1. 竜とそばかすの姫
《ネタバレ》 水曜日。平日1200円の映画館で観て来ました。 ニュース映像でカンヌの観客が言った「これまでの細田作品で一番完成度が高かった。」その感想は本当か?確かめに・・・ テレビの所さんの番組でやってた密着取材を事前に見たためか、バーチャル空間の凄いCGも想像の範囲内で驚きには至らず。やぱり事前に情報入れちゃいかん!と反省。 さて、「これまでの細田作品で一番完成度が高い」に関しては、残念!“否”でした。 理由は、物語りを複雑に(=幾つかのテーマを並列に)描いたため、共感するポイントが分散していること。 主人公すずや、彼女を取り巻く人たちの人格、相互のつながり方が過去の細田作品の焼き直しに見えたこと。 一番の問題は、物語の展開に無理を感じたことでしょう。 以下は【ネタバレ】を含みます。 家族の不幸で自閉的になる → 親友が実は名家の電脳少女! → たまたま作ったアバターが電脳世界一の歌姫になった! → 誰も見つけられない破壊者の隠れ家へ潜入! → その正体を突き止めた! → その結果、現実世界でDV親から子供を救った!しかもたった一人で! それと同時に、現実では自分自身と学園のマドンナの恋を成就させている。 悩み多きJKヒロインなのに、いくら何でもスーパー大活躍過ぎるでしょうよ(笑) 周囲の助けを借りて、がんばって電脳世界で歌姫になり、現実の苦しみに希望を与えるコンサートをする。 現実では「のど自慢」に出て鐘2つ。それで充分感動できるのに・・・ DVから子供を救う展開も、現代的なテーマを入れたのでしょうが無理やりな感じ。 警察に保護させなさい!証拠映像あるし、警察の方が現着も速い、下手すりゃ刺されちゃうぞ。 トラウマを打ち破るイニシエーションとして、クレヨンしんちゃん「おとな帝国の逆襲」の階段登りと同じ演出なのでしょうが、電脳歌姫になった時点で、彼女はトップ・ユーチューバー以上の「世界を変える力」を得ている訳だから、そこは「歌の力」で暴力を打ち破らないと一貫性がなくなる。ベルが歌うシーンには感動させられたから、すずの歌こそ映画の中心にするべき。 《電脳世界の歌の力》で現実を救う話だったら、「サマーウォーズ」のAIの暴走を《現実の家族の力》で止める話と対(つい)を成して『細田守電脳二部作!』になったんじゃない!?て思ってしまう。 映像のクオリティは高いし、電脳世界で歌うシーンには感動する。嫌いじゃないけど、物語が散漫だったという感想です。 ※作る側の視点でしか映画を語れない、理屈っぽい嫌なオトナの感想(笑)このアニメが大好きな人ゴメンなさいね。 [映画館(邦画)] 6点(2021-10-31 18:39:06)(良:2票) |