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彦馬さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 450
性別 男性
自己紹介 大阪府出身、岡山県在住、阪神・下柳と同年月日生

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281.  貴婦人たちお幸せに(1943) 《ネタバレ》 
19世紀のパリにあらわれた巨大な資本=百貨店と周りの小売店との軋轢を描いた作品です。現題「ボヌール・デ・ダム」とは“ご婦人の幸せ”という意味で、この言葉をキャッチフレーズに百貨店は隆盛を誇りますが、おいおいちょっと待て、わしらの生活はどうなんねん、とミシェル・シモン演じる小売店のボーデュが起ち上がります。そんなもん構ってられませんぜ、とアルベール・プレジャン演じる百貨店経営者ムーレ。ところがボーデュの姪ドニーズが百貨店に雇われ、ムーレにほれられちゃってさあ大変。おっと、あらすじを書いている場合ではないですな。私はカイヤットの作品を見るのはこれが初めてですが、ラストの風刺は強烈ですね~。ドニーズの人生観、労働感にほだされ、従業員あっての百貨店であることを従業員の前で高々と謳うムーレ。人間賛歌のセンチメンタルなラストかと思いきや、そのシーンに挿し込まれるのが、ボーデュが荷車にひかれ息たえるシーン。そんなことを知らない百貨店では、壮大な舞踏会が開かれ、華やかな音楽とともにFIN。ムーレの栄華、ボーデュの死が象徴する、巨大資本の光と影。うーん最後になって「貴婦人たちお幸せに」というタイトルが効いてきたのでした。
6点(2004-08-06 23:05:29)
282.  隣りの八重ちゃん
この作品は、松竹蒲田調・大船調へとつながる小市民映画の代表的傑作ということで、非常な感慨をもって見させていただきました。内容は、まさしくお隣同士の一家の交流を、日常生活的な台詞をもって実に生き生きと切り取っていきます。まずキャッチボールをする兄弟、これがオープニングなんですが、このボールがミットにおさまるパン、パンという音が日常の反復をあらわすかのように始まります。そしてガチャンと隣の家のガラスを割る音。日常にも多少の起伏はありますよ、ということでしょうかな。まあそんな感じで、父親同士で一杯やったり、子供同士でお風呂へいったり、自分の家が留守なので隣家でお茶漬けを食べたり、靴下を繕ったり、とそんなことが積み重ねられていきます。女学生の八重ちゃんを演じる逢初夢子さんの愛くるしい表情、キャハハという笑い声が屈託ないこの隣同士の一家の関係を象徴していますね。そこへ八重ちゃんの姉が、嫁ぎ先を飛び出して帰ってくるのですが、演じる岡田嘉子さんの台詞回しが、彼女だけが異分子ですよと言わんばかりの舞台調であるのもおかしいです。カメラは、引いたり、クローズアップで撮ったり、ハイポジションで撮ったり、洗濯物など心象的な風景を挟んだり、とても工夫されています。家屋内の人物構図もきまっていますね~。編集もけっして単調になることなく丁寧にカットがつながれています。ラスト、八重ちゃんが兄弟一家と一緒に暮らすことになるのですが、その時の台詞「もう隣の八重ちゃんじゃないわ、キャハ」。う~ん、素晴らしい台詞ではないですか。この歴史的作品にはもう10点をつけるしかないですね、キャハ。
10点(2004-08-06 00:37:02)
283.  午後の五時
大統領になりたいという女性。その彼女がヒロインとして華々しく描かれるのではなく、彼女とその一家を介して、タリバン政権崩壊後のアフガンの現実、イスラムの伝統社会を透かせて見せています。食べること、住むこと、寝ること、といった生きる原初的欲求。おしゃれをするといった二次的文化的欲求。そのはざまの主人公の苦悩、葛藤、どうしようもなさ。廃墟の宮殿の静寂にポツンポツンと滴る水、ハイヒールの靴音。このコントラストは主人公の内面が見事に音をもって表現されています。義理の姉が水を使って洗う赤ちゃんの背景に、焚き火の炎を揺らめかせながら、水と火を生きる象徴として表現した後、暗闇の中、凍えを逃れるため、やむなく火をつけた一家の糧である荷車が燃え盛るシーンは、主題歌であろうイスラム歌謡がかぶせられ、とてつもなく切なく美しいです。ラスト、行き場を失った老人に神の死を語らせているのは、“午後の五時”に人間の死を意味させているだけではなく、神の死をも意味させているかのようでした。そして水平に消えていく一家は、水平から現れるオープニングの対として、静かにこの映画に幕を下ろしています。難癖をつけるなら、あまりにも対話シーンにクローズアップが多いのがマイナスです。引いたショットでその構図が映えているだけに、もう少し効果的にクローズアップが使えたのでないかなー、と感じながら映画館を後にしたのでありました。
8点(2004-08-04 00:37:49)
284.  百貨店大百科
百貨店のロケーションを楽しむようにカメラは縦横にショットをきめてくれます。カメラの前を客や従業員が平気で横切る、わざと横切らせているのが、これが百貨店だよ、と主張しているようでなかなか痛快です。百貨店だけでは単調になるの避けたのか、バンジージャンプやパリマラソンの映像に遊びごころを感じます。さてこの映画は、音の使い方がまた特徴的なんです。バックに音楽を重ねるているのは最初の方と最後のパリマラソンのシーンのみ。百貨店内では、店のBGM、アナウンス、客の雑踏、楽器売場の音、イベントの音、などなどをそのまま使用。そしてその喧騒がうるさい!という人間を配置し、一瞬店内がシーンと静まり返るシーンをもってきて、映画における音とは何かについて提示している、そのように感じました。この監督の音に対するこだわりを見たようです。ラストの合唱は少し切ないですが、人間関係において不協和音を奏でていた従業員のささやかな矜持を垣間見た感があります。その指揮者である楽器売場の店員が、最初のシーンでベランダにいた人間だと気づく時、やはり“音”がこの映画のモチーフなんだと推しました。ストーリィ性を追うと少し物足りないかもしれませんが、私には単純に楽しい作品でありました。
7点(2004-07-24 08:28:27)(良:1票)
285.  Mr.ディーズ
ありゃ~『オペラ・ハット』(36)を換骨奪胎、浅薄なコメディにしちゃいましたねー。オリジナルは、ディーズの良心、ベネットがディーズに惹かれていく過程、ベネットの葛藤といったものが、丁寧に積み重ねられ、よって法廷でのジーン・アーサー、ゲイリー・クーパーの演説が、じ~んと胸を打ちます。ところが、今作は、そんなところは適当に描いておけとばかりに、火事場から猫を救出するシーン、ベネットの故郷だという街でのシーン、ベネットがピザ屋で乱闘するシーンなどなど、とにかく笑いをとろうと、余計なイベントアクション設定に重きをおいたようなつくりなのです。カメラ的にも、ディーズとベネットがデートをする夜の公園のシーン、階段を自転車で駆け下りるショットでその美しさの片鱗をみせておきながら、せっかくのライトアップされた噴水やクラシックな建造物といった絶好のロングショットに映えるカットを、なんとほぼ2人の切り返しに終始、う~ん、残念。ロバート・リスキンもきっと苦笑してるぞ、こりゃ~。
3点(2004-07-19 22:55:06)
286.  ウォルター少年と、夏の休日
『ビッグ・フィッシュ』では、ラストの葬列シーンがファンタジーであることの爽快な余韻を残しすがすがしかったのですが、この映画では、ラストに登場する石油会社の人間は、信じることの大切さなどの証明として提示され、実に説教臭くすっかりローな気分になってしまいました。登場する母親、その恋人、財産に群がる一家など、誰もかれもステレオタイプで萎えてしまうし、抱き合う少年と母親など唐突すぎるな~。それにもまして、カメラワークがなんとも凡庸。やたらクローズアップで撮る、切り返しが単調、カット割が多すぎる、構図もきまっていない、では映像的に見るべきところがないです。原題の複数形が示す通り、老人2人の象徴として描かれるライオンの演技にプラス点です。
2点(2004-07-19 22:54:40)(良:2票)
287.  桃色(ピンク)の店
この作品は、アットホーム賞でもあげちゃいましょうか。文通を媒介にした男女のすれ違いを軸に、タイトル通りに街角の店の話。解雇されるスチュワートが、一人ひとりと握手して店から出て行くシーン、見送る店員の背中(4人であるのがポイントですね)なんかほろりとします。そしてもっとほろりとするのが、クリスマスイブ、雪の降る中、店の前でボスが一人ひとりを食事に誘うシーン。ようやく連れ合うことができたのが新米の少年で、それでも満面の笑みを浮かべるボスが、言葉で並べる食事メニューのなんとおいしそうなこと。ここでこの少年にも粋な役割が与えられるのがあったか~いです。というように、けっしてスチュワートとサラヴァンの恋話に終始していないのが、この作品のいいところ。2人の関係に終始し、媒介のメールの中身そのものを描いたようなリメイク版では、けっして得ることのできない心地よさといえましょうか。ルビッチ作品の中では、少し毛並みが違いますが、肌触りはいいですぞ。
9点(2004-07-18 20:29:25)(良:4票)
288.  ユー・ガット・メール
これはメグ・ライアンとトム・ハンクスありきで、そこから逆算したようなつくりになっていますね。メグ・ライアン経営する店の名前をオリジナルタイトルと同じにしてオマージュをささげているかのようですが、これは似て非なるもの・・・ゴメンなさい、そう言っちゃいましょう。オリジナルでは、あくまで男女のすれ違いのきっかけとして手紙を使い、同じ職場の中でその関係を、まわりの人間にも光をあてながら描いていくのですが、この作品では、2人の関係性に終始するため、くどさが生まれています。しかも設定が敵対関係の店同士としたため、惹かれあっていく過程が全く薄くなっています。作品によっては別に薄くても構わないのですが、今作では2人のラブストーリーを主題にしている以上、そこはちゃんと描かなければならないはずです。その点を解消するのにメール文の中身そのものを見せることで肉付けしていくのですが、さすがにメールでは説得性が足りない、といえましょうか。ただし、メグ・ライアンが経営する店の雰囲気を作り上げた美術、ストリートの美しいショットを随所に捉えたカメラ、そのあたりは見ごたえがありますね。
5点(2004-07-18 20:24:49)
289.  アドルフの画集
鉄工所を改造したマックスのアトリエ、室内装飾など、美術はかなり丁寧に時間をかけて製作されているような印象でした。そしてこの時代の不穏な雰囲気に似合う抑制された照明と、それを捉えるカメラも美しく、スタッフ技術の確かさがうかがえました。鷹のオブジェがそびえる屋上から地上にカメラを向け、上を向くアドルフを捉えたシーン、鷹という天上舞う鳥からの視線=神の視座でヒトラーを見せること、これがラストの俯瞰ショットに見事につながっていると感じました。ラストシーンの俯瞰は、柔らかいオレンジの光あふれる大通りと、青白い光に照らされる広場が同時に捉えられ、背中あわせに織り成される皮肉な運命を浮かび上がらせます。しかし、それが神の視座であることを知ると、けっしてこのストーリィがタラ、レバの興味本位なものではなく、ヒトラーという人間をモチーフにしながら、その場面場面の運命を受け入れる力、人間の受容力が晒されたもので、そこから人はどう生きるのかが大事である、という摂理が提示されているのではないかなー、と感じているところであります。
8点(2004-07-10 14:26:12)
290.  翼よ!あれが巴里の灯だ
ワイルダー、ハリウッド監督12作目。唯一、ワーナーの作品です。これは原作であるリンドバーグの自伝を忠実に再現するという契約のもとに製作された作品で、さすがのワイルダーも映画的に脚色することができず、無念の一本だったようですね。私はこの映画を見ながら唐突に「風船おじさん」を思い出してしまいました。あのおじさんがもしアメリカへ到着していたら「風船よ!あれがロスの灯だ」とものすごい英雄扱いだったろうなー。しかし成功したリンドバーグよりも、失敗した風船おじさんにロマンを感じるのは、やはりどこか隙のある方が人間臭くていいなー、といったところかな。
6点(2004-07-10 09:46:03)(良:1票)
291.  初恋のきた道
ご飯の支度をする土間に差し込む光、餃子の蒸し器からあふれる湯気、そんな家屋内のショットからも伝わるツィイーの初恋のときめき、純情、一途さ・・・。ツィイーのクローズアップを多々挿し込みながらも、色彩と光あふれる鮮やかな風景に溶け込む登場人物を、見事な構図のロングショットでとらえ続けるカメラセンスにはうっとりしてしまいました。正直、ストーリィが後からついてくるような感覚でした。それでいて、ラストの遺体を担ぐシーンの美しさ。漠々とした大地、静かに流れる吹雪、黙々と歩く人間を撮りあげたモノクロの映像。光あふれる大地の緑から受ける美しさとは、また違った美しさ。死という人間の運命を粛々と描きながら、一人の人間が生きた証、その一人を愛し続けた一人の人間の想いを切々と浮かび上がらせ、じわーりと胸に迫ってきます。うん、初恋のきた道を私も探しにいってみるか、この年で迷子になるのも恥ずかしいけれど・・・。
9点(2004-07-10 00:31:00)(良:2票)
292.  
どこを切り取ってもポストカードにできそうな美しい構図が、降りそそぐ雨のごとく、見る者に降り注いできます。マイナスイオンのシャワーでも浴びたような気分でした。こんな作品は、もう抱きしめてあげたいぐらい好きです。軒下の長回しのシーンは、動いては止まる2人を追い続け、クロフォードの向こうにテーブルを囲む泊り客を捉え、そのままカメラは回り込んで、降りしきる雨を捉えます。まさに泊り客と雨に挟まれるクロフォード。さてこの長回し、どう次のカットにつなげるのか、と思って見ていたら、フレームから2人が消えた瞬間、素早くパンして室内へ、そこへまた2人が現れ、と見事に緩が急になってつながっていきました。んー、隙がない。ウォルターが狂気に駆り立てられるシーンは、部屋の明かりが消えた瞬間、雨の音、呪術的な太鼓の音が、じわじわとクレッシェンドで奏でられ、沸点へと近付いていきます。そのウォルターのファナティックな表情、これは怖い!そして、当然のように晴れ上がったラスト。憐れは相対的に捉えるもんではない、との摂理を語り、クロフォードは去っていきました。クロフォードの日本語には、言えてないぞ!とつっこみたくなりますが、そんなとこつっこんでも“シカタガナイ”ので満点献上です。
10点(2004-07-08 20:11:14)(良:1票)
293.  メリィ・ウィドウ(1934)
ん・・・これまでのルビッチ作品とはなんか違うぞ。そうだ、やたら構図のきれいなショットが出てくるんです。ルビッチ作品は、窓から窓への移動などカメラワークの巧みさに目がいくことはあったんですが、あまり構図を意識させられるようなことはありませんでした。ところが、オープニングのパレードのシーン、バイオリンを奏でる室内、ソニアがテラスで歌い上げるシーンを地上から見上げるショットから始まって、後半のフレンチカンカン、ダンスシーン・・・きまってるんです。キャメラマンは誰だ・・・と後から見ればオリヴァー・マーシュさん。早速マーシュさんが撮った『雨』(大傑作!)を見ましたが、これで納得。なんとも素晴らしいキャメラワーク、構図。ルビッチお得意の恋のかけひきはいつものごとくに、愛嬌あるシュヴァリエ、美しいマクドナルドが鮮やかにフレームに収められた傑作です。
9点(2004-07-08 19:06:25)(良:1票)
294.  幸せになるためのイタリア語講座
デンマークおなじみのドグマ手法にて撮られた映画です。ということでスタンダードサイズの画面に映し出されるのは、手持ちカメラの揺れ、振り回されるカメラ、役者のクローズアップ。ただ長回しはなく、カットは頻繁に切り替わります。これをどう受け取るかですが、うーん・・・。感情が内面からにじみ出てくるようなリアリズムが狙いだと思いますが、ロケーションがラストのベニスぐらいで、後はレストラン、パーマ屋、パン屋、教会、病院、イタリア語口座の教室がほとんどで、これらのシーンをひたすら手持ちカメラでぶったぎられると、個人的には不快感が先立ってしまいました。いろいろと映画賞を獲得しているようですが、3組の男女が死を通して不器用ながらも少しずつ幸せへと終結していくという脚本優位の直線的ストーリィにおいて、ドグマ手法で撮られた映像が、どう素晴らしいのか・・・まだまだ勉強させていただきます。
5点(2004-07-05 21:20:04)
295.  永遠の1/2
ラストの「傘」、これに尽きる。
6点(2004-07-02 22:49:17)
296.  青髭八人目の妻
ルビッチ作品でワイルダー、ブラケットが脚本を担当したのは、これと『ニノチカ』ですが、特にこの作品は、上品にストーリィを組み立てるルビッチタッチというよりも、いかにもワイルダーの脚本でございます、といった風情になっておりますね。ルビッチの作品は、純粋な恋愛のかけひきを軽妙洒脱に描くことで、見ているものをルビッチワールドに誘い込むのですが、この作品は財産という金銭欲が恋愛にからまることで、少しアクの強い作品になっている、といえましょうか。私の中では、『ニノチカ』も含めて、ルビッチ+ワイルダー=最高傑作とはなっていないところに映画の奥深さを感じているところであります。
7点(2004-07-02 19:12:21)(良:1票)
297.  天使(1937)
おー、ルビッチの見せない演出だー。見せなきゃいいってもんでもないんですが、この作品は、ここというツボをお見事に刺激。エンジェルが突然いなくなるシーン、エンジェルが友人の妻であることがわかるシーン、エンジェルが自分の妻であることがわかるシーン。ストーリィのコアとなるこれらのシーン、ともすれば役者の表情のクローズアップで表現したくなるシーンをことごとく間接的に表現。スミレ売りのおばあさん、反対を向いている写真立て、秘密のメロディーを奏でる電話口・・・、また下げられてくるお皿で、3人の心理状態を巧みに表現されちゃー、ははぁーと頭をこすりつけるほかありませんです。ラスト、芝居を打つエンジェル、それを逆手にとるバーカー卿、といった脚本も素晴らしく、エンジェル役のディートリッヒの魅力、ルビッチの見せない演出とあいまって、この作品はまさに、金のエンジェルマーク。これ一つでルビッチタッチの缶詰がいただけるのであります。
10点(2004-06-30 13:03:05)(良:3票)
298.  教授と美女
これはホークスの他のコメディに比して、ソフトな展開であります。やはりワイルダーの原作、脚本であることがその原因でしょうね。ストーリィは白雪姫をモチーフに作られています。世間知らずの純な教授8人の元に現る美女1人。この美女スタンウィックが“火の玉”でして、平穏なる彼らの日常がホットに動き出します。そしてプリテンダーがいつしか本物になってしまうというプロットはワイルダータッチそのもの。しかしクーパー演じる教授が周りの教授たちの祝福を受けながら恋を盛りたてられていく様は、男の友情を描いたホークスタッチといえましょうか。かのトーランドを要したキャメラは、パンフォーカスによる教授陣の一体感を巧く表現しておりますね。それから「妻の証言は無効である」というアイデア。というと『情婦』を思い出しますが、クリスティの「検察側の証人」が発表されるのはこの作品のもっと後ですから、この時点からワイルダーがこのアイデアを暖めていたことに感心させられましたです。しかし当然ながらスラングいっぱいのこの作品、日本語字幕の作成にはさぞやご苦労なされたでしょうねー。さーみんなでコンガを踊りましょう。
9点(2004-06-28 13:14:44)(良:1票)
299.  赤ちゃん教育
しゃべる、しゃべる、走る、こける、しゃべる、しゃべる、走る、こける・・・このリズムにのってジ・エンドまでハイテンションで展開する息つく島ないスクリューボールコメディ。とぼけた令嬢に巻き込まれてしまった生真面目学者、その2人をさらに巻き込むのは、豹と犬。動物的なる天然キャラの令嬢とまさに動物に振り回されるグラント、その彼が動物学者であるのがおかしいですね。ホークス監督の一気に駆け抜ける演出が冴えわたる一品です。
8点(2004-06-28 08:40:40)
300.  アンジェラの灰
青く煙る石畳、雨上がりの石畳、人が行き交う石畳・・・とにかく石畳は絵になりますね。照明や美術はかなり丁寧に練り上げられている印象です。物語は、貧困に生きる家族の絆、葛藤を主人公が回想するという形で静かに深く描かれていきます。しかし・・・長い。しかもやたらにカットが切り替わるので、なかなか落ち着きを与えてくれず、見終わって非常に疲れてしまいました。実話、しかも貧しさの中をけなげに希望を失わず、という話であるなら、もう少し長回しのシーンを利用するなどリアリズムが欲しいなー。そうすれば短くても余韻の残る作品に仕上げることができたと思うのですが・・・。そして、フランキーにパーカー自身を投影させたラストの「自由の女神」は、アメリカンドリームに対するパーカーの憧憬そのものですね。「アンジェラの灰」のタイトルの意味についてはアスミック・エースの公式ページに言及がなされております。
6点(2004-06-24 01:01:23)
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