2121. 十戒(1956)
人種がヒトを隔てる理不尽さを見せつける、モーゼがエジプトを追われるまでは見応えがありましたが、それ以降は苦痛に耐えての鑑賞でした。やられたらやり返す、正当防衛と言わんばかりに殺してしまう。そんな神さんが起こす奇跡に崇高さは感じられずオカルトチックなご都合主義に萎えました。老若男女、アヒル、羊、牛等の大移動のド迫力の映像とエドワード・G・ロビンソンのお姿を拝めたところに加点。 [DVD(字幕)] 7点(2014-02-04 01:59:23) |
2122. スミス都へ行く
《ネタバレ》 欲望のままにあらん限りの卑劣な手段を弄するゲジゲジ野郎のテイラーと純朴な青年スミスの闘い。奮闘虚しくもはやこれまでと思われた時に飛び出した良心の呵責に耐えかねたペインの絶叫。奇跡の瞬間に鳥肌が立ち泣けてしまいました。彼を始め、秘書や記者、子供達、議長からこの世も捨てたものでないと痛感させられ、「一生皮肉屋で終わるのも不幸かもね」の台詞に千鈞の重みを感じた作品。 2021年5月30日追記 本日クロード・レインズ命日と言うことで再見。 ジョセフ・ペインを演じていたのはレインズだったのですね。 今回は声を殺して泣くスミスに貰い泣き。ゲジゲジと手を切れないペインの情けなさを自覚しているかのような姿に悔しさと、現実はこんなものかという諦めを感じました。 前回泣かされた作品をさらってしまったあのシーン、彼の墓碑に刻まれているという 「すべては一度、すべては永遠であり、魂は、かつて生き、永遠に生きる」 そのままの渾身の演技でした。 [DVD(字幕)] 10点(2014-01-19 17:15:41) |
2123. 素晴らしき哉、人生!(1946)
《ネタバレ》 皆に尽くしたジョージの窮地を皆が救う「蛍の光」の大合唱は人の温もりが沁みる珠玉の名シーン。ポッターのネコババ行為を誰一人見ていなくても神様は見ており、罰は神様が与えるのだと確信が持てました。【2016/1/8追記】大合唱シーンを眺め、映画のお伽噺であったとしても、生を授かってからここまで過ごしてきた私の身には起こり得ない事を確信させられ号泣。今後二度と観れない作品となりました。 [DVD(字幕)] 9点(2014-01-05 00:22:44) |
2124. 愛の風景
《ネタバレ》 学生同士の惚れた腫れたのくっついたり離れたりにイライラが募る前段。結婚してからの二人に気分が鎮まり最後まで鑑賞。夫婦はこの先もくっついたり離れたりするのだろうと想像させられるラストに、長々とこんな風景を観た疲れが噴き出しました。嫁に手を上げたり、ペトルスを殴り続ける直情径行さにこんなのが牧師かと呆れ果てました。 [DVD(字幕)] 4点(2014-01-04 16:26:58) |
2125. 舟を編む
《ネタバレ》 日本語の拠り所となる辞書を作り上げる15年の歳月。辞書が完成する過程と編集部の面々が過ごした日々が折り目正しく綴られている所に好感が持てました。一人毛色の違う西岡は物語に奥行きを与えたキャラクターで、広告部へと異動する際の「広告部でも大渡海の力になる」という力強い言葉に、組織人としてのあるべき姿を見せつけられました。題名から時代劇だと思っていたのですが嬉しい見込み違いでした。 [DVD(邦画)] 8点(2014-01-04 01:59:10) |
2126. エデンの東(1955)
《ネタバレ》 初見。肉親の縁が薄い四人の葛藤が丹念に記されています。価値観を押しつける父と愛してやるから愛し返してと切望するキャルの対峙が哀しい。キャルが悔恨の情を示す父は死の床、兄は死の淵にいる結末が居た堪れない。 [DVD(字幕)] 7点(2014-01-03 17:31:02) |
2127. フルメタル・ジャケット
ハートマン軍曹の人間の尊厳を粉々に踏み潰す罵詈雑言から、戦場から生きて親元に帰したい、その為には上官の命令には絶対服従して個人的に何の恨みもないアカの他人を躊躇なく殺さねばならない、その為には人の心は捨てなきゃならん、という確固たる思いを感じました。微笑みデブ君がこのまま戦場に出れば自身もまわりの者も死んでしまうという考えが及ばなかったのが残念です。一見ありきたりな戦闘シーンも軍曹に「sir yes sir」と絶叫していた姿を重ねると合法的な殺人の不条理さに胸が詰まります。 [DVD(字幕)] 8点(2014-01-03 00:44:45)(良:1票) |
2128. 夜と霧
公開された1955年から未だに似たような事がそこここで行われている。平時にはごく普通の人が上官の命令の下どんな事でもやってのける戦争のおぞましさ。証左となる本作は語り継がれるべき一品です。 [DVD(字幕)] 7点(2014-01-01 17:47:11) |
2129. 96時間 リベンジ
最後まで疑問であった96時間とは?の答えを本サイトで知りました。モッサリしたリーアム・ニーソンのご意見無用の暴れっぷりでサクサクと都合よく事が進む本作に、ヒットしたらしい前作を観たいとは思えません。敵方がマヌケなアクションものはいけません。胡散臭さ漂うイスタンブールの街並みに加点。 [DVD(字幕)] 5点(2014-01-01 00:30:07) |
2130. 25年目の弦楽四重奏
三人の葛藤は、一流の演奏家である前に一個の人間であるにしても、作曲家や音楽に対する愚弄でありグダグダさが失笑ものでした。唐突に過ぎるラストシーンからはうそ臭さしか感じず盛り下がった気分のままエンドロールとなりました。ピーターの葛藤が考えさせられるものがあっただけに非常に残念です。 [DVD(字幕)] 5点(2013-12-31 01:58:16) |
2131. 東ベルリンから来た女
監視・密告の嫌らしさがやり切れない国を出るかとどまるか。女医の決断まで描かれています。サスペンス・ロマンス・医師の矜持が程よく混ざった起承転結ですが、淡々とし過ぎて惹き込まれるものが無い作品でした。 [DVD(字幕)] 5点(2013-12-07 11:23:48) |
2132. クライマーズ・ハイ(2008)
《ネタバレ》 「題名は聞いた事がある邦画」以外の知識無く鑑賞。あの大惨事に直面した記者達の物語なのだ。全権の息子も犠牲になったのだ。これは気合を入れて観なければと座り直しただけに始終味わい続けた「ポカーン」感が虚しい。犠牲者に対する敬虔な思いが殆ど無い職場の演出過多の罵り合いが不快千万。一点、実話かもしれないと思った、亡くなられた記者の精神が崩壊する迫真の姿に加点。 [DVD(邦画)] 3点(2013-11-23 02:31:08)(良:1票) |
2133. 最強のふたり
介護現場の生々しさが描かれていない事に目くじらをたてる作品ではないと思えます。心遣いと同情の違いを見せつけられた本作。教養を笑い飛ばし、ギクッとさせられる物言いのドリスが醸し出すカラリとした不思議な味わいが心地良く印象深い。最強ぶりが眩しい二人でした。 [DVD(字幕)] 8点(2013-11-13 00:19:19) |
2134. 許されざる者(1992)
《ネタバレ》 リメイク版から興味をそそられての鑑賞。びっくりする程忠実にリメイクされていたオリジナル版でした。話のつまらなさもそのまんま。イーストウッドから謙さんの気魄は感じず。一点だけ違った「その後商売で成功したらしい」には怒りがこみ上げます。「お前だけ幸せに暮らせると思うなよ」 [DVD(字幕)] 3点(2013-11-07 23:32:17) |
2135. 新しい人生のはじめかた
《ネタバレ》 「諦めながら生きる方が楽なの」後悔を重ね歳を重ねてきた者にとっては身につまされる台詞です。現実離れが甚だしい展開ながら一歩を踏み出す結末に力づけられます。肩の力が抜けた名優同士の用心深い触れ合いは、なだらかさに心安らぐ一方で二人なればこその起伏が感じられなかった物足りなさがありました。 [DVD(字幕)] 6点(2013-11-04 17:18:00) |
2136. 復讐するは我にあり
描かれる交尾の如き交わり並びに人間模様はこの監督特有。服着てサウナに入っているが如き不快さが堪らない。復讐を果したい実父に指一本触れられ無い代わりに赤の他人を騙して殺害する息子。最期の対峙の息苦しさが堪らない。復讐は人ではなく神様がする事と言いますが、実話だけにご遺族の胸中を察するとやるせなさが堪らない。 [DVD(邦画)] 6点(2013-10-14 00:46:28)(良:1票) |
2137. 許されざる者(2013)
人斬りは戦争行為においてのみでないならず者十兵衛とサディストな署長の対決。つまらない話で、女性達の描かれ方が半端であるのが奥行きが感じられない作品の要因に思えます。ただ、ならず者なりの気魄を示す渡辺譲は瞠目すべき存在でした。未見の原作に興味が湧いています。 [映画館(邦画)] 6点(2013-10-11 19:50:40) |
2138. マーガレット・サッチャー/鉄の女の涙
政治家としての功罪は通り一遍の知識しか持ち合わせておらず、本作から新たな発見はありませんでした。一方で「鉄の女」たり得たのはご主人の存在あればこそという事を初めて知りました。喪失感にさいなまれる彼女は観ていて辛かった。メリル・ストリープの役者魂は流石であります。 [DVD(字幕)] 7点(2013-10-10 00:08:17) |
2139. 日本のいちばん長い日(1967)
理性無き愛国心の恐ろしさを黒沢年男と天本英世の鬼気迫る言動から痛感させられます。戦争を終結させた天皇陛下のお姿に、開戦阻止が叶わなかった残念さをあらためて感じました。陛下は民を思って涙なされた。すすり泣く幹部達は何を思って涙したのか。綺羅星の如き俳優陣。一人一人が歴史の証人として後世に伝えたいという気迫でもって見せた史実に2時間半もあっという間でした。 [DVD(邦画)] 9点(2013-09-25 22:19:13) |
2140. ホルテンさんのはじめての冒険
仰天のジャンプ以外はこれが冒険?というものばかり。しかし、40年間実直に勤め上げ定年となったホルテンさんの滋味溢れる表情から、一つ一つの行動は紛れもない冒険なのです。これからも続けて行くのであろう、続けていって欲しい。じんわりと沁みる作品です。 [DVD(字幕)] 6点(2013-09-19 23:37:03) |