2. ヒーローショー
《ネタバレ》 爽快さが一発で伝わるようなタイトルとは全く違く、映画全体は重く痛ましい空気が最後まで支配されます。容赦のない暴力描写はちゃんと暴力の痛ましさを十分に伝えていると思います。そして主演のジャルジャルの二人はプロの役者では出せない味わいがあり相当、健闘していました。あと暴力の連鎖が起こす決定的、悲劇も誠実と言えるほど描いていてそこも好感を持ったので、私はこの映画はそれなりに評価したいです・・が、不満も多いです。ヒーローショーで使う素材は中盤以降、マスクを都合のいい時に利用したりするだけで別にそれ以上の意味が物語で絡んで来ず、上辺だけのヒーローショー設定としか思えません。そして主役の芸人を目指すユウキですけど・・この人が芸人という設定でなければいけない必然も特に感じず、このキャラをただの『フリーターの陽気なバカ』でも済みますよ。芸人の設定をわざわざ出すなら、ユウキは芸人ならではの決着、もしくは成長を見せるべきなのでは?彼の成長自体もあやふやでラストの余韻もピンときません・・あと二次元女子が好きな設定もまるで物語に生かしてないですし何だかな・・。もう一人の勇気は冒頭は粗暴が見え隠れするキャラクターで期待していたのですが・・自分の彼女と話すシーンでは不器用だけど元来の人の良さが見えたシーンに思え、彼の凶暴性の発露の出し方がちょっと性急過ぎると思いました。もうちょっと相手側が勇気がそれだけの暴力を振るってしまう動機を見せた方が良かったと思いました。後半は人の良さが滲み出る所が多々出ていたので、やっぱりあんな暴力する人とは思えない、悪い意味でのギャップがあり困惑しました。ラストの暴力の連鎖が及ぼす悲劇には納得しました。あと元々の原因を作った連中の結末はちゃんと描いて欲しかったかな・・全体的に設定とテーマが話に上手く絡み合っていないのですが、それなりに魅力的な作品ではあるのでもったいないと思いました。 しかし二回目の鑑賞以降、各キャラのどうしようもないキャラの魅力さがより伝わって来て好きになってしまいました。後半の冗長さも受け入れられるようになりました。しかし万人にはお勧めしがたい不思議な映画であります。 [映画館(吹替)] 8点(2010-06-06 20:51:43)(良:1票) |