221. エデンの東(1955)
《ネタバレ》 初見。肉親の縁が薄い四人の葛藤が丹念に記されています。価値観を押しつける父と愛してやるから愛し返してと切望するキャルの対峙が哀しい。キャルが悔恨の情を示す父は死の床、兄は死の淵にいる結末が居た堪れない。 [DVD(字幕)] 7点(2014-01-04 02:18:50) |
222. 夜と霧
公開された1955年から未だに似たような事がそこここで行われている。平時にはごく普通の人が上官の命令の下どんな事でもやってのける戦争のおぞましさ。証左となる本作は語り継がれるべき一品です。 [DVD(字幕)] 7点(2014-01-01 17:47:11) |
223. 第七の封印
《ネタバレ》 死神の登場シーンが頭に焼き付いて離れません。その重厚で侵し難い姿は得も言われぬ怖さを放っていました。戦争での殺戮、魔女狩りでの殺戮、終末思想による狂乱の行進。これらを神の名の下に行っておきながら神に救いを求めようとする自己欺瞞を死神は見通しています。一方、このような陰惨な時代にあっても瑞々しく健全に過ごす若い旅芸人一家には死神の神通力も及びません。信仰心は道徳心の上に成り立つものである事を知らしめられます。死の恐怖と生の喜び。監督は後者を表したかったように思えました。 [映画館(字幕)] 9点(2013-11-04 02:45:44) |
224. ビルマの竪琴(1956)
水島上等兵の決意の基となる屍の山に対して牧歌的に過ぎる収容所。悲惨さが胸に迫って来ませんでした。若き三國連太郎の瑞々しさに惚れ惚れしました。 [DVD(邦画)] 7点(2013-09-06 01:08:48)(良:1票) |
225. 消された証人
物語の9割方が証人、検事、刑事の描写である毛色の変わったギャング映画。証人と刑事の心模様の推移はなかなか見応えがありました。特筆すべきは検事を演ずるエドワード・G・ロビンソン。控えめな役柄であっても一本筋が通った姿は圧倒的な存在感で始終目が釘付けでした。内通者が誰かを悟ったシーンは10回くらい見直してしまいました。後味の良い結末は爽快感がありました。 [DVD(字幕)] 8点(2013-08-26 00:48:04) |
226. 居酒屋(1956)
初見、原作未読。元夫&現夫の甲斐性無しのクズっぷり、アバズレ泥棒猫姉妹の姉のカスっぷりが堪らない。一部始終を見聞きしていた愛娘のふてぶてしい面構えが救いの無さにとどめを刺す結末。疲れました。二度と観たくない作品。 [DVD(字幕)] 5点(2013-06-02 13:04:12) |
227. 青春群像
《ネタバレ》 顔見るだけで虫唾が走ったファウストのエピソードを軸に口だけはよく動くニート五人組の無聊な日々が綴られています。モラルドと朝3時から働いている少年の別れのシーンに救いを見ました。やはり動かすのは身体なのです。 [DVD(字幕)] 7点(2013-02-01 23:46:39) |
228. ハリーの災難
全編を覆うまったり感ととぼけた味わいが赤塚不二夫作品を彷彿とさせます。しかし、結末はしらけ観いっぱいで「これでいいのだ」とは思えない作品でした。 [DVD(字幕)] 4点(2013-01-24 02:29:13) |
229. イヴの総て
イヴの行動原理の全ては損得勘定。その生き様から巡る因果が浮き彫りとなる、冒頭から結末までのストーリー展開が実に見事。劇作家と演出家のキャラが若干弱いものの、男女6名の味わい深く見応えある人間模様とそれらを引き立たせる心憎い演出もまた見事。傑作です。 [DVD(字幕)] 9点(2012-12-30 00:12:25) |
230. 地下水道
地べたを這いずり回る以上に過酷な下水道を這いずり回る姿。実話ベースなので自由を渇望する3つのグループに一縷の望みも見いだせず、それぞれの結末も救いの無いものでした。ソ連赤軍のした事を知るにつけ二度と観れない作品です。 [映画館(字幕)] 8点(2012-12-20 00:14:32) |
231. 夜行列車
もの憂げな面々が織りなすロードムービー。案外と退屈せずに観れました。 [映画館(字幕)] 6点(2012-12-19 22:58:48) |
232. 洲崎パラダイス 赤信号
おどろおどろしい娼婦ものかと思いきや、人情味溢れるカラリとした青春物語。最大の功労者は飲み屋のおかみさんで、彼女を中心に物語は回っていました。さらに玉子ちゃんの瑞々しさが作品に彩りを添えていました。起承転結全てが見事な一品。 [DVD(字幕)] 9点(2012-10-01 00:36:32) |
233. 誓いの休暇(1959)
《ネタバレ》 初見。アリョーシャの帰郷の道中譚。 純真で正義感が強く人情に厚いアリョーシャを始めとする善男善女ばかりで、血しぶきもなく鬼畜も居らず。 一見穏やかなれど、ラストシーンにおける国家によって息子を毟り取られるが如き母親の様相に、これ以上ない戦争の無情さ非情さを見せつけます。 「もう、離さない、私のアリョーシャ!」 永久の別れと分かっているだけに堪らない。胸を掻き毟られるものがありました。 [映画館(字幕)] 8点(2012-06-10 23:26:25)(良:1票) |
234. アフリカの女王
全編殆ど二人芝居の冒険物語。向こう見ずで頑固ながらもふと気弱な一面を見せるロージー、彼女に呆れつつも知識と知恵と腕力でもって彼女を守るチャーリー。共に垢抜けないものの、その心模様が実に見応えがあり、男らしさ、女らしさを示してくれる姿に最後まで釘付け状態でした。敵方が貧弱なのが玉に瑕ですが、ラストは爽快感がありました。 [DVD(字幕)] 7点(2012-05-07 00:46:43) |
235. カビリアの夜
オスカーの真意が薄々想像出来たので重苦しい思いで見ていました。幸せなんて望むもんじゃないよ、負け組は死ぬまで負け組なんだよ。不貞腐れる私をラストで黒い涙を流しながらも前を向くカビリアが励ましてくれました。ジュリエッタ・マシーナの魅力満載の作品です。 [DVD(字幕)] 6点(2011-12-17 16:49:06) |
236. いとこ同志
後味の悪い事この上ない物語。性悪小娘はともかくとしてポールに悪意がないというのが何ともやるせない。この世にありがちな不条理さを映画でまざまざと見せられるのは疲れます。 [DVD(字幕)] 5点(2011-11-28 01:59:02) |
237. 近松物語
《ネタバレ》 上下の隔てのある不義密通。命で償わねばならぬ時代に自分の心に正直に生きた二人。手を繋いだ二人の面持から本懐を遂げた喜びを汲み取れる一世一代の晴れ姿が、覚悟の死地への行進であるラストシーンのこれ以上ない非情さ。その背中にかける言葉がありません。合掌するのみでした。 [DVD(邦画)] 9点(2011-11-05 19:39:32)(良:1票) |
238. イタリア旅行
旅先における冷え切った夫婦関係をダラダラダラダラと見せるだけの作品で、見ていて呆れ返りました。結末には失笑するのみでした。 [DVD(字幕)] 0点(2011-11-03 17:03:39) |
239. 祇園の姉妹(1956)
溝口健二(予備知識がなく、リメイクの本作では原作者である事を本サイトで知りました(汗))の芸者もの。芸達者が揃っており安心して観れたものの、心揺さぶられる事のない平坦な物語に物足りなさを感じました。情の厚さとドライさが折り合う事が肝要なのかなぁと姉妹の生き様を見て思いました。 [DVD(邦画)] 6点(2011-10-19 20:35:52) |
240. 汚れなき悪戯
《ネタバレ》 あどけなく愛しいマルセリーノが、「今すぐに」と旅立っていった結末に、茫然となりました。無償の愛情を惜しみなく注ぎ込んだ12人の父の心中を思うといたたまれないのですが、会う事が叶った母にお粥さん達の話をしている姿が想像出来るところにせめてもの救いを感じました。余韻の深い作品です。 [DVD(字幕)] 7点(2011-10-18 01:21:18) |