1. オー!
フランス映画は大好きなのにフランスの犯罪映画フィルムノワールはちょっと苦手意識がありまして、この映画もその例に漏れずそんな感じ。 ストーリーはまぁ分かるんですが、共感も感動もできないし更に言えば鮮やかな犯行トリックもないしということで、どうしても物語に入っていける要素が見出せないままだった気がします。 オープニングのタイトルのフォントも映画の雰囲気に反して妙にポップな印象だし、スタッフ・キャストのクレジットの出し方もセンスがイマイチ。 組織のボスが銃で腹を撃たれたシーンの描写とか目ヤニを取る仕草とか色々と鼻につく演出が気になってしまい低評価にしそうなところでしたが、ここはベルモンド主役作品という事でオマケして6点。 [映画館(字幕)] 6点(2022-09-09 01:54:40) |
2. 汚名
《ネタバレ》 前半では、何を描きたいのかわからないような緩慢とした話の流れに辟易としてしまい、テンポが悪い展開だなぁと全然ノレずにいたのですが、中盤あたりからのスリリングな描き方には、やはり“ヒッチコック”を感じました。 扉に映る人影でスリルを感じさせながら鍵を抜き取るシーンや、鍵を受け渡す時の手元のクローズアップ、パーティー会場でシャンパンの瓶が徐々に減っていく様など、ついつい見入ってしまうシーンばかりで、ここは良かったと思います。 また、テクニックが前面に出てしまうところはあるものの、映画全体を通して人物目線での主観ショットが多く用いられていたのも特徴で、一つ挙げるとすると、客人に毒入りコーヒーを飲ませまいと親子で声を揃えて言ってしまう瞬間などは目が覚めるような強烈なワンショットで、こういった演出はやはりさすがといった印象です。 しかし、前半辺りで、リオの景色が一望できる高台でのシーンになって突然キスしたりというシーンには唐突さを感じましたし、男女のロマンスの部分においてもあまり上手いと言えるような描き方が見られなかったように思えます。 最後も、映画のメインのストーリーがデヴリンとアリシアの物語なわけだから、最後にセバスチャンを画面に出して幕を引くというのも違和感アリアリな気がして、不満が残るラストだったと思いました。 [映画館(字幕)] 5点(2014-04-06 14:31:24) |
3. オズの魔法使
《ネタバレ》 テーマソングの「Over the Rainbow」と、竜巻が過ぎ去ってドアを開けてみるとそれまでのモノクロ映像から色鮮やかなカラーの世界が広がっていた、という所までは良かったと思います。 ストーリーが全体的に行き当たりばったりの安っぽさがあり、HDDで録画しておいたものを見返してみるとそのような箇所は数えきれないくらいに多く、とてもこのレビューで挙げていられないほどあったように思えます。 緑の城へ向かうのは、それぞれが自分に欠けているものを得るための旅でしたが、いざ大魔法使いに会ってみると実は自身の奥底に元々持っていたものだった、というのがこの映画のテーマだったようですが、この辺りの話で自分に響くものがなかったのが楽しめなかった要因のような気がします。 しかし、自分が飼っている動物と二人三脚で困難を乗り越えるという物語は何か普遍的な感じがあって好きですし、良い魔女の登場シーンでシャボン玉が出てくるところなどの特撮映像は今見てもどうやって作ったのか分からないほど良く出来ていていると思いました。 それと、最後で再び家に帰ることが出来ましたが、ここは別にまたモノクロ画面に戻らずにカラーのままでいても良かったんじゃないかな? [CS・衛星(吹替)] 6点(2014-02-23 11:32:27) |
4. 男になったら
《ネタバレ》 ルビッチの初期の作品と思わせる、上映時間も1時間にも満たない小気味の良い映画です。 小気味が良すぎて少々唐突な部分も見受けられ、コートを入れ違えて着てしまった所や、叔父さんのシーンがいきなり船内に切り替わってしまっている所など、若干の荒さは感じられるものの、総じて楽しい映画と言えるでしょう。 主人公の女は、博打は打つわ煙草は吸うわ酒は飲むわの三拍子揃った良いキャラクターで、且つメイドのおばさんや叔父さんも一緒になってスパスパと煙草をふかしたり大きいグラスに替えて酒をカッ食らったりと序盤からコミカルな雰囲気が出ていますし、パーティーのシーンでもバイオリニスト兼指揮者の奇妙なアクションが繰り返されたりして、噴き出してしまう所は色々とあったと思います。 やはり、“男は男らしく、女は女らしくあるべき”という教訓も映画のテーマとして感じられ、まだルビッチらしい精錬された印象は弱いものの、一流監督としての片鱗は十分に感じ取ることが出来、後の傑作群へのステップになっていると思わせる一本です。 [映画館(字幕)] 6点(2012-12-29 18:57:10) |
5. オーケストラの少女
《ネタバレ》 タイトルですが、原題はどう見ても上手いとは思えないのですが、邦題にしてようやくマシなタイトルになったという所でしょうか。 そのタイトルにもなっている少女ですが、この子から光るものを見出せなかった、というか、デカすぎ。「あんな少女の言うことなんか…」という台詞が何度も出てきましたが、もう少しその台詞に見合うくらいの小さい女の子を起用すべきだったのではと思いました。 しかし、文部省推奨の映画というだけあって、あの少女のバイタリティは子供たちの手本となるほどのものだったと思いますし、困っている人を助け困難に直面しても挫折せず夢に向かって突き進んでハッピーエンドを迎えるストーリーは少々強引な部分もありますが、観ていてパワーをもらえるようなお話しと言えるでしょう。 父親役のアドルフ・マンジューも味のある良いお父さん役でハマっていましたが、ストコフスキーが本人役で自ら出演していて、自分としては初めて聞く名前でしたが、こちらの方に魅力を感じました。他の連中とは違い、少女が仕事の邪魔をしたりしても決して怒鳴り散らしたりするような事はせず優しく諭す姿も好感が持てますし、やはり彼が立っているだけで偉大な音楽家としての風格が出ていて、それが画面を締めているような印象さえ受けます。 結局、最後まで少女は数々の制止を振り切ってストコフスキーに直訴しますが、彼の自宅に楽団員全員を入れて階段と踊り場で演奏させるシーンは、どうやってあの大人数を入れたんだ?とかいう疑問も吹っ飛んでしまうくらいの圧巻のワンショットでしょう。 演奏の後、ストコフスキーが改心しオーケストラの指揮を執るようになるまでの過程が省かれていますが、そういう部分には目を瞑って観るべき作品なのだと思います。 [映画館(吹替)] 6点(2012-08-07 21:44:42) |
6. 女と男のいる舗道
《ネタバレ》 ヌーヴェルヴァーグとかは勿論のこと、予備知識はなるべく入れずに観るようにしているのですが、この映画の一番最初でキャストとスタッフのクレジットがアンナ・カリーナの横顔の上に載せられているのを見て、何て斬新なオープニングなんだと衝撃を受けました。 ストーリーが章ごとに区分されて進む形式やこのオープニングクレジットなど、これがヌーヴェルヴァーグ的な表現なのかどうかはわかりませんが、今のこの時代に観ても十分に驚きを与えうる映画だと思います。 必見はアンナ・カリーナが「裁かるゝジャンヌ」を観ているシーンで、劇中で涙を流すジャンヌをアンナ・カリーナにオーバーラップさせる演出。このセンスはもう最高。 また、手紙に自身の特徴を書いているときに立ち上がって身長を測っていた姿がとても可愛らしく、手を広げて測っているときに顔が指で押されてフニャっとなってしまっている時の表情がたまらなく好きですし、「右を向くのも自分の責任、不幸になるのも・・・」と、哲学的な会話が展開されるのもゴダールらしい味が出ていていいです。 最後に銃で撃たれて悲劇的な結末を迎えるところや、全体的なストーリーが自分好みではないところが残念でしたが、客を楽しませるために「面白いストーリーを作ってみました」みたいなわざとらしい話を聞かされるくらいなら、こういうストーリーの方が何倍も楽しめると思います。 [映画館(字幕)] 6点(2011-08-11 23:03:48) |
7. 大いなる西部
《ネタバレ》 グレゴリー・ペック扮するジェームス・マッケイの何ものにも動じない強い信念や懐の深さと、西部の広大な大地とが実に上手く噛み合っているようで、観ていて非常に気持ちが良い映画です。 だだっ広い平原の真ん中を走る馬車を多角的に捉えたオープニングを始め、ほとんどの場面で遠景のショットが出てきていて、物語が語られるあらゆる場面で舞台である西部の雄大さを感じることができます。 そして超ド定番ですが、西部劇と言えば馬車の追いかけっこ。ペックとリードが乗る馬車がヘネシー一味に追われるシーンを横からの移動撮影で捉える疾走感。ヘネシー一味の馬が画面左奥にスゥ~っと入ってきた時のあの何ともいえないスリルは西部劇ならではの気持ち良さでしょう。 また、同様のテクニックが後半でも用いられており、テリル少佐が単独でヘネシーの村に乗り込むシーンで、谷を越える時に手前に大きく映った少佐の背後から駆けつけてきた馬が次々と映し出されるシーンがあるのですが、ここでもまた先ほどと同様の高揚感を感じることができ、本作では特にこの二つのシーンが良かったと思いました。 他にも、荒馬と格闘するシークエンスでの馬を手なずけた瞬間の馬の足元を映したショットは、もはや芸術の域に達している程ですし、最後の方で二人が相撃ちするシーンの俯瞰ショットなんかを見ると、二人の倒れている姿や介抱する人を映して両家の成り行きに迫るよりも、こちらの方がより争うことの無意味さや虚しさが出ているような感じがして、これが正しい撮り方なんだなと、凄く納得しながら見ていたような気がします。 ところでヘネシー家のオヤジですが、最初の方でパーティー会場に乗り込んで来た時の態度を見るに、明らかに悪役の様を見せていましたが、後半になると一転、息子のだらしなさも手伝って、とても男気溢れる芯の通った人物だったというのが面白かったです。映像の華麗さもさることながら、前半と後半で真逆の印象を植え付けるウイリアム・ワイラーの手腕に脱帽しっ放しの一作でした。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2011-02-24 23:14:26) |
8. オルエットの方へ
《ネタバレ》 まるで日記を書き連ねるようなストーリー。起きた出来事をそのままフィルムに収めただけというような、とにかく自由闊達な映画。ストーリーの起伏を求めてはいけないようです。 映画の大半はバカンスの出来事をただ綴るだけで、大して面白いことをしているわけでもないのに女たちの笑い声がこだまし、たまに戸外で変な音がしてその原因を突き止めても、それによって変化が生じてくるわけでもない。 1人が静寂を求めて別行動をしたり、行きずりの男と海に出たりするものの、単調さを打開するには至らず。150分過ぎにようやく男が吐露する場面が出てくるも時すでに遅し。 いきなり、カメラ目線で喋ったのも特に意味はなかったし、登場人物のアップになって心情が語られると思いきや、それも特になし。このような思わせぶりなカメラワーク多く、拍子抜けさせられる事が多々あったような気がします。 映画にストーリー的な面白さは必ずしも必要ないとは思いますが、さすがにこれはもう少し工夫があってもいいのではという気がします。 ラスト、バカンスから帰ってきてカフェでの別の女と会話を聞くと、この男はシチリアにバカンスに出かけても、また同じような過ごし方をするのだろう。たぶん、これはそういう映画なのかもしれない。 欧米人は日本人と違い、一日中パラソルの下で本当に何もしないでくつろいでいられる人種だから、この映画もきっと心地良い感じに映るのだろう、と考えると少し納得できる気がします。 まぁ自分は、この映画1本で十分です。 [映画館(字幕)] 6点(2010-11-11 01:30:05) |
9. オーソン・ウェルズINストレンジャー
《ネタバレ》 この映画が面白いのは、サスペンスの基本に忠実なところでしょうか。 追われる側は追う側の作戦を知らない状況で追われ、また、追う側は追われる側の打った手を知らない状況で追うという流れでストーリーが進行していくのですが、観ている側はその先々で起こりうる状況を前もって予測出来てしまうため、劇中の登場人物よりも先に危機を察してスリルを味わうことが出来てしまうわけで、この当たり前のような演出がとてもよく出来ていて非常に見応えがあります。 この映画の場合ですと、ウィルソンが殺人が起こることを予測しそれを阻止しようとするところとか、キンドラーが梯子の上の方で横の棒を鋸で切るところなどですが、“当たり前の演出”であったとしても難しいのは、やはりテクニックやセンスが絡んでくるから。 例えば、スプラッター系でよくあるような画面上に突然バーーーン!!と現れて驚かすのは簡単だけど、観る者がその先に起こりうる出来事を前もって予測できる状況で恐怖心を煽るのは、これは作家によって上手く出来る人とそうでない人とがいると思います。 また、映画の終盤で、死んだと思っていた妻が生きていたときの夫婦間の会話もゾクゾクしますし、最後の時計台のシーンは、オブジェの持っている剣に刺されて塔から落ちてしまうという、ちょっと古臭い演出ながらも非常に切迫感溢れる感じがあって、ここの迫力はお見事でした。 映画の中で終始聞こえてくる時計の鐘の音が観終わってからもずっと耳に残るほど印象的。 [映画館(字幕)] 8点(2010-03-14 02:36:57) |
10. 俺は善人だ
《ネタバレ》 ジョン・フォードといえば「わが谷は緑なりき」や「駅馬車」など、質実で重厚な作品の監督というイメージがあったのですが、この作品で見事にその固定概念が覆されました。 最初の一幕からして、とてもおしゃれ。 8年間無遅刻無欠勤の社員に昇給辞令を渡すべく席まで行くと、なんと入社以来初の遅刻ときた。 その後も軽快なテンポで喜劇は進むのですが、それよりも特に印象に残ったのは最後のマニヨンが撃たれるシーン。 小心者のジョーンズが銀行に入らずに戻ってくると、マニヨンの子分たちはマニヨンが戻ってきたものと勘違いし、ジョーンズ(本当はマニヨン)を殺すかどうか聞いてくる。その時の、自分の身や世間の人々を守るか人の命を奪うかのジレンマと格闘し悩みに悩みぬいた末に出た「撃て」の一言が、いかにもマニヨンが言ったかのような表情・雰囲気だったところが面白かったと思う。 あぁ~、もう一回観たい・・・ [映画館(字幕)] 7点(2008-05-21 01:03:03) |
11. 大いなる幻影(1937)
《ネタバレ》 素直に面白いです。 かつてチャップリンが言った「昔の戦争は良かった。核も毒ガスもなかったし。」というのを体現したような映画ですね。 まず、登場人物一人一人に皆個性があり、皆それぞれに境遇があって、それを丁寧に描いている所が好印象。ただの群像劇と言ってしまえばそれまでだけど、皆さんの仰る通り“格調高い”という言葉がピタリと当てはまる、まさにそんな映画。 いろいろと細かいところを見ていくと、敵と味方で友情が芽生えたり、ラ・マルセイエーズを大合唱したり、逃走先での恋愛があったりと、いかにもクラシック映画らしいベタ~~なシチュエーションが至るところに出てきて、こういう所もこの映画の魅力でしょう。 また、第17捕虜収容所とか、床下に穴を掘って余った砂を庭に撒くというアイディアなど、某有名映画のオリジナルを発見できたという時点で、もう十分に満足してしまうのです。 [映画館(字幕)] 7点(2008-04-19 02:04:04) |
12. 大人は判ってくれない
《ネタバレ》 子供大大大好き!な自分としては、これはもう、堪らない一本。 授業中に先生の目を盗んでイタズラをしたり、学校の外に出て走っているときにみんな後ろから少しずつ逃走しちゃったり、お母さんを死んだことにしちゃったり、カーテンの中に隠れたり・・・っていうのは本当に微笑ましい限り(実は自分も、身内に不幸があったことにして学校をサボろうとしたことがあります^^)。 しかし、最初のころのイタズラ程度の悪さだったら大人に怒られるだけで済むものだけど、盗みを働くほどの悪さになってくると、徐々にサスペンス色を帯びてくる。ここまでくると、もう序盤のような微笑ましさはとうになくなってきて、牢屋の中でタートルネックの襟を口まで上げて大人しくなってしまったドワネル少年の表情は凄く切なくて、護送車の中での彼の涙にはこっちまで涙が出てきてしまう。 鑑別所を脱走し、ひたすら走り続ける少年は見ていてとても辛い。海に出た少年を映すカメラが描く開放感は、同時に強烈な孤独感をも描き出す。冬の海の何と寂しいことだろうか。ここまで印象深いラストはそうはお目にかかれない。 [映画館(字幕)] 8点(2007-11-10 19:08:34) |
13. O侯爵夫人
《ネタバレ》 うーん・・・ちょっと入り込めませんでした。 自分の感覚で言うと、見に覚えのない妊娠をして苦しんでいる娘がいたら助けてあげるのが家族ってもんなんじゃないの?って思う訳なんですが、時代背景を考えると名誉とか体裁とかを重んじるのはしょうがないのでしょうね。 母親が策を謀ったとき、侯爵夫人は伯爵のことを肯定的に見ていたのに、いざ当日になって伯爵が現れた途端、悪魔だと罵って拒絶するあたりの皮肉っぽさは面白いと思いましたが。 後から考えると、伯爵が結婚を急いだのは、自分の悪事を隠そうという不純な動機があったからなんですよね。「遅かったか・・」とか言ったりして、相当なワルですぜこの男は。 [映画館(字幕)] 5点(2007-01-05 22:29:41) |
14. 女は女である
《ネタバレ》 この映画を観る前は、ゴダールにアンナ・カリーナにベルモンド、音楽もルグランだし面白くないわけがない!といった感じだったのですが、「気狂い~」よりも「シェルブールの雨傘」よりも前に作られた映画だったんですね~。 映画の中の登場人物や映画を作っている人たちが本当に心底楽しんで映画を作っているのが画面の中から伝わってきました。凄く明るく飛びっきりポップな映画。見ていると、こっちまで楽しくなってきます。 クスクス笑うようなフレンチコメディはあまり好きではないけど、これは面白い。ゴダールが映画で遊んでいる感覚だけでも十分面白くて、さらに主役3人の個性が抜群に光り輝いています。「ホテル代払え」や、本のタイトルで喧嘩するシーンも面白いけど、一番好きなのは、アンナ・カリーナがお腹にぬいぐるみを詰めて妊婦の格好をするシーン。よく考えると、子供を欲しがってる女って結構かわいいかも、などと変な勘違いをしてしまいそう。 前作の「勝手にしやがれ」で主役をはったベルモンドは今回は脇役として登場し(降格?)、衣装も「気狂いピエロ」で見たときのそれと比べるとやや地味目の印象なのがちょっと不満だけど、ここでまた主役をやれば、後の「気狂いピエロ」が作れなくなってしまうからと解釈し、勝手に納得しときます。 [映画館(字幕)] 7点(2006-12-28 18:51:01) |
15. 男と女の詩
《ネタバレ》 完全に読み違えてました。冒頭の映画のシーンからカラーの映像に変わるまでがずっと一つの回顧シーンだと思って見てしまいました(>_<) で、フランソワーズ・ファビアンの昔を演じてたのがアヌーク・エーメなのかな?とか・・・。 タイトルからしてラブストーリーなのかなと思っていたら意外と渋めな感じで、しかもフィルム・ノワールの一面もあってちょっと予想外な内容でした。 リノ・ヴァンチュラの素と老人の演技は良かったけど、宝石店の強盗シーンも結構マヌケな捕まり方だし、エンディングも凄く微妙でうまく言葉にできません。恐らく、きれいに片付けられてた中にも他の男の存在を察していたような感じですが・・・。 最初の、レストランでの会話の「部屋はある?」で、オシャレな映画のイメージを抱いてしまいましたが、今の自分には見るにはまだ早すぎる、難しい大人の恋愛映画でした。 [地上波(字幕)] 6点(2006-10-16 21:28:22) |
16. オペラの怪人(1925)
《ネタバレ》 字幕ナシ&坂本頼光さんの活弁付きで観ることが出来ました。 やっぱり、この時代の恐怖映画は独特の怪しげな雰囲気があってイイ。この映画の見どころは、仮面を剥ぎ取られた怪人の素顔が出るところと巨大なシャンデリアが落ちてくるところですね。 エリックとかいう怪人は、確かに怖い顔をしていたと思うのですが、ヒロインの女が随分と早くあっさり仮面を取ってしまったので、それがちょっとマズかったのではないかと思います。それに、あの仮面に関してもさほどの恐怖感が出ていなかったので仮面をかぶったままでももう少し恐ろしさを出せれば、より一層の恐怖感を味わえたのではないでしょうか。途中で出てきたガイコツの仮面をかぶった男のほうがよっぽど不気味だっただけにちょっと残念です。 エンディングが、悪者を退治してメデタシメデタシで終わってしまっているのですが、あれがどうもイヤな感じです。クリスティーナに恋をして、彼女が他の男に近づくと怒りをあらわにしたり、嫉妬するくらいの人間味のある怪人なだけに、あの終わり方は非常に心が痛みました。 ところで、最初ファントムだと疑われていた背が高くて物静かで怪しい男が1人いたと思うのですが、あの役もロン・チェイニーが怪人エリックとの1人2役を演じていたと思うのですが、どうでしょう。 [映画館(吹替)] 6点(2006-10-04 18:44:29) |
17. 鴛鴦歌合戦
《ネタバレ》 「んもぅ~」、「お父さんのばかッ!」、「アナタなんて嫌いよ」・・・などのような、お春さんの愛嬌たっぷりに喋るところも可愛らしいですが、片思いの彼が他に婿養子として行ってしまうと言われた時、涙を流し袖のふちで涙を拭う仕草がとても可愛くて、普段洋画しか観ない自分としてはあの仕草にコロッとイってしまいました(^_^) 外国じゃ絶対あんなふうに泣かないですもんね。 歌を唄っているシーンも、コミカルで楽しいシーンばかり。序盤の、傘が画面いっぱいに広げられているシーンでの歌(傘を作る者あれば使う者あり…って歌)と、大名が自分の家来のことを“ガラクタばかり”と言っているシーンの歌が特に好きです。 そして、ラストの大乱闘。コメディということもあってか、やや“作った感じ”のする戦いぶりでしたが、なかなか迫力があり見ごたえ十分のシーンでしたので、こちらもしっかり楽しめました。 一点だけケチを付けさせて頂くとすると、オフレコであるところがハッキリとわかってしまう部分がちょっと多かったため、少し減点させていただきます。俯瞰で撮ったところに歌を入れるとちょっとキビシイか・・・。 [映画館(字幕)] 8点(2006-01-28 17:47:58)(良:3票) |
18. 思ひ出
《ネタバレ》 「逆流」(1924)との二本立てで、澤登翠さんの活弁&生演奏付きで鑑賞することができました。 エルンスト・ルビッチ。私はここにまた偉大な映画作家を発見することが出来たようです。 まず、邦題が素晴らしい。そして全体的なラブストーリーに加え、至るところに笑いを散りばめたストーリーがとても面白かったです。ラブシーンの粋な見せ方といい、細かな笑いといい“面白かった”のひと言ではとても片付けられない素晴らしい作品です。 カティーと出会い、彼女に心魅かれていく王子の心情もとても上手く描かれていたり、学生仲間で青春を謳歌したりと、それだけでも十分に満足なのですが、それよりも、王子が国のために政策結婚を迫られ、最後にもう一度だけ会いに行く、というのが堪らなく心打たれるのです。 「最後にもう一度だけ会いたい・・」「もう一度だけ彼女に会うことが出来れば覚悟を決められる・・」男の私にとってはこの気持ちが痛いほど解ります。お互いに自分の命運には逆らえないことを知っているだけに、本当に辛いです。意を決したかのように馬車に飛び乗るシーンはもう、涙なくしては観れません。 そして、ラストのパレードのシーンで見せた、王子のちょっと寂しそうな表情。人間誰でも、思い出すと切なさがこみ上げてきてしまうような「思ひ出」を胸に抱きながら歳をとっていくんだなぁと、心にジーンと染み入る感慨深いラストシーンでした。 [映画館(字幕)] 9点(2006-01-06 22:23:24) |
19. 奥様ご用心
出ている女優達が多くて、しかも、個性がはっきりしていない人たちばかりだったので顔を覚えるのに精一杯でした。ベルト役のダニー・カレルが可愛かったので印象に残ったのはそれだけと言うのが正直な感想です。それにしても、じみ~なエンディングだったなぁ・・・。 〔'04.12.13追記〕上のコメントは映画館で初めて観たときのもの。いい加減なレビューではイカンと思い、ビデオを借りて再度鑑賞してみたが・・・それぞれの役柄はよくわかったのですが、付け足すことは特に何もないです(笑)。 仕方ないので、お金について考えてみた。ジョスラン家の年収が8000フランで、辻馬車の乗車料が2フランとなっている。もし仮に、日本でジョスラン家と同等のランクの家の年収を少なく見積もって8000万円と想定すると、あの辻馬車の乗車料はなんと2万円!バカに高い。ついでに、娘の結婚の持参金は5億円と換算できる。これは、ついこないだの紀宮様の持参金が1億5千万円であることを考慮すると、こちらも相当な額であることがわかるだろう。適当な金額設定なのか、それとも、1957年のフランスは本当にそういう世の中だったのだろうか・・・・・ [映画館(字幕)] 5点(2004-10-29 01:12:19) |
20. 泳ぐひと
《ネタバレ》 ビデオ屋であの裏表紙のあらすじを頭っから信じ込んでしまった。確かにあの裏表紙の解説通りに見ると、ネッドの周りの友人たちが時の流れとともに変わってしまったことに絶句し、家に着いたらそこはもう寒々とした廃墟で、時代の流れの悲しさをこのシーンで一気に押し出したといった感じの、時の流れの虚しさを訴えた映画として見ることが出来るかもしれない。ただ、この見かただと結末が凄く悪いと言うか、不条理極まりないと言う感じに見えてしまう。 次のような見かたも出来る。この映画、悲しむべきはネッドの周囲の人間達の変貌ぶりではなく、むしろネッド本人の境遇なのではないかと。ネッドは既に破産しておりネッド本人がその事実と向き合えずにいるが、すでに廃墟化した自宅に着いてようやく現実に戻され号泣する。この後者の見かたの方がつじつまが合っていると私は思う。この見かたで面白いのは、自己の破産を隠し通そうと躍起になっているのではなく完全に以前の上流階級のままであると思いこんでいる所、少しづつネッドの正体が知れてくる所、そして、ネッドが最初のダンの家のプールにどこからともなく現れたことであると思う。結末がわかってからオープニングのシーンを思い出すと非常に面白い。 〔追記〕この映画は、ある意味、自分を映画の世界に入り込ませたきっかけとなった映画かもしれない。 というのは、この映画を自分が初めて観たときの解釈(上記前半)と他のサイトでのこの映画の解説(上記後半)とが大きく食い違っていたから。自分の余りの理解力のなさに愕然としてしまい、その悔しさがそれ以来映画を観続ける原動力になっているような気がするのです。 戒めの意味も込めて、ちゃんと残しておきます(笑) [ビデオ(字幕)] 7点(2004-06-27 00:25:39)(良:1票) |