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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1249
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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1.  オーストラリア(2008) 《ネタバレ》 
序盤からのめまぐるしい展開でコメディ調の細かい場面を連ねていくのが苛立たしく、人物紹介を字幕で読み取るのが困難なのも最悪だ。その後の物語も上滑りで薄っぺらい感じだったが、最終的には根強い男尊女卑を解消し、また先住民の虐待についても懺悔した上で理解し合い、さらに何気に見えた他のアジア系マイノリティとも共生しながら、明るい未来が開けていきそうなハッピーエンドにはなっていた。 史実との違いに関しては、個人的にはポート・ダーウィンになぜかアメリカの戦艦のようなのがいるとか(籠マストと三脚マスト)、日本の艦上攻撃機がなぜか魚雷を積んでいるのは真珠湾攻撃かと思った。ちなみに艦載機が好んで地上の人間を銃撃するなどはアメリカ軍のやりそうなことである。  ところで歴史的観点からいえば、2007~2013年の労働党政権下で作られた国策映画かと思った。題名が国名そのままなのは、当時の政権にとってこれがいわば正史という意味と思われる。ラストのテロップで「2008年、オーストラリア首相は…」と出たように先住民尊重の姿勢だったようだが、日本人の立場からは何かと反日傾向が目立つ時代だったように記憶しており、この映画に関しても、他のレビューサイトなどでは許しがたい反日映画として激しく怒る人々が多かったようである。 ただし今回自分が見たところでは、正直それほど極端な反日映画には見えなかった(最悪なのは他にある)。日本軍がなぜか先住民(混血)の子どもらを掃討しようとする場面があったが、これは迫り来る戦争の脅威ということを映画的に(=現実性度外視で)表現したという程度の印象だった。またそれ以前に劇中では、現地の白人が先住民の女性を性奴隷のように扱う習慣があったことが語られていたが、それに比べればまだしも日本は邪悪とも見えず、いわば一般論的な敵国扱いのようだった。 確かに昔はオーストラリアの国全体が反日に見えた時期もあったが、実際のところは親日も反日もはっきり決まっていない人々が大多数と想像されるので、こんな映画であまり反感を募らせない方が無難とはいえる(国民同士を反目させて離間を図るという政治的意図もありうるわけなので)。映画としてはやたらに長いこともあって二度と見る気にならないが、あまり角が立たない程度の点数にしておく。
[インターネット(字幕)] 4点(2020-12-19 08:58:13)
2.  オーライ 《ネタバレ》 
監督・脚本の安田真奈という人は「幸福のスイッチ」(2006)で名前を見たことがあるが、この映画はそれ以前の、現・パナソニック(当時・松下電器産業)の社員だった時代のものである。当時はまだ主要キャストとそれほど違わない年齢だったはずだが、その後は子育て期間を経て今も監督・脚本業を続けているとのことで、最近の作としては、小芝風花さん主演の近大マグロのドラマ「TUNAガール」(2019)というのがあるらしい(Netflixで見られるとのこと)。  この映画は20年前の低予算映画になるが、前記の映画と比べてもまだ習作のように見える。個人的感覚としては、まずは映画の紹介文に書かれていた主人公の現状が映像からは感じ取りにくかった。また他者の心をしっかり受け止めず、適当に流してしまったことへの罪悪感のようなものも出ていたようだがちょっと半端な気もした。 しかし終盤の燃えかすの場面で、主人公がその瞬間の思いのままに今なすべきことを実行し、そこから最後の題名の意味につながっていく流れは悪くなかった。また劇中芸術家の作品が、木で暖かみを出すという当初の手法から、金属(燃えない)でも同じように感じさせる形に変わっていたのは、作家の芯になるものを残しながら表現技法の幅を広げたという意味だろうから、この人物が2年間で確実に前を向いて進んできたことの証拠かとは思った。クリエーターの人は、何もないところからまた新しく作るからクリエーターなわけである。  キャストについては、監督が奈良県出身とのことで役者も関西方面が多かったらしく、主要人物4人のうち男2人は、自分としてもこの頃の他の関西映画で見たことがあったようである。女性2人に関しては、芸術家役の人が可憐で折れそうだが色気もある美女なのはなかなかよかった。また主人公(春日結)役の三嶋幸恵という人は、役者なので当然作ったところはあっただろうが、いわば素材を生かした料理法という感じで、ポスターのイメージとも違う実物の存在感に非常に惹かれるものがあった(惚れた)。男はどうでもいいとして、女性を魅力的に見せてくれる映画だったかとは思った。 そのほか関西映画らしい?可笑しみとして、電話での妹の態度には少し笑わされた。
[DVD(邦画)] 5点(2020-10-24 08:29:17)
3.  オッパイ星人 《ネタバレ》 
新規登録から15年間誰も書いておらず、「まだレビュー数0の作品」に時々出るので社会奉仕的に見る気になった。 製作上の意図としては「脱力ショートコメディ」だそうで、平均3分程度で全15話の小話集のようなものだがオチはあったりなかったりする。宇宙人4人と安アパートの部屋をCGで作っており、演者の顔だけ実写を貼りつけているが、顔だけなので実物のオッパイを見せる場面はない(そういうのは別のところで見た方がいい)。アドリブを多用した回もあったようだが、基本的には出演者が適当にしゃべるのではなく脚本担当者がいて、見た人間を笑わせようとして作ったらしいが笑えない。人類社会のほとんどに無視されて終わったのも納得だった。 内容について真面目に語るのも憚られるが少し書くと、第5話と第10話は最悪ではなかった。また第4話で、本国からの入電を読んでいる奴は最後に噴き出さなくてもよかった。  以下余談的に、今の若い人ならわからないだろうことを書いておくと、まずオープニングが昭和TV特撮のウルトラシリーズを真似たシルエットを見せていると思ったら、各話の題名が明らかに「ウルトラセブン」(1967~68)をネタにしており、どれがどれに相当するのか容易に特定可能である。第11話「正解は誰れのために」はネタ元の第30話「栄光は誰れのために」で、「誰れ」という変な日本語(送り仮名は不要)を使っているのをそのまま真似ているので少し笑った。 製作側の説明では、本来は全16話のところ「諸般の事情により、第9話は欠番」とされているが、これはその方面の団体などから糾弾されたというよりも、ネタ元のウルトラセブンで第12話が本当に欠番になったのを単純に真似たようでもある(問題にされるほどまともに世に出たとは思えない)。ただし本来の欠番の題名「遊星より愛をこめて」が、これの第6話「惑星より愛をこめて」で普通に使われているのはとぼけた感じである。 ほか宇宙人が安アパートに住んでいるのも、ネタ元のウルトラセブン第8話「狙われた街」のイメージかも知れない。1部屋に4人まとめて住んでいるのがいかにも外国人のようだった。
[DVD(邦画)] 1点(2020-07-18 08:58:22)(良:1票)
4.  女の子ものがたり 《ネタバレ》 
どういう背景設定で何をやっているのかわからないままとりあえず見ていたが、壁画の前で喧嘩をしたあたりからやっとこの映画としての方向性が見えて来た。喧嘩相手の友人が、自分らはともかく主人公には道があるはずだと信じて押し出してくれたことが、得がたい友人だったという後日の感慨につながったということらしく、これまで女の子だった経験のない人間にとってもそれなりに泣かされる話ができている。 それにしても生まれ育ちに縛られて荒んだ暮らしを事実上強いられるなど、実際ないともいえないが、いつの時代のどこの話なのかと一応は思う(同級生男子に理不尽な迫害を受けても無抵抗?)。時代としては1970~80~90年代頃だろうが、場所については撮影が愛媛県であるのに言葉は関西弁のようで、いいとこのお嬢ちゃんは東京言葉というのは大阪出身の監督の感覚なのか。あえて場所は特定していないのだろうが、少なくとも友人の娘が顔を見せていた時代には、母親の代のような状況はなくなっていたものと思いたい。 結果的には「女の子の数だけ、シアワセの道がある」というキャッチコピーが劇中世界を表現したものには思えなかったが、しかし友人の娘を含むこれからの世代には、この言葉がそのまま通用する世の中であってもらいたいという願いを込めたとすればわからなくはない。  なお監督の方針としては子役や若手女優をかわいく見せる方に重点を置いたということなのか、登場人物の様子からは底辺の生活ということが全く窺われず、これが映画のわかりにくさにつながっている。特に小学校時代の子役のうち、ひときわ長身で美形に見える三吉彩花という人が、風呂に入らず汚い児童の役というのはかなり意外感がある。 また①森迫永依-②大後寿々花-③深津絵里(-④西原理恵子)という主人公の系列のうち、①②はいいとして(④はともかくとして)どうも③にはかなり違和感があり、この人物よりも個人的には②の人がこの映画の主役だったと思いたい。若手女優の皆さんはそれぞれ好印象だったが、特に泥にまみれた波瑠の表情が印象的だった。
[DVD(邦画)] 5点(2019-06-07 19:56:16)
5.  おろち 《ネタバレ》 
監督・鶴田法男、脚本・高橋洋といえば明らかに邦画ホラーの構えだが、実際見るとふざけた怖がらせなどはなく、人間の心の闇を描き出そうとする極めて真面目な映画になっている。ただ白黒フィルムに写った女優の顔とか、少女が床に落ちた様子が「女優霊」(1995)を思わせるものはある(笑う女はいない)。 また開始時点が昭和25年で次は昭和44年頃かと思うが、映像面のほか人物の言動などでも年代がかった感じを出しており、舞台になった古めかしい洋館は昭和(戦後)の怪奇映画を思わせる。ちなみにまた後の時代に飛ぶのかと思っていたら最後までその時代で止まっていたが、原作の発表年代がそもそもこのあたりだったらしい。 そのような雰囲気はいいとして、物語的には昔のいわゆるメロドラマでも見ている感じでそれほど心を動かされない。まともな役者が熱演しているにもかかわらず心が痛いと思うこともなく、そうですかそれは大変でしたねとお愛想を言って終わりになるような感覚だった。また題名の主人公が意外に活躍しなかったのも不満だが、「やめなさい」と言ったところはかろうじて格好よかった。 その一方、エンディングで出た主題歌(柴田淳「愛をする人」)が少々古風ながら妙に心に刺さる曲で、これで映画全体の印象がかなり底上げされた感はある。映画に関しても、年代がかった物語のようで実際は人間の本質的なところを捉えていて、いつの世にも変わらないものが表現されていたのかも知れないと思い直したのはこの曲のせいである。監督は楽曲のタイアップがお嫌いかも知れないが(cf.「POV〜呪われたフィルム〜」(2012))、これを見れば必ずしも悪いことばかりではない。  なおキャストに関しては、まずは谷村美月嬢が可愛らしい(当時18歳くらいか)。この人も演技派だろうがナレーションは少し素人っぽく感じた。また姉妹対決では、個人的な好みの問題から中越典子さんを応援していたが、結局どっちがいい人ということもないわけである。この人には一瞬ほんのわずか色っぽい場面がある。
[インターネット(邦画)] 6点(2019-01-12 19:32:13)
6.  オトシモノ 《ネタバレ》 
[2017-06-17改訂] 鉄道を舞台にしたホラーで、大まかにいえばトンネルを発生源にして線路伝いに怪異が伝播する設定だったらしい。序盤では、名字なしの個人名が「貞子」を連想させるとか白塗り少年が登場するとかで、あからさまに既存の邦画ホラーをなぞったようにも見えたが、しかし終盤になると意外な方向へ話が展開していくのが特徴で、最初はわざとありきたりに見せておいて後で不意打ちをくらわすつもりだったのかとも取れる。主人公が留学を考えていたのが ”Miskatonic University” だったことからすればラヴクラフト、あるいは諸星大二郎路線を目指していたということか。全てが終わってトンネルを出たら朝だった、という解放感は結構いい。 しかし結局、出来事の意味がよくわからないまま終わったようなのは困る。怪異の根本原因は不明でもいいから、ノベライズ本を読めば簡単にわかることくらいは映画でもわかりやすく作ってもらいたかった。  一方この映画が悪くないと思うのは最後がバッドエンドでないことである。いろいろあったが最低限この家族だけは助かって、犠牲になった者も祝福してくれていたというのは救われる。自分としてはホラー映画がどうあるべきかは知らない(知ったことではない)が、人の生死に関わる物語は一般に、いわば極限状況の中で人間の真実を露わにしてみせる力を持っている。この映画ではそれほど深い話にもなっていないが、女子高生2人が初めてわかり合えた場面で友情が生まれたことは素直に感じられるし(「…だね」の応酬がいい)、また表情豊かな子役を見ていると、この妹も母親も揃った元の家庭を取り戻したいという主人公の願いもわかる。 結果として、その辺によくある粗製乱造ホラーに比べれば一定の志が感じられる映画だった。個人的な相対評価としてはアイドルホラーの代表作?「クロユリ団地」(2013)よりは点数を高くしておきたい気がする。  ちなみに沢尻エリカ嬢は制服姿が清楚だが、私服になると露出が多かったりして見どころはある。「なんで知らないふりするの!」のあたりはこの人らしくて好きだ。また若槻千夏という人は全般的に可愛く見えないが、最後に制服姿でにっこり笑った場面はよかった。
[DVD(邦画)] 5点(2018-01-06 17:28:57)
7.  オカルト 《ネタバレ》 
この監督のフェイクドキュメンタリー路線の一作だろうが、今回すでにこの道を極めたようにも見える。同系統の「ノロイ」(2005)にあった微妙なおふざけ感は目立たなくなった印象があり(笑ったのは近藤という人物が公園で取材中止になった場面のみ)、また見ている人間のところにまでヤバいものがはみ出して来そうな感覚も特にない。そういったことを犠牲にしてこの形式としての純度を高めたようにも見えるので、一般的な娯楽映画としては「ノロイ」の方が勝っていると思われる。 そういうものでも当方としては一応付き合う気があって見ていたわけだが、それでも特に前半で、何が起きるか起きないかわからない状態で延々と派遣労働者の日常を見ているのは結構つらいものがあった。これが本物のドキュメンタリーだったとしても、ここまでどうでもいい映像は使わないだろうと思わせるものがあり、それでこの人物に愛着がわくならいいだろうが、自分としてはそこまで心に愛がない。またラストに関しては、21年間もビデオカメラを預かっておいてあれしか撮れなかったのかと呆れるわけだが、しかし21年間あれがずっと続いていたために、長く撮っても短くしても同じだったとすればまさに地獄である。 なお今回は、フェイクのエンドクレジットで劇中人物の名前を出した後に、本物のエンドクレジットで本物の出演者の名前を出していたのが正直な態度だった。劇中の白石晃士というディレクターはこの映画の監督本人だが、栗林忍というADもこの映画の助監督本人だったようで、本物のエンドクレジットでは出演者でなく助監督として名前が出ている。この人は一時期「いちごちゃん」と呼ばれて、その世界では親しまれていた人物らしいが詳細不明である。
[DVD(邦画)] 5点(2016-06-23 19:44:54)
8.  親指さがし 《ネタバレ》 
話としてはわかるが何か物足りない。中盤過ぎに、それらしい顔の初老の男がそれらしいことを語って、その程度の話で終わりなのかと思いながらそのままラストまで続いて本当に終わってしまったので拍子抜けした(同じ監督のこれ以前の映画でもそういう感じのものがあった)。またドラマの本筋と思われる部分に関しても、亡き少女を思う切ない気持はわかるものの、これだけ人を死なせておいて最後のその情けないツラは何だと突き放したくなるので全く共感できるところがない。 ただし、その初老の男が言っていたこと自体は一定の説得力がある(顔も説得力がある)。“本当に怖いのは人間”とかいう話は最近よくあるが、単に変質者が怖いというだけのことでなく、呪いや心霊現象やそのほか合理的に説明できないが存在するかのように扱われている全てのことが、実は人間の心の闇が生み出しているのだと取れなくもないということである。呪いの映画と思わせておいて実は呪いの映画だったというのも普通なので、この程度にドライなのはかえって新鮮味を感じなくもない。 なお自分としては伊藤歩嬢を見るのがそもそもの目的であり、楚々として線が細く声を張り上げたつもりでも弱々しくて響かないというような人物像は大変結構だったが、なぜか顔を大写しにする場面が多すぎる気がする。それをいえば男連中の顔などは汚すぎて見たくもないが。
[DVD(邦画)] 4点(2016-01-26 00:17:03)
9.  男たちの大和 YAMATO 《ネタバレ》 
大和だけを美化する風潮があるとすれば嫌悪する。ほかにも多くの艦船が沈んだのだし、また当然ながら様々な場面で多くの人間が死んでいるわけだが、ただし3千人以上が乗る軍艦(正しくは艦隊全部)が丸ごと特別攻撃を命じられたことで、特別の悲壮感が生じているとすればまあ仕方ない。 ストーリーに関しては、原作のエピソードや後日談を適宜使って新たにお話を作った形になっている。しかし元が実話でも、結果として不自然に見えるところはないでもない。また特に、思ったことをその場で口に出さずにいられない人物が多いのはどうかと思うが、一方で泣ける場面もちゃんとできており、娯楽映画としてはまあ結構である。蒼井優が最後まできれいな顔でいられたのは幸いだった。 劇中では特に対空戦闘の要員に焦点を当てており、敵の攻撃を直接受けて死ぬ人々の無残な姿をリアルに映像化しようとしていたようだが、映画だとどうしても映像的に美しく描写されてしまう気がする。眼球が飛び出してぶら下がったとか、腹が破れて腸が出たといった話を入れるとより凄惨に見えただろうがまあ無理か。当然だが死ぬのは格好よくない。  ところでこの映画は、戦後以来の左右両陣営のどちらに属するのかが明瞭でない(定番の「お母さん!」が出ていたのは左っぽい感じもする)が、これは安易に立ち位置を定めずに、まずは登場人物の心情を素直に受け取るよう求められているのだろう。自分が何年か前に「知覧特攻平和会館」に行った際(単なる観光)、隊員の心情を思って涙する来場者が結構いたようだが、そのような自然な感情が日本の普通の人々の中にあって、そこに訴える形の映画を作るとすればこうなるのかも知れない。 ただしそれだけだと、わざわざ戦後60年の節目に当たり、戦争をネタに使った泣ける娯楽大作を公開したようにしか見えない。また、あまりはっきり書きたくないが、死んだ人々や生き残った人々が自らどのように納得したかを描いただけでは、存命の生還者や遺族に対してはいいとしても、日本国民の大多数を占める戦後生まれの人間に対し、未来に向けたメッセージを発したことにはならない気がする。 まあ好意的に解釈すれば、それまで延々と続いてきた“戦後”をいわば初期化して、当初のプレーンな状態に戻ろうとしたように取れなくもないが、何にせよベタ褒めする気にはならない微妙な印象の映画だった。
[DVD(邦画)] 5点(2015-10-24 23:46:43)
10.  狼少女 《ネタバレ》 
昭和にこだわった映画のようだが、現実の昭和は1926年から1989年まで結構幅が広いわけで、それでも何となく“子ども時代”とか“昔”の意味になるのは世代交代が進んで昭和が遠くなってしまったということか。劇中の事物の属する年代はかなり散らばっていたようで特定できず、これは意図的に幅を持たせたのかも知れないが、さすがに見世物小屋は時代が古すぎるように思われる(自分としてはお化け屋敷の記憶しかない)。 しかし人間の尊厳にかかわるような興行のあり方とか、見るからに汚い子どもの存在といったものは、いつの時代の反映かというよりむしろ子どもにも容赦のない世間の現実を表現していたように見える。その中でも転校生が毎日いい服を着て通学していたのは、親代わりと思っていた連中のせめてもの思いやりだったのか、あるいは皆のこだわりもあったということか。 その上でストーリーしては、感動を呼ぶ話であることは理解できるが、しかし個人的にはそれほど強く心に訴えるものにはならなかった。敗因は何かと考えると、まずは大人の立場として子どもの愚かさとかガキっぽい揉め事から心理的距離を置くようにして見たために、登場人物の心情までをスルーしてしまったということか。あるいは自分としては、前記“世間の現実”から目をそらしたい気持ちもあったと思われる。まともに考えてしまえばこの少女の将来が非常に危ぶまれて痛々しく、これで切ない初恋物語のような感傷に浸る気にはならなかったというのが実情である。 そのほかに、娘の生育状態に合った下着を与えることもしないでプライドだけ立派な母親が愛情深い扱いをされているといった感情的に引っかかる点も結構あり、また全般的に嘘臭さを感じるのは少し困ったことだった。決して悪くない映画とは思うが褒められないのが誠に残念である。子役の皆さんは大変結構だった。
[DVD(邦画)] 5点(2015-08-23 23:47:48)
11.  おっぱいバレー 《ネタバレ》 
当時ポピュラーだった曲が多用されているのは世代の近い人間として理解できるが、やりすぎのようでうるさく感じられる。ラストに「微笑みがえし」を持って来たのもベタというか卑怯に思われたが、途中で別の曲に変わるのがまたかえって苛立たしく、始めたのならせめて最後までやれと言いたい。  ところで自分としては最初からこの映画を何となく冷たい目で見ていたが、それは主演女優が個人的好みの範囲外だからである。ヒロインが気に入らない映画など見て何の意味があるかと思うが、見てしまったので仕方ない。 一方で序盤から出ていた女子バレー部の生徒(演・小島藤子)が非常にまともな人物だったのは印象に残った。他の生徒が教員に対する不快感を表明しているのを本人の目にあえて触れさせ、かつ自分も同じ見解であることをはっきり示しながらも黒板消しだけは手伝ってやるというのは非常に理性的な態度であり、バカ男子と比べれば人格レベルが二段階くらい違っている。せっかくこういう魅力的な女子が出ているのに、みな綾瀬はるかのおっぱいのことしか頭にないというのは納得できない。だいたいこの子が最後にどうしたのか説明がないではないか。  そういうことで、バカ男子に言及するまでもなく評価が確定したので、これで終わりにする。こんな連中に付き合っていられない。 なお主人公の関係では、いわゆるパラパラマンガの花の絵が妙に泣けた。いい所がないわけでもない。
[DVD(邦画)] 4点(2014-07-13 13:18:16)
12.  おくりびと 《ネタバレ》 
大変申し訳ないが率直に書かせていただくと、基本的には登場人物が泣くのに合わせて観客を泣かす作りの映画と感じられる。序盤のコミカルな箇所は気に障るが、まあこういうのがないと娯楽映画として成り立たないのだろう。  ところで劇中では人間の生死に関する複数のエピソードが並列的に出ているが、そのうち映画の構成上は全編の最後、父親の遺体の場面が最重要なのだと考えられる。ここは単純な親子の情愛(和解)の表現にとどまらず、人間の“生の意味”を伝える場面、つまり子(主人公)が生きて、さらにその子(胎児)に生を受け継いでいくことが、父親(峰岸氏)の生きた意味にもつながることを主人公が悟る場面だろうと思われる。 しかし映像を見ていても“これをこうすればこう見えるはずだ”といった説明的な印象しかなく、意味はわかるという以上のものではない。鮭の遡上風景はこのラストにつながる布石ということだろうが、これも貧弱な造形物のため多少の脱力感なしには見られない場面だった。“一度きりの人生だから個人の生を輝かせなければ”という、何か強迫的にも思われる観念が一般化している今日、もう一度根本に立ち返って生の意味を問い直すはずの場面が印象的に見えていないのは、個人的にも残念に思う。  それから主人公の妻の問題発言については多くの人が唐突と感じるだろうが、これはまあ当該個人の意識の問題と取れなくもない。しかし地元在住の旧友その他の一般住民までが蔑視を当然のものとし、かつその感情を当人に向けてまともに表出することをためらわないというのはいつの時代のどこの話なのかと思う。必ずしも詳しい事情がわかって書いているのではないが、単に田舎だからで済ませられる話でもなく、少なくとも個別地域の社会事情と無関係にストーリーの味付け程度の感覚で軽々に取り扱っていい問題のような気はしない。  以上のようなことで、自分としてはあまり高く評価する気にならない。今さら何点付けようが大勢に影響はないという前提で、思い切って低い点を付けておく。
[DVD(邦画)] 2点(2014-02-17 23:38:17)(良:2票)
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