241. 三大怪獣地球最大の決戦
稀代の悪役怪獣キングギドラ初お目見えとなった印象深い一作。何と言っても隕石から出現し、空中で炎が具現化する場面が素晴らしい。全身金色に輝かせ3本の首から光線を発射しつつ飛翔する姿は千両役者の貫禄だ。鳥居越しにロー・アングルから捉えたショットもセットの作り込みとの相乗効果で秀逸。対するゴジラ・ラドン・モスラが(小美人の通訳付きで)会話する辺りはチト寒いが「赤ひげ」のせいで超短期間での製作を余儀なくされた経緯を思えば止むを得まい。寧ろ世界のクロサワの尻拭いという悪条件下でこれだけのクオリティに仕上げた本多監督と円谷特技監督の奮闘努力を評価すべきだろう。進藤刑事(夏木陽介)とサルノ王女(若林映子)の別れのシーンはチョット「ローマの休日」っぽくて好き。 8点(2004-02-13 12:46:14)(良:1票) |
242. 南太平洋(1958)
《ネタバレ》 時局をプンプンと匂わせるストーリーにはさして感心しないが、ミュージカルに必要な最大の要素である印象的な歌曲ならば文句ナシ!何たってロジャース&ハマースタインの強力タッグが繰り出す「魅惑の宵」に「バリ・ハイ」が圧倒的な魅力を放っている。殊にファニタ・ホールの熱唱は一聴の価値アリ。ミッチー・ゲイナーは演技力はどうかと思うが、実に溌剌としたダンスを見せ優秀なのでミュージカルでなら無問題!ミュージカル嫌いな御仁にはオススメ致しかねるが…歌曲の見事さに7点進呈。 7点(2004-02-12 23:35:39) |
243. エイリアン4
《ネタバレ》 個人的に最悪だった「3」の続編というコトで極力避けていたのですが、CATVで放映してたのをついうっかり観てしまいますた(笑)。4作目ともなれば新鮮味もへったくれも無いのはシリーズ続編の宿命なので大幅マイナスは致し方ありませんが、流石に「3」よりは活劇の面白さはありました。クローンリプリーは無理矢理過ぎてアイタタ…ですが、一応ジュネ監督も旧シリーズ設定(フェイスハガー・チェストバスター・クイーン等々)にリスペクトを払った演出を施していたので割と好印象。でも「5」はNo Thank You!まぁオマケして5点…。 5点(2004-02-12 01:37:57)(笑:1票) |
244. サマータイム・キラー
ストーリーは取り立てて大したコトは無かったような記憶が…。しかーーーーーし!オリビアのグラマラスな黒ビキニ姿を拝める稀少価値に思わず7点進呈(笑)。DVDとは行かなくても、せめてBSか有線でオンエアして欲しいナリ~! 7点(2004-02-11 04:08:13)(笑:1票) |
245. 道(1954)
《ネタバレ》 人の作品に抱く印象は”十人十色”、様々なコメントや賛否両論があるのも或る意味当然でしょう。私は本作を「ジェルソミーナを巡るザンパノとキ印の恋の鞘当て」もしくは「インフェリオリティ・コンプレックスを抱えた者達による悲しい三角関係」と捉えてフェリーニの妙技を堪能致しました。徹底的に捻くれた御仁であるフェリーニ氏は巷に溢れた美男美女による恋愛劇を巧みに換骨奪胎し、「野獣の如き無教養で粗暴な大男」と「オツムの弱いちんちくりんの女」と「お調子者で学もあるが根無し草な綱渡り芸人」が織り成すネオ・リアリスモ風味のラブストーリーに仕上げた、という訳です。案外、フェリーニ監督って凄く照れ屋だったのかもしれませんね。素直じゃないって言うか…(笑)。しかし、本作が凡百の恋愛モノと一線を画する最大のポイントは各キャラクターの人物造形が実に見事な点にあると思います。ポエティックでいて、しかも普遍性を有しており、且つリアリズムにも付かず離れずという絶妙極まる三人の人物設定ポジションは正に神業と評する以外に言葉を持ちません。とどめにニーノ・ロータの哀切なメロディとくれば‥ちょっとズル過ぎ!反則ってもんでしょう、ラストシーンでの泣かせに入る上手さときたら!勿論、フェリーニの真意は全く違うかもしれませんが、かくも万華鏡の如くに人によって解釈可能な「懐の深さ」を持った作品を私は余り知りません。よって10点。お若い方は年齢を重ねた後に再見をオススメします。本作が名作と謳われるのは伊達じゃないことを再認識なさるやも。尤も、これは本作に限らず往年の名作すべてに言えることですが…(笑)。 10点(2004-02-10 01:32:34)(良:4票) |
246. マニトウ
《ネタバレ》 こやつこそ、知る人ぞ知る怪作SFホラーの決定版!ウィリアム・ガードラー監督は直後にヘリの墜落事故で死亡したことからカルト化した趣もある。んが!んなこたぁナイ!既にお二人が看破している通り、ハッキリ言って「何じゃぁぁぁ、こりゃぁぁ!!」(松田優作風)レベルの駄作に過ぎない。何考えてんだ?ガードラー!「グリズリー」でJAWSパクリを試みて各方面から失笑を買ったホロ苦い教訓がまるで役立っていないじゃないくゎ!あまつさえ本作の終盤では「スター・ウォーズ」にあやかろうと必死である(でもショボい)。「ピクニック」「女優志願」でかつては有望視された女優スーザン・ストラスバーグの成れの果て(背中にコブ)に涙を禁じえないのでオマケして3点…。まぁ或る意味、誰にもその死を惜しまれないガードラーにも泣けるが。 3点(2004-02-07 03:33:22) |
247. 怪獣島の決戦 ゴジラの息子
登場する敵怪獣(クモンガ、カマキラス)が全て操演である等、意欲は買うが「ミニラが全然ちっとも一切これっぽっちも可愛くない!」のが致命的。しかもゴジラの息子を出す前提となるべき「妻(母)」の存在が完全にうっちゃられているので、心無い特撮おたくに「ゴジラ雌雄同体説」や「ゴジラ無性生殖説」を唱える根拠を与えたのは許し難い落ち度だ。でもその割に「息子」と謳っているから性別はあるんだよな。前田美波里のナイスバディにオマケして5点…。 5点(2004-02-06 13:38:25) |
248. ジョン・レノンの僕の戦争
《ネタバレ》 「愚かな上官を持った兵士の末路は犬死にだ」とブラックユーモアでレスターが描く未公開戦争コメディ。戦争をジョークで笑いのめそうとする狙いが余りに露骨で陳腐、しかも笑えないときては偉大なるチャップリンどころかキューブリックの「博士の異常な愛情」にも遠く及ばない。アルドリッチの「攻撃」の方が遥かに強烈だった。そもそも肝心のジョン・レノンはチョイ役に過ぎず、看板に偽りアリもイイところだ。呆気なく死ぬし。クリケットの場面など特に冗長で最悪。未公開も納得。5点。 5点(2004-02-06 03:15:18) |
249. さすらいの二人
アントニオーニ監督の真髄をよく理解しきれていないボンクラな私にとって本作は映像の静かで気だるいムードだけが突出している。モニカ・ヴィッティやレア・マッサリといった常連女優は出ておらず、当時売り出し中のニコルソンにマリア・シュナイダーという異色の組み合わせも新鮮な印象…ではある。嫌いじゃないが特に惚れ込むほどのコトも無いので7点。 7点(2004-02-05 18:17:26) |
250. 一心太助 天下の一大事
《ネタバレ》 おっ?ぐるぐる氏は最近どうも時代劇づいてますなぁw。このシリーズは錦之助のはちきれそうな若さと月形の渋みが醸し出す絶妙のハーモニーが売りでしたね。Typicalな東映時代劇のお気楽極楽なノリを好きになれるかどうかが評価の分かれ目かと思いますが、個人的には二作目で早くもマンネリな展開に余り高い評価は致しかねまする。沢島忠にはもっと創意工夫ってもんを見せて欲しかった気が。彦左に出入り差し止めを食らってヤケになる太助は可愛いやっちゃw。でも6点。悪しからず…。 6点(2004-02-04 02:11:53) |
251. 無法松の一生(1943)
《ネタバレ》 お二人のレビュー&コメントが実に素晴らしく、既に本作の魅力を語り尽くしている感もある。今更私如きの出る幕は無いのだが、どうしても書かずにはいられない映画史上の傑作だけに蛇足のコメントを加えること平にご容赦の程を。先ず語らねばならない点として岩下俊作の原作「富島松五郎傳」を見事なまでに簡潔にして明瞭なシナリオへ昇華させた伊丹万作の脚本がある。この映像化を念頭に置いた説明的描写を極端に省いたシナリオの存在なくして本作の傑出したクオリティは成り立たなかったと思わしめる出来だ。本来ならば自ら監督したかったであろう伊丹の無念を託されて演出した盟友・稲垣の力強い演出力にも触れなければなるまい。伊丹には生来の病弱を反映するかのように演出が繊細で今一つ迫力に欠けるきらいがあった。つまり本作に関しては稲垣の持ち味である骨太で力強い演出力が見事にそれを補完する形となった訳だ。しかし、伊丹らしさは車軸の回転をあしらった場面転換、据えっ放しのカメラで往来の時間軸だけをスライドさせる絶妙な処理、幼少の松五郎が森をさ迷うシーンの独表現主義を思わせるタッチ、人力車の客が往来に放置されて怒る場面のサイレント喜劇調などに散見される。各シーンに見せる宮川一夫の驚異的カメラワークについてはお二人の繰り返しになるので割愛させていただく。最後に阪妻について。当時の彼は時代劇の大スターとしての地位を既に確立しており、卑しい車夫の役をオファーされた時には大いに逡巡したという。結局引き受けるに当たり、彼は稲垣に「演るからには死ぬ気で演る。その代わりアンタも死んでくれ(その位の覚悟で演出してくれ)!」と迫った。この役者魂!この気概!!これぞ本物の役者というものだ!と胸打たれた。お二人が看破されている通り、阪妻の魅力とは豪放さと繊細さが同時に内在するアンビバレンツさにあると思う。こうした点を踏まえ改めて観るとクライマックスの小倉祇園太鼓シーンやラストの預金通帳が見つかる場面など毎度涙で目頭が熱くなる。悪いが三船版では感動はあっても、こうはならない。以上、例え二度の検閲カットがあろうと本作には満点しかありえない。私の脳内補完では検閲カットも何ら問題にならないからだ(笑)。 10点(2004-02-01 12:21:44)(良:2票) |
252. コングの復讐
《ネタバレ》 「スピード」から「スピード2」へ!どころの話ではないくらいの凄まじい落差!!相撲に例えるならば「横綱」から一気に「幕下付け出し」へと転落!てな感じ。第一、ちっとも復讐じゃないじゃん!原題は「コングの息子」だしぃ。それに、こんな妙に人なつこいコングなんて…。しかも美女アン・ダロウならともかく山師のカール・デナムになつくなんて…。しかもしかも前作の流用シーン多過ぎ。「ゴジラ」→「ゴジラの逆襲」を下回る脱力系続編に5点…。オブライエンには悪いが自業自得というコトで。 5点(2004-02-01 01:02:07)(良:2票) |
253. アフタヌーンティーはベッドで
《ネタバレ》 うーーん、可も無く不可も無し…。こういう艶笑コメディで主役を張るにはマストロヤンニもジュリーも老け過ぎ。御両人がもっと若く溌剌として、ジーン・サックスの演出がピーク時の快調なテンポを出していれば或いは‥という気がしないでもない。ま、でも似たようなシチュエーションの「恋におぼれて」みたいな”えげつなさ”は無いし、そこそこ楽しめるんでオマケして6点。 6点(2004-01-30 01:08:56) |
254. 漂流
吉村昭の原作を読んでから観ると、単なるダイジェストとしか受け取れず、映像が有する独自の力強さにまで昇華していない。北大路欣也はヒゲぼうぼうメイクで熱演だが、顔立ちが派手過ぎてこういうリアリズム重視のストーリーにはフィットしていない。もっと素朴な風貌の実力派ないしは演技派男優に演じて欲しかった…。 6点(2004-01-29 23:03:50) |
255. 狐の呉れた赤ん坊(1945)
《ネタバレ》 阪妻の戦後初の時代劇。派手な立ち回りのいわゆるチャンバラ時代劇を封印された形となった中で才気煥発な丸根監督は、粗暴だが優しさを秘めた人足・寅八が捨て子を我が子のように育て上げ、最後に思わぬ別離を迎えるという人情喜劇に仕立て上げた。まったくもって阪妻あっての作品であり、丸根監督も「無法松の一生」で見せた彼の魅力をよく承知して豪放な彼の持ち味を増幅させることに傾注している。子役の沢村アキヒコは「無法松~」に出てきた敏雄にそっくりだなぁと思っていたが 、沢村アキオ(長門裕之)の変名と知り納得。 8点(2004-01-28 08:50:27)(良:1票) |
256. 隊長ブーリバ
《ネタバレ》 ニコライ・ワシリーヴィチ・ゴーゴリの「タラス・ブーリバ」は戦前に仏で映画化されていたが、本作はリメイクにあたり70ミリにブローアップ、コサック騎馬隊が大平原を疾駆する勇壮な場面効果で勝負をかけてきた。実際ナカナカのスペクタクルではあるが、役者のクオリティが1935年版に比べて致命的に落ちるため可成り見劣りする。誇り高き族長タラスを演じるブリンナーもアリ・ボール魂の名演を前にしては余りに貫禄不足。カーティスのアンドレイもジャン・ピエール・オーモンには遠く及ばぬ凡演。マリーナ役のクリスティーネ・カウフマンは清純なイメージでマァマァだが、ダニエル・ダリューでは相手が悪過ぎ。画面からオーラを放っているかどうかが役者の分かれ目。この勝負、62年版の大敗!てことで4点マイナァス! 6点(2004-01-27 02:56:53) |
257. 革命児サパタ
《ネタバレ》 メキシコ独立の立役者エミリアーノ・サパタの生涯を描いたエリア・カザンの力作。脚本を手掛けたのは作家ジョン・スタインベックという異色さだ。ドキュメントではないので史実に相当な脚色が入っているのはスタインベックの作家魂といったトコロか。カザンという監督は”赤狩り”に際して「裏切り者」の烙印を押されて以来、毀誉褒貶の激しい人物ではある。が、こと演出には筋金が入っており圧倒的な自信を持って役者を制御していることが本作を見ると実によく分かる。あの強烈なオーヴァーアクト男優マーロン・ブランドをここまでねじふせ、持ち味を遺憾なく引き出す監督は他にいまい。「ゴッドファーザー」のコッポラなんぞカザンの足元にも及ばない。場面的にはサパタ逮捕を知るや、農民たちが石と石を打ち合わせつつ集結するシーン、雨中をついてマデロが暗殺されるシーン、ラストのサパタ射殺シーンは鳥肌モノの緊迫感で圧倒される。鉈彫りの如き荒削りな演出タッチが絶妙にマッチして一層味わいを深くしていると思う。お見事! 9点(2004-01-25 22:04:38) |
258. 親指タイタニック
まぁWOWOWで観たからさして腹も立たないけど、レンタルあまつさえ劇場でコイツを御覧になった方はさぞや自分で自分を許し難いだろうなぁ。個人的には親指シリーズは「スター・ウォーズ」もコイツも生理的に受け付けない。パロディとかアイディア企画と呼ぶのもおこがましい駄作に3点進呈。 3点(2004-01-24 04:34:59) |
259. 暗殺(1964)
《ネタバレ》 あの超有名な「新撰組」誕生のキッカケを作った幕末の策士・清河八郎が江戸の赤羽で暗殺されるまでの顛末を描く異色時代劇。司馬遼の原作も今イチだったが、コイツはもっと陰性でスカッとしない何ともヤな後味。史実ともかなり食い違っており、歴史好きが観ても到底納得がいかないであろう。挨拶しようと笠の紐を解くところを不意討ちで殺しておいて「オレは清河に勝ったぞ~!!」と快哉を上げる佐々木只三郎(木村功)の気が知れない。それでイイのか?悪いが5点マイナスゥ! 5点(2004-01-23 02:26:20) |
260. 名誉と栄光のためでなく
《ネタバレ》 アルジェリア独立戦争は結局フランス第四共和制を崩壊させた負け戦もイイとこなので、いくら豪華キャストで描いてもてんで気勢が上がらない重苦しさ。出来自体は「グリーン・ベレー」辺りとどっこいどっこい。カルディナーレも添え物の域を出ず。邦題に思いっきり名前負けしてマス。悪いが4点マイナス。 6点(2004-01-21 12:20:45) |