1. バード(1988)
JAZZファンからは、バードの人物描写の物足りなさ(本人はもっと破天荒で楽天的だったのではないか)を批判され、イーストウッドのファンからは、演出にいつもの核心に満ちた大胆さが感じられないと批判された感のある本作だが、そのどちらのファンでもある私もうなずけるところが少なからずある。しかし、実在の人物が主役ではなく、かつイーストウッドが監督でなかったら、その評価はどうなっていただろうか? とはいうものの、その後彼が監修した、バードと同時代に活躍したJAZZピアニストの巨人セロニアス・モンクのドキュメンタリー映画『ストレート・ノー・チェイサー』は、文句のつけようのない素晴らしい作品だったからなあ。 7点(2003-10-15 20:33:46) |
2. ハートブレイク・リッジ/勝利の戦場
《ネタバレ》 初出陣で役割を無事果たし、その喜びにはしゃいでいる若者たちを尻目に、岩にどっかりと腰を下ろし葉巻をふかしているイーストウッド。その佇まいと表情には、何やら「核心に満ちた大胆不敵さ」とでも呼びたくなるような凄みが感じられる。これこそが、イーストウッド自身と彼の作る映画の、大きな魅力なんだよなあ。 9点(2003-10-15 19:40:05)(良:1票) |
3. バックマン家の人々
正直言うと、それまでのスティーブ・マーティンって、その存在感が「なんか映画に適わないな」(はっきり言っちゃえば“ウザイ”)と感じていた(まあ、こういう役者は、実はアメリカ映画では結構いたりするのだけれど...)。しかし、本作の彼は、素直に良い! 家族を想い孤軍奮闘する姿が、公開当時まだ独身の私が観ても、とても感動的だった。もちろん、当時ロン・ハワードの演出が冴えわたっていたこともあるだろうが、あれから十数年、主人公と同様、今や家族を持つ身となった私がこれを観返したら、一体どんな感想を持つのだろうか? 8点(2003-09-12 20:43:31) |
4. バイオレント・サタデー
公開当時『コナンPART2』と一緒に観た。併映の軽やかさと比べてペキンパーの遺作は、なんだかいつも以上に重苦しい感じがした。それでも、TVモニタ画面を多用し、複数の場所で同時に起きていることを巧みな編集で上手く見せていたと思う。当時流行っていたMTVのクリップ映像とは一線を画した本作では、いわばペキンパー最後の「意地」を見せてもらったような気がした。 8点(2002-11-26 21:28:45) |