4. おくりびと
医療の進歩、核家族の増加、戦争のない日本、理由はいくつもあるが、生活の中で死を考えることは少なく、「死」は隔離されている。誰しもに訪れるのにもかかわらず、死を言うことは好まれない。いうならば、タブーだ。 そんな考えが染み付いてしまっている中で、人間の最期の姿を真正面から描いた潔さにまずは敬意を示したい。 題材だけでなく内容も本当に良かった。 まずは、映画全体のバランスの良さ。 人の死を通して、人間の醜さ、浅はかさ、素晴らしさを淡々と描いている。説教臭くならず、台詞で長々と説明することもない。しかし、見ている人に問題提起を鋭く突きつける。ときどき、挟まれる明るいやり取りも絶妙。メリハリが効いてて、見てて飽きない。 それから、人間臭さあふれる登場人物。 どの登場人物も完璧でなく不器用な人をリアルに描いていて、素直に感情移入できた。差別を持った友達も、子供を捨てた同僚も、憎めない。この人間味あふれる登場人物たちが映画に深みを与えていると思う。 うん。久しぶりに良作に会えました。ぜひ見てください。 [地上波(邦画)] 9点(2009-10-17 23:56:00) |