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「欲望の翼」「恋する惑星」そして「ブエノスアイレス」で香港映画とウォン・カーウァイに魅了された者としては、あまりにも哀しい映画だった。監督の中では続編&集大成的な位置付けなのだろうが、自分の好きなものをもう一回使い回しただけにしか見えないし聞こえない。「花様年華」の時も同様だったが、雨を降らせれば雰囲気が出るというものでもないだろう。自分の映画で花開いた役者達をこんな風にがんじがらめに閉じ込めてしまうなんて、あまりに酷といえまいか。私たちは傑出した映像感覚と音楽センスを持ち合わせる監督の新たなる一面を見たいのであって、設定だけが複雑なありきたりのこんなメロドラマを見たいわけではない。意志の疎通が感じられない木村拓哉とフェイ・ウォンの純愛も、日本人的には理解に苦しむ。唯一の救いであるチャン・ツイィーの頑張りにさえ、かつての作品に溢れていた切なさは感じられなかった。今は亡きレスリー・チャンが「もうカーウァイの作品には出ない」と言ったのは、監督の未来を危惧してのことだったのではないかと、ふと思うほどだった。 5点(2004-11-01 11:24:51)(良:1票) |