1. ビューティフル・マインド
《ネタバレ》 実在の話であるというのが興味をそそる(現実との食い違いが揉めたりはしたが)。クロウ演じる主人公の数奇な人生は壮絶。賞賛された学生時代から、転落、統合失調障害の発病など、観客たちは見ていて息苦しくなるが、ジェニファー・コネリー扮する妻の無償の愛に大きく胸を打たれ、しだいに本作品が愛の映画だと言うことに気付き出すはず。ラストのクロウのノーベル賞受賞にはその道程を思うと胸が熱くなる。クロウはオスカー受賞した「グラディエーター」なんかより、数倍名演技を見せる。数学者たちの奇妙な世界を皮肉を込めて描いているのも脚本が上手。 7点(2003-09-13 21:31:18) |
2. 牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件(188分版)
実際に起きた少年事件をベースに監督が万感の思いを込めて綴る台湾の一時代の歴史と風景。少年たちの視点を通し違和感なく時代の空気や文化が見えてくる。日本人には共通する一昔前の日常の風景がノスタルジックで郷愁を誘う。夏の匂いを感じさせる映像がストーリーの悲劇性とは別に爽快。韓国の「ペパーミントキャンディー」、アメリカの「フォレストガンプ」と時代を伝えるという部分で共通項があるように思う。長編ではあるが、長さを感じさせない説得力に溢れている。主演の少年を「グリーン・デスティニー」のチャン・チェンが好演。 10点(2003-09-13 21:21:28)(良:1票) |
3. 青い春
無軌道に暴力的に描かれる高校生の青春映画。迷いなく疾走感溢れる作風に一気に惹き込まれる。登場する数名の少年たちの個々の織り成すエピソードが上手に絡まりあう。感覚的に詩的に折り込まれるアングルも観ていて胸を打つ。大きくスクリーンを過る飛行機や満開の桜が、はかない青春を物語る。松田龍平はじめとする少年たちが全員及第点。青春映画の傑作。観るべし。 8点(2003-09-13 21:08:15) |
4. 青の炎
蜷川監督は青春の像、家族の像、サスペンスの像を感覚的にバランスを保ち非常に上手に撮りあげている。殺人がキーワードであるが非常に切ない殺人。原作が持つ世界観を鎌倉のロケーションや達者な役者を駆使し巧みに描ききった。主演の二宮和也もアイドルながら複雑な心情を丁寧に表現。松浦亜弥の適度な距離感のある演技も好感。邦画はヒューマンな匂いのする青春映画が本当に上手い。衝撃的なラストも胸を打つ。必見。 8点(2003-09-13 21:00:51) |
5. A.I.
世間では失敗作と語られることの多い作品ですが、確かに多少重い世界観であるものの人造人間(オスメント)である主人公の少年の惑いと心情を丁寧に描けています。冷たい温度の映像や淡々としたストーリー展開も嫌いじゃないしラストの氷の世界は非常に印象深い。言葉では表現しづらいセンチメンタルさが胸に去来したりもする。何度かふと見返したくなる作品です。キューブリック版も観てみたかった。ピノキオや鉄腕アトムが好きな方は気にいる世界。 7点(2003-09-13 20:48:02) |
6. マトリックス リローデッド
《ネタバレ》 世界中の度肝を抜いたメガヒット1作目の待望の続編。1作目で見せたスタイッリッシュなキレのある作風は、なりを潜め、説明調の台詞がやたら多い形式的な作風になってしまった。ザイオンでの演説やトランス・シーンなど蛇足な場面も多々あるがハイウェイでのチェイスやアクションシーンは華麗で魅せる。にしてもキアヌがより覚醒して自由自在に飛べるよになったりは、まだ許せても銃弾に撃たれビルから転落するキャリー・アン・モスの体の中に手を入れ心臓鷲掴みにして蘇らすのはいかがなものか?そこまで行くとキアヌが何でもありの設定になってしまうし、映画自体が異様に陳腐になってしまった。あまりにもキャラクターの設定やストーリーを無視し過ぎ。けれど一度は観ておいて良い作品。 6点(2003-09-13 20:40:03) |