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1.  ヘンリー&ジューン/私が愛した男と女
硬質な肌触り、それでひんやりしている。とりわけヒロインのアナイスとジューンの凝視。相手を見抜いてやろうという凝視と、そう簡単に理解されないわよ、と気を張っているために見返す凝視でもあるか。自分の輪郭を絶対侵させまいとする誇りのようでもあり、傷ましくもある。とにかく日本にはない視線。この視線のドラマの迫力が強烈で、ジューンなど「尽くしたのに捨てられる哀れな女」という新派的な弱い存在になりかねないところなのに、彼女が残った二人を裁いているドラマでもあった。彼女、その後社会奉仕の仕事に入ったそう。この閉じた人々の物語で、世の中が姿を垣間見せるのは、ドイツのラジオとこの社会奉仕のナレーションのとこだけ。社会が確実にこの人々を閉じ込めつつある中で、ジューンだけは主体的に社会との関係を回復していく。音楽や映画が同時代の動向を示している。登場する人々がみな毅然としている。駄目な旦那でさえも。
[映画館(字幕)] 8点(2014-01-09 09:23:22)(良:1票)
2.  北京好日 《ネタバレ》 
前半ネオレアレズモ、後半落語の「笠碁」。いい映画だ。愛すべき気難し屋が活写されていく。所在無さを綴っていく前半から楽しいが、本題は京劇趣味の老人たちに公園で出くわしてから。最初からしゃしゃり出はしない。一歩離れてて、しかしアドバイスを乞われると嬉々として、いちいちコワイロやったりする。で劇団結成。遅刻したら歌わせない、などの規律を定め、愛すべきファシストとして君臨する。みんなはただ歌うのが楽しみなのだが、「芸術家」として統制したがる。風刺や皮肉があるのではない。ただオカシミとして捉えている。老人だと我を張ってもどこか社会に通じてないせいか深刻にならず、遊戯の気分で喧嘩が出来る。お祭りの公演。審査の発表を省略してシュンとした帰り道につながる妙。メイクのまま夜道を歩かせている。ここらへんのブツブツが絡んでいくあたり、混乱の盛り上げ方がとてもうまい。あっちでもこっちでも湧き返ってくるおかしみ。歌うのが楽しいのと世話するのが楽しいのと、なんかこの喧嘩のほうがお祭りみたいで、テーマは「老人の生きがい」なんていうと大袈裟になってしまうな、「人生の手ごたえ」と言ったらいいか、人生ってのはこういうふうにいいもんだ、と思わされた。苦みも陰りもない。中国映画には珍しい澄明感がある。死んだ奥さんの写真は若かった。長い一人暮らしだったんだな。
[映画館(字幕)] 8点(2011-05-03 12:21:01)
3.  ベリッシマ
イタリア語が氾濫すると、もう恍惚となってしまう。喧騒がカタルシスを呼ぶ言語なんてほかにあんまりないんじゃないか。内臓まで陽を浴びているような健康的な雰囲気。母親が娘にはいい暮らしをさせたい、という熱情に動かされているところがやはりネオ・リアリズムなんだろう。ただ母の娘への溺愛という一般化されるドラマの前に、社会というものが絡んでくる。映画会社の男(蟻を数えてらっしゃい)が母の期待の重荷を語るところ、あるいはスターだったのが今は編集にまわっているところ、などで広がりを感じさせる。このネオ・リアリズム監督だったころからもうバート・ランカスターに興味を持っていたことが分かって、それも興味深い、上流階級を扱うようになってから見いだしたわけではなかったのだ。でもともかく本作は、イタリアのお母さんを凝縮したようなアンナ・マニャーニの張きりぶりを眺めているだけで、もう十分に満足。
[映画館(字幕)] 8点(2009-12-15 11:58:51)
4.  ペパーミント・キャンディー
「前向きに生きよう」なんて言葉を気安く使うな、という凄味がこの映画にはある。なにしろ「後ろ向き」が中心モチーフだ。「後ろ=過去」の復権、「後ろ」の重さ、「後ろ」の開き直り。20年をさかのぼっていく旅は、そりゃ暗い。最後に光州事件に至る韓国の現代史だもん。過去へ過去へとさかのぼった記憶の旅は、最後に一個のペパーミントキャンディーに結晶する、「人生は美しい」って。だからドラマの伏線も普通の因果関係ではなく、まず「果」が現われてから、「因」に至っていくわけ。これじゃ、何もかももう取り返しがつかないわけだ。過去のどこにも選択の間違い(あるいは選択の余地)はなく、すべてはゆっくり損なわれるように決定されていた、ってことを確認するための遡行。敗北主義とか、自己憐憫なんて言葉も浮かぶが、でも人生って、自己憐憫には値するのではないか。
[映画館(字幕)] 8点(2008-09-03 12:11:26)
5.  ヘンリー/ある連続殺人鬼の記録
純粋殺人者って言うんですか、実在した殺人狂なんだけど、彼なりの心得がちゃんとあって、同じ手口は続けない、首を絞めた次はピストルとか。場所も変えていく、そうじゃないとつまらないから。なんか分かるのは、関わりが周囲に知られている者には手を出さない。用心のためもあるんだろうが、彼の「心得」の一つ。憎い相手でも手を出さず、親切に車の修理を見てやろうとした行きずりの他人で代用する。ここらへんの(彼ならではの)世間との緩やかな関わりが、なんか分かる。世間を代表させた「他人」を一人ずつ殺しているんだろう。母を殺した手段をしばしば言い間違う、何通りもの手段によって、何通りもの殺しが繰り返されていく。そして究極の孤独へ向かって突っ走っていくヘンリー、おそらく孤独というものを理解できずに。殺人ってのは、濃密な人間関係とそれからの解放を同時に果たす、あと腐れなくサッパリと。まだ多少人間味のあるオーティスを主人公にして、ただのチンピラがどのように「開発」されていったかを辿るという手もあったが、この映画は、この世には「われわれ」とハッキリ断絶している人間がいるんだ、ということの凄味で勝負した作品なんだろう。
[映画館(字幕)] 7点(2012-08-29 09:28:17)
6.  ベロニカ・フォスのあこがれ 《ネタバレ》 
この人の映画は、わざと通俗ぶるようなところがある。「通俗」ってのは、作る側と見る側とがある程度了解済みのことを語って互いに安心する、という仕組みだ。モルヒネに溺れる女優、医者たちの犯罪グループといった三面記事的な興味をひきそうな題材を揃えてある。自分の世界をクッキリさせるために、わざと通俗の背景を用意した、ってんでもなく、通俗なものへの素直な思い入れが感じられる。戦前の華やかな時代を懐かしみ求めつつ、現在の自分を人目から隠そうと奔走するヒロインに、ドイツ人のその時代の心情が重なっているんだろう。そして彼女から金を搾り取っていく組織の存在にもリアリティがある。全体として「了解済み」のことが語られていくのだが、この三面記事的通俗さに、なにか新鮮な「優しさ」のようなものを感じるんだな。「優しさ」って言うと爽やかすぎるかも知れないが、ちょっとズレれば「おせっかい」や「覗き見的好奇心」にも変わってしまうであろう「優しさ」なの。いまでもよくちょっとして記事に触発されて無責任で自己満足的な「優しさ」の嵐が世の中に起こることがあり、そういったものに眉をしかめるのは簡単だけど、監督はそこに現代最後のスカスカになった優しさを発見しようとしているのではないか。皮肉でなく肯定的に。この映画暗い終わり方のはずなんだけど、それほど暗澹とした気分にはならなかった。スポーツ記者が一度は閉じた自分の殻を破って「優しさ」を溢れさせたところを私たちが目撃したからではないか。
[映画館(字幕)] 7点(2012-08-17 09:51:54)
7.  ベイビー・オブ・マコン 《ネタバレ》 
赤と金と黒による厳粛なる悪趣味の世界。光が絞られたときの金が美しい。芝居仕立てにしたことの意義が、もひとつピンと来なかったが、舞台という制約を置いたほうが、この監督のイメージは自在になるのだろう。舞台装置の人工的な感じ。収穫の衰えた世界に奇跡の子を捏造していく話。捏造でもないか、実際に「母」の純潔を守るために誘惑者を牛の角にかけて殺したりするの。パタンと馬小屋の壁が倒れて観客席が姿を現わしたり。この監督にしては悪趣味が抑え目だなあと思っていたら、ラストでちゃんと死体をバラバラにしていた。『コックと泥棒…』のカニバリズムに通じていく、とにかく死体趣味なの。典雅なふるまいと悪趣味が通じているところが、味わいと言うかなんと言うか。
[映画館(字幕)] 7点(2011-05-02 09:56:16)
8.  平成狸合戦ぽんぽこ 《ネタバレ》 
ちょっと話を複雑にしすぎたか。ワンダーランド社長や狐が絡んでも尻すぼみで、いっそプロパガンダならプロパガンダに徹したほうがスッキリした。そして戦う相手が茫漠としている。作業員三人を殺してどうなるものでもない。この相手のはっきりしないところが、現代のポイントなのではあるけれど。だからこれと対になるように玉砕したわけか。絵としては、狸が三段階になる、リアルな狸・マンガ狸・デッサン狸で、この簡略化されたデッサン狸になるのが、よく意味は分からないが、なんか面白い(群衆だとなる、ってんでもないんだよな)。妖怪パレードのシーンが楽しい。市民社会と幻想とが混在し、市民が楽しんでしまうの。懐かしむというか。屋台の背後での行進、小さな阿波踊りなど、この小ささに味わいがある。消え去った後、ガードレールなどに腰掛けて、あたかも花火大会が終わった後のような気分のカットがいい。その点、ラストの田舎の幻想は、あくまで現在のニュータウンと画面の中で混在させなければならなかったんじゃないか。ナレーションを語らせ続けるのは、そう悪い試みではなかったと思うけど、ときに自然保護運動のチラシの中にあるような固い言葉になる。
[映画館(邦画)] 7点(2010-07-18 10:53:21)
9.  ベイブ
豚と心を通わすのが子どもでなくてじいさんというのがいいな。これでずいぶん奥行きが出せた。食われるための豚も牧羊犬も、つまるところ人間の奴隷ではあるんだけど、「尊厳」というモチーフを持ち込めたわけだ。そしてあくまで動物の世界が主で、人間の世界を背景にしたのもスッキリしている。目覚まし時計始末のあたりの演出もなかなかのもので、引っかかって揺れるペンキや転がる毛糸玉、それに足を引っ掛けそうになるところなど十分緊張を高めといて、その瞬間は見せない。あとの乱れた室内と足跡で笑わせる仕掛け。猫の嫉妬による告げ口がポイント。母犬が、そんなことはないのよ、でなく、そうよ、と言うところが立派。豚は食べられるために存在する社会、これを諦念とするか、革命への心準備とするか。おそらくドラマとしてこれ以上突っ込むと、娯楽作品の枠を壊してしまうので、けっきょく「けなげなヤツが尊厳を見せる」といった地点でまとめてしまうんだけど、たとえばこれを見た子どもが、その先を考えるきっかけにはなっただろう。子ども向け映画はそれでいい。でコンテスト、それが豚であるというだけで場内は笑いに包まれ、そのなかでけなげなベイブを見ていると、やっぱり涙ぐんでしまうのであった。
[映画館(字幕)] 7点(2009-08-12 12:06:30)(良:2票)
10.  ヘアスプレー(2007)
メタボメタボとヒステリックに叫ばれている中、でぶでぶした女の子がどこ吹く風とコロコロ踊ってるのを見るのは愉快である。でぶの人はだいたい主人公のドジで愉快な友人役と決まっていたものを、それを中心に持ってきただけで新鮮。そして60年代風音楽がカラフルに展開していく。キャスティングの妙。だってクリストファー・ウォーケンとジョン・トラボルタが仲良く夫婦愛を歌って踊るんだぜ。ミシェル・ファイファーの根性まがり女も楽しい。ただ、この作品ならこの曲と記憶されるような決定的ナンバーなり、ユニークな振り付けなりがないのがちょっと寂しい。デモのシーンなど、ここは大事なところだから真面目に演出しました、って感じだったが、ああいう場面こそ、もっとミュージカル的に盛り上げて、それでメッセージが濃く伝わるのではないか。とはいえラストのコンテスト会場シーンはたっぷりで満足。あの姿のトラボルタにダンスのキレを期待するのは酷だな。
[DVD(字幕)] 7点(2008-07-24 10:45:01)(良:1票)
11.  ヘンリィ五世(1944)
総天然色映画。原色のまぶしさがこういう作られた世界では味わい。当時のロンドンのミニチュアからグローブ座へ入っていく。ここらへんは歌舞伎役者が地方の古い小屋で芝居やりたがるのと同じ気持ちなんでしょう。映画の観客だって、グローブ座みたいな狭いところで同じように想像力を働かせて見てるわけだし。港からしだいにカキワリのセットになっていく。シェイクスピアやるのにリアリズムでやってもつまんない、舞台的な制約があってこそ空想がはばたくいうのは、やっぱローレンス・オリヴィエ、根っからの舞台人の血ですか。後のケネス・ブラナー版は、ややリアリズムに足を取られてしまっていた。夜のモノローグからパッと明るいアジンコートへの転換、馬が走りますなあ。だんだん速さを増して。こればかりは舞台じゃ出来ない迫力。
[映画館(字幕)] 7点(2008-04-09 12:20:52)
12.  蛇イチゴ
大谷直子がいい。亭主の失業知って荒れてると、娘に「どうしてそんなにイキイキしてるの」と言われる。家族は登場人物でありながら、互いの批評家にもなって、反射し合う。対角線を引き合う多角形。義父が倒れて風呂掃除に没頭するワーッって感じもリアル。忙しかったから気づかなかったのよ、って。ああいう逃避行動、そう罪のない似たことならやってません? 家族それぞれのドラマがラストに至って急に兄妹にズームアップする。いや、本当はずっとそうだったのかもしれないけど、私にとっては終盤からだった。いい加減な兄と真面目過ぎる妹、合わないきょうだい、そういうカップルが次作につながったか。
[DVD(邦画)] 6点(2013-11-18 12:23:04)
13.  ペルシャ猫を誰も知らない 《ネタバレ》 
観てたら「アングラ」なんて死語がつい出てきた。『新宿泥棒日記』の時代を思い出させる現在のテヘラン。地下に潜る若者たちは政治的抵抗運動をしているわけではない。ただ歌いたいだけ。ロンドンでコンサートを開きたい、終わったら帰ってくるつもり。あの時代の東京も実はそうだった。やがてそのエネルギーが政治運動(に見えるもの)に移っていったが、中心にあったのはこのテヘランと同じ衝動だったはずだ。そのうごめくテヘランのアングラ事情が実に魅力的。ニュース映像からは伝わってこないナマナマしさが溢れている。流れる歌の数々、子ども向けのはシャンソン風だし、多くはロック、野外での演奏もよかった(男たちの民族的な踊りが入ってくる瞬間のときめき)。そしてラップ、かつて『クロッシング・ザ・ブリッジ』というドキュメンタリー映画でトルコのラップを聞いたことがあるけど、あそこらへん中近東のラップは迫力がある。アメリカの黒人のものだったうめきが、今では全世界の言語になっている。この世界の普遍性への憧れが一つのモチーフ。海賊版DVDで取調べを受けているシーンが傑作。ちゃんと映りませんよ、汚れはスポンジで拭いてるし、などといかに粗悪かということで、密売の害がないと当局に訴えている。現在の体制下でDVDは普遍への窓でもあるんだ。そしてヒロインはカフカを読んでいた。愚かな大統領の下で閉塞を強いられているテヘランの人たちも、カフカを読んでいる(本当にカフカを読む人がアハマディネジャドを支持することは不可能だ)。世界の普遍へ憧れている。彼らの熱望が伝わってくる。ここには絶望を凌駕する熱望があった。だからこの話の閉じ方が不満。現状の厳しさは分かるが、もっと開かれた結末は用意できなかったのだろうか。
[DVD(字幕)] 6点(2012-02-23 10:27:45)
14.  ベルエポック(1992) 《ネタバレ》 
おとぎ話的な構図。上の三姉妹にもてあそばれた後に、末娘と結婚し幸せに暮らしましたとさ、って。生き生きする女性どもと、憂い顔の男どもの対比。ふらりと姉妹に惹かれて汽車から戻ったものの、姉妹のペットになっていくような。女性陣の勝利が決定的になるのは母親の帰還シーン、一番いいとこ。庭からの歌声、窓が開く姉妹、屋根裏の主人公も。ベルエポックって、どこか幼年期志向と重なるとこがあるかもしれんね。母性的なるものってことか。王政派も共和制派もけっこうなごやかに暮らしているスモールヴィレッジの雰囲気。二人の警察隊員の死と、神父の死の間に挟まっているベルエポック。二つの男の自殺に挟まれた女の時代、と言ったほうがいいか。軍服の次女に怪しい魅力。あちら本場の人の「タバコ」という発音のアクセント、たいして日本人と違わなかった。
[映画館(字幕)] 6点(2011-03-11 12:20:38)
15.  ペリカン文書 《ネタバレ》 
読んだことないんだけど、映画化されたものを見た限りでは、この原作者のって、あんまり映画向きじゃないんじゃないの。複雑で。印象に残っているのは、公園(?)で、俯瞰で、ワーッと蜘蛛の子を散らすように逃げていくとこぐらいか。ペリカンの飛行で始まり、飛行機で終わる仕組み。なんか犯行が雑なんだよね。リアリティの欠如。私が犯人だったら、少なくとも同じ日には殺さないと思う。なにか犯人側の打つ手打つ手が自分を指名させていってるようで。で、正義への勇気、というアメリカ映画のいつものテーマ。アメリカではこういうとき「新聞」ってのが拠りどころとして描かれるのが、うらやましい。ジャーナリズムの中立性への信頼。政治に脅されても大丈夫なところ、という前提が確固としてあるんだろう。ヒロインと暗殺者とが、「装う」ところを交互に描くシーンがあったか。
[映画館(字幕)] 6点(2011-01-04 15:58:10)
16.  平成無責任一家 東京デラックス
家族がぞろぞろと道を歩く場面になると、なにやら味わいがあるが、会話が始まるとそうでもない。話者でない者たちの手持ちぶさたの気配、間を外す笑いみたいのを取ろうとしてるのだろうが、あまり生きてない。一種の「旅芸人の記録」、「巡業」にうんざりしてるんだけど、なんかくっついてやってる、っていうような。導入は市長選のトトカルチョで、いかにも「日本」の風景なんだけど、そのあとのサギがあんまり「日本の断面」って感じでもない。対象は「浮薄な現代東京」してるんだけど、そこを「サギる」手口が鮮やかでない、なにかどこも中途半端。新興宗教めいたのだけ、おかしかった。後ろの連中も一緒に唱え始めるあたり。神社の曲がり角や、桜井センリの床屋などの風景はよし。
[映画館(邦画)] 6点(2010-07-02 11:56:18)
17.  塀の中の懲りない面々
部分的には面白いところもあるんだよ。外に出てからの夢を描くところなんかかなりおかしいし。アベベの脱獄シーンもいい、足音が。シャバに出た植木等がタバコをハッと消しそうになるところ。ただ全体がうねってくれない。つながんない。話の構図が、人間味溢るる囚人にサディスティックな看守、という単純な構図で、そんなもんかなあ、とこちらはつい皮肉な目つきで観ることになってしまう。その構図から離れたのは、ヘリコプターをきょとんと見送るとこかな。突然「革命」なんて言葉が飛び込んでくるおかしさ。インターナショナルはヘリの音に消されがち。この断絶の滑稽さ。口笛は『砂のミラージュ』観てなかったら感動したかもしれない。
[映画館(邦画)] 6点(2010-04-30 11:56:03)
18.  ベンジャミン・バトン/数奇な人生 《ネタバレ》 
最初の盲目の時計師の逆回りの時計なんてとこはワクワクしたのだが、そういった寓話性は本編に入ると薄れてしまい、せっかくの“逆向き人生”って設定があんまり生きてない。チョコチョコやたら入る現代の病床シーンが、テレビで映画見てるときのCMのように邪魔で、作品をエピソードごとに区切ってしまい、さらに“逆の流れ”を感じさせないようにしている。並列的になってしまうのだ。メイクの技術は立派だが、変化が非線形的というか、カチッカチッと切り替わるので、別人の人生の一場面を歴史順に見ているような気分にさせる。“晩年”の哀切さでやっと設定が生きたが、遅すぎた。つまり、観てるほうが頭の中で「これ逆向きの人生なんだよ」と絶えず注釈を入れてないとうっかり忘れてしまう設定なんで、なんか落ち着けないのだ。定型外の人生によって現代史を語らせるってのは『フォレスト・ガンプ』を思わせるが、あれほど同時代史が関わっているわけでもなく、かえって“逆向き人生”の趣向が薄められた気がする。この監督と意識したのは、ラストのひたひたと寄せる水で『セブン』も水だったなあ、と思い出した程度。
[DVD(字幕)] 6点(2009-11-11 11:59:21)
19.  ヘブンズ・プリズナー 《ネタバレ》 
ハードボイルド系の男って、けっこう演歌的にうじうじしているものなのかも知れない。なんか影が必要なのだ。この場合もとアル中であり、話半ばで妻を殺される。過去を引きずる影がじめじめと出来上がる。冒頭はなかなか良かった。教会の懺悔のあとカメラがえんえんと河を下り、海上の舟に近づいていくの。おそらく南部のけだるさと暑苦しさが味わいになってるのだろうが、アメリカ人でない私にはよく分からん。見せ場としては一応途中で悪い奴を街中追い掛けるのがあるけど、この手の作品は静けさをうまく出すことのほうが見せどころだから、一つ間違うとこのようにダラダラしてしまうんだ。「てめえが生きてるのは、俺の機嫌がいいからだぜ」なんてセリフがかっこよく、いつか使ってみたいものだが、なかなかそういうセリフにふさわしい状況が訪れてくれない。
[映画館(字幕)] 6点(2009-08-30 12:01:32)(笑:1票)
20.  変身(2002)
カフカの小説にはサイレント映画の影響がある、などという論考もあって“汽車の到着”で始まりサイレント映画的に展開していく冒頭シーンを見て、これはいいかもしれんぞ、などと期待したが、どうも変身後はいわゆる文芸映画の枠に収まってしまった。舞台版の映画化と後で知ったが、さもありなん。繰り返される窓枠や額縁のイメージなんか、もっと映画的に膨らませられそうなのにもったいない。二度目の女中の演技はなかなか良かったが、肝心の家族の演技が舞台的。もっとも、ソ連後のロシアでカフカが映画化されるってこと自体には興味が湧く。
[映画館(字幕)] 6点(2007-12-09 12:18:11)
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