1. おおかみこどもの雨と雪
《ネタバレ》 妻投稿■花の子育てスタンスが気に食わない。一見すると子供を全肯定し、安っぽい親子ドラマで子供ひっぱたいて「自分はお前を大切に思っているんだ」と表現するような馬鹿親と一線を画しているように見える。が、周囲の人がびっくりするからという理由で自宅分娩し、健康診断にも顔を出さず、アパートの隣人が怒鳴るからという理由で田舎へ引っ越し、子供たちにも自分の素性を隠すように厳命する。要するに排斥に次ぐ排斥を受け入れてしまっている。それでいて子供たちに「みんなが嫌っていても、私は味方だから」と、親子の空間と社会の空間を隔絶させてしまっているのだ。■花がこうした行動をとるのは、子供を狼人間という汚い生物(「だから自分が守らないと」)と思っているからに他ならない。こういう味方のされ方をしたから、雪は「学校を追放されるかも」と心配して過剰に女の子らしくしようとし、雨は野生児を選択してしまった。「子供を肯定する」というのは確かに大切だが、それ=「味方をする」という事では必ずしもないと思う。「赤ちゃんが泣くのは国民の受忍限度だ!」と隣人に啖呵切ったり(ちなみに裁判の判例でもそのようになっている)、「この子は狼子供なんです」と開き直って子供の安全の為に児童相談所の人間に相談し、健康診断を受ける事、それこそが厳しい現実でも子供が「自分は不当に酷い事をされなくていい存在なんだ」と思える事=肯定する事ではないのか。■作画、演出レベルから5点はあげようかとも思ったが、やはり(現実的に野生児になるという選択権のない)マイノリティーのお母さんに「こーひっそりとする義務があるんだよ」と要らぬ心的負担をかけそうなこの映画、0点としたい。 [映画館(邦画)] 0点(2012-08-05 02:57:14)(笑:1票) (良:9票) |
2. 俺は、君のためにこそ死ににいく
《ネタバレ》 妻投稿■この映画は石原知事のコメントを見る限り、「特攻作戦そのものに賛成したのではなく、特攻隊員の勇気と美しさを賛美したものだ」というスタンスで作られたらしい。だが映画を見て、私はそれは絶対ないなと思った。会社で過労死するまで給料ゼロで働かされた18、19のフリーターの子がいたとしよう(障害を持っているなどでそういう労働条件で働かされている人は結構いる)。その人に対し、「彼は愛社精神のある美しい労働者だ。愛する家族の為日本経済を守るこの精神を今の日本人は見習うべきだ」という事をコメンテーターが言ったとして、果たしてこれが亡くなった人の供養になるだろうか。多分私がその人の友達だったら「そんなことよりもうどうしたらこういう事がなくなるか考えろよ」とその傲慢さにブチ切れるだろう。■特攻隊の彼らがいかに素晴らしい人間だったか。それは彼らの家族や恋人が一番よく知っている事だ。直接彼らを知らない私は記録映像を見るたびにそれくらいは想像できなくてはいけない。私たち自身の力で想像できなかったら、「彼らは素晴らしい人間だったんだよ」と偉い人にポンと肩をたたかれて、「何でこうなったの」「どうすればこういう事はもう起こらないの」というところまで話が続かずに強制終了されてしまうのだ。 [DVD(邦画)] 3点(2010-10-22 12:45:41) |
3. オトシモノ
《ネタバレ》 妻投稿■これ絶対ホラーじゃなくて、グエムルみたいなモンスターアクションでやれば成功したと思うんですよ。首都圏の私鉄のさり気ない暗い所に潜んでいるという設定って結構斬新ではないかと思います(男の人の始末の付け方がモロ怪獣の倒し方)。■とはいうものの、うちのルームメイトに何人か、ロケ地の鉄道沿線に住んでいた面子がいて、「おっ、またまた出てきた矢切駅」とか「秋山駅だ」「印西牧の原じゃん」とか、沢尻そっちのけで盛り上がっていました(旦那は沢尻を見ていたので、上手く棲み分けが出来ていたような)。■で、レビュワー様が「よくわからない」とおっしゃる呪いの正体。それは私にはわかります。めちゃめちゃあの鉄道高いんですよ。隣の駅まで300円。各停で10分乗っていたら600円くらいは取られちゃいます。つまりこれは通勤客の呪いの結晶。それがトンネル内で増幅してあらぬ方向に飛び火しちゃった…という事でうちらは納得しています(笑)■今度成田空港まで開通するらしいので、ぜひ車窓を見てあげてください。「安くなれ~」「おかげでうちらは東京出るのに自転車使っていたんだ~」といううちらの呪いが漂っているかも…(^_^;)。 [インターネット(字幕)] 4点(2010-01-31 04:06:40)(笑:1票) |
4. 陰陽師Ⅱ
《ネタバレ》 裸の深田恭子に4点。 [地上波(邦画)] 4点(2009-02-12 02:39:23) |
5. オクトパス
《ネタバレ》 妻投稿■友達の家で蜜柑を食べながらコタツを囲んで見た記憶があります。ザ・グリードと比べてどうかというおよそ建設的でない議論をしていましたが、その時旦那が仕事から帰ってきて、「タコって蜜柑を食べるんだよ」と一言。旦那の知識の発信源になっている可能性の高いフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』でぐぐったら確かに…(旦那も建設的じゃない)。■そういう訳で、タコとお食事を楽しんじゃったのかもしれないですが、それにしてもうちらの住んでいる人口1万7000人の某町の図書館、ビデオコーナーにオクトパス、北京原人、死霊の盆踊り、シベリア超特急、タイ版ウルトラマン兄弟と錚々たる面子がそろっているんですが・・・・(税金で)。 [ビデオ(字幕)] 3点(2008-11-10 06:01:12)(良:1票) |
6. 男たちの大和 YAMATO
《ネタバレ》 予告を見ただけでストーリーは90%読めちゃっていたし、北京原人の監督というだけあってあまり期待していなかったが、テレビ公開するにあたって「佐藤監督は蒼井優に北京原人的爆裂シーンをさせるつもりなのだろうか」という事が気になり鑑賞。物語のタガがいつ狂いだすのかとヒヤヒヤしながら見ていたが、全く普通の映画で、飛行機が魚雷を落とすアングルや、周りがやられて「うおおおおおお」と機関銃をぶっ放して敵の飛行機が落ちるシーンは「パールハーバー」そのものでした。まあ特に目新しいものもないのに8点なのは、自らの生死に必死に意味を見出そうとする人たちの美しい姿に感動したから。「夜と霧」という本にアウシュヴィッツからようやく生還したのに恋人や家族、自分を迎えてくれる人たちがみんな死んでしまって、「何のために生き残った」と幻滅する人の話があるが、この映画はこの大命題一点に挑戦しているのだと思う。主人公のお母さんの犠牲に救われたのに最後は死んでしまう妙子、その彼女が死ぬ間際に主人公に見せた笑顔、船倉で殴り合う軍人、死んだ息子が作ってくれた田圃、全てのエピソードが船の上の爺さんにのしかかっている。現代の船のシーンは長いと評判は悪いが、僕はあのシーンがなければこれまでのエピソードが「生きることの意味」という一人の老人にのしかかる大命題として昇華されないのではないかと考えている。だがどうしてこの老人が救われたのかはわからない。このあたりは観客に考えてほしい・・・・これが大和からのメッセージでもあり、監督からのメッセージなのかなとも思う。 [地上波(邦画)] 8点(2008-09-22 00:36:17) |