1. 屋根裏部屋のマリアたち
《ネタバレ》 1962年のパリを舞台としてスペイン人のメイドたちを描くコメディ。主人公は父親の会社を継いで社長職についている基本的に融通が利かない堅苦しい中年男だが、次第に自由奔放なスペイン人のメイドたちの生き方に惹かれていくというストーリー。序盤は主人公の妻がメイドを存外に扱っている描写やメイドたちの劣悪な生活環境(壊れて詰まってしまった共同トイレが大写しになったりする)の描写が目立ち、もしかして当時のメイドたちの実情を告発する重い内容かと思っていたがこれが全く違っていた。メイドたちの劣悪な職場環境を扱った映画といえば今年公開された傑作『ヘルプ 心がつなぐストーリー』を真っ先に思い出すが本作は同作の様な人種差別がテーマではない。スペイン人のメイドたちは困った際にはお互いに助け合いいとも簡単に困難を解決していく。イキイキと家事をこなしていくその魅力的な姿をつい羨望せずにはいられない。それほどに彼女たちは楽しんで日々を生きているのだ。このメイドたちの豪快で観ていて楽しくなるような生活感を監督は実に見事に描いている。監督が少年時代に実際にメイドがいる生活を送っていたからこそ可能であった演出だろう。また日々を買い物とランチとママ友とのブリッジに費やす夫人が良い対比となっている。物語は途中から夫人が勘違いにより主人公を家から追い出して仕舞い、仕方なく主人公はメイドたちと共同の生活空間に身を置く展開となるのだが、主人公はメイドたちと触れ合うことで人生に自由な喜びを感じるようになる。つまりメイドたちは人生を謳歌していない人々に人生の楽しみを覚えさせる所謂触媒のような存在なのだ。また同時に主人公は自分の家の美しいメイド、マリアに次第に恋愛感情を覚える様になってしまったから話は大変なことになってくる。ただ本作はコメディであるのでドロドロな人間模様になることは無く基本笑いながら彼らの騒動を楽しめる。特に主人公が気になるマリアと親しくなろうとスペイン語で会話を図ろうとするシーンはお約束ながらも爆笑モノの名シーンとなっている。適度な笑いの中にしっかりと生きるヒントを与えてくれる本作、自信を持って良作とお勧めできる作品である。 [映画館(字幕)] 7点(2012-09-17 19:27:13)(良:1票) |
2. 山
チャラチャラしたあんちゃんより、経験豊かな爺さんの方がカッコいい!という翁万歳映画(なんだそれ)。結構人間の欲を強烈に描いていてインパクトがあります。 [DVD(字幕なし「原語」)] 7点(2012-03-25 16:43:14) |
3. 闇の子供たち
「今」の世界をしっかりと撮った事は評価出来ると思います。未来あるべき子どもも、そこでは未来無き子どもだったのです。内容は私が世間知らずなのもあるでしょうが、かなりショッキングな物でした。 宮崎あおいの演技が一番しっくりきていたと思います。だって理想論を振りまいている彼女を見た時には本気で腹が立ちましたから(笑)。 [映画館(邦画)] 7点(2008-12-19 20:45:35) |
4. 山の郵便配達
《ネタバレ》 中国の深山幽玄の世界は凄く綺麗で映画のテーマ、ストーリーと上手く合っていました。親父の気持ちもわからんでも無いんですが、少し自分の考えを息子に押し付けている感じが気になりました。たぶん私もその息子と同じくらいの年ごろだからなのでしょうが。もう少し歳食ってから観たら、もっと感動するのではないかと感じました。 目が見えないお婆ちゃんの話はやるせないけど良い話ですねえ。 [DVD(字幕)] 7点(2008-10-17 17:43:11) |
5. 屋根の上のバイオリン弾き
《ネタバレ》 オープニング曰く"屋根の上のバイオリン弾き"というのは伝統を疎かにした状態の事で、主人公のみならず、アナテフカの村人達全員を指す言葉なのでしょうね。確かに愛する者同士がお互いの宗教観や立場を超えて結ばれると云う事は素晴らしい事ですが、それによって悲しみも生まれ、テビエが冒頭で言っていた様に今までの生活は崩れ去ってしまいます。保守派と革新派、どちらが正しいとは私は言えませんがアナテフカの様に保守に傾倒している時は安定であるのでしょう。 ジョン・ウィリアムスが手がける音楽は全編に亘って物語の退廃的なムードが漂っていて素晴らしかったです。 [DVD(字幕)] 10点(2008-08-30 17:21:33)(良:1票) |
6. 奴らに深き眠りを
ローレンス・フィッシュバーン、ティム・ロス、アンディ・ガルシアの三人が終始安定した演技をしてくれます。何にも屈しないバンピーのアンチヒーロー振りがツボでした。 [地上波(字幕)] 7点(2008-08-12 00:37:04) |