201. ダウト ~あるカトリック学校で~
《ネタバレ》 これはおもしろい!俺は最後の最後まで、メリルストリープ校長に対して敵対心を抱いていた。「死ねクソババア」と眉をひそめ続けていた。けれどあの雪が積もったラストシーンにて、校長を一瞬で赦すことができた。映画が終わるのと同時に、校長も許そうと思った。要はまじめな人なんだ。最後の神々しい聖歌が、疑い深い人間の心理のささくれをやさしく撫でる。 この余韻を得るために、神父の真相は迷宮入りでなければいけない。 [DVD(吹替)] 9点(2010-03-16 02:27:58) |
202. ララピポ
《ネタバレ》 10代のうちにしっかり勉強して、それなりのお仕事に就いて、安定した生活を送らないと、こうなるよー!っていう映画。 AV女優とは転落しきった人生の末路であると思われるのは誤解だ!という啓発なのだろうか。それって道徳的にいかがなものか。まったくもお。 [映画館(邦画)] 6点(2010-03-15 21:55:34) |
203. 追悼のざわめき
《ネタバレ》 前半と後半で、だいぶ映画のコンテクストが変わる。別の監督が撮ったのか。それによって前半の猥雑さが、後半神々しく昇華する。 あいりん地区のことはよく知らないけど、あいりん地区のイメージとして「カラス」があると思う。だからガアガア騒ぐカラスのカットを適宜挿入してはいかがだろうか。冒頭虐待するのもハトではなくカラス、コビトが飼ってるのもカラス。 白黒の映像に、血の色だけ赤とか、そういう演出も面白そうだ。 [DVD(邦画)] 7点(2010-03-15 21:51:30) |
204. ライアーゲーム ザ・ファイナルステージ
《ネタバレ》 漫画、テレビドラマは未見、ていうか存在知らなかった。前田有一氏に勧められて鑑賞。 テレビテレビしたチープな演技や演出が、この理不尽な環境に現実味を与えていたように思える。あんだけテンションが高くないと、あのように赤りんごが揃わないのだろう。でも本当に赤りんごをそろえることはできないのであろうか。それがけっこう気がかりだった。 1000円のエピソードがいい。戸田エリカの親切と、1000円をちゃんと返したあのおっさん、ああいう親切の恩返しが、この国を豊かにする。 [映画館(邦画)] 9点(2010-03-08 19:11:08) |
205. レイクサイド マーダーケース
《ネタバレ》 なんせ贅沢なキャスティングだから、もったいないという印象が残る。 贅沢なキャストたちに囲まれて、地味な子供たち。あのこたちの存在感がキーだったはずだ。トヨエツと役所が話しているときに『光る眼』みたいに並んでいたが、あんな雰囲気を子供たちにもっと乗せられなかっただろうか。オープニングにちょうちょを踏みつぶす。それだけではやっぱり足りない。バーベキューのシーンで演出できたのではないか。 ラストシーンもお姉さんの腐乱死体ではなく、子供たちの美しいノートとかのほうが恐怖と狂気を感じる。それがこの映画の主題たりえるのではないか。 それと、被害者の女性が存在感が強すぎた。あくまで彼女はこの映画では「記号」としていてくれればいいと思う。だからおっぱいとか笑顔とかは極力排除すべきだった。無個性の被害者でよい。 [DVD(邦画)] 7点(2010-02-28 03:26:59) |
206. ヴェルクマイスター・ハーモニー
《ネタバレ》 シアターイメージフォーラムにて鑑賞。 145分もあるけど、冗長で退屈な長回しばかりなのでストーリーはのっしのっしと進んでいく。代わりに長回しを贅沢につかったダイナミックなシーンがとても見ごたえある。まず驚いたのは、クジラが入った巨大なトレーラーが、トラックによって運ばれてくるシーン。最初、遠ーくに小さくいるトレーラーが、大きなエンジン音でゆっくり手前に運ばれていく、奥から手前にむけて大きな照明がトレーラーを照らし、大きな影が壁に広がる。5分くらいかけて運ばれる。こんなに退屈で迫力満点な映画はない。実際こんな感じのシーンが繋がれていく。 ガスバンサント監督やジムジャームッシュ監督が影響うけてるんだそうだが、すごくうなずける。とくにガスバンサントに関しては撮り方とかパクリと言っても過言ではないくらい似てる。『エレファント』のときのようなステディカムによる死神のような人物の追跡や、『ジェリー』のときのような歩き続ける無言の男二人の無表情の横顔、おんなじことをこの映画はやってるし。 ただ、ガスバンサントが面白いかというと笑顔で首を縦に振りたいと思えない。 長回しのなかでとにかく印象に残るのが、音である。特に足音がガサガサうるさい。部屋に反響する食器のぶつかる音、子供がかき鳴らす太鼓の音、広場で焚かれる炎の音、ヘリコプターの爆音。そんなかんじでなんらかしら音がガガガガ止まない。きっと監督なりの意図があるんだろうけど、よくわからない。白黒の映像に環境音が栄える。 以上をまとめる限り決して面白い映画っぽく読めない。でもこの映画を見てよかったなーと思えるのが、ポイントのシーンで使われる音楽である。情感たっぷりに哀切に満ちたストリングス全力の音楽。もしかしたら特異な音律で演奏されているのかもしれない。青年がクジラを見つめるとき、暴動を起こす民衆が手を止めたとき、そしてエンディング、そういった要所要所で流れる。あれだけでもいいから聴くといい。 [映画館(字幕)] 8点(2010-02-28 03:12:11) |
207. ウルトラミラクルラブストーリー
《ネタバレ》 首なし男と松山の会話のシーンが良い。カメラ固定でくねくねした道を歩くのだが、その道の異様な曲がり具合がファンタスティックであった。 麻生久美子の内面が後半見られない。松山に死なれて良かったと思ったのだろうか。最後の脳の扱いからして、さてどうでしょう。 赤塚不二夫の世界観に似ているかもしれない。 [DVD(邦画)] 8点(2010-02-21 23:00:48)(良:1票) |
208. 羅生門(1950)
これこそリメイクしてほしい。そうですねえ、キャスティングは・・・ 女=松たか子 きこり=温水洋一 タジョウマル=あえて香取慎吾 巫女=ベッキークルーエル [DVD(邦画)] 8点(2010-02-21 02:20:18) |
209. サベイランス(2008)
《ネタバレ》 不条理であるのだけど、あのFBI二人組がところどころ気持ち悪いそぶりを見せるので、「殺人チョー気持いいー!」っていう動機が見えてしまい冷める。なぜFBIはあんな残虐なことをするのか、それがわからないからこそ面白い映画になるんだと思うが。 そもそもあんな悪い警官は死ねばいいわけで、そんなあいつらが殺される様子は観てるほうとしてカタルシスを得てしまう、だからFBIが正義の味方みたいに写ってしまう面もある。それは監督の意図なのか? ラスト、少女を生かすのはFBIの善意なのかと思ったが、今考えると、あの少女はこれから身寄りのない人生をすごさなければならないわけで、しかも壮絶なトラウマと秘密を背負わなければならないわけで、それはそれで真綿で首を絞めてるみたいだ。 中途半端な映画。 [映画館(字幕)] 7点(2010-02-11 00:03:33)(良:1票) |
210. 12人の怒れる男(2007)
《ネタバレ》 12人いたような印象を受けない。5人くらいしかいなかったんじゃないか? 演技が嫌い。 [DVD(吹替)] 6点(2010-02-09 00:35:06) |
211. ルクソーJr.
しゃがんだり、ひねったり、すくっと立ち上がったり、コードが跳ねたり、ライトが遠くを照らしたり、これらの描写に“表情”は一切ない。なのにひしひしと感情が伝わってくる。不思議だなあと思った。 [DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2010-02-09 00:15:58) |
212. Knick Knack ニック・ナック
とても狭い舞台でのお話であるけども、こんなにわくわくできる短編はそうない。どんなことがあってもくじけない雪だるまが泣ける。 [DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2010-02-09 00:12:43) |
213. バウンディン
魅惑のチキルームみたいで楽しかった。 [DVD(字幕)] 7点(2010-02-09 00:09:29) |
214. ゲーリーじいさんのチェス
自分と戦っている老人の話。さびしい公園にたった一人でああやってたたずむ老人一人が気の毒。 [DVD(字幕なし「原語」)] 7点(2010-02-09 00:07:40) |
215. ティン・トイ
《ネタバレ》 あかちゃんの動きで、ウゴウゴルーガを思い出した。 [DVD(字幕なし「原語」)] 7点(2010-02-09 00:04:57) |
216. サンセット大通り
いい映画だけど、あえてこう言い捨てよう。 老害 [DVD(字幕)] 8点(2010-02-04 23:15:25) |
217. パラノーマル・アクティビティ
《ネタバレ》 わかった。これは女による自作自演の男謀殺計画だ。 悪霊がとりついている、ということにしてあの男に愛想が尽きたあの女が巧妙に仕組んだトリックである。ああやって男を窮地に追い込んで、殺害し、自分は逃げる。完全犯罪! なぜならば壁掛け写真が男の方だけスクラッチされていたし、霊媒師との共謀もできうる。男が「ホテルに逃げよう」と言って準備し終えたとき女が「行きたくない、ここにいたい」と懇願したのもそのため。そしてこうして映像に残しておけば男は悪霊に殺されたみたいになって、自分の人殺しの罪をけむに巻くこともできる。 だから画面のそこかしこに、女が仕込んだトリックの見切れがあれば面白かった。たとえば寝室のドアにピアノ線が伸びていたりとか。女と霊媒師が裏で打合せしてたりとか。男が殺させるに値するような振る舞い、たとえばDVとか、不倫とか(女のお友達と不倫してたら面白い。つまりビーズを作ってるときに男の殺害計画をしていた!)をカメラが捉えていたとか。 実際これは映画なのだから、悪霊のしわざと思える怪奇現象はすべてそもそも人為的なものなわけであってこの事実から映画は逃げることはできない。であるからこそ男はあの女(とその仲間たち)に殺されたのだと思う。 『放送禁止』の見過ぎですかね。 [映画館(字幕)] 8点(2010-02-04 23:09:33) |
218. マーターズ(2007)
《ネタバレ》 レンタルDVDだったからなのか、どうもスプラッターシーンが削られているような気がする。それくらい拍子抜けするくらい全然グロくなかった。エロくもないし。かといってオリジナル版を確認するほど魅力的な映画ではない。 「あの世を見る」という大義がいちおう彼ら彼女らにある以上、あの暴力の根拠がわかるので、さして残虐にみえないのだよ。『ホステル』みたいな大義のない(あえて言うなら自分の快楽のため)暴力だからこそ残虐であり、恐怖である。 そういう意味で、最後科学くんがつぶやいたクチパクは「くるしい」(綾瀬女子高生コンクリ事件での、女子高生の最後の言葉)でなければならないし、それを聞いたあの老婆は自殺してはならない。笑ってくれないと真の不条理にはならない。あの老婆の自殺は、映画を観た我々を赦してしまうようで、俺はマーターズ(証人)にはなれなかった。 [DVD(字幕)] 5点(2010-01-28 21:11:14) |
219. 上島ジェーン
《ネタバレ》 傍若無人で不器用な上島っプリは正直腹が立つし、上島ファンである俺ですら嫌いになってしまうくらいひどい男である。それはつまり上島も有吉も上手ということだろう。 でもあんな上島であるから、最後の事故死が実はサーファーたちによる謀殺だったとしたらおもしろかったと思う。たとえば睡眠薬を混ぜていたとか。そうすれば『放送禁止』シリーズみたいな感じになるであろう。 [DVD(邦画)] 5点(2010-01-28 21:01:41) |
220. ゲーム(1997)
《ネタバレ》 映画だからこそ為し得るお話。映画が好きになれる。最後、祝福で終わるのがすがすがしい。監督がデビッドフィンチャーだからゲームにサスペンス風味が増すのだろう。 [DVD(字幕)] 9点(2010-01-28 20:57:02) |