2221. ラヂオの時間
メディア関係者が見た場合、「そんな奴いないだろ」というツッコミが入りそうなくらいベタな業界人がわんさと出てきます。そのため、観客はイメージし易く、すんなり物語の世界に入れると思います。ストーリーは、ラジオの特性を生かしたドタバタをお馴染みの三谷節で魅せます。自分はAMラジオが大好きで、今でも番組を録音して聴くくらいなので、ラジオ業界が取り上げられただけで嬉しかったです。あえて「ラヂオ」というタイトルを付けるあたりが、古き良き時代の主役だったメディアとしての郷愁を誘います。 [DVD(邦画)] 6点(2006-05-05 01:12:24) |
2222. セルラー
この作品、とても時間にこだわっています。短い上映時間はもちろんですが、次から次へと襲い来る難題は、すべてタイムリミット付です。さらに終盤には、ご丁寧にもセリフとして「あと20分で終わる」と観客に説明しています。とにかく展開が速く、テンポ良く、ストレスを感じず観ることが出来ます。ストーリー自体には結構無理があるものの、細かいことは気にせず楽しみましょう。警官役のウイリアム・H・メイシー、カッコイイです。ホームランではありませんが、2ベースヒットくらいの良作です。 [DVD(字幕)] 7点(2006-05-05 01:02:45)(良:3票) |
2223. ナイト・オブ・ザ・コメット
SFホラー作品でありながら、非常に淡々と物語は進みます。緊張感はほとんどありません。癒し系ホラーとでもいいましょうか。ある意味新しいジャンルなのかもしれません。一応「ゾンビ」ものですので、お好きな方は教養のひとつとしてご覧になるのもアリかなと思います。あと事態の終息の仕方が、かなりの力技ですので、最後に「ええ~??」と言いたい方にはお勧めします。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2006-05-04 01:30:18) |
2224. デビルマン
このサイトは、観る作品を選ぶ際にとても役立ちます。ですが、「これは合わないな」と分かりつつ観てしまう作品があります。自分にとってこの作品はそうでした。つい誘惑に勝てず観てしまいました。仮に自分と合わない作品でも、良いところを書こうと思います。ですからこの作品の良いところ1つ書きます。…酒井彩名がドラマ慣れしていました。主人公が右前腕を胸の前に突き出したあのポーズが頭から離れません。ある種、とても印象深い作品です。 [CS・衛星(邦画)] 2点(2006-05-04 01:16:27) |
2225. ロスト・ハイウェイ
誰にでもわかる作品は素晴らしい。誰にもわからない作品に価値は無い。本作は後者に近いと思います。しかし、「わかるかもしれない」「わかりたい」と思わせる魅力があります。これは重要です。ある人が松本人志の笑いを「俺にしかわからないと思わせる誰にでもわかる笑い」と称していました。これは凄い褒め言葉です。デヴィッド・リンチ作品も同じだと思います。『マルホランドドライブ』はそのさじ加減が絶妙で、本作は行き過ぎていただけのことです。たまに観返して、ワケわかんなくなりたい。 [DVD(字幕)] 7点(2006-05-03 12:08:10)(良:1票) |
2226. インデペンデンス・デイ
最初の鑑賞は劇場の大スクリーン。その時の感想は、「とにかく映像はスゲえ!でも大味だなあ」というもの。その後もテレビやDVDで何度も観賞しましたが、感想は変わらず。根底にある“アメリカ万歳”というメッセージも、だんだん鼻に付くようになりました。脚本は上手いとは思いません。でも、こういう映画って在り難い。絶対に必要だと思う。金にモノを言わせた映像美。CG、特撮使い放題。2時間だけ別世界に連れて行ってくれる極上のエンターテイメント性。ハリウッドの超大作には、それがあります。気力が消耗しないから、何度も楽しめる。こんな映画が劇場から消えてしまったらきっと寂しい。こういう作品をきちんと評価したいと思うようになりました。金がかかっているほどバカ映画は輝く。皮肉ではなく、称えたいと思います。(2008.2.21 6点→7点へ修正) [映画館(字幕)] 7点(2006-05-02 20:08:46) |
2227. 日曜日が待ち遠しい!
殺人の容疑がかけられた男を救うため女が奔走し、そこに恋が芽生えるという、ラブコメサスペンスお決まりパターンの作品です。また、コメディの要素が強く、小粋な雰囲気が漂っているので、お好きな方にはお勧めできます。ただ、恋におちる男性役があまり魅力的でない点や恋愛に発展する過程に感情移入ができなかったため、個人的にはヒットとなりませんでした。というかこれ1982年の作品ですか? [CS・衛星(字幕)] 5点(2006-05-02 18:31:59) |
2228. 千と千尋の神隠し
自分の場合、宮崎作品に対しては、カリオストロの城やコナンに代表されるような「理屈抜きの面白さ」「破天荒なアクション」を求めてしまいます。その点からすると、本作はあまり該当しません。では面白くないかというとそういう訳でもありません。現代っ子の成長物語としてはよく出来ていると思います。また、最近の宮崎駿作品に決まって出てくる子供狙いのカワイイキャラがいない点は好印象です。あえて言うならカオナシかな(笑)。ただ、どうしても判らないのは、この作品が記録的大ヒットとなった点です。現代人が求めている「何か」が本当にそこにあったのでしょうか?ちょっと怖い気もします。(2014年12月追記)何言っているんでしょうね自分(汗)こんなに素晴らしい子の成長物語もないでしょうに。コナンやルパンのようにずば抜けた身体能力もなく、パズーのような強靭な精神力も持たない“普通の少女”が、困難を乗り越えていく部分に価値があるのに。繰り返しますが、何の取り柄もなさそうな(でもちゃんとある)、何処にでもいる女の子が主人公だから良いのです。千尋の武器はさしずめ“素直さ”ですかね。3人の娘の父となった今、全く観方が変わった作品です。点数も大幅アップしておきます。 [映画館(邦画)] 9点(2006-05-02 18:26:59)(良:2票) |
2229. 世界の中心で、愛をさけぶ
《ネタバレ》 率直な感想は「普通」。いわゆる難病ものなので、可哀相だなという気持ちにはなりますが、泣くほどではないなという印象です。ただ、この作品の長澤まさみは文句なく魅力的ですので、そちら目当てに観るのもアリかなと思います。(以下軽いネタバレを含みます)ちなみに代表的なシーン、空港での「助けてくださーい」については、周りの人間に助けを求めているというよりも、特定しない誰か(いわゆる神様)に対してこの運命から助けて欲しいという意味にとれましたので、「無断で病院を抜け出しておいて何をいまさら」という気持ちにはなりませんでした。 [映画館(邦画)] 5点(2006-05-02 18:24:23)(良:1票) |
2230. 真夜中の弥次さん喜多さん
《ネタバレ》 原作未読のうえでの感想です。この作品、最初はいい意味で単なる「おバカ」映画と思って観たのですが、まったく違いました。これから観ようとする方は、必ず最後まで作品をご覧になることをお勧めします。前半と後半ではまったく趣きが異なります。ただ、面白いかどうかは人によります。(以下ネタバレを含みます。あくまで私個人の捉え方ですので、的はずれかもしれません。)本作のテーマは「現実(リアル)」とは何か?です。喜多はドラッグにより、弥次は旅することにより、向き合いたくない「現実」から逃避しています。つまり物語で起こっているほとんどの事象は2人にとって「現実」ではないわけです。こう考えると時代設定無視の事柄も「現実でない」ことを端的にあらわしているといえます。弥次は向き合いたくない現実(妻殺し)と向き合うことで「現実」を取り戻す(死後の世界から生還という形態)一方、喜多は向き合いたくない現実(弥次殺し)から逃避することで、別の「現実」を得ようとします。こうしてみると「現実」とはいかに不確定なものかが分かります。実際、作品中のあるべき「現実」を取り戻した後も、弥次喜多2人はいるはずの無いピンクの像にまたがり、あるはずの無いバイクで疾走しています。「現実」か「現実」でないかは観客本人が決めること。あなたは「現実」を生きていますかと問われている気がします。考えすぎかな。もっと単純にわははと笑うのが正しい見方かもしれません。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2006-05-02 00:07:49)(良:1票) |
2231. 交渉人 真下正義
TVドラマ「踊る大捜査線」は大好きです。そのため本作も映画館で観ることにしました。作品としては、スピンオフでありながら、本体の「踊る~」の知識なしでも楽しめる作品で、間口の広さがうかがえました。ストーリー自体に目新しさはないものの、手堅く作られているという印象です。なお、寺島進さんの存在感は群を抜いており、彼を観るだけでも価値はあるかと思います。あと全然内容と関係ないですが、↑キャストの欄、役職までちゃんと登録してあるのにちょっと感動。漢字長っ! [映画館(邦画)] 5点(2006-05-01 20:10:07) |
2232. クレヨンしんちゃん ヘンダーランドの大冒険
自分も「オトナ帝国」「戦国大合戦」からクレしん映画に入りました。そのため本作には「本来あるべきクレしん映画」というものを見せてもらった気がします。構成自体はまさしくオトナ帝国のそれですが、こちらは純粋に子供が楽しめる作品だと思いました(大人ももちろん楽しめます)。ここぞという場面で思い切りギャグに走るあたりも非常に好感が持てました。あと、映画シリーズおなじみの芸能人ですが、本作の雛形あきこさんは違和感なく物語に溶け込んでおり(意味のある登場の仕方)、その点でも良かったと思います。清々しい気持ちになる作品はいいものです。 [ビデオ(邦画)] 8点(2006-04-30 18:05:06) |
2233. ロング・エンゲージメント
ストーリー自体は非常にオーソドックス。ただ、名前が覚え難いので途中経過がわかり難かったです。また、笑いを誘うような表現と人間の生臭い部分を表現するシーンが混在しており、全体として中途半端な印象を受けました。個人的には、R15指定を受けない程度の表現でも十分作品のねらいは果たせたのではないかと思います。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2006-04-30 03:39:00) |
2234. Mr.インクレディブル
「ディズニーアニメ=大人が子供に見せたいアニメ」という先入観があったため、本作も長らく未見でした(なんかウソくさいのが嫌なので)。ただ、他のディズニー作品とはちょっと様子が違うかなと思い観てみたのですが、これがむちゃくちゃ面白い!前半と後半の緩急の付け方といい、問答無用のスピード感、迫力あるアクションシーンといい、家族愛といい、不覚にもちょっと涙が出てしまいました。エンドクレジットも洗練されており、久々にDVD鑑賞でありながら最後まで観ました。日本語吹替え陣も良く、違和感はありません。極上のエンターテイメント作品だと思います。ただ、こういう作品に出てくる日本人(?)ってホント嫌な描かれ方をしていますね。それが残念です。 [DVD(吹替)] 8点(2006-04-30 03:19:24) |
2235. 真珠の耳飾りの少女
まったく予備知識なしに観ました。中盤くらいまでは、「フランダースの犬」みたいな話かと思っていましたが、ラスト15分くらいでやっと分かりました。タイトルどおりの話だった訳ですね。そういえば美術の教科書で見たのを思い出しました。自分はいわゆる娯楽作品の方が性に合っているようなので、本作はちょっと刺激不足でした。それでも最後まで観られたのは、スカーレット・ヨハンソンの透明感に魅せられたからかもしれません。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2006-04-29 00:57:53) |
2236. 28日後...
自分の中で突如始まった「ゾンビ映画フェスティバル」の一環としてこの作品を観ました。画がフィルムを使っていない?ため(デジカメみたい)、テレビドラマのような印象でしたが、04年リメイク「ドーン・オブ・ザ・デッド」と共に楽しめました。ただ本作はゾンビものというよりも「災害パニックもの」という気がしました。物語途中どうにも気分の悪くなる展開になりかけましたが…気の利いたエンディングは好みです。(他のエンディングパターンもあるそうですが、自分はこのエンディングでOKです。) [DVD(字幕)] 6点(2006-04-28 19:05:08) |
2237. ゾンビ/ダリオ・アルジェント監修版
《ネタバレ》 04年リメイクを観た後に本作を鑑賞しました。リメイク作の方が娯楽作品としては刺激的でしたが、オリジナルの方が味わい深いものでした。その理由は「ゾンビの動きが遅いから」。実はこのことがネックで長らく『ゾンビもの』を観ていませんでした。ゾンビは怖くないと思っていたからです。楽々逃げられるし、戦っても勝てる。じゃあ別に大丈夫じゃん。しかしそれが故に、人は命の危険を冒してまでも安全を確保しようと、ゾンビの群れに飛び込みます。たとえ死んでも安全が欲しい。安心したい。矛盾しているようですが、よく分かります。ゾンビは単に設定のひとつ。今の世界のルールが通用しなくなった時に、あなたはどうしますかという問いかけの話。人間とはどういう生き物かというお話でした。ですから、本作に事態収束のオチは必要なかったのだと思います。 [DVD(字幕)] 7点(2006-04-28 18:59:00) |
2238. グッバイガール
非常にベタに思えました。当たり前です。同じような和製TVドラマを今まで何度となく観てきたのだから。ですからストーリー自体に新鮮味はありません(こちらの方が先に創られているのですから、この表現は変ですね)。でも主演の2人と子役が上手いので、観ていて飽きることはありません。また、大事な場面で「雨」を効果的に使っているのも気に入りました。とくにエンディングはしびれます。惜しむらくはこの作品を今初めて観たことです。もっとまっさらな気持ちで観られたなら、もっと楽しめたと思います。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2006-04-28 00:44:33) |
2239. アイ・アム・デビッド
収容所からの脱出という設定は、名作「大脱走」をイメージしてしまいますが、本作はまったく趣きが異なります。憲兵の追跡や国境検問などはあるものの、かなり淡白に描かれており、それよりも収容所という特殊な環境で育った少年が、一般の社会や人々と触れ合うという側面の方が主軸に描かれています。少年が閉ざした心の鍵を開ける過程を描いていると言った方が正しいでしょうか。そのため、少年が目的を遂げるまでの試練もさほど多くなく、予定調和な感は否めません。ですが逆に安心して観られます。次から次へと苦難を乗り越えるほうが確かに面白いですが、このような静かなロードムービーも悪くないと感じました。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2006-04-27 00:23:07) |
2240. タクシードライバー(1976)
《ネタバレ》 どうしようもない孤独と閉塞感に精神を病んでいく主人公トラヴィス。女性との交際失敗を引き金に、トラヴィスは現状を変える為のある計画を立てる。孤独と苛立ちをロバート・デ・ニーロが、怖いほどの演技で表現しています。もし未見でしたら、ぜひとも観ていただきたい。ただし、「観てよかった」とは思わないかもしれません。それでもなお、お勧めします。(以下ネタバレを含みます。間隔を空けて3度観たうえでの感想です。)孤独と現状に対する苛立ち。自分がどうしたいのかもわからない。タクシードライバーとして様々な人を乗せることで、一層トラヴィスの心は擦り切れていきます。失恋もそれに拍車をかけます。現状を変える何かをしなければならない。他の選択肢は現れません。目的を定め、体を鍛え始めるトラヴィス。このときは精神的に安定していたことでしょう。目的は何でもいいのです。「大統領候補殺害」でも「売春から少女を救う」でも。目的を果たした後、トラヴィスは自殺を試みます。また血の海の中で、自らのこめかみに人差し指の銃を突きたてて見せます。トラヴィスは結果を求めておらず、またその行動の意味さえ失っていたのかもしれません。この狂気の行いには共感できるはずもなく、また結果ヒーロー扱いされる様にも納得がいきません。この部分を捉えると、単に暴力的で嫌な話に思えます(初見で自分はそうでした)。トラヴィスの行動ではなく、そこに至った心の動きにこの作品の意味があり、ロバート・デ・ニーロがそこに在ることに価値があるのだと思いました。上手く言葉にできません。でも良いのです。 [DVD(字幕)] 9点(2006-04-26 17:48:36) |