1. オール・ユー・ニード・イズ・キル
《ネタバレ》 一種のタイムトラベル物かな。バックトゥザフューチャー等、様々な矛盾点が生じる中、それをどう映画の中で辻褄を合わせていくかの妙味が映画の味わいとなる分野。そういう意味ではよく出来ているストーリーと思う。おそらく原作はかなり複雑な時系列を表現していると思われ、それをわかりやすくまとめるのは難しかっただろう。トムクルーズにジャンヌダルクみたいな女、それから三枚目悪役の将軍、宇宙人と、とてもわかりやすいキャラ設定とストーリー展開がよかった。 ただ、いくつか設定上の無理というか「マイルール」的なものを設定しちゃっているのがマイナス点。即死じゃないとリロード出来ず、瀕死の重傷で輸血されるとダメとか、ちょっと強引かな。さらに、宇宙人の構造は目新しかったけれど結局「よくある想像の範囲内のモンスター」に留まっており、ありきたり。ただ、モンスターの隠れた場所がダムの中で、「巨大建造物の恐怖感」を利用したのなかなかのセンス。 [映画館(字幕)] 7点(2014-07-03 06:56:48) |
2. ALWAYS 三丁目の夕日‘64
良かったが、ただ一点、どうしても納得できないところがある。医師がボランティアで貧しい人を助けているという設定。当時は確かに医師は往診もし、自宅で看取り、献身的であった。でも、同時に、医療報酬に恵まれ、医療水準も今ほどには高いものを要求されず、患者に暴言を吐いたりクレーマーのような人間も少なかった。相互信頼があったからこそ、医者側も奉仕する余裕もあった。そこが全く描かれていない。 [DVD(邦画)] 5点(2012-06-29 08:41:54) |
3. おとなのけんか
《ネタバレ》 ポランスキーとのことで、遠くの映画館まではるばるでかけた。そこそこ観て楽しめはしたが、果たして深い意味があるかといわれればそれも無さそうだし、この映画を作った意図というか、楽しみ方はなんなのか、そう考え始めてからは面白くなかった。 [映画館(字幕)] 6点(2012-04-19 16:04:47) |
4. 小川の辺
《ネタバレ》 映画館で鑑賞したわけではないが、薄暗い和室から眺めた雨にぬれた庭の木々の緑が美しく映像化されていた。同様な「和の美しさ」を感じられるシーンが多く、映像としては好きだ。ただ、筋書きが、まあこれはどうしようもないのだが、設定ありき。 [DVD(邦画)] 5点(2012-03-12 06:48:39) |
5. おくりびと
《ネタバレ》 良い映画だとは思うが、「抜きんでた映画か?」と言われれば、率直に言ってそんな印象はない。広末という女優のことを良く知らないが、ワイドショーをにぎわすだけのアイドルもどきのタレントというイメージしかなく、そういう目でどうしても映画をみてしまっているためか、どうも学芸会的な雰囲気を感じてしまう。アカデミーだということに納得がいかない。脚本的にも元チェロ奏者ということにどういう必然性があるのか。漫画チックな最初っからありえないような、ある程度のドラマが予想されてしまうような舞台設定というのは実話物以外では私は許せない。映画でそういう設定にしたというなら単にBGMを映画に絡めたたかったというずるい意図が見えてしまうだけである。「死」をテーマにした映画は必然的に見る者に感銘を与えうるものであり、問題はそれをどう描くかであって、単に「感動した」「泣いちゃった」だけでその映画が優れているかの尺度にはならない。 [DVD(字幕なし「原語」)] 6点(2009-03-22 22:07:21) |
6. オープン・ウォーター
「この状況からどうやってこの人たちは助かるのだろう?」と助かることを半ば当然のように予想しつつ映画をみていくことに慣れてしまっていた私は、このどういう形であれ「観客の予想を覆した」という点で新鮮さを認めた。助かるだろうと思っていたのに淡々と死んでいく様。裏の裏は表であって、こういう作りかたの映画は多くなると価値が無い。いうなればずるい映画と言える。 映像に文句をつけたい点がある。海の怖さをあまり上手に表しきれていない。海は船の上から見るのと、海面すれすれから見るのとではその生々しい恐怖感が全然違う。人が海に対して抱く潜在的な恐怖感を表現するためには、もっと、人がなぜ海を怖がるのかよく熟慮しなくてはいけない。海の底が見えないことがなぜ怖いのか。透き通っているのと濁っているのとでどう感じ方が違うか。そこまで考えていない。まるでそこらの池で浮いているような映像で、まったく切迫感がなかった。 [DVD(字幕)] 4点(2005-12-30 18:29:42) |