181. 犬猫
(↑)ジャンルに「リメイク」とあるので調べてみたら、自主映画のセルフ・リメイクなんですね。で、低予算は似た様なもんだったとしても、わざわざ商業映画としてリメイクしたにも関わらず、出来はそっくりそのまま自主映画的。3カットを除いて、カメラは全て固定。スタンダードの画面サイズも手伝って、必要以上に小ぢんまりした仕上がりです(「オリジナル」を観たことないので何とも言えませんが、これならリメイクする必要は無かったんじゃ…)。台詞をかなり絞ってるのに、結局台詞で説明してしまう脚本は中途半端な印象。どことなく浮世離れした二人の関係性からも、私には作者の言いたいことが伝わってきませんでした。これは、この「空気感」を楽しめる人限定の、非常に間口の狭い作品だと思います。そんな訳で、4点献上。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2006-08-21 00:02:48) |
182. お父さんのバックドロップ
プロレスラーの父と小学生の息子の葛藤と和解を描く、ベッタベタの浪花の人情物語。ストーリーやキャラクター設定がホントに直球勝負なので、これだと、ある程度プロレスに思い入れのある人か、親子の人情モノが特別大好きな人でないと楽しめないと思います。しかし出演者達の演技と、クライマックスの試合会場をちゃんとエキストラで埋めたことにより、映画は一段上質に仕上がってました。神木隆之介君は相変わらずの達者振りですけど、宇梶剛士がこんなに上手かったとは知りませんでした。同じプロレス映画でも、「MASK DE 41」より遥かにマトモな映画です、5点献上。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2006-08-21 00:02:25) |
183. ゼブラーマン
とにかくビザールなゼブラナースの登場シーンに尽きる。若い娘がセーラームーンのコスプレしてもどーってことないのに、35歳の第一線女優がゼブラナースに扮するだけで、何故これだけ淫靡な雰囲気が生まれるんだろ? お陰でゼブラーマンのラスト・バトルも、ゼブラナース登場のインパクトには敵いませんでした。流石は三池崇史。しかしここから判るのは、彼はクドカン共々、ヒーローに全く興味が無いってこと。サム・ライミとまではいかなくても、少しはゼブラーマンにシンパシーを感じて作って貰いたかったです。それにしても、ゼブラーマンよりゼブラナースの印象の方が強いんだから、いっそ「ゼブラナース」で続編を作ってみたら良いかもしれない。鈴木京香の代表作になるかもしれません(って、ならねーよ!)、6点献上。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2006-08-21 00:01:54)(笑:1票) |
184. この世の外へ クラブ進駐軍
それなりに作り込んである映像は見応えがありましたけど、阪本順治がこの話から伝えたかったことが良く解らなかった。終戦後の庶民の苦労話なのか、ジャズマン達の青春物語なのか、嘗ての敵国の人間同士に芽生える友情なのか、それとも反戦そのものなのか…。たぶん全部だとは思うんですけど、だとしたら脚本の組み立て方が非常に中途半端。もう少しエピソードを絞り込めばテーマもはっきりしたでしょう。あと、作り込んだ雰囲気を決定的にスポイルしてしまってるのが、肝心の演奏シーン。萩原聖人の歌も含めて、もう少し何とかならなかったんでしょうか…、5点献上。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2006-08-21 00:01:30)(良:1票) |
185. 13階段
《ネタバレ》 テレビのサスペンス・ドラマを観ない私は、終盤までは普通に楽しめました。しかしミステリー映画に於ける肝、種明かし以降で陳腐さが爆発し、一気に評価も下落。井川比佐志演じる父親は、実はたった一人で冤罪事件を解決してたってことですよね。これはいくら何でも無理があり過ぎ。また、昏睡状態の恋人を見舞うシーンで、「ここで目覚めたらコントだよなぁ」って思ってたら、ホントに目が開いたのには絶句。とにかく終盤の展開にスマートさが皆無。こんなクライマックスでは物語的にとても納得できません。あと、死刑制度に一石を投じる社会派作品にしたいのか、人の命を奪うことの重みを描く人間ドラマにしたいのかも良く判らない。企画段階でその辺のスタンスはきちんと決めておいて欲しい、4点献上。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2006-08-21 00:01:05) |
186. サムサッカー
スティーブ・オーデカークの「少林サッカー」の親指パロディ映画では全くなく、17歳にもなって「親指しゃぶり」の癖が抜けない高校生の自分探しを描いた青春映画。あることがきっかけで「注意欠陥多動性障害」と診断された彼は、落ち込むどころか、この診断に飛びつく。常々違う自分になることを望んでた彼は、自分に対する不満を「病気」の所為に出来るので、積極的に薬物治療に取り組む。彼は向精神薬の効果で一時的に「デキる」自分に変身するものの、それも長くは続かない。「思春期特有の漠然とした不安や悩み」という病気に特効薬は無いのです。クサい家族愛的なシーンが無かったことと、「まごころを君に」的展開で面白くは観れましたけど、ラストのキアヌ・リーヴスの陳腐な台詞は凄く余計でした、6点献上。 [試写会(字幕)] 6点(2006-08-12 00:05:58) |
187. X-MEN:ファイナル ディシジョン
《ネタバレ》 ド派手で波乱万丈な最終章だったので(一作目のキャッチ・コピーが「敵は強大、味方はわずか」だったんですけど、むしろ今回こそこのコピーが似合う!)、シリーズで一番楽しめた様な気はしますが、ちょっと展開が速すぎて軽めの印象は拭えません(これがブレット・ラトナーの悪い持ち味か)。とにかくキャラクターの使い捨て感が非常に勿体ない。例えばサイクロップス一人とっても、これだけのキャラクターの最期ともなれば、マカロニやジーパンの殉職シーン以上に盛り上げるのが常道じゃないかなぁ。もう、ほとんどザコキャラ扱いですよ(お陰で「スーパーマン リターンズ」にも出演を果たせたんでしょうけど…)。シリーズを通したローグの苦悩も、前作で期待させたパイロの葛藤も割愛。これじゃ「ファンタスティック・フォー[超能力ユニット]」ですヨ。それにしても、キャメロン・ブライト君が「ウルトラヴァイオレット」の時と「全く同じ役」で出てたのには驚きました、6点献上。 [試写会(字幕)] 6点(2006-08-12 00:05:31) |
188. スーパーマン リターンズ
(少し長めで失礼します) 特別「スーパーマン」に思い入れがある訳じゃないんですけど、このテーマ音楽に乗って、クレジットがスリット・スキャンで手前に迫ってくるタイトルバックを見ると、確かに何か込み上げてくるものがありました。エンディングも含めて、構成を「Ⅰ」「Ⅱ」に準じたのは非常に好感度が高い。つまり、名実共に「スーパーマンⅢ/帰還篇」という位置づけな訳です。従って第一・二作の鑑賞は必須(「Ⅰ」は「ディレクターズカット版」をお薦めします)。本作はブライアン・シンガーらしい落ち着いた色調で、スーパーマン・スーツの色合いもシックになり、また、旧シリーズにあったコミカルな描写も影を潜め、全体的に大人の雰囲気にまとまってます(ブランドン・ラウスはスーパーマンにピッタリ。一時期、ニコラス・ケイジが候補に挙がってたなんて信じられませんネ)。子供にアピール出来るかどうかは判りませんし、「なぜ世界はスーパーマンを必要としないのか」という部分への踏み込みも足りなかったと思いますけど、映画としては間違いなくシリーズ一の完成度でしょう。それにしても、今後は「ドラゴンボール」みたいな展開になっていくんでしょうか…、7点献上。 [試写会(字幕)] 7点(2006-08-12 00:05:05) |
189. トランスアメリカ
《ネタバレ》 前半は確かに淡々とした展開ながら、性同一性障害を抱える人間(しかも人の親)の複雑で微妙な心情は良く表現できていたと思う。彼らの旅の目的地は西海岸ですが、本作の目的地はブリーの実家。彼(彼女)は息子だけでなく、家族全員との決着をつける必要があったのです。そして、性転換手術をして晴れて「女性」になった父親と、希望通りポルノ男優になったゲイの息子の間に芽生える新たな絆。ブリーの心の中に育まれたものが母性愛なのか父性愛なのか判りませんが、「親の愛情」であることには変わりない。保守的な人からすれば悪夢の様な光景かもしれませんけど、これが白黒・左右・男女の境界が曖昧な現代のハッピーエンド。“trans-family”も紛れも無い家族の形の一つです、7点献上。 [映画館(字幕)] 7点(2006-08-12 00:04:38) |
190. ショウタイム
嫌々コンビを組むことになった水と油の二人の刑事が、事件を通して絆を深めていくという、全く持って珍しくもないバディ・ムービー。流石にこれだけでは今更映画に出来ないので、アメリカで大人気の「リアリティ番組」への皮肉を込めたストーリー展開になってます。彼らが追う事件自体は大したことないので、ロバート・デ・ニーロとエディ・マーフィの演技の対比と、馬鹿馬鹿しいリアリティ番組のパロディを、「のんびりと」楽しめればOKです。正にポップコーン・ムービーですけど、それを目的に作ってあるだけ、前年のデ・ニーロ映画「スコア」よりも良かったと思います、6点献上。 [地上波(字幕)] 6点(2006-08-12 00:04:05)(良:1票) |
191. 歌追い人
時代設定や「失われた民謡を探求する」というプロットから考えれば、純粋に「夢を追う」という話で良かったと思う。しかし現在の時代性を加味してしまい、「女性の自立」的なストーリーに変換してしまってるのが残念。また、「妹がゲイである」というのも直接作品のテーマには関係なく、単に火事を起こす為だけに使われてしまってる。全体としてはそんなに悪くは無いんですけど、それぞれの設定やテーマを深く描かないので、結構中途半端に感じました。本作の魅力は物語よりも、劇中で歌われる素朴なフォーク・ソングの数々。特に、当時14歳(!)のエミー・ロッサムの歌は「オペラ座の怪人」の時よりも凄いと思う。今やパニック映画女優になりつつありますけど、是非歌唱力を活かした方向に進んで欲しいと思います、5点献上。 [地上波(字幕)] 5点(2006-08-12 00:03:29) |
192. サイコ・ビーチ・パーティー
いわゆる60年代ビーチ映画&C級ホラーの雰囲気にヒッチコック風スリラーを加味した、チープでポップでお馬鹿な低予算パロディ・ムービー。サーフィン、ゴーゴー、ダイナー、ドライブイン・シアターと、当時のアメリカ若者風俗が原色バリバリの毒を持って再現されてます。現代風にブラックな部分としては、ゲイネタと、連続殺人事件の被害者達が全員、身体的欠陥・健康的疾患の持ち主であるという点(主人公の女の子の設定は「マーニー」から来てると思う)。お約束ではありますが、ラストのどんでん返しに次ぐどんでん返しも気が利いてたし、中々楽しい映画でした、6点献上。 [地上波(字幕)] 6点(2006-08-12 00:03:02) |
193. ガンシャイ(2000)
幾つもの修羅場を潜り抜けてきたベテラン潜入捜査官が、過度のストレス(つまりは死の恐怖)により「過敏性大腸症候群」を患ってしまう。しかも、大きな潜入捜査の途中なので辞めるに辞められない。これは過労気味のサラリーマンのストレスとは比べものにならない(過労で死ぬ人もいるから、もしかしたら「死の恐怖」は同じか?)。目つきの鋭い大柄なタフガイが、カウンセリングを受け、グループ・セラピーに通い、浣腸治療まで試す。この情けなさは面白く、捜査対象の凶暴なギャングも実は同じ悩みを抱えているというのも可笑しい。正にストレスだらけの世の中。しかし、病気が原因でピンチになったりする様な展開が全く無く、ラストに至っては唖然とする様ないい加減さ。こりゃ完全に脚本の練り込み不足です、3点献上。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2006-08-12 00:02:30) |
194. ザ・ビーチ(2000)
果たして「自由」とは何か? 自由を求めて集まった者達のコロニーではあっても、人間が二人以上集えば、それは社会になり、社会には「ルール」が生まれる。ルールに従って生活するのは余り自由とは言えないものの、「自由の幻想」を抱いてる未熟者達は、生活が楽しい内は全くそのことに気づかない。しかし一たび問題が生じると、自分達の暮らしは自由ではなく、厳然たる(しかも理不尽な)「ルール」に縛られていることを嫌でも思い知らされる。これは古臭いヒッピー・コミューンの現代版。「自由」と「無責任」は相容れず、自由は責任の上に築かれるものなのです、6点献上。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2006-08-12 00:01:58) |
195. カウガール・ブルース
ガス・ヴァン・サントらしい乾いた空気感で、シュールに描いた白昼夢って感じ。「ヒッチハイク」をメタファーに、流浪する主人公が人生の真実を探求していくという話なんでしょうけど、私には本作が提示する「真実」がさっぱりと理解できません。語られてる内容が古臭すぎるとも思うし…。本作では誰がドラッグをやってる訳でもないんですけど、匂い的にはテリー・ギリアムの「ラスベガスをやっつけろ」に通じるものを感じました。それにしても、フェミニズムとレズビアンとヒッピー文化と環境保護ってのは、こんなにも1セットで語られていいもんなんでしょうか? という訳で、3点献上。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2006-08-12 00:01:28) |
196. ユナイテッド93
何の思想も感じられない無機的な再現ドキュメンタリー。しかし不謹慎を承知で書けば、とてつもなく面白く、且つ、とてつもなく良く出来た再現ドキュメンタリーです。この映画にはテーマなど不要。我々は2001年9月11日に何が起きたのかを充分すぎるほど知った上で鑑賞することになるので、作品の持つ緊張感はファースト・カットからダイレクトに伝わってくる筈です。「何かとんでもないことが起きようとしている不安」が、「未曾有の事件」に移行し、否応なしにあの時の「混沌」の中へと再び放り込まれる。私はラストのフェード・アウトまで食い入る様にスクリーンを見つめ続け、気がついたら111分が経過してました。本作を観るという行為は映画鑑賞と言うよりも、9.11の追体験に近いです。鑑賞中は何度か鳥肌が立ってしまいました。これを「今」作ったことの是非と「映画」としての良し悪しは置いといて、もの凄い力を持った作品であることは間違いありません、9点献上。 [試写会(字幕)] 9点(2006-08-07 00:27:59) |
197. サイレントヒル
私も原作ゲームは知りませんが(この町は「煉獄」という解釈で良いんですよね?)、異空間に迷い込み→探索し→襲撃を受け→ヒントを収集し→ゴールし→秘められた真実が明かされ→そして阿鼻叫喚のクライマックスと、映画は如何にもアドヴェンチャー・ゲーム的定型の展開。しかし統一された世界観や不気味なクリーチャー達(ダーク・ナースがお気に入り)のお陰で、この手のジャンルとしては比較的長めの作品ながら、最後まで飽きずに楽しめました。特に、クライマックスの火炙りの表現は初めて見たと思う(文字通りジリジリと「炙られる」。これでPG-12じゃ甘いんじゃないか)。あと、私は「ローズ・イン・タイドランド」から間を置かずに観たので、ジョデル・フェルランドちゃんが随分大きくなってたのに驚きました、6点献上。 [映画館(字幕)] 6点(2006-08-07 00:27:34) |
198. ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女
本作の登場まで「ナルニア」という言葉すら聞いたことがありませんでしたが、「指輪物語」に並び称されるファンタジーという触れ込みに、一時は劇場まで足を運ぼうとも考えました。しかし予告編等から受ける印象が余りに芳しくなかった為、結局レンタルへとランク・ダウンしてしまいました。で、観てみて、私の予感もまんざら捨てたもんじゃなかったことが判明。子供達が剣と魔法の世界に迷い込んで冒険を繰り広げるという、今となっては珍しくもない話。全体的な作りも子供向けのライト仕様で、壮大さも余り感じられない(巻頭の空襲シーンはシビアで良かった)。それでも暑い中、子供を連れて「ゲド戦記」や「ブレイブストーリー」を観に行く位なら、家で本作のビデオでも観せてあげた方が子供は喜ぶと思います、5点献上。 [DVD(字幕)] 5点(2006-08-07 00:27:08) |
199. トリコロールに燃えて
時代錯誤感の漂うクラシックな戦争メロドラマ。前半は例によってデカダンな雰囲気ながら、遂にシャーリーズ・セロンとペネロペ・クルス(本作の役は彼女にとっては「役得」だった筈)のレズ・シーンが描かれることはない。これがアメリカ市場を最優先に考慮した作品の限界。もちろん旬の美女二人によるカラミが見たかったというのもありますが、それよりもその所為で、特殊な三角関係が生み出すドラマが思い切り薄味になってしまった。ここがきちんと描かれてれば、後半、戦場で出会うペネロペとスチュアート・タウンゼントのシーンが凄く活きたし、主人公のキャラクターの説得力不足を多少は補えたと思う。それにしても、邦題もワケ解んないけど、原題の意味も良く解りませんね(慣用句なのかな? 誰か教えて)、4点献上。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2006-08-07 00:26:43)(良:1票) |
200. パーティ★モンスター
「クラブ・キッズ」という風俗は知りませんでしたけど、どーしょーもない馬鹿の集まりですね。あれを見て「カッコ良い」と思う馬鹿もいて、馬鹿にはホント際限が無い。彼らは、原則的には「クラブ付きのパーティのプランナー」という「職業」になるんでしょうけど、思いつきと奇抜さだけでは長続きする筈もなく、地方へドサ回りを始める頃には、ニューヨークでは既に過去のものになっている。そして落ちぶれたジャンキーの行き着く所は、例によって刑務所しかない。軽佻浮薄に流されてる者達にとっては、殺人事件さえも、恐ろしく軽々しい出来事の様に感じますネ。という訳で、5点献上。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2006-08-07 00:26:19) |