1. ミュージック・オブ・ハート
《ネタバレ》 学校・教育を舞台とした実話ベースのサクセスストーリー。てっきり、あるヒーロー像を映画化したよくあるパターンかと思いきや、ちょっと趣きが違いますね。主役の女性教師はどちらかと言えばよくいるタイプのスパルタ教師。感情の起伏が激しいし、『先生の資質』は普通のほうだと思います。ストーリーの大半は、生徒や親、家族や同僚に助けられているという側面が大きいです。ですが、これはこれで悪くないですね。 バイオリンを忘れたり、練習をしてこなかったりした生徒に厳しくあたりますが、その理由がわかった後では素直に謝る姿勢に、人としての暖かさを感じます。この辺りの強弱のつけ方、魅せかたが凄く良い。なんと言っても、この作品は人と人との支えあいをリアルに感じられるので、見ていて心癒されるものがあります。 ただ、プライベートなエピソードのほうが感情的かつ感傷的なシーンが多いため、相対的に学校でのメインのストーリーのほうが殊更淡々とすすんでいるように感じます。更には実話ベースになっているだけあって、いろいろなエピソードを次々とほうりこんでくるので、一つのエピソードの掘り下げはほとんどありません。伝記的なストーリーですから、中盤から終盤にかけては事実を並べただけになっています。ジャスティンの死もそう。隣の女の子からバイオリンを渡されるのもそうです。小さなトラブルやハードルくらいだったら時間の経過とともに自然に解決もしくは自然消滅しちゃっているので、もの足りなさを感じてしまうところはあります。ただ、そのぶん最後まで大団円で突き進むので安心してみていられるのも良さと言えば良さか。感動はしきれないですが、ハッピーな気分になれるし元気はもらえますね。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2015-04-02 06:15:50)(良:1票) |
2. ミミック
《ネタバレ》 まず、ゴキブリの話ではありません。『ストリックラー病』の媒体であるゴキブリを死滅させるために、DNA操作で創られた『ユダの血統』という新型の昆虫が、進化して人間様を捕食するお話です。『ユダの血統』は『アリ+カマキリ』で作られているため、『集団で行動し社会を形成するアリの性質』と、『獲物を捕食するため獲物に擬態(ミミック)するカマキリの性質』の両方を兼ね備えた、パーフェクトモンスターです。今作ではその両方の性質が活かされているため、モンスター系ホラー映画としては出色の出来で、大変見応えがあります。勢いとパニックだけのモンスター映画かと思いきや、意外に意外、プロットがしっかりしていてストーリーにちゃんと整合性があるのです。大変面白い作品です。 ホラー映画としての定石も踏んでいます。前半の、擬態したユダを姿を見せることで生み出される緊張感。後半の地下の閉塞感と恐怖感。その一方で、珍しく子ども二人が犠牲になってしまうというホラー映画の暗黙のルールを破っているため、マニーの孫が決して安全圏ではないことが、更なる恐怖感を演出しています。 そして地下の廃線と、そこに残っている車両という最高のシチュエーションが醸し出す趣がたまりません。願わくば、その列車で脱出して欲しかったです(笑) [ブルーレイ(字幕)] 9点(2014-12-08 18:24:55) |
3. ミュージック・フロム・アナザー・ルーム
《ネタバレ》 主役のダニーは恋人と別れたばかりです。ヒロインのアンナには婚約者がいます。にも関わらず、『運命の人だ。』って、共感できるかいっ!って感じです。 それに、国民性の違いでしょうか、僕にはダニーがストーカーにしか見えないです。ですから、ダニーはともかくアンナの気持ちがラストに向けて、いったいどこでそこまで高ぶったのかが、いまいちピンとこないです。 ダニーに心を開いたときのアンナの表情というのが、大変に魅力的です。二人の夜を過ごして別れるシーン、駅でのラストシーン、大変良かったです。だからこそ、もうちょっとアンナがダニーに惹かれるわかりやすいエピソードや説得力のあるファクターがあれば、もっと共感を覚えた気がします。 また、今作の場合、恋敵のエリックに落ち度がないため、なんとなく後味の悪さの残るハッピーエンドになっちゃっているのもマイナスかもしれません。 その一方で、盲目のニーナ(ジェニファー・ティリー)とジーザス(誰かわからん)のエピソードは心の温かくなるものばかりで、見ていて幸せな気分になります。 充実したサイドストーリーに、映画の雰囲気を盛り上げる音楽、楽しい映画に仕上がっているのは間違いないんですが・・・。価値観のずれを感じる作品でゴザイマシタ。 [DVD(字幕)] 6点(2014-09-28 03:15:38) |
4. 身代金
《ネタバレ》 予想を超える展開。緊張感のある演出。スピード感のあるシナリオ。どれをとっても個人的には1級品だと思える傑作クライムムービーです。 人物描写も素晴らしく、メル・ギブソン演じる父親の迫力ある演技にひきこまれます。 そんで、何気にレネ・ルッソの演技が良かったです。息子の身を案じながら、旦那に不信感を抱いたり、やはり信頼したり、その揺れ動く感情が痛いほど伝わってきます。 そしてやはりゲイリー・シニーズ。プールに服を着たまま飛び込ませ盗聴器を破壊し、ケースを入れ替えさせることで追跡装置を無力化させる、完璧な計画性。その冷静かつ高い知能にしびれます。 てっきりこのままジミー(ゲイリー)がイニシアチブを握ったまま、物語が進んでいくのかと思いきや、まさかの主導権争いに転じていくストーリーは興奮の一言。 二度目の身代金引渡しに向かう最中、父親が車の中でテレビを見ながら何かを思いつき、そこで狙ったかのようにかかってくる犯人からの電話。そして「気が変わった。」の父親の一言。背筋がぞくぞくするような、何かが起きると予感させるシーン。このシーン好きなんですよねー。 ここから先は父親は攻勢に転じるわけですが、時折聞こえる息子の声に心が折れそうになる様子がたまらないです。電話でのやりとりはこの映画の最大の見所でしょう。 久々に時間を忘れるほど興奮した一時を過ごしました。 [ブルーレイ(字幕)] 9点(2014-05-17 16:22:53)(良:1票) |
5. ミュート・ウィットネス
《ネタバレ》 古き良きサスペンスを味わえる上質の作品でした。 それに主役のビリー演じるマリア・スディナがとても魅力的なのです。ただ可愛らしいだけでなく、演技に愛らしさを感じるんです。ビリーは「耳は聞こえるが口がきけない」という障害を持っているのですが、その設定によって身振り手振りが多くなるわけです。それが見ていてすごく可愛いんです。だからこそ、彼女が危機に陥る前半がやばいくらいにハラハラドキドキで、久しぶりに正統派のサスペンスで緊張感を味わうことができました。 また、この障害の設定は、物語の中でかなり効果的に使われています。例えば、耳が聞こえるので、危機回避ができるのですが、普通だったら思わず悲鳴を上げて見つかってしまうようなシーンでは、言葉を発することができないので、見つからずに済むわけです。ただ、プラスの効果だけでなく、マイナスの効果もありました。ビリーがマンションで襲われるシーンでは、言葉を発することができないので、自分の危機を電話越しにうまく伝えられなくて、とにかく見ているこちらも焦っちゃうのです。障害の設定が映画のストーリーをよりいっそう面白くしてくれているんです。それでいて彼女の特技はしっかりラストに活かされちゃったりして、王道づくしの作品ですが、その中に個性を感じるキャラ設定が秀逸だと思いました。 音楽の使い方も素晴らしく、マイナーなB級娯楽サスペンスとしては破格の面白さ。オススメです! [DVD(字幕)] 8点(2014-03-12 00:10:50) |
6. 未来は今
《ネタバレ》 サクセスストーリーものは大好きなんですけどねー。 フラフープが売れてからのノーヴィル・バーンズ(ティム・ロビンス)のダメ人間っぷりに辟易してしまいます。もちろん、多少傲慢になるところがあるのは人間臭くて良いのですが、映画であればそこから立ち直る姿も見せて欲しいものです。 仕事はしなくなるし、浮気はするし、エレベーターボーイを馬鹿にする上クビにするし、たとえコメディでも観ててイヤな気分になるんですよ。その上、ちょっと旗色が悪くなるといじいじして、最後は飛び降りかい。 ですが結局はハッピーエンドになるんですよね。ただそれも、時間を止める神様らしき黒人の人と、天使になった元社長のブルーレターによって助けられて復活って、全部人の力じゃん。何かしっくりこないです。 ついでに言うと、あの性格のエイミーアーチャー(ジェニファー・ジェイソン・リー)と黒人の神様みたいな人が、なぜノーヴィル・バーンズにそこまで肩入れするのかも意味不明。そんなに魅力のある人には見えんのですが。 なんか辛口のコメントばかりになりましたが、映画そのものは、なんか飽きずに楽しめました。不思議なもんで、最後にフリスピーを笑顔で投げるシーンを見て、「まあ、良いか。」と思っちゃいました。終わり良ければ全て良しってことですかね。 [DVD(字幕)] 6点(2014-01-16 15:22:41) |
7. ミンボーの女
《ネタバレ》 芸が細かい!恐喝の手段って、こんなにいろいろあるんですね。 ゴキブリはよくある手ですが、バッグにゴルフですか・・・ 伊東四朗なんか、最初全然ヤクザに見えない。 はじめはまず油断させる。そしてスナック(キャバクラ?)での「飴と鞭」。あれは怖いです。 ですが一番怖いのは、打算や計算をまったくしない鉄砲玉のような下っ端。 実際井上まひる弁護士(宮元信子)を刺したのは、おそらく状況を全然理解できていない下っ端ですからね。 話も理屈も通じず、まったく行動が予測できない相手が一番怖いです。 父が昔スナックを経営していた時に、ヤクザ関係のお客が一番多かったそうですが、この映画に出てくるような計算高い人ってあんまりいなかったみたいです。 ほとんどは何も考えていない人達。 後先考えない、計算もしない。 そんなこちらの理解の範疇超えてくる人達が一番怖いです。 映画はめちゃめちゃ面白かったです。 オススメです。 [DVD(字幕)] 9点(2012-07-04 16:01:18)(良:1票) |
8. ミラーズ・クロッシング
《ネタバレ》 腕っぷしが強いわけでもなければ、殺し屋でもない。競馬が弱くて借金もかさんでいる。しかしずば抜けた頭の良さと、その人柄で、敵・味方双方から一目置かれているという変わったヒーロー像の主人公トム。 そのトムですが、一見何を考えているのかわかりません。 ですが、彼の行動にはある優先順位がはっきり存在していて、実は終始一貫しているのがわかります。 漫画のワンピースに例えるならば、彼はまさに「火拳のエース」のような存在。「トムとレオ」は、「エースと白ひげ」の関係にそっくりです。 トムの目的はただ一つ。「レオを守ること。」 そのためには他はどうなってもいいんです。 ・・・のはずだったんですが、彼のそのキャラにぶれが・・・ それがヴァーナの存在。彼女の存在は、彼にとって唯一目的意識をぶれさせてしまうものでした。 土壇場で、彼は「レオを守る」という本来の目的から逸れる行動をとってしまいます。 それが、「ミラーズ・クロッシング」でヴァーナの弟バーニーを逃がしてしまうという愚行です。 オープニングの映像も、このミラーズ・クロッシングでした。 当然彼はこの行為によって窮地に立たされていくわけです。 ってな感じで、冷静かつ頭がばりばりきれる主人公のトムがかなりかっこ良いのに、ちょっと私情をはさむだけで途端に窮地に立たされてしまう展開が見事で、かなり見入ってしまいました。 頭脳戦やかけひきをメインとしたマフィアものですので、そういったものが好きな人にはかなり楽しめると思います。 [DVD(字幕)] 7点(2012-05-15 10:46:53)(良:1票) |
9. ミザリー
《ネタバレ》 こんなのずるい。こんなの怖いに決まっています。動けない。監禁。精神異常のストーカーから介護。幽霊やゾンビ出すより、よほど効果的です。ですが、一番怖かったのは、アニーが車で戻ってくるまで。もういつ戻ってくるのか、どきどきしっぱなしです。遠足は前日に準備しているときが一番楽しい、みたいな。ちょっと違うか。 [DVD(字幕)] 7点(2011-10-08 03:22:45)(良:1票) |