1. ポンペイ
《ネタバレ》 西暦79年、一瞬にして灰となった都市、ポンペイ。 史劇とディザスターを同時に楽しめる題材。更に、ドラマで人気のイケメンマッチョを起用して、恋愛要素も投入。重厚な映画を好む層から、イケメンに夢中のティーン層までをもカバーする、完全無欠の娯楽大作。それが「ポンペイ」! …になればよかったが、さすがは「ダメな方のアンダーソン」の異名をとるポール・W・S・アンダーソン監督。全てにおいて中途半端な出来となっている。 史劇、恋愛、災害。詰め込み過ぎた割に尺が短いため、重厚感が希薄なのは史劇としては痛い。個人的な意見だが、イケメンの華麗な立ち回りより、バルキーなオッサンのファイトが観たい。ひがみではないけども。模擬戦争が史実をひっくり返すというくだりも、ラッセル・クロウが実演済みで新鮮味は薄い。 恋愛に関しても微妙な出来である。ヒロイン(かわいかったE・ブラウニングがかわいくない。)にあまり魅力が感じられず、キーファーがご執心なのも理解しづらい。侍女の方がチャーミングなのもいかがなものか。 恋に落ちる理由も、「なんかイケメンだしマッチョだから」くらいしか感じられないのもツライ。なのでセレブ政治家のキーファーが、若きイケメン奴隷に負ける悔しさについては、少し分かる気がする。それはそれでヤバい。 大災害は画的にはさすがの迫力があるが、軟弱なドラマのせいで画以上の面白さに至ってはいない。それどころか、あのラストにしたいがためのご都合主義が目立つ。あの破壊王・エメリッヒ監督の必殺技「面倒な奴はみんな事故死」。この禁断の力業をダメなアンダーソンも多用してくるのだ。 「まずはヒロインの両親!政治家との駆け引きめんどくせーから地震で屋根どーん!」 「ヒロインの侍女!馬に三人も乗れねーから!はい残念地割れどーん!」 「ついでに、いち早く逃げ出したおっさん!なんかうぜーから舟に岩石ストライクどーん!」 「キーファーと黒人剣闘士!その健闘を讃えて!お疲れ~、それ熱風どーん!」 こうして恋人達は口づけを交わしながら、悲劇を全うする。「みんな事故死」のおかげで美しい幕切れではないか。 さすがはアンダーソン監督、史劇をここまでのポップコーンムービーに仕上げるとは。2,3日後、きっと僕はこの映画の事をよくは覚えていまい。 西暦2014年、一瞬にして灰となった映画。それが「ポンペイ」だ。 [映画館(字幕)] 4点(2014-06-09 23:42:19)(笑:2票) (良:1票) |