2141. 復讐するは我にあり
描かれる交尾の如き交わり並びに人間模様はこの監督特有。服着てサウナに入っているが如き不快さが堪らない。復讐を果したい実父に指一本触れられ無い代わりに赤の他人を騙して殺害する息子。最期の対峙の息苦しさが堪らない。復讐は人ではなく神様がする事と言いますが、実話だけにご遺族の胸中を察するとやるせなさが堪らない。 [DVD(邦画)] 6点(2013-10-14 00:46:28)(良:1票) |
2142. 許されざる者(2013)
人斬りは戦争行為においてのみでないならず者十兵衛とサディストな署長の対決。つまらない話で、女性達の描かれ方が半端であるのが奥行きが感じられない作品の要因に思えます。ただ、ならず者なりの気魄を示す渡辺譲は瞠目すべき存在でした。未見の原作に興味が湧いています。 [映画館(邦画)] 6点(2013-10-11 19:50:40) |
2143. マーガレット・サッチャー/鉄の女の涙
政治家としての功罪は通り一遍の知識しか持ち合わせておらず、本作から新たな発見はありませんでした。一方で「鉄の女」たり得たのはご主人の存在あればこそという事を初めて知りました。喪失感にさいなまれる彼女は観ていて辛かった。メリル・ストリープの役者魂は流石であります。 [DVD(字幕)] 7点(2013-10-10 00:08:17) |
2144. 日本のいちばん長い日(1967)
理性無き愛国心の恐ろしさを黒沢年男と天本英世の鬼気迫る言動から痛感させられます。戦争を終結させた天皇陛下のお姿に、開戦阻止が叶わなかった残念さをあらためて感じました。陛下は民を思って涙なされた。すすり泣く幹部達は何を思って涙したのか。綺羅星の如き俳優陣。一人一人が歴史の証人として後世に伝えたいという気迫でもって見せた史実に2時間半もあっという間でした。 [DVD(邦画)] 9点(2013-09-25 22:19:13) |
2145. ホルテンさんのはじめての冒険
仰天のジャンプ以外はこれが冒険?というものばかり。しかし、40年間実直に勤め上げ定年となったホルテンさんの滋味溢れる表情から、一つ一つの行動は紛れもない冒険なのです。これからも続けて行くのであろう、続けていって欲しい。じんわりと沁みる作品です。 [DVD(字幕)] 6点(2013-09-19 23:37:03) |
2146. ぼくは怖くない
鑑賞中ずっと「わたしは怖かった」 余りにも身勝手な大人たちの中にあって、怖くない筈がないであろうに意志を通す10歳の少年に頭が下がります。あの銃声の絶望感はかつて味わった事がないものでした。哀しい時に見る景色は綺麗である事を思い起こされる大地の光景と共に心に残る作品です。 [DVD(字幕)] 8点(2013-09-14 12:47:36) |
2147. ビルマの竪琴(1956)
水島上等兵の決意の基となる屍の山に対して牧歌的に過ぎる収容所。悲惨さが胸に迫って来ませんでした。若き三國連太郎の瑞々しさに惚れ惚れしました。 [DVD(邦画)] 7点(2013-09-06 01:08:48)(良:1票) |
2148. イントレランス
時代が巡っても絶えず繰り返される過ちの根源は、不寛容と言うより私利私欲にまみれた偽善であると思えます。揺り籠の無垢な赤子を見守るリリアン・ギッシュから「この子はどのような一生を送るだろうか」と期待と不安を感じました。ユダヤ、フランスパートのせいで作品が冗長に流れたのは残念です。しかし、バビロンパートの空前絶後のセットとエキストラに、終盤の怒涛のカットバックに、映画の醍醐味を味わいました。 [DVD(字幕)] 8点(2013-08-31 19:27:48) |
2149. 野いちご
自分に厳しく他者にも厳しく。他者の弱さを受け入れられない。他者の為に尽力することが出来ない。過去を顧みて後悔に苛まれるのは老境に入り「死」の恐怖を自覚したから。身につまされるものがありました。どんなに遅くとも後悔したからには残された時間をどう生きるのか、救われるラストシーンに励まされます。 [映画館(字幕)] 8点(2013-08-31 00:05:30)(良:1票) |
2150. 消された証人
物語の9割方が証人、検事、刑事の描写である毛色の変わったギャング映画。証人と刑事の心模様の推移はなかなか見応えがありました。特筆すべきは検事を演ずるエドワード・G・ロビンソン。控えめな役柄であっても一本筋が通った姿は圧倒的な存在感で始終目が釘付けでした。内通者が誰かを悟ったシーンは10回くらい見直してしまいました。後味の良い結末は爽快感がありました。 [DVD(字幕)] 8点(2013-08-26 00:48:04) |
2151. キートンの探偵学入門
キートン2作目であって身体能力の物凄さは織り込み済みとは言えやはり唖然とさせられ、更にビリヤードでの身のこなしにはシビレました。アイデアに溢れた展開は笑いどころ満載。快作です。 [DVD(字幕)] 8点(2013-08-25 01:24:29) |
2152. 処女の泉
《ネタバレ》 信仰心厚いテーレは常々一家を悪の手よりお守りくださいと祈ります。最愛の娘が山羊飼い兄弟に受けた仕打ち。丹念に描かれていて思い出すと吐き気がします。厚顔無恥が災いしてテーレにばれてしまいます。このシーンも丹念に描かれていて母の絶望を思い出すと血圧計が振り切れます。テーレは悪に対する復讐を果しますが、無辜の幼い末っ子まで亡き者にしてしまいます。これもまた悪。神に縋っている姿とそれに応えたかのようなラストに少し違和感がありました。インゲリの存在価値が不明だったのが残念でした。 [映画館(字幕)] 7点(2013-08-23 22:53:57) |
2153. 第七の封印
《ネタバレ》 死神の登場シーンが頭に焼き付いて離れません。その重厚で侵し難い姿は得も言われぬ怖さを放っていました。戦争での殺戮、魔女狩りでの殺戮、終末思想による狂乱の行進。これらを神の名の下に行っておきながら神に救いを求めようとする自己欺瞞を死神は見通しています。一方、このような陰惨な時代にあっても瑞々しく健全に過ごす若い旅芸人一家には死神の神通力も及びません。信仰心は道徳心の上に成り立つものである事を知らしめられます。死の恐怖と生の喜び。監督は後者を表したかったように思えました。 [映画館(字幕)] 9点(2013-08-23 22:10:08) |
2154. 惑星ソラリス
詩的な映像美にハッとさせられるも一つ一つのシーンのあまりの長さに辟易させられ、愛について、良心について、語るのは映像ではなく言葉。監督の押しつけがましさを感じてしまいました。 [DVD(字幕)] 3点(2013-08-13 00:51:07) |
2155. 袋小路(1965)
人間は独りでは生きて行けない。人間は孤独を生ききらねばならない。ラストの彼の佇まいに痛切に感じました。30歳そこそこでこのような人間関係を描く監督、凄すぎます。 [映画館(字幕)] 9点(2013-08-10 11:27:12) |
2156. 反撥
人間が壊れてゆく様子がネットリと描き上げられています。遠因すら語らないカトリーヌ・ドヌーヴの面持ち。妄想を示す映像。鐘・電話のベル・呼び鈴・微かな蠅の羽音といった音。これ等が渾然一体となりヒタヒタと纏わりついてくる恐ろしさに逃げ出したいのを堪えながらの鑑賞となりました。 思い返しても寒気がします。 [映画館(字幕)] 7点(2013-08-10 11:10:15) |
2157. 水の中のナイフ
《ネタバレ》 妻を前にして内心張り合って火花を散らす夫と青年。何時爆発するのかハラハラさせられていたら、夫婦のほうが爆発するも腐れ縁を続けて行く。湖上のヨットにおける密室劇で描かれる人間模様は夫婦の倦怠のみならず体制対反体制をも浮き彫りにさせるもの。斬新なアングルの瑞々しい映像美、バックに流れるジャズ、妻が歌う歌にも心奪われます。29歳での長編処女作とは、監督の無尽蔵の才能に脱帽します。 [映画館(字幕)] 8点(2013-08-03 21:58:16) |
2158. ダイ・ハード/ラスト・デイ
異国の地で暴れまわる親子。組織の体を成していないその戦いぶりは派手で不死身であればあるほどドン引きしていきました。チェルノブイリを引っ張り出したいが為のロシアという舞台設定も放射能の無神経にも程がある描写に呆れ果てます。ハンス・グルーバーを彷彿とさせるシーンに、あの名作が今では見る影もない有様である寂しさと、こんな出来でダイハードを名乗る厚顔無恥さへの怒りを味わいました。 [DVD(字幕)] 2点(2013-08-02 01:48:34) |
2159. セブン
《ネタバレ》 神を語るジョンのサマに頭良さげで高邁な精神を持ちあわせるやに見えますが、神を騙る能書き垂れの鬼畜野郎。ケビン・スペイシーが見事に体現しています。彼とミルズとサマセットの最後のせめぎ合いの生々しさに息をのみました。私はミルズが刑事である以上は耐え難きを耐えて欲しかった。無残な遺体の遺族達と共に死刑執行に立ち会って欲しかった。考えさせられるところはあるものの神をダシにして猟奇趣味を見せびらかす不快な作品でした。 [DVD(字幕)] 5点(2013-07-05 23:20:38) |
2160. 鍵泥棒のメソッド
良く練られた脚本を体現する香川、広末、堺のアンサンブルが見事。記憶を失くしても気質は失くしていないコンドウがアパートの一室をごみ溜めから整理整頓された居住空間として、購入した本をしっかり読み込む。ノートに記された文字に「自力で着実に生きる」強烈な意志を感じました。健康で努力家な彼と仕事熱心の彼女の顛末に心地良さを味わえました。二人の引き立て役であった桜井演じる堺雅人特有の腑抜け感もいい塩梅でした。 [DVD(邦画)] 8点(2013-06-30 15:07:40)(良:2票) |