1. おいしい殺し方 -A Delicious Way to Kill-
《ネタバレ》 ストーリー的なひねり、トリックという点では、並みいるミステリーの傑作群に一歩足りない気がするが、コメディーという点では完璧である。掛け合いの台詞、キャスト、どれをとってもめちゃくちゃなまでに面白い。もともと舞台人による脚本・監督だけに、コメディー映画の中でも異彩を放つ独特の笑いのテンションがあって、それだけで一見の価値がある。画像がなんとなくテレビドラマっぽいが、それはご愛嬌。教頭先生の夫婦がたこ焼き食べながら銀杏並木を歩くシーンとか、夫婦間の心の葛藤と愛情をうまく表現するとても映画的な良いシーンだと思う。あとは主演の3人の女優が素晴らしかった。 [DVD(邦画)] 8点(2007-07-16 20:49:58) |
2. お嬢さん乾杯
《ネタバレ》 はじめてであったときには下ばっかり見て、家に遊びに行けば、飲み物出して「どうぞ、どうぞ」攻撃。この時代の恋人が話すことって、現代の恋人たちの会話とずいぶん違うんだろうなぁと想像すると楽しい。佐野周ニの手にキスしたあと、あせって家の入り口でこけちゃう所とか、こういうボケが成立する映画の雰囲気に触れると、懐かしいというか、すてきというか、シンプルに心が癒される。足がしびれた佐野の演技もいいし。あれこれと考えることなく、すかっとたのしめる作品。原節子のアップが、今まで見た彼女の作品の中で一番神々しいように感じられた。 [DVD(邦画)] 8点(2007-07-16 20:40:01) |
3. 終わりで始まりの4日間
やさしい映画。自分ではどうしようもないもののせいで、なんだかうまくいかない人たちのための映画。そういう、何かを抱えながら生きていかなくてはならない人たちって、なんでかものすごい優しいのだ。おまけになんだかやたらと話が面白いのだ。ナタリーがそのへんてこでコケティッシュな魅力を十分に見せている作品。ストーリにはこれといってヒネリはないけど、鑑賞後の後味は良い。 [ビデオ(字幕)] 7点(2006-06-25 19:27:44) |
4. オールド・ボーイ(2003)
《ネタバレ》 シナリオが不十分だと思う。15年という歳月をかけた復讐の動機についてアイデア不足。説得力がない。この程度の理由ならば敢えて謎解きする必要がなく、まったくもって無駄な気がした。ただ、ミド演じた女優はとても魅力的だし、ラスト近くで自殺したものと生き延びたものを対比するシーンも美しかった。一言でいえば、「胸糞の悪い映画」だが、そういうマイナスの方向に観客の感情を揺さぶるのがこの映画のねらいならば、おとなしく脱帽するしかないだろう。でも、僕はそのねらい自体が大っ嫌いだ。だから点数なんて客観的な指標にするにはあまりにも個人的過ぎる理由で4点。 [ビデオ(字幕)] 4点(2005-12-07 21:19:57) |
5. お茶漬の味
飛行機が一日遅れることになり家に帰った夫と、家出から戻った妻が一緒にお茶漬けを食らう。「夫婦とはお茶漬けの味なんだよ」という名言にはコメントを控えるとして、一緒に台所に入って、出て行くときにはスリッパを脱ぎ散らかすところとか、小津はつくづく目がいいなと思う。 ラスト30分の緊張感はそこらのサスペンス映画どころではない。ラストのお惚気シーンには緊張感こそないが、妻の着物が急に質素になっている所とか、カットが変わって、妻の腕の組み方が上下入れ替わっていて時間経過を感じさせる所とか、全てに心を配る小津映画らしさがよく現れている。そういった細かなディテールへの心配りのおかげで何度見ても何らかの発見がある。そういったところが、なんとなく宮崎アニメに通じてるなと思う。 [ビデオ(字幕)] 9点(2005-09-21 16:30:14) |
6. オアシス
とても残酷な映画だと思った。コンジュが一瞬健常者になるところは、見えてはいけないものを見せられている気がした。男がたまに見せる妙な優しさとオアシスのイメージ、ラストの展開が、確かに明るい光を投げかけている。しかし、それは全編を見終わってはじめていえること。途中には、見てしまってよかったのか考え込まざるをえないシーンがいくつかある。世の中には分かってても言っちゃいけないこと、見せちゃいけないものがあると思うのは僕だけでしょうか?寅さんの文脈とは大きく違いますが「それを言っちゃあおしめえよ」という感想を持ちました。 [映画館(字幕)] 6点(2005-03-14 12:11:21) |
7. オリエント急行殺人事件(1974)
原作の綿密な推理を展開するポワロ像は、とても映画の時間制限の中では再現できないのでしょうがない。それにしてもポワロが少し声大きすぎ。僕の中では、もっと神経質な小声のイメージなのだが。。。 しかし、ジャックリーン・ビセットがあまりにも美しく撮られていて、正直、降参です。 5点(2005-03-07 14:58:30) |
8. 鬼が来た!
《ネタバレ》 前半はちと悠長な展開だけど、後半の凄惨な場面の連続には完全にやられた。この映画は、日本人としての自分、人間としての自分、現代に生きている自分、映画を観ている自分といった様々な自分の立場のうち、どれを意識するかによって本当にいろんな角度から鑑賞できる。僕自身は、「日本人は酷い」とか「史実の確認」といった事よりも、「鬼とは何か」というテーマを持ってこの映画を観終わった。僕の率直な感想では、鬼は日本兵だとか、殺戮を眺めていた人だとかではなく、「権力」なのではないかと思う。人を鬼にしてしまう「権力」という力をこの映画はみているのではないか。終戦によって日本軍の権力は中国軍に移った。そのために、主人公の復讐は、中国政府の法権力のもとで日本人による死刑を科せられることになってしまう。復讐することによってある種の「鬼」になった主人公は、法権力というみえない「鬼」によってつぶされたのではないか。そんなことを考えた。ラスト、似非名剣士のじいさん、船上で主人公が燃えさかる自分の町を見るシーンが印象に残った。 7点(2004-08-23 10:44:07) |
9. オーシャンズ11
豪華配役が消化不良というのも分からなくはない。でも、俳優の力を引き出すとかを除外すれば、大人の青春映画としてよくできてるとおもう。だって、ジョージ・クルーニーもB・ピットもM・デイモンも、みんな楽しそうにやってんじゃない。気楽にやってる感じっていうのかな? こういう味わい、悪くないと思うんだけどな。でも、わざわざ見るほどでないといわれれば、それまで。 6点(2004-07-10 21:23:12) |
10. 男と女(1966)
《ネタバレ》 とても面白かった。人間の行為が、かなりあやふやな要素の連続で成り立っていることが良く分かる。ラストシーンはそんな人間の気持ちの柔軟性(あやふやさ)をうまくすくいとっている。『春の日は過ぎ行く』の韓国人青年は、この映画を観ていなかったにちがいない。子持ちのフランス男性、あなどれない。だだ、レーサーに付きまとう事故による死別という不安を、スタントマンの夫を事故で亡くしたアヌーク・エーメがどう乗り越えたのか、ちゃんと描かれていないので少し減点。レーサーの男の、自殺した妻にたいする思いがイマイチ伝わってこないのも少しマイナス。ただし、レストランでの子供の扱いかた、表情の追い方、最後の20分ぐらいのテンションはすごい。 7点(2004-07-01 20:55:37) |
11. お早よう
小津監督のコミュニケーションに対する考えがよく分かって面白い。挨拶や天気の話は大事な情報をやり取りしていないという点では無駄といえるけど、コミュニケーションの潤滑油としてとても有効なのは誰もが経験的に知っているところ。外交の場面でも天気の話してるのかななどと、ふと思った。アメリカとイスラムもやってみればいいのに。 映画自体は小津映画の中でも特に笑える一本。特に、「兄貴といさむちゃん」は最高である。この兄弟は少し大きくなって『秋日和』に再登場する。「のりこさん」も、小津映画では常連のお名前。ご近所のおばちゃん同士のやり取りも、ドロドロにならず、上品にまとまっていて観やすい。 [映画館(字幕)] 9点(2004-06-28 13:23:16) |
12. オン★ザ★ライン 君をさがして
映画館で1800円払うのは気が引けるけど、レンタルなら全然OK! 話やら小ネタやらの使い方があまりにも普通なので、映画らしさをまったく感じない点はいただけない。そうはいうものの、往年のソウルfanならびっくりの「アル・グリーン」+「イン・シンク」の共演が映像で見られるので、それだけで楽しめる人も結構いるはず。映画というよりはプロモーションビデオの長い奴という感じで見れば結構いけてます。さらに、向こうのアイドルの歌唱力がSMAPの1000倍ぐらいあることの確認するためと思えば、一週間レンタルでもいいぐらいです。 5点(2004-06-20 18:10:39) |
13. 男はつらいよ
倍賞千恵子の美しさに見とれ、「ヒロシ」の父親が志村喬だったことを知ってびっくりし、寅さんの強引な論法に笑う。やっぱりおもしろい。日本の宝だと思う。 8点(2004-06-04 23:10:58)(良:1票) |