1. バージニア・ウルフなんかこわくない
《ネタバレ》 夢と現実が混在した夫婦喧嘩に2時間付き合わされる。 でもその夫婦喧嘩はとてもパワフルで圧倒された。 登場人物の会話の中で、見ている誰しもが心当たりがあるであろうエピソードが幾つも出てくる。 これがまた居心地の悪い気分になる。 気分はすぐれないけど、なんだか物凄いものを見た気分にもなる。 二人の気合いの入った夫婦喧嘩に引き込まれ、退屈はしなかった。 見た後に健やかな気分になれないので評価は分かれるであろう作品。 私は案外好み。 [インターネット(字幕)] 7点(2023-10-28 22:43:23) |
2. バニー・レークは行方不明
《ネタバレ》 娯楽作品として十分楽しめたものの、途中までまともな雰囲気だった兄が、途中から急におかしな人になるのは不自然かな。 それにしてもあの大家のジジイ、非常に変態的で鬱陶しかった。 [インターネット(字幕)] 7点(2023-04-19 05:01:48) |
3. 華やかな魔女たち
《ネタバレ》 パゾリーニ生誕100年を記念した特集上映にて鑑賞。 場所は渋谷のユーロスペース。 10年以上見る機会を待ち続けた作品で、念願叶っての鑑賞。 5話からなるオムニバス作品。 もちろんパゾリーニのが一番良かった。 あの親父の髪型がすごい。 色彩もすごい。 ニネット・ダヴォリが相変わらず面白い。 ユーモアあふれる作品だった。 [映画館(字幕)] 6点(2022-10-25 17:41:52) |
4. 裸のキッス
《ネタバレ》 冒頭のシーンが全てで、その後は淡々としたストーリーが続く。 にしても、主人公は暴力を振りすぎでしょ! とにかく殴りまくるし、平手打ちは当たり前。 身から出た錆のような気がするが、最後は英雄的な扱いなのは納得がいかない。 [ビデオ(字幕)] 6点(2021-08-13 11:50:46) |
5. バンビ、ゴジラに会う
《ネタバレ》 オープニングクレジットからして、もう既にギャグ。 そして衝撃のラスト!は、ホラー。 でも冒頭は癒しのアニメ。 たった1分ちょっとなのに、インパクト大。 [インターネット(字幕)] 6点(2021-08-06 06:53:27) |
6. 初恋・地獄篇
《ネタバレ》 羽仁進は好きで、寺山修司は苦手なもんで、どんな映画か不安だったが、面白かった! 変態要素てんこ盛りも凄いけど、何より映像が良い。 1960年代の新宿、都電も出てくるのが個人的には喜ばしい。 主演二人は、いずれも不細工だが、それが逆にこの作品を味わい深いものにしている。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2021-06-19 13:36:19) |
7. パリの大泥棒
ベルモンドは魅力的だが、内容的に少々、退屈感あり。 泥棒稼業の内幕を描いており、興味をそそられた部分はあった。 [ビデオ(字幕)] 4点(2016-08-21 02:10:13) |
8. 薔薇の葬列
オカマ(ゲイボーイ)の歴史を目の当りにしたかの様だ。 ATGと新宿って、むやみによく絡んでくるけど、この作品に限って言えば、新宿が舞台となった必然性を感じることができる。 主演がピーターとは知らないで観たが、すぐにピーターと分かった。 若かりし頃なので、断然美しい。 決して好きとは言えない内容だが、間違いなく力作。 家族写真を何度もチラつかせるが、父親の顔の部分がタバコの火でよく見えない。 そんでもって、あのラスト。 カルトものながら、こうした伏線もしっかりしており、映画としての出来も秀逸だ。 [ビデオ(邦画)] 6点(2012-09-16 16:47:13) |
9. バーバレラ
ちょっとエッチな大人向けSF映画。 フランス・イタリア・アメリカ合作だからこその味わいアリ。 とにかくジェーン・フォンダが美しい。 ブロンドに長い足に白い肌。 当時30歳とは思えない魅力を発している。 下らないと言ってしまえばそれまでの内容だが、体の力を抜いて観られる娯楽作として十分楽しめる。 言わば、脱力系エッチSF映画の金字塔だ。 目の保養として、金髪のエッチなおねえちゃんのコスプレを観たいなら、ハズレのない作品。 監督のロジェ・ヴァディムは、相変わらずブロンド美人を選ぶセンス、そして演出がにくいほどに上手い。 というか、単なるスケベ(笑)。 [DVD(字幕)] 6点(2010-11-13 19:43:49)(良:1票) |
10. 裸の島(1960)
日本映画史に名を刻む新藤兼人の代表的監督作。 島の暮らしをただひたすら音楽だけで綴った内容。 人はどんなに辛いことがあっても、立ち止まることはできず、今ある現実を受け止めて生きていくしかない。 そんなメッセージが伝わってきた。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2010-08-21 01:26:15) |
11. 破戒(1962)
《ネタバレ》 市川崑と市川雷蔵による、“W市川”作品。 原作は私自身も、とある縁のある島崎藤村で、ヒロインに藤村志保という、“W藤村”作品。 というわけで、W市川藤村作品(どうでもよい)。 被差別部落問題を正面から扱った作品で、重苦しいのがネックだが、社会派的作品として、社会に対する役割は十分に果たしていると言える作品である。 三國連太郎と市川雷蔵のツーショットを観られるのも、本作の見所の一つだ。 ドラマとして観ると、楽しめる内容ではない。 それよりむしろ、まだ被差別部落問題が色濃く残存していた時代に、その問題を少しでも解消していこうという監督の熱意が感じられるのが良い。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2010-07-04 18:38:05) |
12. パサジェルカ
アンジェイ・ムンク監督の未完の遺作。 アウシュビッツ収容所における、女性看守と女性囚人との個人的関係を深く丁寧に描いている。 女性看守は、女性囚人に対して、基本的には同情の念を持っているが、それをすんなり受け入れない女性囚人に対して、時に辛く当たったりする。 まるで片想いの異性に対する接し方の様だ。 一方的な他人に対する関心は、恋愛感情に限らず、得てしてこうなりがちで、そういった人間関係の機微を感じ取ることができた。 そういう意味で、アンジェイ・ムンクの魂が込められた作品に仕上がっている。 それだけに未完で中途半端な出来具合というのが残念でならない。 [ビデオ(字幕)] 5点(2009-11-01 18:37:14) |
13. 白昼の通り魔
《ネタバレ》 大島渚監督の代表作の一つ。 連続通り魔となった男が、どうして通り魔になるに到ったのか。 その過程を詳細に描いていて面白かった。 気を失った女の体を、衝動的に弄んだら、あら大変、女を犯す味をおぼえてしまったという心理。 そういう性犯罪者の心理を知る上ではこの上なく良くできた映画だ。 そしてモノクロの映像も、その怪しさを引き立てている。 ただし、後半の数十分は蛇足。 退屈した。 ゲロシーンも不要。 連続通り魔犯が捕まった所でアッサリ終わっていたら、もっと鮮烈な印象を残したに違いない。 [DVD(邦画)] 6点(2009-10-04 17:30:39) |
14. 箱根山
ラピュタ阿佐ヶ谷にて鑑賞。 この日は、“川島雄三ハシゴ”という贅沢で、この後、「シネマート六本木」で『あした来る人』を観たわけで、まことに川島雄三三昧な一日だった。 さて本作だが、これはとっても楽しむことができた。 全編にわたって、川島雄三ならではの独特のユーモアが充満していて、それはそれは心地よい。 しかも、現代においても色褪せないユーモア感。 これはさすが川島雄三監督!のひとことだ。 東野英治郎と西村晃の古今水戸黄門対決は個人的にツボ。 それと、加山雄三は頭のきれる好青年を演じていて、嫉妬してしまうほどの男っぷり。 そして対する星由里子もとっても可愛らしい。 森繁久彌も抜群の存在感。 キャストに魅力あり、又、川島雄三のユーモアのキレ、箱根山についてのウンチクなど、見所盛りだくさんの喜劇で、観た後の満足感、いや満腹感はかなりのものだった。 [映画館(邦画)] 7点(2009-08-08 23:17:53) |
15. パリところどころ
《ネタバレ》 まあ、かつてのヌーヴェルヴァーグ族が揃い踏みで作り上げたオムニバスだが、意外と物足りない印象。 「なんじゃ、こりゃ」的な作品もいくつかあったが、エリック・ロメールのと、クロード・シャブロルのは結構楽しめた。 このオムニバスには沢山の女性が出てくるが、魅力にイマイチ欠ける女性ばかりなのは何故だろう。 単なる、私の外見的な好みの問題かもしれないが、どうにも魅力を感じられる女性が出てこなかった。 ただし、シャブロルの作品で「ブロンドの家政婦」が出てきたが、これだけは例外! あんなエロチックな家政婦が欲しいな♪って気持ちに・・・ ゴダールのは、ゴダール的ではあったが、いつものゴダールよりも比較的分かりやすいゴダール作品だった。 だけどやっぱり話は複雑で、観た後にイチイチ考えさせられて頭が疲れる。 そんなところはやっぱりゴダールらしさが出ていた。 最後に全体的に見て印象的な部分を挙げると、ロメール作品の前半の部分。 パリの凱旋門の歴史を聞かされて「ふ~ん」と思わず唸ってしまった。 勉強になった。 あと、殺してからの(実際は殺してなかったわけだが)逃亡劇もなかなか痛快で良かった。 それと、シャブロル作品の、耳栓をして瞬間的に無言劇になるという演出。 これも意外なほどに楽しかった。 にしても、このオムニバスは「夫婦」というものを、ただやかましくて面倒でマイナス的なものとしてか表現していないのが、よろしくない。 もう少し前向きになるような表現をしてくれよ・・・ [CS・衛星(字幕)] 6点(2009-03-11 22:21:07) |
16. 反撥
若き日のカトリーヌ・ドヌーヴが、その性的魅力をプンプンと匂わせ、狂気に満ちた女性を自然に演じたサイコ・スリラー。 終始、ネグリジェのようなキャミのような、露出度の高い服を身に纏い、観ている私を誘惑する。 途中、脚を露わにしたドヌーブに欲情し、衝動的にドヌーブにのしかかる管理人が出てくるが、その気持ちよく分かる! あのスタイルに、あのブロンドに、あの脚を二人きりの密室で見せられたら、あのスケベ管理人でなくとも、どうなるか分からないね。 後半はひたすら幻覚に襲われ、精神的に壊れたドヌーブを繰り返し見せる展開。 これは少々、くどい。 それより見所は前半部分か。 姉の連れこむ男や、自分のボーイフレンドを嫌悪の対象とみなしながら、妄想するのは知らない男に犯される状況ばかり。 性に対する好奇心と嫌悪感が織り交ざり、精神に不安定をきたしている思春期の少女を描いているかの様で面白い。 ドヌーブは本作の2年後にブニュエルの『昼顔』で、若干23歳にしてガイコツのような老け込んだ状態になってしまうが、本作ではまだかろうじて若い魅力が残っており、いやらしい意味で楽しめる。 それにしても本作では21歳だというのに、なんか目元が老けている。 ブロンドとあのスタイルがなかったら、単なる老けたおねえちゃんだ。 [ビデオ(字幕)] 7点(2009-01-11 16:58:34) |
17. 恥
映像だけはとにかく美しいが、それだけ。 なんか、夫婦劇の様な戦争モノの様な、良くわかんない内容。 マックス・フォン・シドーは、あれだけのタッパとガタイで、あの弱いキャラは不自然すぎる。 あの太い声で泣き言いわれてもなぁ・・・ [DVD(字幕)] 5点(2009-01-10 21:28:08) |
18. 母(1963)
監督、新藤兼人の自伝的要素の強い作品らしい。 その影響もあり、細部にわたって妙なリアリティがある。 乙羽信子は外見的に好みではないが、役にピッタリはまっており、真に迫った素晴らしい演技をみせている。 今村昌平作品にも通じる、泥臭いエロティシズムが充満した内容で、観ていて暑っ苦しい。 でも、それがまた、本作の魅力であったりもする。 今村昌平作品の泥臭さやいやらしさが好きな方は、きっと気に入る作品であろう。 [ビデオ(邦画)] 7点(2009-01-05 20:19:52) |
19. 博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか
『未知への飛行』とストーリーが酷似していると感じ、それぞれの製作年を調べたら、なんと同じ1964年。 さらに調べたら、この二つの作品、当時いざこざがあったようだ。 それはさておき、本作は身震いするようなブラック・ユーモアに満ちている。 『未知への飛行』は緊迫感に満ちていたが、こちらは恐怖感。 この二本を両方鑑賞し、対比してみるのも楽しいかもしれない。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2008-12-23 09:38:33)(良:1票) |
20. バルタザールどこへ行く
《ネタバレ》 これほどまでに美しいモノクロ映像は滅多に出会えない。 1960年代だからこその完成されたモノクロ映像と自然な美しさ。 そしてそういった技術的な意味だけでなく、本作の寓話的でどこか現世離れした雰囲気が、本作をより一層、神秘的な美しさへと押し上げている。 主演の女優は当時17歳であったらしいが、単なる美人ということではなく、儚げで世を憂うような不思議な魅力を発揮している。 薄幸の美人、いや、少女というか感じだろうか。 カメラは執拗なまでに少女のスラリとした脚を映し出す。 これが何ともエロティック。 そんな映像を見せ付けられていると、見てはいけないものをじっと見せられている感じがしてきて、なんか気まずくなってくる。 しかし、じっと見てしまう。 眼が釘付けになる。 画面いっぱいに発散される厳粛な雰囲気、そして、少女の危うい魅力。 ブレッソンのカトリック的な表現手腕が遺憾なく発揮されている。 少女の可愛がるロバも、また印象的。 特に最後の息を引き取るシーン。 なんとも切ない。 涙が出そうだ。 欧州独特の優美な雰囲気が画面に現れ、そこにカトリック的な厳粛さと悲劇、人間が持つ残忍性、そして何より少女の肢体が放つ自然の美たるものが複雑に絡み合い、本作を奏で上げている。 本作はそういう意味で、完成された総合芸術品だといえるだろう。 とにかく何度も観てみたいと思わせる、息をのむ美しさを持つ作品である。 [DVD(字幕)] 9点(2008-10-25 13:20:01)(良:1票) |