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1.  バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) 《ネタバレ》 
中盤、空を飛ぶかつてのバードマン。でも実際はタクシーで夢を見ていただけだった(かのような描写がある)。全てを懸けた舞台の終わりに文字通り命を懸け、それでも生きなければいけないと知り、彼は、もう一度、飛ぶ。その姿は画面上には見えないけれど、彼は内なるバードマンに別れを告げ、バードマンの仮面のような湿布をはずし、何にもすがらずに、飛んだ。今度は本当に飛べたのだと思う。生き恥を晒しながら、笑われながら、ズタズタになっても、やめない。それが執念なのか、挑戦なのかわからないけど、とにかくしぶとくいることで人はもっと遠く、高いところまでいけるということだと私は解釈した。情けなくて馬鹿みたい、でも、すごくかっこいい、そんな映画だった。
[映画館(字幕)] 8点(2015-05-03 13:49:21)
2.  春の日のクマは好きですか?
嫌いではない。ペドゥナが可愛いし、全体的にポップで、ところどころ笑えて、さらっと楽しめる。ストーリーも何か健気で好ましい。ただ、(他の方も指摘されているみたいですが…)盛り上がり部分で突然鳴り響く大音量のバラードがなんかいちいち安っぽい。おいおい、月9じゃないんだからさ。韓国の作品というのはあまり馴染みがないのだけど、全体的にこうなのでしょうか?こういった作品そのものの価値を貶めかねない派手なBGMが、カウリスマキ作品よろしく、逆に笑うポイントだと捉えていいなら疑問もないけど、どうもそういう意図は感じられないし。素材はいいのに調味料間違えたような、言いようのないもどかしさ、歯痒さを感じる映画。ペドゥナのキュートさに救われています。本当、この人はいい女優だ。
[DVD(字幕)] 6点(2009-11-15 14:41:59)
3.  母なる証明 《ネタバレ》 
今までいくつか観てきたなかでいえば、ポン・ジュノ監督はどうもある種の反骨精神の持ち主らしく、教授や司法家など、世間的に地位の高い者や権力を持った者を大抵くそみそに描く。そのペンとカメラでの裁きっぷりは容赦ない(何かトラウマでもあるのだろうか?)。本作でも、杜撰な捜査をする警察や、弱い者いじめの強い人間たちが出てくる、出てくる。嫌らしい大人のオンパレード。そんな社会じゃ弱者は救われず、貧しい少女は身売りまがいのことをしなければならないし、愚者はあくまで利用される。だからこそ母は強くなり、弱者である息子のために奔走する羽目になるわけだが…。結局この作品で一番不幸だったのは、正直者のおじさんと、罪がないはずなのに少女の鼻血によって捕まった少年。二人に「母」はなく、救ってくれる者はなかった。当初は「可哀相」だったはずの母子は、他人を「可哀相」にして、自分たちは助かってしまう。庇い合える存在さえいてくれたら、人は何とかなるってことか。それにしても、本当の意味では救われない作品。ミステリーではあるけれど、謎解き的な要素より人間の光と影というか、そういった部分が面白かった。しかし、様々な伏線をきちっと収束させる手腕もお見事。貧しいはずなのに湯水の如く湧いて出るお金については目を瞑ろう。
[映画館(字幕)] 8点(2009-11-01 20:26:38)(良:2票)
4.  ハチミツとクローバー 《ネタバレ》 
鑑賞自体はだいぶ前だけど、評価がしょっぱい感じなので思わず投稿。私は好きです。原作も読んでいないし、そもそもこういう甘酸っぱい系のラブストーリーなんざまるで興味はないんだけど、「興味ない」っていうのも私にとってはポーズでしかないのかな、と悔しいけれど認めてしまった作品。はぐ森田竹本の三角関係は正直共感しにくく、そんなでもないんですが(笑)、個人的にあゆ→真山のエピソードは、これだけでご飯三杯いける感じです。あんなに美人でいい女のあゆが、ストーカー真山に一途に恋し、報われないもどかしさ。そこでお互いが「身体だけでも…」って流れで爛れた関係になっちゃうのが現実ってやつなのかもしれないけども、この二人もこのまま煎じ詰めればそうなっちゃうのかもしれないけども、その生臭さに到達する以前の、片思いが片思いらしくある一瞬のイノセンスといいますか…たとえば真山があゆをおんぶする場面で、急接近してしまった片思いの人の背中で思わず「真山、好き」と涙ながらに呟く乙女の姿のせつなさ、苦しさの美しいことといったら!!そして礼を言うしかない真山。一度でも恋したことがある(orされたことある)人なら多分ノスタルジーを伴いつつ共感できるこのシーン、かなりときめきますわ。観るときいつも画面の前で口開けてます。このワンシーンに片思いの全てが詰め込まれていると私は見るのです。。…と、何だか熱くなってしまったけど、まあ恋愛云々抜きにしても、個人的に芸術系の大学に憧れがあったので、その生活が垣間見えるところが良いなあと。ファッションも凝っていて、見ていて飽きないし。でも全く同じ脚本・監督でキャスティングが違っていたらこの点数はないかな。ラストあたりの蒼井優のあの笑顔は、神がかりです。女の私でも「惚れてまうやろ!」と叫ぶレベル。作品としてどうなんだと問われると確かに完成度は高くないのかもしれませんが、見所は大いにあり。中古で特典つきDVDを購入した私ですが、まったく損したとは思いません(中古だからか?)。コメンタリーの伊勢谷さんの激しい俺様っぷり(たぶん他の役者さんちょっと引いていると思われる…)が作中の森田と被り、なかなか笑える点もオススメです。
[DVD(邦画)] 7点(2009-07-10 02:22:58)(良:2票)
5.  ハヴァ、ナイスデー
今まで観てきたショートフィルムには、オッサレーで、「クリエイティブでしょ俺(あたし)様」臭ぷんぷんな、監督の自己愛の露呈に終始したものが多かった気がするが、これは違う。本当に作品として面白く、秀逸なものばかり集められている。あまり有名でない監督(すいません、もしかしたら私が不勉強なだけかもしれないですが)が多いのに、このクオリティーならば、日本映画の未来は明るいのではないかと。何度も観たくなりそうなんでソフト購入検討してます。個人的には山本浩司がやっぱり良かった。余談ですが、西日本の某地方都市Fでお馴染みのバスとテーマソングが何作かに使われているので、縁ある方にお勧め。
[DVD(邦画)] 8点(2008-03-08 04:44:09)
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