1. 約束のネバーランド
《ネタバレ》 浜辺美波のまるでヅカの子供役みたいな感じと、ヅカオタな北川景子の、もうヅカ意識しまくりました!みたいな役作り&演技とで、これはもうヅカオタなアタシとしては大感激!・・・とはいかなかったわ。 映画と言うよりは舞台的な、意識的に「作り」ました、って世界なのだけれど、浜辺美波と北川景子の100点な状態の中間に60点くらいの渡辺直美がブレブレな状態で存在していて(明らかにこの映画のトーンに合わないノリで、それって笑わせたいの?)、子供達の20点30点のきっつい演技で学芸会ノリがブレンドされて。申し訳ないのだけど、メイン3人のうちの黒髪のコが喋るとなんか可笑しくなってしまって。もう少しなんとかしてあげられなかった? 脚本と演出がね、かなりシンドいの。一本調子っていうか、緩急、メリハリ無いの。一大事が訪れてもそれまでのテンポとかテンションとかと一緒に流れてゆく感じ。ひたすらエピソードの羅列よ羅列。 それに意外性が全然無いのね。このキャラはこういうキャラ?って見えてるそのまんま。渡辺直美も北川景子もこう見えて実は!みたいなカンジじゃなくて。っていうか自分からペラペラどんどん自分を語ってしまうしねぇ(そこら辺はやっぱりマンガ原作よねぇ、って)。 作品世界もアレだわ。『わたしを離さないで』に『進撃の巨人』と『メイズランナー』混ぜました、以上。みたいな状態で。もうね、壁映画。『キング・コング』を始めとして『進撃の巨人』とか『ウォームボディーズ』『ワールドウォーZ』等でお馴染みの壁映画でございますよー、ってカンジ(塀映画が正しいのかしら?でも「へいえいが」だと語感悪いし~)。ちなみに同様に壁映画にカテゴライズされそうな『ウルフウォーカー』は今年の、っていうかここ10年くらいで最高のアニメーション映画なので超お薦め。・・・話が逸れたわ。 緑を基調とした画作り、光と影のコントラストを強調したライティング、その雰囲気はいいのね。いいお仕事してるの。でも、そこにきっついノリの素材がぼんぼん放り込まれてる状態で闇鍋状態だわ。カオスよ。 結局は「俺たちの戦いはこれからだ」状態の映画で、また1つオタク系作品の痛いノリを見せられました、ってカンジだわねぇ・・・ [映画館(邦画)] 4点(2020-12-23 18:59:31) |
2. 焼肉ドラゴン
《ネタバレ》 舞台の映画化のせいか、映像で描かれる空間の狭苦しさが気になったかな。NHK朝の連ドラ的な空間世界。でも、その狭苦しさこそが、ここに登場する人達の生を映しているのだとも言えるのかも。 笑い、泣き、怒り、精一杯生きている人々の姿が印象的な映画。沢山の大変な思い、つらい思いをして、それでも生きてゆく、その力、その生命力。 日本人でも韓国人でもなく、在日として生きるしかない人々のそれぞれの生が響いてきて。 三姉妹が良いです。感情を抑え込んで生きる真木よう子、感情を爆発させる井上真央、器用に順応している桜庭ななみ。そんな三姉妹を取り巻く男達の滑稽さ、それを包み込む父と母の大きさ。 騒がしく、次から次へと騒動が巻き起こり、そんなやかましさを見つめる末の息子。 ひとりひとりに生があって、心があって、物語があって。 移ろいやすく、壊れやすい家族の絆。 時代の波に翻弄されながら、パワフルに生きた家族の物語に魅かれ続け、そして、色々と考えさせられて。 もっと差別について描いても良かったんじゃない?と思うけど、五月蠅い連中がいる状況ではこれが限界かもね。 十把一絡げにして「日本から出てけ!」とか言っちゃう、同じ日本人として恥ずかしい存在にはなりたくないものだわね。 [映画館(邦画)] 7点(2018-07-02 21:56:15) |
3. 闇の列車、光の旅
《ネタバレ》 主人公が、まだあどけなさの残る少年をストリートギャングの世界に引き入れる冒頭から、この映画の世界は深い闇に包まれています。暴力と殺戮に支配された世界で、ひたすら鬱々とした物語が続いてゆくばかりなのですが、情感をもって詩的に語られる映像と共に少女に託された仄かな希望の輝きは、見終わって清々しさすら覚えました。救いのない旅の終わりに、幾つもの閉ざされた未来の中に、ほんの少しだけ輝くもの。破滅の中にあって、みんなが望んだ夢。堕ちてゆく少年の姿と対比されたそれは、現実を嘆いてはいても、決して絶望はしない、前を向いた姿。物語は最初から約束された道を進むような、ひねりのないものですが、役者達から発散されるリアルな存在感、そしてそれを的確に捉えてゆく映像が、がっちりと心を掴む力作でした。 [映画館(字幕)] 8点(2010-07-14 16:53:15)(良:2票) |
4. 山形スクリーム
《ネタバレ》 竹中直人の、昔から全っ然!変わらない笑いを今でも「めっちゃくちゃおもしれー!」って思える人ならば楽しめるでしょう。アレがもういい加減つまんないヨって人間にとっては、地獄のような映画。何しろ登場人物全員、最初から最後まであのノリを要求されてるワケで。まあ、そんな事くらい判るでしょ、なんでわざわざ見に行った?ってカンジですけどね・・・。とにかくグダグダとした笑いに昇華されないネタが、ミョーに繋がりの悪い編集で余計にダラダラと盛り上がる事もなく流れてゆくって感じで。物語も『ショーン・オブ・ザ・デッド』やら『マーズ・アタック!』やら、どこかで見たようなエピソードで繋がってるばかりでオリジナルな面白さはまるでありませんし(パロディ映画からネタを頂く事ほど無粋なモンはないですなぁ)、キャラが全員元からマトモではないので、異常な世界に異常事態が起こったところでそれは一本調子なだけ。唯一シリアスな平家の怨念の部分がまたありきたりで、もう。成海璃子嬢は、なんつーか、アレなんですが、アレはアレでミョーに可愛かったりもします。申し訳ないんですが、ハッキリ言っちゃうと、ドラミちゃんみたいで。成長期だから仕方ないですね。キャラ的には途中でまるっきり動かなくなっちゃう璃子嬢よりも、先生やグラビア娘が面白かったかな。映画全体は竹中直人って人の才能ってマジでこの程度?って、ペラッペラな底の浅さを感じさせてしまうシロモノでした。つーか「2つで十分ですよ、カンベンして下さいよ~」なんてネタはやりたいと思っても絶対やっちゃだめだよね・・・。 [映画館(邦画)] 2点(2009-08-23 11:11:01)(良:1票) |
5. ヤッターマン(2008)
《ネタバレ》 ベタなくらいに『ヤッターマン』の映画化そのもので、良く出来てます。お約束関係をほぼ網羅しておりますし、実写でよくもまあコレをやったもんです。ドロンボー側の役者は予想を遥かに上回るハマり具合ですし。でも、最良の映画化とは言えないですわぁ。美術関係は配色が重々しすぎますし、背景も全編もっと明色がいいでしょう。暗すぎ。タツノコ作品に対するオマージュはそこかしこに見られますが(あのいい加減な国名もタツノコお馴染み)、ならばシルエットを効果的に見せるカットがあって欲しかったです。タツノコ作品におけるシルエットの重要性に到達できなかったんじゃ、まだまだ。でも、なんと言っても三池作品的空気読めなさ加減がツラく。汚い映像やバランスを欠いたダレる展開、下品で観客をヒかせるネタは、ワザと入れてるでしょ?みたいな。それにドロンジョがガンちゃんに恋しちゃうネタなんかはオリジナルにもありましたが、あそこまで引っ張って映画を重たくしちゃうこたぁないんじゃないかなぁ。クライマックスの阿部サダヲの暴走芸も楽しみつつ『ヤッターマン』でやる事か?と思ったりして。全体的には『ヤッターマン』の作り出したイメージに頼り過ぎちゃってるんですけどね(最終回をそのまま引用してたり)。あと、ガンちゃん役の櫻井くんの口がポアーッと開いてるカットが多いのが気になりました。鼻が悪いのかな? そういうところを締めるのも監督の役目だと思うんですけどねぇ。ともあれ『ヤッターマン』を知っていれば楽しめる、でも下品さのバランス読めてなくて、ちっちゃい子には不向きという感じ。何より深キョンの頑張りがこの映画のカナメでした。 [映画館(邦画)] 7点(2009-03-10 22:46:04) |
6. 山の音
《ネタバレ》 えええ?それで終わり?みたいな。しょーもない男をしょーもないままに放置して終わってしまう物語に、カタルシスなーし!ってそういう映画じゃないのは判ってはいるんですけど・・・。どうも物語全体がネチネチしていてトゲトゲしていて、見ていてイライラしてしまいます。エゴ剥き出しの世界の中で、じっと原節子だけが耐えている図、っていうのが昼メロを見ているような感じ。そう感じたのが実のところ術中にハマっているのかもしれませんが、こういう映画は苦手です。とーちゃんが息子をキチンと戒めるシーンさえあればなぁ・・・。 [DVD(邦画)] 5点(2006-08-10 01:09:20) |
7. ヤマトよ永遠に
《ネタバレ》 ちゃんとシリーズを全部追ってないと、意味不明な映画ではあります。映画の「さらば」をなかった事にしてテレビの「2」の続きのテレビスペシャル「新たなる旅立ち」の続き、と。物語は強引さが目立ち(打ち込まれた爆弾を解除するため、わざわざ敵母星まで出向く、爆弾は本体と母星側と両方を解除しなくちゃなんない、わざわざヤマトを欺くために地球1個丸々作る、そしてサーシャが1年で大人)、当時でも劇場で失笑が起こったものです。アルフォン少尉はヤマトに生命反応がなかった、とユキにウソついた形になってて姑息でスケベな人になってるし(ホントは真田さんが一同をワザと仮死状態にして脱出したってエピソードがあったのだけど、カットされちゃいました)。だけど、絵はそれまでのヤマトの中では一番キレイに描かれていて、更に映画途中でビスタ・モノラルからシネスコ・4chに変わる「ワープディメンション方式」に、シネスコ好きな私としては感動したものです。まあ、それは映画の評価とは関係のない部分ではありましたけど。しかし、40万光年彼方から爆弾を遠隔操作するとなると、やっぱり最低40万年かかるんじゃないかなぁ? ヤマトの世界じゃ亜空間通信とかって描かれてましたっけ? [映画館(字幕)] 5点(2004-01-17 13:17:27) |
8. 八つ墓村(1996)
市川金田一ものの復活に、期待たっぷりだったのですが、かなりガッカリ。セット内での展開が殆どでスケール感に欠け(以前のシリーズはふんだんにロケを使ってたのに)、トヨエツの金田一や映像表現は、まるで石坂金田一のパロディのように見えてしまいました。虐殺シーンでの大量の血しぶきもやり過ぎ感が強くて「モンティパイソン」の如きコメディ風に見えてしまう始末。純日本的な華、因習、体に流れる家の血、そういう横溝ものの要素が全部薄まってしまい、過去のシリーズにあった映画を彩っていた色も褪せた印象で、残念ですが、市川監督、老いたかな・・・って思ってしまう映画でした。 [映画館(字幕)] 4点(2004-01-17 13:03:38) |
9. 野性の証明
《ネタバレ》 結構スプラッタだった、という印象ばかりが強い映画です。生首が小川をころころ~、って。薬師丸ひろ子の超能力の設定が、物語に何か大きな意味を与えているのかというと、ちょっと疑問ですし、陰謀が渦巻いていても、それにキチンとケリをつけられないまま、結局はどん詰まって終わりな物語なので後味悪くて。つーか、自衛隊と大量殺人事件と実力者の陰謀とが三題話のごとく、ムチャな結び付き状態なのもどーかと。少し整理しようよ・・・。普段から、あまり男気ってヤツに魅力を感じない私としては、健さんの選択してゆく道にも納得できなくて、見続けるのがツラい映画でした。 [映画館(字幕)] 4点(2004-01-17 12:57:00) |
10. ヤング・シャーロック/ピラミッドの謎
ああっ!もっとボロクソかと思ったら、意外にも好評。私、この映画大好きなんです。美術や音楽が良くて、役者もみんないい雰囲気で。エリザベス役のソフィー・ワードにファンレター書いたら、返事とサイン入りポートレートを送ってもらって、それは今でも宝物。子供っぽくて説得力のない脚本のせいで(幻覚が必ずすぐ自傷に繋がるってのは幾らなんでもねぇ。それで殺そうとする事自体、無茶でしょ)、かなり印象が悪くなっちゃってる部分もありますが、その脚本担当クリス・コロンバス以外は、本当にいい仕事をしてる映画でした。古きイギリスの寄宿学校を舞台に展開するファンタジー、『ハリー・ポッター』世代に見て頂きたい映画(ワトソンくん、ハリーみたいだし)。 [映画館(字幕)] 8点(2003-11-24 14:31:54)(良:1票) |