1. レディ・キラーズ
最初の10分で、もう飽きた。人物紹介の脈絡の無さといい、全体の会話の噛み合わなさといい、無理やりコメデイといい、「なんじゃ、こりゃ」だ。トム・ハンクスも、「何でこんな映画に出たの?」という意味では、ラジー賞ノミネートものでは? え? 違う? あ、そうか。「善い子の皆さん、悪いことをすれば自分に返ってきますよ」っていう、ハンクス主演の政府公共番組なんですね。納得。いずれにしろ、設定の無理があるし、全ての展開がお定まりで、つまらなかった。ハンクス主演なだけに、声を大にして言いたくなってしまう。 3点(2005-01-23 23:51:28) |
2. 恋愛適齢期
《ネタバレ》 やはりジャック・ニコルソンは達者だなぁ。っつうか、あの年になって円熟味のある演技が出来なければ、そもそもベテランとして生き残ってるわけないし、観客が呼べる俳優なわけないんだけどさ。ニコルソンの達者な演技を見るだけでも甲斐はある一作だけど、若手と中堅も、上手く噛み合っていて、役者の演技バランスはとても心地よい作品だった。ただ、やっぱり、どうしても、エリカが作品を書き上げるシーンだけは抵抗があって、こんな状態で作品は書けないと、何度見ても白けてしまうんだな。もっとも、エリカは才能ある脚本家だから、それもありなのかもね。本作のキアヌは、演技にゆとりがあったね。柔らかいコットンの手触りって感じだった。役柄もあるかもしれないけど、でも、命のかかわる病に対する医師という役を演じる心のゆとりが出来たように感じられた。ラストは、いかにもアメリカのファミリー物って感じだけど、本作は、結局、「熟年の女だって、小娘みたいな恋をしたいし、小娘みたいに泣き喚きたいのよ」っていうことですから、こんなものでしょう。ただ、私はキアヌ贔屓のせいか、どうしても「ラジオタウンで恋をして」のリメイク版に感じられてならないんだけどね。 8点(2004-04-02 00:23:08) |
3. レジェンド/光と闇の伝説
雪の中、青のトーンで浮かぶユニコーンの場面は、思わず溜息が洩れた。綺麗だったよぉ。映像美は、確かに綺麗。森の風景とか、水の弾ける様とか、雪の青は絶品。闇の住人の特殊メークも、あの当時としては、良く出来てると思う。けど、やっぱ、ストーリーがねぇ。シリアスにしたいのか、コメディにしたいのか、中途半端で。主演のトム・クルが、可哀想なくらい活きてないし。映像綺麗だし、もう少し煮詰めて欲しかったなぁ。本作のトム・クルーズは、どうしてもミス・キャストって感じがするんだけど、でも、トム・クルって、やっぱり、なんか、どこか、妙に可愛いんだよね。 5点(2003-07-15 01:11:32) |
4. レザボア・ドッグス
《ネタバレ》 暴力的だの過激だのという風評を聞いていたので、観る前は、それなりの覚悟をしていたのだが、実際には、犯罪捜査の心理スリラーという展開で、私にはいい意味で裏切られた作品。確かに銃撃戦はあるし、警官をいたぶるシーンもあるんだけど、全般としては、下手に転ぶと地味っていうくらい抑えの効いた出来に仕上がってるのに、何故、暴力的で過激だという評価が出るんだろ? 男臭い映画のはずなのに、俳優陣の個性と演技、洒脱な演出のおかげで、すっげぇカッコイイ作品になってる。ブラック・スーツの男達が集団で歩くシーンは、最高。でも、ラストで、三人が撃ち合って、三人共倒れっていうのは、そうしないと終幕しないのは分かるけど、なんだか御約束っぽくて、ちょっと引いた。それでも、こういう映画は好きだなぁ。結局、最後まで中立、蚊帳の外にいたピンクの棚ボタだったんだな。 8点(2003-06-26 14:39:12) |
5. 恋愛小説家
「この生活は現実的過ぎるんだ」このセリフが一番印象に残ったかな。佐伯かよのの「口紅コンバット」に「愛は金で買うことは出来ない。だが、愛を育て家庭を守るためには金がいる」というセリフがあるけど、そのまんまのストーリーだったなぁ。どっか変でも、こんなパトロンが現れたらいいなぁと、生活に追われる日々の中では思ってしまう。怒ってもなじっても「君は最高」なんてのは、ちょっと不気味だけど。個展に失敗して窮乏の最中、将来の見通しも立たない時に、「描く意欲」を取り戻して、それだけで「生きる意欲」まで出たシーンが、作り手のサガを感じさせて、好きだな。ただ、庶民の現実生活も出てるだけに、金にも時間にも余裕のない庶民には、ロマンティックな恋愛は無理だよぉと、言われてるような気がした。 7点(2003-05-01 00:35:01)(良:1票) |
6. レジェンド・オブ・フォール/果てしなき想い
本作の骨格になっているのは、三男サミュエルが従軍中、手紙の中で語った「父が正しかったんじゃない。僕が子供だったんだ」という科白。作品の核は、第一次大戦と禁酒法時代のアメリカ西部で翻弄される家族の物語だが、背景を思えば、作品終盤で、長男アルフレッドが次男トリスタンに「おまえが甘かったんだよ」と言う科白の裏には「そして俺も、甘かった」という声が聞こえてくるようだ。この三人の兄弟が従軍した泥沼の塹壕戦には、世界的に有名な人物も参戦している。後に禁酒法が生んだ世紀の犯罪王として名を馳せたアルフォンソ・カポネ=アル・カポネで、片田舎で酒の密売をしていたトリスタンは知らなくても、政治家になったアルフレッドは当然、知っていただろう。長男の意地と良心と知恵を政界に持ちこむと大見得を切った手前、言葉にはしなくても、心の中ではやはり「父が正しかったんじゃない。俺が子供だったんだ」と、やはり思ったはずである。この時、トリスタンと対立する形になったのがオバニオン兄弟だが、当時、「シェーク・ハンド・マーダー」という殺しのテクニックでアル・カポネが葬った対立ギャングの名が、オバニオンである。第一次大戦の名残はトリスタンの中にも表現されている。今で言えば心的外傷後ストレス傷害だが、当時はセル・ショックと呼ばれた戦争後遺症は、戦争帰還兵の深刻な社会問題でもあったようだ。アメリカ人には、かなり含蓄のある作品なんだろうと思うが、個人的には、ヒロインのスザンナがラドロー家の食卓に初めて姿を見せた時の髪型が、オーストリア皇后エリザベート=シシィの髪型に酷似していたせいで、何故か、トリスタンの生き様がシシィ皇后に重なってしまって困った。スザンナの方が、こういう生き方が出来ていれば、八方上手く収まったんだろうが、子供を望んだ時点で、スザンナという役は安定を求める女性になってしまっている。そして、安定した生活の中で自由をも望むには、女性にはまだ、厳しい時代だった。ブラッド・ピットについては、何を言う必要もない。当時のピットが、役者として、全精力を注ぎ込んだ役である。特筆は、サミュエルのトーマス・ヘンリーが、絶品の演技をしている。 9点(2002-11-25 23:59:48)(良:2票) |