2041. 静かなる男
これはつまらない。 乱暴な男に、がさつな女。 そんな二人のラブストーリー。 終わりそうで終わらず、変に寄り道するストーリー展開にイライラ爆発。 このままエンドレスかと思いきや、無理矢理ハッピーエンド。 なんじゃこりゃ。 [ビデオ(字幕)] 1点(2009-09-06 23:07:09) |
2042. 泥の河
《ネタバレ》 レーザーディスクにて図書館で鑑賞。 LDってのは、あの重さ、あのデカさがとにかく個性的で、リッチな印象がある。 さて、本作について。 1980年代の邦画最強の1本ということで、かなり期待して観たが、残念ながらその期待を上回ることはなかった。 子供が主演で、実にうまい子役だとは思うが、子役に頼り過ぎ。 俳優や女優の深みのある演技や、若手俳優や女優のフレッシュ感とかが映画の良し悪しを左右すると思っているだけに、これだけ子役に出ずっぱりをやられちゃうと、感心はするが、どうも映画としてはいまいち楽しめない。 ただし、蟹をマッチで焼く子供ならではの残酷さ、子供が売春行為を目の当たりにしてしまうことの背徳感は、モノクロの泥臭い映像と相まって、心に強く突き刺さった。 小栗康平がこの1本目で賞を総なめにして監督デビューするが、この作品で過大に評価されてしまったのではないか。 その後の作品も『死の棘』を除いて良いと感じた作品もなく、ここまで賞を与えてしまった功罪というものを考えずにはいられない。 [レーザーディスク(邦画)] 5点(2009-09-06 17:10:45) |
2043. 燃えつきた地図
勅使河原宏監督、最大の失敗作。 特に、安部公房とのコンビは、『他人の顔』『砂の女』という傑作を残しているだけに、これはなんとも哀しい作品となってしまった。 唯一良かったのは、勝新太郎と渥美清のからみの部分だ。 そっけない勝新太郎に、しつこくからんでくる渥美清。 この対照的な二人が、絶妙な間でもって電話で話すシーンは、自殺という暗いネタが背後ありながら、とてつもないユーモアを感じてしまった。 話をロクに聞いてもいない勝新太郎に、たたみかける様にしつこく話しかける渥美清のセリフまわしは、後の寅さんのごとく天才的なものを感じた。 虚しい朝の訪れを、独特のセリフまわしで話す渥美清を観られたことが、この作品を観た唯一の収穫であった。 [映画館(邦画)] 3点(2009-09-06 00:18:54) |
2044. 暗戦/デッドエンド
《ネタバレ》 音楽がどうも気に入らなかったのと、アンディ・ラウがそれほど好きな俳優ではないこともあって、完全には乗りきれなかったものの、小道具の使い方や意外な展開、そしてスピーディで飽きさせない内容は、なかなか楽しめた。 特に気に入ったのは、最後に宝石をニセモノと称して、バスで何度か居合わせた女性にプレゼントしてしまうところ。 ここにちょっとしたロマンスのスパイスが効いており、じんわりと心に残った。 [ビデオ(字幕)] 6点(2009-09-06 00:07:19)(良:1票) |
2045. エノケンの頑張り戦術
エノケンは別に好きではないので、それほど面白くはなかったが、主演二人のもの凄いアクションシーンに圧倒された。 頸を捻るシーンは、これがほんとに頚椎がやられちゃうんじゃないか、と観ているこっちが心配になるくらい無理に捻るのだ。 按摩のシーン→頸を捻る→取っ組み合い→寝技→ボクシング 、とアクションは流れるように展開され、この作品がコメディであることを忘れさせるほど、スピーディで、ど派手なアクションシーンであった。 これほど危険なアクションシーンはかつて観たことがない。 ハリウッドのどんなに有名なアクション映画でも、この二人のアクションには到底及ばないであろう。 [ビデオ(邦画)] 6点(2009-09-05 08:46:04) |
2046. 遥かなる山の呼び声
《ネタバレ》 高倉健の「奥さん~」で始まるしぶ~い語りかけ。 「奥さん、体触ってもいいですか」。 おっと、こんなセリフはなかったね。 ところで、武田鉄矢のパートは要らん! さて、本題。 これはまさしく男女それぞれの性というものを実に雄弁に語っている。 高倉健が雨しきる夜、いきなり倍賞千恵子のもとに現れる。 最初、倍賞千恵子は高倉健をあやしみ、距離を置く。 しかし、高倉健の人間性、男らしさに触れるにつれ、次第に心を開き、ついには恋心が生まれる。 しかし、そこで高倉健は去ろうとする。 男は女に近づき、そして去る。 それを必死に食い止めようとする女。 女という生き物はなんて不思議な生き物なんだろう。 あれだけ最初は煙たがっていたのに、男が意を決して去ろうとしても、そこに食らいつく。 男はちょっとした気で近づいても、女はそれに一度取り込まれると、もう離れたくなくなる。 男の気まぐれ、女の一途な想い。 そして、一度好きになった男が殺人犯と分かっても、好きな気持ちは変わらないという、女の心の強さ。 男女がそれぞれに持つ性質を、実に分かりやすく描いていて見事だ。 最後の電車の中のシーンが、最後の最大の見せ場だが、ここは少々強引さが感じられる。 しかし、そこは山田洋次マジック! 強引だなぁ、と思わされるも、まんまと高倉健の熱い男の涙にやられてしまった。 親が無惨に死んでもこらえたその涙。 その涙も、倍賞千恵子の「待っている」の一言で、あっさり頬を伝う。 ケレンミのあるラストシーンだが、実に力強く感動に導かれた。 山田洋次監督作品としては、『男はつらいよ』シリーズを別格とすれば、本作が最高傑作かもしれない。 [DVD(邦画)] 8点(2009-09-02 22:54:14) |
2047. 最高殊勲夫人
終始ハイテンション、そして細やかな舞台演出と、卒のない内容で最後まで楽しめたものの、源氏鶏太が原作のせいか、ストーリーが変にまとまりすぎていて、どうも窮屈だった。 女性達は揃いも揃って毒を吐きまくるが、これが痛快というより、むしろ辟易してしまう内容で、観ていて爽快になるようなものでもない。 女性陣は又、華やかながら、魅力に欠けるキャラクターばかりで、心が休まらない。 若尾文子も、他の増村保造作品の若尾文子に比べて、女性的な魅力がいまいち発揮されていなかった。 [DVD(邦画)] 6点(2009-09-02 00:13:20) |
2048. 孤独な場所で
《ネタバレ》 とにかく終り方が良い。 あの破滅的なエンディング。 見事な終わらせ方だった。 そもそも、ボガートは暴力的で、別に殺人疑惑がなくても、遅かれ早かれ主人公二人の仲は破綻したに違いない。 大体、何が原因であれ、これから結婚しようとする相手をあそこまで恐れているようでは話にならないのではないか。 誤解とかいう以前の問題である気がする。 ボガートは、今まで大嫌いな俳優の一人だったが、本作でそんなに苦手でもなくなった。 迫力もあり、迫真の演技も光っていた。 [DVD(字幕)] 7点(2009-09-01 22:04:55) |
2049. 恋のエチュード
明らかに『突然炎のごとく』と似た作風である。 『突然炎のごとく』は感情移入が全くできず、数多く観てきたトリュフォー作品の中でも苦手な作品となってしまったが、本作はそれほど違和感は感じなかった。 しかし主人公が、ここまで姉妹にこだわり続ける男にしては、かなり軽薄であり、その辺も腑におちない。 そしてまた、ジャン=ピエール・レオは名優だが、この作品の主人公としては適役でない気がする。 彼にはもっとガキっぽくて、舌っ足らずな少年(風)が似合うからだ。 卒のないストーリー運びと、尺の長さから、かなり王道なフランス恋愛映画と感じはしたが、トリュフォーにはもっと別の魅力があると思う。 それは、“遊び”を使った軽妙な喜劇、もしくはヌーヴェルヴァーグ全開の馬鹿げた恋愛こばなしとか。 本作のような、王道をいくフランス恋愛映画のような作品では、トリュフォーの魅力は十分には感じることはできなかった。 それと、トリュフォーならではの、体のパーツ、もっと具体的に言えば「足」に対するこだわりが影を潜めてしまっている。 どこか偏執的でマニアックな感じのする捻じ曲がった恋愛映画なんかを撮らせると、天才的な力を発揮する監督だけに、こういった重厚な音楽が背景に流れるような、美しさが前面に出た恋愛映画は向いてないんじゃなかろうか。 トリュフォー作品の鑑賞数も22本となり、未見の作品はほとんどなくなった。 トリュフォーは、男女を描きつつも、多様な作品に挑戦した監督であった。 トリュフォーを好きな映画ファンが、一番好きなトリュフォー作品を挙げると、それぞれが結構違った作品を挙げたりすることが多いが、それだけトリュフォーという映画作家が、奥行きが広く、チャレンジ精神が旺盛な監督だったということを、伺い知ることができよう。 [DVD(字幕)] 6点(2009-08-31 22:15:15) |
2050. 死の棘
ホラーであり、コメディ。 この絶妙な味わい。 いやぁ、楽しかった。 しかし、岸部一徳が演じた夫は凄い。 ここまで妻に食いつかれて、最後まで立っている。 いや、途中何度か倒れかけはしたが、それでも持ちこたえた。 この映画の何が凄いって、この夫でしょう。 この映画は、私のような妻帯者に“浮気”というものの怖さを強烈にうったえてくる。 こんな映画を観た後は、とてもじゃないが、浮気なんてさらさらする気も起ってきません。 それにしても、この当時の精神病院って、怖いのねぇ・・・ 電気ショック療法に、持続睡眠療法?! 風景描写も含め、そんな時代背景を垣間見れるところも、本作の見所の一つだ。 [ビデオ(邦画)] 7点(2009-08-30 22:39:55) |
2051. 三月のライオン
矢崎仁司監督の作品は『ストロベリーショートケイクス』から観たクチだが、本作はその作品とはかなり趣きを異にする内容だった。 インディーズっぽさというか、陰鬱さが画面の暗さに直結していて、少々苦手な部類の作品。 『ストロベリーショートケイクス』は映像が洗練されていて、女性の解放感と閉塞感が微妙に、そして絶妙にバランスをとっていて優れた作品だと感じたが、本作はそれに比べ、まだ未成熟というか、荒削りというか、一方的な陰鬱感のみが発散されている。 こういう暗さを持った作品は、ある監督の生涯においても、初期から中期にかけてしか現れてこない貴重なものだとは思うが、後年からさかのぼって鑑賞してしまうと、それほど良いとは思えなかった。 リアルタイム且つ青春時代にこの作品を観ていたら、感銘の受け方も大きく違ってくるだろう。 [ビデオ(邦画)] 5点(2009-08-30 18:39:48) |
2052. バウンス ko GALS
《ネタバレ》 コギャルという生態を色物的に描いた前半から、まともな青春モノとなる後半まで、実にアンバランスな一品。 はっきり言って、賞味期限切れな作品なのだが、今となってみると一つの時代を描いた作品として貴重とも言える内容となっている。 残念なのは、作品としての全体的な印象が、どこにでもありそうな適当な邦画のように感じられるところだ。 こういう軽いノリの作品なら、最後はあそこまでマトモにしめることなく、最初から最後まで軽いノリでいってほしかった。 もしくは、最初から最後まで社会派的な作風にして、重厚にまとめ上げるとか。 ただし、この作品の素晴らしいところは、コギャルや援助交際といった、当時社会的問題となったネタを、余すところ無くストレートに映像に残しているところだろう。 そういう点では、その時代を映した他にはない貴重な作品として、後世に残る可能性も秘めた作品である。 [DVD(邦画)] 4点(2009-08-29 02:54:31) |
2053. R246 STORY
《ネタバレ》 DVDはバラ売りで、単品仕様。 そんな中で、浅野忠信監督作品『224466』のみを鑑賞した。 浅野忠信が頭の中に描くイメージをそのまま映像化した様な短編で、意味は分からない。 俳優としての浅野忠信ではなく、アーティストとしての浅野忠信に興味がある方なら楽しめる作品だろう。 [DVD(邦画)] 3点(2009-08-29 01:05:03) |
2054. 我が家の楽園
いかにもアメリカ映画的な欺瞞に満ちた内容。 アメリカが豊かな国であるからこそ、語られるその内容たるは観ていて苦痛。 金もうけ、軍事的優位、領土的優位、あらゆる面においてアメリカという国が豊かであるがゆえに、この物語は非常に都合良く、その物語を進行していく。 大体、楽園とやらの家主であるあのおじいさんとやら。 金がなかったら、あんなに沢山の人間を養い、自分の好きなことだけをやって暮していけるはずがない。 なのに、一方では、銀行家が最後は金よりも友情を買うというオチが待っている。 あの銀行家もまた、余裕があればこそ、土地買収をやめて、あの楽園に落ち着いたのだ。 これが貧しい国ならどうだろう。 そもそもあの楽園とやらも存在し得ない。 つまりは、平和ぼけした偽善的なアメリカという国が舞台だからこそ、成り立つ世界なのだ。 独善的なアメリカ的自由主義の嫌な部分をヘドが出るほど見せ付けられた2時間。 これほど自己中心的で、無邪気に過った正義を語る映画を作れるのは、やはりアメリカという国しかありえない。 [DVD(字幕)] 0点(2009-08-26 05:40:15)(良:1票) |
2055. M(1931)
1930年代にしては犯罪モノとしての完成度は高い。 そこはさすがF・ラング。 しかし、やはりどうも古臭さを感じる。 ただし、その古臭さを、サイレント作品を楽しむような感覚で堪能できれば、また別の面白味が出てくるかもしれない。 [ビデオ(字幕)] 5点(2009-08-24 23:26:29) |
2056. アフター・アワーズ
まさに巻き込まれ型サスペンスの典型で、とにかく強引に巻き込んで巻き込こまれる。 ある夜の街に紛れ込んだ一人の男が、トラブル続きで、何故か家に帰れない。 そのトラブルとやらが、とにかく行き当たりばったりで、リズム良く楽しめるのだが、後半になるにつれ、ひたすら都合よくタイミングよく発生するトラブルイベントに少々ウンザリ。 普通に歩いて帰ればいいものを、わざわざ他人の家に上がりこんだり、怪しいバーに入ったりと、、まさに「家に帰らせない為のイベントを強引に詰め込んだ」感がアリアリだ。 その都合よすぎる展開は、しょせんアメリカ映画だ。 この手の、巻き込まれ型サスペンス映画の限界をみた気さえする。 [DVD(字幕)] 5点(2009-08-23 03:18:03) |
2057. マダムと女房
日本初の本格的トーキー作品として名高い本作。 日本映画をそれなりの本数観てきた私としては、避けては通れない作品で、楽しみに観たのだが、日本初のトーキー作品ということばかりが先行し、内容的には戦前の日本映画の中でも特に秀でたものは感じなかった。 田中絹代がとても若々しく、可愛らしいのが印象に残った。 [ビデオ(邦画)] 4点(2009-08-23 00:22:18) |
2058. ブルジョワジーの秘かな愉しみ
「秘かな愉しみ」とか題名にあるから、てっきり同じブニュエルの『小間使いの日記』みたいな淫靡な内容を勝手にイメージしてみたんだけど、見事に裏切られた。 しかも、何が言いたいのか分からず、困惑しながらの鑑賞となってしまった。 [ビデオ(字幕)] 4点(2009-08-23 00:18:22) |
2059. 女は二度生まれる
浮世の世界に独り生きる女を徹底的にドライな視線で描いた作品。 地味な味わいながら、実にリアルにその世界が描写されており、川島雄三監督の社会派劇を撮る巧さというものも堪能できる佳作である。 結局、最後に損をするのは女の方で、男は勝手気ままに生きて、それで最後は女を捨てて去っていく。 どこに去っていくかと言えば、あの世であり、結婚であり、飽きて他の女の所へ行くのであり、様々だ。 いずれにしても、水商売という世界、そしてそこに関わる男達は、一時の享楽しか味わうことができず、安定した幸福感というものは味わえないんじゃなかろうか。 しかし、かく言う私も、そういう世界に身を置きたいという欲求があったりして、なかなか理屈一辺倒では割り切れないのが、この世界である。 そういったやり場のなさというか、世の常というか、人生の儚さというか、浮世の世界に生きる男女の鬱憤みたいなものが、ジメジメとした感じで実にリアルに伝わってきた。 そういう意味では、川島雄三監督の手腕が遺憾なく発揮されていると言えるだろう。 [ビデオ(邦画)] 7点(2009-08-22 18:03:34)(良:2票) |
2060. あさき夢みし
終始、画面は暗いか、もしくは逆光。 これがまた観づらい。 ATGらしい実験的な試みだろうが、決して観ていて良いとは感じず、苦痛の2時間となった。 しかも、内容も分かりづらく、又、出演陣にも魅力を感じ得なかった。 ジャネット八田もなぁ・・・話し方からしてうざい。 ATGは低予算映画が多いが、大物の俳優・女優を使わなかった(使えなかった)ことは、確実にマイナスな方向にはたらいている気がする。 ただし、映像面で言えば、1974年という製作年から鑑みて、とても美しく、時代を超越しているようにも思える。 映像面に関しては、ATGの実験的精神が花開いていたのではないだろうか。 まさに時代を先行く映像美であった。 [DVD(邦画)] 3点(2009-08-20 06:37:47) |