1. ヒストリー・オブ・バイオレンス
《ネタバレ》 この作品をどうとらえるかは、受け手に委ねられています。なぜジョーイはトムとして生まれ変わろうとしたのか、暴力に目覚めた息子の今後の学校生活は?信頼を失った家族の再生は可能なのか。劇中生じる疑問の答えを監督は用意していません。ただ、この多くを語らない手法は、私たちの想像力を刺激し、むしろ多くの「答え」を感じ取らせてくれるように思います。ラスト、団欒の場に戻ったトム=ジョーイの姿に、救いと希望を感じつつ、同時に破滅も予感させる居心地の悪さ。見た目のグロテスクさはずいぶんと抑えられていますが、クローネンバーグ映画の尾を引くイヤラシサは健在です。また、わずかな目の動き、微妙な表情の変化で複雑なトムの人間性を表現するヴィゴの執拗なまでのアップは、ファンには眼福。繰り返し見るたびに新たな「答え」を発見する非常に懐の広い映画です。 [映画館(字幕)] 10点(2006-04-20 14:23:10) |
2. ビヨンド the シー/夢見るように歌えば
《ネタバレ》 予想していたものとは違いましたが、ケヴィン・スペイシーが愛情たっぷり、精魂こめて作りました!っていう熱意が伝わってきて、好印象。ラストのフラミンゴの観客総立ちには胸が熱くなります。ただ、全体としては昔のMGM調にハチャケたいのか、伝記映画らしく正調に作りたいのか、どっちつかずで中途半端、乗り切れなかったのも事実。そんなに年寄りではないのについつい50代くらいに見えてしまうケヴィンが20代、30代の青臭さを出すのはキツイかなぁ・・・若々しいケイト・ボスワースとのバランスも悪かったですね。ロリコン親父に見えちゃって・・・(ケヴィン、ゴメン。大好きなんだけどね) [DVD(字幕)] 7点(2006-04-14 18:43:17)(良:1票) |
3. ヒトラー 最期の12日間
製作側の意図がどうあれ、アドルフ・ヒトラーが特異な存在には見えない映画でした。幕僚たちを前に切羽詰ってわめき散らす姿は、中小企業のワンマン社長の姿にも似て哀れです。映画である以上、作り物(=フィクション)であることには違いないので、最後までそれに徹してくれたほうがスッキリしたんですが・・・でも、個々のキャラクターがよく立った、それぞれに背景・人間性を感じさせる良質の作品です。 [DVD(字幕)] 7点(2006-04-10 18:58:33) |
4. ピーター・パン(2003)
子供の頃から早く大人になりたかった、というか子供でいたくない子供だった私には、ピーターパンの心情は理解できない・・・。アニメを見た時はディズニーが苦手だからかと思って実写版にもチャレンジしてみたけれど、やっぱりダメでした。ファンタジーというジャンルは大好きなんですけど。フック船長のムダに脱いでるサービスショットな登場シーンを喜んじゃう汚れきったオトナが見てはイケナイ映画だったのかもしれません。(でもフック船長は色っぽくて格好よかった!彼とお父さんの心情のほうが私にははるかに理解しやすかったですね) 5点(2004-10-01 15:10:41) |
5. ビッグ・フィッシュ
《ネタバレ》 前半から中盤にかけて、「親父いいかげんにしてくれよ!」と息子の気持ちにリンクしつつ、いたたまれない気分で見てましたが、ラストの病院シーンではボロッと涙がこぼれました。これまでうんざり退屈な話に付き合わされたのも、このラストのためか……。ラストで持ち直したとはいえ点数が辛いのは、どうせ人生脚色するなら笑える話にすれば良かったのに、と関西人な私は思っちゃうから。親父の話、おもろないねん。関西人(すべてとは云いませんが)は、けっこうナチュラルに話をデフォルメしたり茶化したりするもんなんで、親父が法螺をふくことに苛々したりしません。その法螺が他人を貶めてるっぽくて、それを延々と見せられるのが苦痛だったんです。皆さんの点数がすごく高いので期待して行ったんですが、マイベスト・ティム・バートン「シザーハンズ」を超えるのって無理なのかなー。 5点(2004-06-10 19:00:27)(笑:1票) (良:2票) |
6. HERO(2002)
色彩が美しい映画でした。ふだんは全く観ないジャンルですが、それなりに楽しかったです。内容は・・・・・・きっと映像美とアクションを見せるための映画なんですよね!最初の無名と長空の立ち回りは見ごたえがありました。でもそれ以外はちょっと退屈。ワイヤーアクション、くどいねん!中味とは関係ないですが、無名が中村繁之に、飛雪が浅野温子に、始皇帝が中村橋之助に見えて仕方なかったです。 6点(2004-02-06 12:06:02) |
7. 陽のあたる教室
《ネタバレ》 安心して観れた作品ですね。学生時代に観たら、ひょっとしたら鼻で笑っていたかもしれません。逆に、こんな先生とめぐり合いたかったと思うか、微妙なところ。良い作品だとは思いますが、薄味。ラストの交響曲が、あまりイケてなかったので、ホランド先生、やっぱり教師が天職だったんだよ、と思ってしまった。 7点(2004-02-05 11:57:52) |