1. 本当の目的
《ネタバレ》 実は昏睡してない姉の方でした、なんてありがちだけど、そんなサスペンスな展開だと思って観てなかったから素直に楽しめた。 村に一人しかいない女性だという叔母さんが絶妙なタイミングで登場したり、いろんなパーツを組み合わせて、ラストで合点が行くように観せてくれる流れは、やられた!って感じ。 ただ、観ている我々はヤナの怒りを突如知らされる形になるので、幼なじみの悪徳警察官に対する怒りに同調し切れず、置いてけぼりを食らってしまった。 でも、他人の復讐劇なんてそもそもがそんなものかもしれない。 マリカはヤナの怒りや憎しみを充分理解できていたし、それに加担することで自由も手に入れることができたのだけど。 最大の難点は、映画それ自体ではなく、他のレビューワーの方も言っておられたように、邦題。 なんてセンスなんだ。いや、センスという次元ではない。だってそのままじゃん。 [インターネット(字幕)] 6点(2022-08-12 23:12:50) |
2. ポゼッション(2012)
《ネタバレ》 エクソシスト系の映画は、家族愛が大きく取り上げられるのだけど、本作はちょっと斜めから。 家族を顧みずに離婚された仕事人間の父親が娘を救い、妻と家族を取り戻す、というお話。 そこを描くことに時間が割かれているので、謎の箱の正体がかなり曖昧なまま、薄気味悪さだけが膨らんで、結局すっきりしない、という点は残念。 並み居るラビ達が恐れをなして逃げ出すあたりは、ワクワクしたんだけどその後が続かなかった。 しかし、取り憑かれる少女の演技は素晴らしく、特殊効果も相まってかなりの怖さ。 ちょっとリンダ・ブレアに似てると思うのは私だけではないはず。 すんなりとは終わらせないラストも良い。 [インターネット(字幕)] 7点(2022-03-28 21:33:44) |
3. ホテル・ムンバイ
《ネタバレ》 たとえ相手が虫だって、あんなに簡単に迷いなく殺すことはできない。 若いテロリスト達は、いったいどんな言葉で洗脳されていったのだろうか。 「無知」であることの恐ろしさを改めて感じさせる映画。 逃げようと思えば逃げられたものを、客のために命を張った従業員たちの行動が胸を打つ。 他の方も書いておられたが、初めから終わりまで、自分もホテルムンバイに囚われているかのような緊張感が延々と続く。 外の情報をほぼ入れることなく、ホテル内に居る人の視点で描く手法が功を奏している。 救いのない、ひたすら悲惨な出来事を正面から扱った佳作。 [インターネット(字幕)] 8点(2021-07-02 20:03:49)(良:1票) |
4. ホテル・アルテミス 犯罪者専門闇病院
《ネタバレ》 犯罪者専用の闇病院。しかも銃持ち込み禁止等厳格なルール有り。 ジョディ・フォスター扮する「ナース」のヤサグレさ加減が小気味いい。 そして最強の医療従事者、「エベレスト」。 ってな感じでワクワクが止まらなかったのは、正直最初の15分くらい。 ナースの過去とかほじくるのやめて、クールな闇病院物語的なお祭り映画にしたらもっと楽しめたのではないかと。 とにかくナースの人格がブレブレで、ヤサグレ切ってないのが残念。 ナースとエベレストのコンビ、良かったのになあ。 ジョディの変貌ぶりに、特殊メークであってくれと祈りながら観て、ここのレビュー観て安心しました(笑)。 永遠の女神、ジョディに加点。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-01-11 11:49:21)(良:1票) |
5. ボーダー 二つの世界
《ネタバレ》 俺たちは同じ種族だって、そりゃ見た瞬間にわかる。 でもまあそんなサプライズはこの映画にはそもそも不要か。 幼い頃からいじめられてきたティーナが、人間への復讐を繰り返すヴォーレを理解出来ず、誰も傷つけたくないと語る船上のシーンは切なかった。 出自の秘密を知ったティーナが、種族にとらわれることなく、思いのままに生きようとするラストは、ここに至るまでの異常な描写に反してむしろ爽快に映るのは不思議。 でも、観る人を選ぶな、この映画。 [DVD(字幕)] 7点(2020-08-12 23:29:07) |
6. ボーダーライン(2015)
《ネタバレ》 吊るされた死体。山積みになった麻薬。 我々が異常と思う世界に住む彼らにも、息子とサッカーをする日常がある。 アレハンドロは単なる復讐者であって、メキシコの闇を救う救世主ではない。 ケイトもまた然り。 たった一人の暗殺者に怯えるようでは、正義を貫くことはできない。 やり切れなさが全編に漂う映画。 でも、これが世界の裏側の現実。 [インターネット(字幕)] 7点(2019-08-08 23:59:36) |
7. 僕たちは希望という名の列車に乗った
どう生きるべきかを常に問われている国や時代があったことを、我々はもっと知っておかなければならないんだろうな。 軽い気持ちでしたことが、若者たちの未来を大きく変えていき、その時どうするかが自分の人間性を示すことになる。 自らの在り方を改めて問われる映画だと思う。 若者たちの前途が明るいものであることを、祈らずにはいられないラストだった。 いや、いい映画。 [映画館(字幕)] 9点(2019-07-04 17:58:59)(良:1票) |
8. 僕と世界の方程式
《ネタバレ》 エイサ・バターフィールドが観たくて鑑賞。 自閉症で天才的な数学的才能を持つ少年ネイサンを見事に演じ切っていたと思う。 冗談は通じず、人の好意よりも自らのこだわりの方が大事。 変人扱いされる彼が、数学オリンピックで頂点に立つ……って話かと思っていたが、そうじゃなかった。 数学で計算できることにしか興味を持とうとしなかった彼が、公式ではどうしようもない人間同士のつながりに気づき、失った人の喪失感に苦しむ。 自閉症を持つ人がそんな風に感じるのかどうかわからないけど、彼の演技はそこに疑問を持たせないほど圧倒的だったと思う。 チャン・メイを追いかける車の中で展開されるシーンは、ご都合主義かもしれないけど、あれで母親は救われたと思う。だから文句ない。 生きづらさを感じてきたネイサンが、少しでも周囲とのつながりを楽しめるようになったらいい。 [DVD(字幕)] 8点(2018-03-23 00:35:46)(良:1票) |