ原作にある「知りて序(ついで)に冠りし罪かも知れず」という膨らみがあんまりはっきり出なく、ただのショートショート的なオチに見えてしまう危険もある演出だった。けっきょく全体を通して完全な悪人は一人も登場せず、「社会が悪い」という話になる。陳腐ではあるが、この世の本質なのだな。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2012-02-18 09:52:09)
30.  人間失格 《ネタバレ》 
こういうスタイリッシュな画面を志向する監督は少なくなってきてるので、貴重な存在ではある。トンネルの中の小さな線香花火の落下から降りしきる落ち葉に移ったり、しだいに暮れていく窓外に大きな打上げ花火が咲いたり、ハッとさせてくれる楽しみはある(空豆を持った石原さとみの凄愴感には驚いた)。でもそれだけなんだよね。もちろんハッとさせてもくれない映画はいっぱいあるのだから、贅沢を言っちゃあいけないけど、清順はハッとさせるだけの安っぽさを自分の味わいにしてしまったが、こちらは全体暗めの画調で安っぽくさせまいとして、かえって手応えを模糊としたものにしてしまった感がある。並列されていく女性たちも、最後さえ三田佳子で押さえとけば、いくらでも短縮できるしいくらでも長くできるなあ、と思ってしまうと、なんか「空回り感」がある。
[DVD(邦画)] 6点(2011-04-26 10:07:23)
31.  尼僧の恋 マリアの涙
伝染病蔓延のために解き放たれる見習い修道女。火事で牢から放たれる囚人のようなものか。一ときの自由で少女のころから封じ込められていた感情が出てしまう、ってな話。継母とその娘たちってのはシンデレラ的設定。まあ、どうしてもヤソ教の融通のなさがピンと来ないもので、汎神論の国の人間は、やめちゃえばいいのに、と無責任に思ってしまう。恋人の新婚夫婦が向かいで暮らすなんて、うまく持っていけば寓話的な広がりを持てそうなんだけど、あんまり生きてこない。距離感もよく分からない。ヒロインのプロモーション映画って感じもある。でも、尼僧姿ってのはいいものだ。あっちの人にとっても、なんかくすぐるものがあるんじゃないか(日本なら仏教の尼さんより、喪服姿。禁欲をことさら表明することでかえって匂い立つエロティシズム)。V・レッドグレイヴは貫禄だが、なんか作品に重しをつけるための特別出演用女優になりかけている危険を感じたものでした。
[映画館(字幕)] 6点(2011-02-05 10:02:12)
32.  人間の約束
しばしば画面は廊下や道路が奥へ延びているのだが、俯瞰の閉じた印象が枠を作っているので、広がる感じはない。深まる感じ。円錐状の穴ぼこみたいな世界。それと青や緑系の鉱物質の光に水のイメージが漂い、全編が沼の中の出来事のよう。ヤマ場は嫁が婆さんを風呂に置き去りにしちゃうあたりか。ふっと日常から跳んでしまう感じにリアリティがあった。罪という次元と違うところでカチッとスイッチが切り替わっちゃう感じ、これが怖い。ただボケ老人が、憐れなだけの存在になってるのが引っかかった。ちょうどこれ羽田澄子の傑作『痴呆性老人の世界』を観て、いわゆる「ボケ老人」の内面の豊かさに驚かされた後での鑑賞だったので、その豊かさが切り捨てられていることに不満を持った。介護する側から見れば、こうならざるを得ないのかも知れないが。それと三国連太郎は、ちょっと風格がありすぎるんじゃないか。あと、子どもたちの扱いが雑なこと。
[映画館(邦画)] 6点(2010-10-04 09:59:13)
33.  日本侠客伝
仁侠映画のハシリだが、もう型が出来かけている。ラストが仇役の家でなく作業場ってのがやや踏み外しているほかは、石松的馬鹿役の長門裕之がチョロチョロしたり、大木実と品川隆二の友情が敵味方になるってのは『昭和残侠伝』の原型のようであり、分かりながらも泣きこらえつつ錦之助を送り出す三田佳子とか、すでに安定した型を成している。悪役は「近代」であり政治家や軍に近く、善玉は滅びることを意識している。自分たちをも邪魔ものと認識して、そこにラストの悲壮味が倍加する。『次郎長三国志』ではワッショイワッショイと担ぐ次郎長という元気な親分がいたが、これからの仁侠映画になるとそこが空になる。そこにニヒリズムというかペシミズムが生じる。「最後の親分」は途中で病死するか、悪役に卑怯な形で殺されるかするのだ。しかし何だな、これらの運送業者たちはやがて企業に吸収されていくのは目に見えており、仁侠映画の底にあるのは、近代で切り捨てられたものに対する共感なんだな、あるいはその怨霊鎮めというか。
[映画館(邦画)] 6点(2010-03-03 12:07:30)
34.  憎しみ 《ネタバレ》 
出来ることならこういう男とは一生関わりを持たずに生きたい、と思えるような頭のまったくない感情青年ユダヤ系、まだ小僧のおもかげを残すアラブ系、一応考えるアフリカ系。青春群像。前半拳銃が出たら、それは後半で必ず火を噴く、という定理が、これもどたんばで守られた。危ないほうでなく、最も危なくないと思われていた人物によって、ってところがミソ。とにかく全編なにか煮立ってる感じが満ちていて、おそらくそれと対照されるのが、のどかに現われる「牛」の幻影なのだろう。ヌンチャク振り回してたプッツン男をはじめ、反日常的なヤツばかりだけど、でもこういうヤツは確実にいるなということは感じる。屋上にたむろしてるのとか。ピリピリとした退屈の日々。
[映画館(字幕)] 6点(2009-10-19 11:55:53)
35.  女人哀愁 《ネタバレ》 
あたしは古い女だから、と言ってる主人公、でもレコード売り場で働くってのは、この時代そう古くさいわけでなく、モガの素質はあったわけだ。古い古いって言われてるから、ズルズルと古い見合い結婚してしまったようなところがあり(イトコが好きなんだけど近すぎてうまくいかない)、結婚なんてこういうものなんだ、と自分に言い聞かせ、成るように成ると流して冷たい夫と暮らした日々が、最後に爆発に至るってな話。あたしだってダンスぐらい踊れるわ、とイトコの妹と踊る場なんか、彼女の心の深層を見せハッとさせる。若い世代は平気でジャレあえ、もうそこまで無邪気になれないヒロインとイトコの二人と対照させる。大事に大事にこきつかう(襖のあけたて・弟の算数の宿題)夫と、金はないが愛はある妹の愛人がまた対照される。じっと耐えてきた入江が、ついに妹の愛人に加担することで自己主張する展開、どこか仁侠映画にも似た情動がある。ラストでビルの屋上にイトコと立ち、「ズルズルはいけないわ」ってなことを言う。成瀬映画の基本モチーフって「ズルズル」だと思ってる私としては面白かった。ズルズルはいけないと思いつつ、ズルズルしてしまう人生の味わいを描くことにかけて、天才的な監督だったと思っているもので。三浦光雄の撮影に逆光の美しさあり。
[映画館(邦画)] 6点(2009-06-18 12:03:37)
36.  日本誕生
なんか吉例顔見世興行って感じで、キャスティングだけでもうワクワクさせる。こういうオールスターキャストの華やかさってのも映画興行には大事な要素だったと思うんだけど、無くなってしまったなあ。かえってテレビの大河ドラマにその残滓を見ることができる。タジカラオに朝潮を持ってくるようなサプライズも大事。ヤオヨロズの神々に、金語楼、エノケン、のり平、加東大介、小林桂樹だぜ。アマテラスの原節子は貫禄。ヤマトタケルは三船で哀れさに欠けるが、まあこの時代の東宝なら彼だろう(5年ズレてたら加山雄三になった!?)。製作サイドとしては時代の復古調への媚びの意味合いも持たせていたかも知れないが、そういう政治臭は感じられなく仕上がっている。すぐ群舞がはいるのも東宝の味わい。ヤマタノオロチのあたりは完全に怪獣映画のノリで、音楽も伊福部昭だ。ラストの天変地異は、なかなかの迫力である。フィルムセンターで上映された124分の短縮版での鑑賞、ちょうどよい長さであった。
[映画館(邦画)] 6点(2008-11-02 12:14:09)
37.  日本沈没(1973)
1973年の日本人はみな濃かった。主人公が藤岡弘でしょ。熱演の小林桂樹。総理大臣があの丹波哲郎。老人島田正吾も枯れてるとは言えず、必要以上に重々しくしゃべる濃さ。ちょっと出るだけだけど、立ってるだけで濃い夏八木勲が、友情で藤岡弘を殴るからもっと濃くなる。いしだあゆみの化粧も濃い。これらの濃さに拮抗するだけ、世の中も濃かったんだなあ。東京地震に空襲の記憶を思い起こすことがかろうじてできた最後の時代だろう。「何もしない」という対策は、どこか玉砕の発想に通じている。戦争という最も濃密な時間の最後の残響をとどめる濃さだったのか。学生運動が急速に下火になっていったのもこのころだなあ。ところで、この映画で指摘された日本の地震対策の貧弱さは、けっきょく阪神でまったく生かされなかった。
[映画館(邦画)] 6点(2008-06-11 12:13:55)
38.  憎いあンちくしょう
マスコミの寵児北大作と裕次郎本人とがダブる仕掛け。虚像をはいだ本物の裕ちゃんはこうかもしれない、って感じをファンに抱かせる。スター映画もだんだん手が込んでくるのだ。ヒューマニズム・純粋愛と持ち上げようとするテレビディレクターに対し、売名行為と言われても車を飛ばすしかない裕次郎。ただ倦怠と愛の確認のために走ってるってのがいい。これはポンコツジープとジャガーの対比であり、ジミチとハデの対比でもあり、地方と東京の対比でもある。本来ハデの代表であるスターを、ハデにうんざりしてるという役に置くことでカッコよく映った時代、庶民の夢も屈折していたのだ。大阪の人混みのロケや、博多の祭りの賑わいなどの活力描写が生きてる。期せずして62年の日本の道路状況の記録にもなった。主要路もまだけっこうドロンコ道だったのね。道路はその後よくなったが、無医村状況は悪くなったのではないか。裕次郎が鼻歌でスーダラ節をやってたのも、まさに62年。
[映画館(邦画)] 6点(2008-05-27 12:18:59)
39.  日本列島
戦争中の日本の謀略機関が、そのままCIAの手に移って、いろいろ新たな謀略を企んでる、って松本清張史観の世界で、それの当否は私なんかには分からない。ある意味ではプロパガンダ映画だが、予想してたよりも面白かった。これが困る。こういう結論を先走る映画はいけない、と『謀殺下山事件』のレビューに書き込んだばかりなのだ。似たようなこと描いてて、どうしてあっちは悪くてこっちはいいのか、と問い詰められたら逃げられない。言い訳させてもらうと、なんかこっちには作者の言いたいことが沸騰してる勢いがあるんだな。平たく言えば、もっと日本人はしっかりしなくちゃ、ってアピール。映画にとってそれが作られて時代って要素は、けっこう大きいんじゃないか。二つの映画の印象の違いは、それが予定されていた観客の違いにあるみたいなのだ。本作では怒りを観客と共有できる確信があった、『下山事件』ではもう観客はただの見物人としての役割になってしまっていた、そんな違いが画面の緊張度にも出てしまうのではないか。
[映画館(邦画)] 6点(2008-03-14 12:23:26)
40.  日本の熱い日々 謀殺・下山事件
どうして日本映画はこう結論を急いでしまうのでしょうなあ。事実を列挙していく前半はけっこう面白いんです。ところが、その事実を組み立てていく後半になると、弱いんだなあ。こんな大がかりな陰謀がある! 許せないことだ! ッて方に跳んじゃって、だからその陰謀組織のリアリティがかえって薄められてしまう。仲代達矢が目を剥き使命感に燃えて力めば力むほど、事件が架空の世界に跳んでいってしまう。ニュースフィルムを織りまぜたのも、かえって再現ドラマの部分を過去へと風化させてしまうことに役立ってしまったような。淡々と事件を追体験させるだけの方が、下手な結論をせいて提示するよりも、映画の仕事としてより本道なのではないかと思うんだけど。
[映画館(邦画)] 6点(2008-03-12 12:15:17)
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