3. ロスト・バケーション
《ネタバレ》 開始から15分間は「ビキニ美女のサーフィン万歳!」だが… 原題は「The Shallows」意味は・・・浅瀬。笑 ロケ地はオーストラリアのロード・ハウ島海洋公園にある入り江で、非常に美しい場所。映画では、主人公ナンシーが亡き母に昔教えられた〝秘密の海岸〟という設定。 光あふれる映像は、このまま「ビキニ美女のサーフィン映画」で終ってもいいと思うほどだが、これは、サメ対美女のサスペンス映画。サメの登場で、美しい海は〝誰も助けてくれない魔の海〟と化してしまう。 一言でいえば、S.スピルバークの『ジョーズ』を踏襲した〝喰うだけの怪物と知恵を持った人間との対決〟それを丁寧に描いている。 水面ギリギリのカメラアングルで、サメを見せずに水中への恐怖を感じさせる撮影も「ジョーズ」を上手く継承して効果を上げている。リアリティを重視し御都合主義的な展開を避けつつ、次々と状況が変化しラストまで1時間26分をいっさい飽きさせない。 〝テクノロジー〟を象徴するようにPinP(ピクチャー・イン・ピクチャー)の手法で頻繁に画面に現れるSNSの画面は・・・あまり必要性が感じられない。美しいリアル志向の映像の中に、唐突な脳内映像が出現したようで一瞬覚めてしまう。刻々と変化する自然環境の描写で時間の経過は十分に実感できるので、ダイバー・ウォッチの文字盤のPinPも不要だと思うのだが・・・タイアップだろうか? しかし「ジョーズ」の頃と比べると、海を劇的に美しく撮れるようになったな~と。本当にサーフィンの美しいドキュメンタリーのようだ。 思い出したのは〝BANFF MOUNTAIN FILM FESTIVAL 2014〟で観た『North of tha sun』。これはノルウェーのサーファーの一冬の体験を描いた46分のドキュメンタリー映画で『ロスト・バケーション』と共通点が多い。 ・誰も訪れない秘密の入り江 ・孤独なサバイバル(漂流物を利用した小屋に滞在し極寒の海で波を待つ静かな闘いが描かれている) ・ダイナミックなサーフィンのGoPro映像 ・楽園にも地獄にも見える自然描写 ただし、舞台は北欧の極寒のビーチで、楽園のような南国のビーチとは正反対。主役も男性二人。南国の海で○われる二人組みに似ている。監督たちが『North of tha sun』を観たかは不明だが、まるでコインの裏と表のようにさえ感じた。 気になる人は、英語タイトルで検索すればYouTudeで予告編が複数見つかる。 例えば、https://youtu.be/cHPGIZAtqlU ただし、ノルウェー語で字幕はありませんよ・・・あしからず。 [ブルーレイ(吹替)] 7点(2016-11-26 00:18:32) |