1. バニラ・スカイ
オリジナル「オープン・ユア・アイズ」には到底及ばない酷い出来なのが残念。トム・クルーズの顔面崩壊は、彼の内面の歪みを視覚的に表現した面白いアイデアだが、如何せん話に説得力が無い。全編を通して出ているペネロペより、要所要所で登場するキャメロンのほうがずっと映画を盛り上げていたが、それも空しい・・・。実際、トムのあの表情・・・。あんな彼の顔は観たことが無い。うがった見方かもしれないが、ペネロペが好きで好きでどうしようもないというのが見て取れて、ウンザリさせられたのだ。なぜキャメロン・クロウはこんな映画に参加する気になったのか、それが疑問 3点(2003-02-02 00:53:22) |
2. ハンナとその姉妹
アレン映画の中でもとくに好きな一編です。三人姉妹を軸に展開される人間模様が滑稽でいてシニカルで、ユーモアもあり、素晴らしい出来。アレンの私的映画は、この作品から普遍的な様相を呈したと言ってもいいのでは。ラストは衝撃的で、あらゆる映画のなかでも、ベスト10に入る意外な幕切れではないでしょうか。ダイアン・ウィーストが魅力的。 8点(2003-02-01 19:58:37) |
3. バウンティフルへの旅
感銘を与える忘れがたい作品。メアリー・スチュアート・マスターソンの父が監督した作品です。ジェラルディン・ペイジ演じるスウィートなおばあちゃんぶりはさすが。「バウンティフルへ帰りたい」という彼女の気持ちが痛いほど伝わってきて、観ているこっちも道中ハラハラしどうしでした。それを取り巻く息子夫婦や、バスで知り合う女性たちなど、どれもうそ臭さが全く無くて、良いのです。心が洗われるような気持ちになったことを憶えています。 7点(2003-02-01 19:42:53) |
4. 母の眠り
ストリープ演じる母性愛の強い母とその母を疎ましく思う娘。こんな関係はどこにでもあるものだと思います。この映画はただのお涙頂戴映画ではありません。普通なら、「ウゲエ」と思わずうなる内容かもしれないし、そう思う人も多いみたいだけれど、私はこの映画を観て、センチメンタリズムなどは感じなかった。むしろそれを排除した作品。そうでなければ、ただの安っぽい作品になってしまうから。ストリープの「幸せになるのは簡単。無いものねだりはせずに、今あるものを大切に、心豊かに生きることだ」(確かこんなかんじだった)という台詞は胸にグサリと突き刺さりました。ゼルウィガーのシリアスな演技もなかなか良いですね。彼女は女優としてこの映画で大きく飛躍したと、私は感じました。 7点(2003-02-01 17:33:13)(良:1票) |
5. 鳩の翼
原作を斬新に現代的にアレンジしながらも、肝心のストーリーは決して損なわれずに、見事に映画化されていたと思います。サンディ・パウエルの衣装、エドゥアルド・セラの美しい撮影も見事です。ヘレナ・ボナム=カーターの出演作品のなかでもベストの1つ。「眺めのいい部屋」「ハワーズ・エンド」の情熱的なヒロインも良かったけれど、この映画での彼女は、とても繊細にケイトを演じていたし、一種の女の怖さみたいなもの、微妙な心理表現も的確になされていたと思うのです。モード叔母の抑圧的な支配、階級社会に縛られた彼女の複雑な立場。それらから開放されること、自由への跳躍を、題名の「鳩の翼」は意味しているのだと思います。イギリスでは鳩は「無垢・自由の象徴」だそうです。ミリー役のアリソン・エリオットの天使のような大らかさ、その微笑みも忘れがたい一作でした。 8点(2003-02-01 15:52:04)(良:1票) |