1. メアリと魔女の花
《ネタバレ》 スタジオジブリの後継に当たるというスタジオポノックの第一作目。 上映時間は短めで、アニメーションにおける「動」の部分、つまり活劇に注力したことが見て取れる。イギリスの児童文学を原作としており、よく言えば子供にもとても見やすいライトな作風である。 まぁそれは良く言えばの話で、率直に言えば、薄味で食い足りないが既視感だけは腹いっぱいな作品だった。 映像や役者の演技を観れば、まじめに作っていることが伺える。しかしこの内容の薄さは大人にはキツいか。家と魔法学校のお使いを繰り返すこじんまりとした展開が、希薄さに拍車をかける。 目玉となる魔法学校も、モブ生徒と先生数人という地味さ。別にダンブルドア校長とグリフィンドール生を出せというわけではないが、魔法学校となれば、そこはドキドキワクワク胸躍る場所であってしかるべきだろう。 ではキャラクターの描写がしっかり処理されているかというとそれも違う。 メアリについては「冒険を通して成長する女の子」という鉄板テンプレに、「自分に自信を持つこと」というメッセージをかろうじて落とし込めている。しかしメアリ以外のキャラの添え物感は否めない。 まぁ敵役の処理にしてみても「あいつらなら大丈夫っしょ」くらいの軽さなので、そもそもキャラ造形の深さを求めるのが間違いなのかもしれないが。もともと展開の速い作品なので、見る側としては心が乗り切れずに置いていかれてしまう。映像を眺めるだけになってしまう。 なんというか、ただ眺めているだけになってしまうのだが、そこに気になる点もあり…。 やはり過去「ジブリ」からの既視感を感じてしまう。 日本においては多くの人がジブリ作品に慣れ親しんでいるのは事実だと思う。僕もそうだし、「メアリ」を見に来るお客さんにもそういう人は多いと思う。 「なんか見たことあるな」と感じるのは避けられないだろう。 今回、あえて「魔女、再び。」というコピーを採用しているように、製作者側としてもそのあたりは意識しているはずである。しかしふたを開けてみれば、魔女再びどころか、いろんな奴らが再びではないか。 魔女再び。ならば、それでもなお新たな魅力を持った魔女の冒険を、成長を、アニメを見せてほしかった。 [試写会(邦画)] 4点(2017-07-06 12:55:31)(良:1票) |