Menu
 > レビュワー
 > かたゆき さんの口コミ一覧。16ページ目
かたゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1891
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
評価順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
616263
投稿日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
616263
変更日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
616263
>> カレンダー表示
>> 通常表示
301.  ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー 《ネタバレ》 
ライ麦畑の永遠の反逆児、ホールデン・コールフィールド――。このアメリカ文学界に突如として現れ、今や怒れる若者の代表的アイコンとなった彼の物語『ライ麦畑でつかまえて』を著したのは、まだ無名の新人作家J・D・サリンジャーだった。本作は、そのサリンジャーの謎に満ちた半生にスリリングに迫った伝記映画だ。第二次大戦に従軍後、精神を病みながらも苦労して書き上げた、その名作誕生の裏にはいったいどんな秘密があったのか。また、発表するやいなや瞬く間にベストセラーとなり、富と名声を手に入れながらも、何故彼はアメリカの片田舎に引きこもり、自ら張り巡らせた壁の中でその生涯の大半を過ごしたのか。二十代のころに『ライ麦――』を読んで感銘を受け、以来何年にもわたりファンとなった自分としては大変興味深く今回鑑賞してみた。結果は……、正直期待外れというのが僕の率直な感想だ。理由は、描かれるエピソードがそれまで知られていた事実をただ再現したものでしかなく、新しい発見が一切なかったことがまず一点。物語構成のバランスが悪く、特に第二次大戦の描写や恋人の裏切りなどがかなりあっさりしすぎているところがもう一点。そして本作の最大の欠点は、そうして再現されたエピソードがただ時系列順に羅列されただけで物語としての芯が通っていないところだ。僕が考えるに、優れた伝記映画にはその人の人生とはいったいなんであったのかを観客に深く訴えかけるようなテーマが厳然としてあるものだが、本作にはどうにもそれが足りない。苦労した習作時代や地獄のような日々を過ごした第二次大戦への従軍経験が如何にして、未だ若者にもカリスマ的な人気を誇る名作家誕生に繋がったのか、ここらへんの説得力が弱いように感じてしまった。いくら事実を基にしていても、創作である以上はちゃんと優れた物語であるべきだ。サリンジャーがその後、全ての関係性を絶ち、世捨て人のような生活を続けてきたという最も人々の興味を掻き立てる部分をナレーションで簡単に説明して終わりというのも如何なものか。すべてが表面的で浅く、サリンジャーという人物に対する掘り下げが全くなされていない。サリンジャー本人が生きてこの作品を観たら、そのあまりの薄さにきっと怒り狂うんじゃないかとさえ思ってしまった。サリンジャーの長年の愛読者としては残念というほかない。
[DVD(字幕)] 4点(2022-07-04 11:40:48)
302.  ある女流作家の罪と罰 《ネタバレ》 
彼女の名は、リー・イスラエル。かつて一冊だけベストセラーを出したものの、その後はずっと鳴かず飛ばずの落ちぶれた毎日を過ごしている伝記作家だ。生来の酒癖の悪さから友達は一人もおらず、長年連れ添った恋人にも捨てられ、唯一心を許せるのは年老いた飼い猫のみ。お洒落もせず髪の毛だっていつもぼさぼさ、おまけに酒が原因で唯一の収入源だった仕事も首、家賃は何か月も滞納、愛猫の治療費すらままならない。そんな酒浸りで八方塞がりの彼女が、生活のために犯した犯罪――。それは、有名人の遺した手紙を捏造してコレクターに売りつけること。著名作家やハリウッド俳優の署名を偽造し、文面も自ら考えた彼女の手紙は、その道のプロにさえ見抜けない精巧なものだった。偶然再会したゲイの元作家を相棒に、ただひたすら生活費を稼ぐ彼女。だが、当然のようにそんな生活が長く続くはずもなく、信憑性に疑問を抱いた蒐集家の通報から、とうとうFBIが動き始めて……。有名人の遺した手紙を捏造し有罪判決を受けた、“ある女流作家の罪と罰”を実話を基に描いたヒューマン・ドラマ。何の予備知識もなく今回鑑賞してみたのですが、いやはや、これがなかなかの掘り出し物でした。冒頭から、この冴えない太ったおばさんのどうしようもないダメ日常が描かれるのですが、これがまあ自業自得としか言いようがなく、そんな彼女とバーで意気投合するゲイのおっさんもこれまたどうしようもないダメ男。この二人が手を染めることになるのが、手紙の偽装。正直、ちんけな犯罪で騙す方にも騙される方にも別段同情心は湧いてきません。だけど、この二人のどうしようもないトホホな感じ、見ていてなんか癒されるんですよね~。「人間どんな状況に陥っても意外と生きていけるもん」という彼らの開き直りっぷりが小気味いいのかも知れません。主役を演じた、メリッサ・マッカーシー&リチャード・E・グラントもそんなダメダメ男女を伸び伸びと演じていて見ていて清々しいくらい。二人そろってアカデミー賞ノミネートも納得です。特に、M・マッカーシーのどこにでもいるおばちゃん然とした佇まいは味があって大変いい。当初はジュリアン・ムーアがキャスティングされてたみたいだけど、断然こっちの方が正解ですね。愛猫が亡くなったと知って哀しみに暮れる彼女の涙には、思わず貰い泣きしそうになっちゃいました。全編を彩るジャジーで落ち着いた音楽も雰囲気があって大変よろしい。人間、なにがあろうと気の持ちようでどうとでも生きていける――。そんな勇気が湧いてくる、人生の深い哀感に満ちた人間ドラマの佳品でありました。お薦めです。
[DVD(字幕)] 8点(2022-07-04 11:29:58)(良:1票)
303.  フューチャー・ワールド 《ネタバレ》 
核戦争後の荒廃した近未来。秩序はことごとく破壊され、人々は剥き出しの本能のみを頼りに生きながらえていた。そんな絶望的な世界で、暴行と略奪を繰り返す“侵略者(レイダース)”の襲撃に怯えながらも、何とか平穏な暮らしを送っていたオアシスの民。だが、彼らは今、深い哀しみに暮れていた。長年、その秩序の象徴として崇められていたクイーンが重い伝染病を患い、死の淵に瀕していたからだ。「なんとしても母の命を救いたい」――。彼女の息子であるプリンスは、どんな病気でも治すという薬を求めて荒野へと旅立つことを決意する。わずかな銃弾が詰められた拳銃のみを手に、その薬があるというパラダイス・ビーチを目指して危険な荒野をゆくプリンス。そんな彼に、凶悪な〝侵略者(レイダース)〟の魔の手が迫っていた…。血と暴力に満ちた世界で、僅かな希望を求めて旅する一人の男と彼を付け狙う荒くれ者との攻防を描いたバイオレンス・アクション。まあ『マッドマックス』以来何度も何度も描かれてきた、よくあるディストピアSFなのですが、監督も務めたジェームズ・フランコやミラ・ジョヴォビッチ、懐かしのルーシー・リューも出ているということで今回鑑賞してみました。率直な感想を述べさせてもらうと何の捻りもない、凡庸な出来でしたね、これ。先に述べた豪華な役者陣は全て脇役、主人公はこのプリンスという若者なのですが、まぁーこいつがびっくりするくらい魅力に乏しいんです。情報収集に来た売春宿で、仲間の忠告も聞かずに可愛いおねーちゃんとベッドインしようとしてその仲間を殺されちゃうというドアホぶりで、その後もちょっと痛い目に遭わされるとすぐに故郷の場所を吐いちゃうというヘタレ具合。そこから成長するのかと思いきや、危機に陥るたびに敵を裏切った女ロボットに何度も助けてもらうという彼の他力本願ぶりには唖然としちゃいました。また、物語の鍵となるこの女ロボットの存在も正直よく分かりません。ようやく辿り着いた目的地(これもけっこうあっさり着いちゃって、え、もう着いたんかいとずっこけそうになっちゃいました笑)に君臨する、ミラ・ジョヴォビッチ演じる女ボスも意味不明。何故か薬を飲ませた男と戦わせて、勝ったらその腹割いて薬取ってもいいよってどーゆー趣味?!そしてその女ロボットを巡って急に仲間の女とレズ三角関係に発展しちゃうとこなんて、「はぁ、何その唐突な展開?」と頭ポカーン状態。どうしてこの凡作にハリウッドの有名どころが多数出演しているのか、もはやその存在自体が謎の作品でありました。男たちのパラダイス、ラブ・タウンでのおっぱい大安売りに+1点!!
[DVD(字幕)] 4点(2022-07-04 11:13:39)
304.  ザ・アウトロー(2018) 《ネタバレ》 
48分に1回、銀行強盗が発生するという大都市ロサンゼルス――。この危険な街を舞台に、破天荒な生き方で我が道を貫くアウトロー刑事と、常に冷静沈着な頭脳派犯罪者たちの息詰まるような攻防をスリリングに描いたクライム・アクション。犯罪者をどこまでも追い詰める刑事の腕は一級ながら、私生活は破綻している主人公を演じるのはまさに嵌まり役のジェラルド・バトラー。冒頭からいきなり始まる激しい銃撃戦に、「ああ、これはきっと頭空っぽにして観るべき、アクション重視のエンタメ映画なんだな」と思わせるものの、それも最初だけ。それ以降は、この正反対の二人の男の駆け引きがひりひりするような空気の中で描かれていて、これはこれで見応え充分でした。白昼堂々と決行される銀行強盗へと向け、徐々に双方の緊張感を煽ってゆく演出もお見事。特にクライマックス、連邦銀行の中枢部で展開される緊迫感に満ちたやり取りには普通に手に汗握っちゃいました。と、なかなか面白かったのですが、いかんせんストーリーがこのジャンルの名作『ヒート』とあまりにも似すぎているのが本作の評価の分かれるところ。法を守るべき情熱的な刑事が離婚寸前で愛する家族と破綻状態、反対に犯罪者の方が仲間とともに落ち着いた生活を送っているという設定もまんまだし、突発的に始まる白昼の銃撃戦もかなり影響受けちゃってます。オリジナルなのは最後に実は影の黒幕がいたみたいなとこですが、これもちょっと分かりづらくて僕はいまいち納得できませんでした。それに脚本の細部に「?」なところがあるのもマイナスポイント。普通に面白かったですけど、この作品ならではと言うオリジナリティがもう少し欲しかったですね。
[DVD(字幕)] 6点(2022-07-04 11:00:44)
305.  ロスト・マネー 偽りの報酬 《ネタバレ》 
街の悪党の事務所から200万ドルが奪われた。周到に準備をし犯行に及んだのは、ハリーをリーダーとするプロの犯罪者集団。だが、彼らはその日、致命的なミスを犯し、警察に追われる羽目に。追い詰められた彼らは警察と激しい銃撃戦を行った挙句、奪った金もろとも炎上し全滅してしまうのだった。奪われた金は、実は街の悪党がこれから政治の表舞台へと繰り出すための重要な金だった――。なんとしても金を取り戻したい悪党たちが目を付けたのは、ハリーの遺された妻ヴェロニカ。哀しみに暮れるヴェロニカに、彼らは一カ月以内に奪われた金を全額返せと無茶な要求をしてくる。犯罪者の妻とは言え、それまで平凡に生きてきた彼女に当然払えるあてもない。藁にも縋る思いでヴェロニカが考えた方法。それは、夫のノートに遺された次の犯罪計画を自ら実行に移すこと。ヴェロニカは夫とともに死んだ犯罪者集団の遺された妻たちに連絡を取り、とある大物政治家の裏金を奪うという計画を推し進めていくのだったが……。へまを犯し虫けらのように死んでいった夫たちのケツを拭くために、遺された“寡婦たち”が無謀な犯罪へと挑む姿を描いたクライム・サスペンス。監督は前作『それでも夜は開ける』でアカデミー賞の栄誉に輝くスティーヴ・マックイーン。主演には、リーアム・ニーソンをはじめとする人気俳優が多数出演しております。このいかにもベタな邦題とリーアム兄貴を前面に押し出したパッケージとでいかにもB級感満載の本作なのですが、これがどうしてなかなか完成度の高い犯罪ドラマの逸品でした。この商業主義に走りまくった日本の配給会社の宣伝手法には猛省を促したいですね。だいたいリーアム・ニーソンなんて開始五分で速攻死んでしまうんですから。ドラマはその後、追い詰められた未亡人たちのひりひりするような犯罪計画を丁寧に描いていくのですが、この考え抜かれたであろう脚本は見事な出来映え。三人の遺された妻たちもそれぞれにキャラが立っており、彼女たちが八方塞がりの自らの人生を何とかして立て直そうともがくドラマは見応え充分でした。途中であっと驚く展開を見せるストーリーにも見事に騙されましたし。典型的な人種差別主義者である悪徳政治家親子を演じた、コリン・ファレル&ロバート・デュバルもいい仕事してます。二転三転するクライマックスにも素直にハラハラドキドキ。男の身勝手さにそれぞれの方法で決然と立ち向かおうとする彼女たちには最大限の賛辞を贈りたい。うん、充実した映画体験をさせていただきました。
[DVD(字幕)] 8点(2022-07-01 10:50:10)
306.  ダニエル 《ネタバレ》 
精神的に不安定で何かというとヒステリーを繰り返す母親に育てられた少年、ルーク。両親の離婚をきっかけに彼は、「ダニエル」という名の想像上の友達を作り出す。閉塞感に満ちた現実から逃れるかのように、ルークはダニエルとの2人切りの世界へのめり込むのだった。そんなある日、ルークはダニエルに言われるまま母親に危険な薬を飲ませてしまう。激しい腹痛を味わった母親により、彼は「ダニエル」をドールハウスの中へと閉じ込め二度と会わないように誓わされるのだった――。時は流れ、ルークは無事に大学生へと成長していた。だが、母親の情緒不安定はますます悪化し、次第に自傷行為を繰り返すようになっていた。度重なるストレスに耐えられなくなったルークは、実家の自分の部屋から懐かしいものを引っ張り出してくる。それは、かつて想像上の友達を閉じ込めたドールハウスの鍵。激しい孤独感から、彼は思わずその鍵を使ってしまう。すると、自分と同じく成長しもはや青年となった「ダニエル」が久しぶりにその姿を現すのだった。子供の頃と変わらない彼の魅力あふれる言動にルークの心は次第に癒されてゆく。そればかりか何もかもを見透かしたようなダニエルの助言によって、彼の生活はどんどんと好転してゆくことに。だが、ルークはまだ知らない。ダニエルが子供の頃と変わらず危険な存在であることを……。想像上の友達である青年によって人生を翻弄されるある大学生を幻想的に描いたサイコ・サスペンス。ティム・ロビンスとアーノルド・シュワルツェネッガーというハリウッドの2大スターの〝息子たち〟が初共演という、完全にミーハーな宣伝文句に乗っかって今回鑑賞。確かに二人の息子くんたちは、親御さんによく似てらっしゃいます。特にアーノルドさんの息子は斜に構えた顔がそっくり!まあ演技が徹頭徹尾ダイコンなトコもおんなじでしたけど(笑)。ティムさんの二世君はなかなか頑張ってましたけどね。肝心の内容の方ですが、率直に言ってビックリするくらい凡庸。だらだらだらだらキレの悪い演出にセンスの欠片もない映像、容易に先の読める脚本に到底納得できないオカルト全振りのオチ…。つまんない映画の全ての要素が詰まっております。主人公の顔がぐちゃぐちゃになるシーンなんて、粘土で作ったようなチープさで思わず失笑しちゃいました。まあ、そんな感じです、はい。
[DVD(字幕)] 4点(2022-07-01 06:56:00)
307.  ANNA/アナ(2019) 《ネタバレ》 
常に死と隣り合わせの危険な任務を颯爽とこなす凄腕女スパイの活躍を、スピード感あふれる展開で見せるエンタメ・アクション。監督は、この手のジャンルを得意とするリュック・ベッソン。まあ面白いっちゃ面白いですけど、良くも悪くも薄味作品でしたね、これ。時間軸を行ったり来たりする脚本も手堅く纏められていて、終始キレのいいアクションシーンも見応えありますし、主役をはじめとする役者陣もみな華があって、最後までそこそこ楽しんで観ることは出来ました。でも……、心に残るものはほぼありません(笑)。そういうもんだと割り切って観るのが正解なんでしょうけど、自分はもう少し内容のある方が好みかも。暇つぶしで観る分には全然オッケーなんですけどね。
[DVD(字幕)] 6点(2022-07-01 06:32:39)
308.  ジェントルメン(2019) 《ネタバレ》 
引退を決意した麻薬王の資産を狙って、それぞれに蠢き始めた暗黒街の〝紳士たち〟を終始軽快に描いたクライム・サスペンス。マシュー・マコノヒーやコリン・ファレル、それに懐かしのヒュー・グラントなど豪華な面々がそんな個性豊かなワルたちをのびのびと演じております。監督は、この手のジャンルを得意とするガイ・リッチー。と言う訳で今回期待して鑑賞してみました。うーん、期待が高すぎたのか、なんかイマイチな出来でしたね、これ。とにかくテンポが悪い!探偵と麻薬組織の幹部がボスの秘密をめぐってひたすら駆け引きを繰り返す会話劇が物語の縦軸となり、そこから過去の話が回想形式で再現されるという本作の構造。これがうまく機能してないんじゃないかな。この先面白くなりそう!ってところでいちいち現在のシーンに戻るので、なんか集中力が途切れちゃうんですよね。演技派でならしたマシュー・マコノヒーだけにタメの演技を多用しているのもテンポの悪さに拍車をかけているような?お話自体はそこそこ面白かっただけに、もう少し見せ方を頑張ってほしかったです。うーん、次作に期待!
[DVD(字幕)] 5点(2022-06-20 06:34:30)
309.  ペイシェント・セブン 《ネタバレ》 
舞台はアメリカ郊外に佇む、とある精神科病院。重度の患者のみが収容されるという閉鎖病棟に、高名な精神科医が診察にやってくるところから物語は始まる。新しい著書の取材のために、ここに収容されている七人の重症患者たちのインタビューを行いたいというのだ。さっそく彼に指定された患者たちが一人ずつ連れてこられることに。ビデオカメラの前で自らの経験を語り始める、様々な病を抱えた精神病患者たち。その内容は、どれもにわかには信じがたい驚くべきものだった……。とある精神科病棟で語られる患者たち驚愕の回想を次々と描きだすサスペンス・ホラー。一応、一本の映画という体裁は取っていますが、これは幾つもの短編を集めたオムニバス・ホラーと言っていいと思います。患者たちの回想という形式で描かれるそれぞれのお話も、サイコ・スリラーからゾンビもの、悪霊憑きやヴァンパイアとバラエティ豊かで見ていて飽きさせません。まあ逆に統一感がないと言われるかも知れませんけどね。以下それぞれのお話の感想。①妄想に支配された母親に襲われる娘のお話。母親が妄想で見る怪物がけっこう気持ち悪くてグッド。②ハロウィンの夜に死体を持って歩きまわる猟奇殺人鬼のお話。殺人鬼の冷酷さと周りの浮かれキャラとのギャップが面白い。③ゾンビに支配された街で出会った男女のお話。女を助けた理由が実はゾンビ化した彼女の餌にするためだったというオチはありがち。④シャベルが欲しい女の子のお話。あらゆる方法でシャベルを手に入れようとする理由が…、いまいちよく分からない。⑤悪魔に取り憑かれた女の子のお話。主人公姉妹が可愛い。⑥社会に潜伏する吸血鬼を密かに退治するヴァンパイアハンターのお話。この中二病感が痛々しい。⑦またもやゾンビに支配された世界で逃避行をする親子のお話。率直に言ってありがち。んで、最後の大オチは主人公の精神科医も実は長年収監されていた患者だったという、これまたありがちなもの。と、まあそれぞれのお話自体は、何処かで何度も見たようなよくある話ばかりなのですが、全体的にそこそこ演出のキレもよく、映像もそこそこセンスあるんで最後まで普通に見ていられます。総評。暇潰しに観る分には、ぼちぼち楽しめるんじゃないでしょうか。
[DVD(字幕)] 6点(2022-06-16 11:08:51)
310.  REDCON-1 レッドコン-1 戦闘最大警戒レベル 《ネタバレ》 
謎のウィルス蔓延により、凶悪なゾンビが大発生したイギリス社会。発生源となった街の一画は軍によって隔離され、そこではゾンビと取り残された人間たちが日夜熾烈な争いを続けていた。そんな危険な地へとある日、各国より選抜された特殊部隊が送り込まれる。目的は、この地に取り残されたウィルス開発者である科学者を見つけ出し、生きたまま帰還させること。そう、彼こそが人類存亡の危機を救う希望の光だったのだ――。生ける屍たちに支配された絶望的な世界で、人類の存亡を懸けた極秘任務を担う兵士たちの決死のサバイバルを描いたゾンビ・アクション。そんないかにもB級感満載の本作、あまり期待せずに今回鑑賞してみたのですが、これがまあ何処にも新しいところのない、よくある凡庸なゾンビものでした。とにかくストーリーが一本調子で何の捻りもなく、ただひたすら退屈。けっこうお金がかかっていそうな映像も全体的にダサく、出てくる登場人物がどいつもこいつも魅力に乏しいのもマイナス・ポイント。あのアジア系の兵士が何故か常に日本刀を持っているのも寒い。また、やたらと無理やり感動に持っていこうとするストーリーも見ていて痛々しい限りです。結論。ヒマでヒマで仕方ないならまだしも、わざわざ時間を割いてまで観るもんではありませんでした。
[DVD(字幕)] 3点(2022-06-16 10:56:15)
311.  マローボーン家の掟 《ネタバレ》 
「成人になるまでは屋敷を離れてはならない」「鏡を覗いてはならない」「屋根裏部屋に近づいてはならない」「血で汚された箱に触れてはならない」「“何か”に見つかったら砦に避難しなくてはならない」――。自らに課した、そんな五つの掟を守りながら、慎ましやかに暮らしているマローボーン家の四人兄妹。イギリスからアメリカ郊外の山の中に佇む古びた洋館に越してきた彼らは極力外部との接触を断ち、恐ろしい何かから身を隠すように静かに暮らしていた。そんな折、持ち上がった館の相続問題。期日までに親権者である母親のサインがなければ、兄妹は離れ離れになってしまう。だが、彼らの母親はアメリカへの旅路で体力を使い果たし、帰らぬ人になっていた。何とかして事態を打開しようともがく兄妹たち。同じころ、末の弟が館の中で不穏な何かを目にするようになり……。果たしてこの館に隠された驚くべき真実とは?どうして彼らは鏡を覗いてはならないのか?そして、兄妹は無事に成人になる日を迎えることが出来るのか?古びた洋館でひっそりと暮らすマローボーン家の兄妹を襲う、そんな数々の不穏な出来事をダークに描いたゴシック・ホラー。制作を務めるのは同じくゴシック・ホラーの傑作『永遠のこどもたち』を撮った、J・A・バヨナ。いかにも彼らしい不穏な空気に満ちた、なかなか見応えのある作品に仕上がっておりました。取り敢えず、「何か裏がある」というのは冒頭から分かるのですが、観客を導くミスリードの仕方が抜群に巧く、最後まで全く気が抜けません。ことの真相は途中で半分くらいまでは予想できるものの、完全には分かりませんでした。この屋根裏の〇〇は〇〇で実は〇〇ていたというのは何とか予想できたものの、〇〇たちは実は〇〇の〇〇だったとは……って決定的なネタバレを避けるあまりもはや検閲文書みたいになってしまいましたが(笑)。それはさておき、普通にホラー映画としてかなり高い水準に達しているのが素直に素晴らしい。館の中に居る何かが徐々に兄妹たちを追い詰めていく描写の禍々しさといったらない。最後までずっと不安感が拭い切れないのはいいホラーの証ですね。そして、最後は切なく哀しい余韻を残してくれるのもこの監督ならでは。なかなか完成度の高いゴシック・ホラーの良品でありました。
[DVD(字幕)] 8点(2022-06-16 10:32:14)
312.  THE GUILTY ギルティ(2018) 《ネタバレ》 
「私の名は、イーベン。今、元夫の車に拉致され何処かへと向かっている。私、このままじゃ殺される、お願い、助けて」――。ある日、緊急通報センターに掛かってきた、そんな一本の電話。通報を受けたのは、少し前にここに配属されたばかりのオペレーター、アスガーだった。追い詰められたような彼女の口調に緊急性の高い案件であると直感した彼は、すぐさま警察と連携を取り、発信元である高速道路にパトカーを向かわせる。だが、正確な位置も車両ナンバーも分からないため、パトカーはその車を発見することは出来なかった。事態は一刻の猶予もないと判断したアスガーは、携帯の登録情報を元に彼女の実家へと電話を掛けてみる。電話に出たのは、イーベンの長男である幼い子供だった。詳しく話を訊いてみても、血だらけの自分のママが父親に連れ去られたと泣き叫ぶだけ。どう考えても異常な事態。居ても立ってもいられなくなったアスガーは、警察とは別に独自の行動を取るのだが……。緊急通報センターの狭い一室を舞台に、拉致監禁事件へと巻き込まれた一人の女性を救うために孤軍奮闘するオペレーターの姿を描いたサスペンス。登場人物はほぼ主人公であるこのオペレーター一人のみ、あとは電話の向こうにいる幾人かの人々とのやり取りのみで描くという挑戦的なスタイルで描かれた本作、これがなかなか緊迫感に溢れたサスペンス・ドラマの佳品に仕上がっていたと思います。同じような設定の作品はすでにハル・ベリー主演の過去作にあったのですが、あちらは設定こそ秀逸だったものの後半はかなり残念な仕上がりになっていたことを思うと、本作の後半の展開はけっこう考え抜かれていて素直に面白かったですね。何より、驚愕の展開を見せるクライマックスはこちらの予想を遥かに上回ってきました。「まさか、そう来るか」という感じです。そこに主人公の過去に起こした罪を絡めてくるところなんかも巧い。こんなにも地味でこんなにもお金が掛かっていないのに、ここまで面白いドラマを創れるんですから、この監督の才能はなかなかのものなんじゃないかと思います。まあここまでオペレーターが好き勝手に電話できるのかという脚本の突っ込みどころはありますが、それも僕的には許容範囲内。ハリウッド・リメイクも決定したということで、今からそちらも楽しみな逸品でありました。
[DVD(字幕)] 7点(2022-06-16 10:07:35)
313.  ダーク・クライム 《ネタバレ》 
警察署で捜査資料や証拠品の管理を担当する事務員、タデック。かつて現場で殺人や強盗などの凶悪事件を担当する花形刑事だったものの、不祥事から今は現在の職場に左遷されてしまったのだ。そんな鬱屈した日々を過ごしていたある日、彼は過去に未解決に終わった警官殺し事件の新たな証拠とも言える映像を入手する。見終わって、彼はある直感を得るのだった。とある雑居ビルの地下にあった違法風俗クラブに足しげく通っていた、過激な作風で知られる作家コズロフこそが真犯人なのではないか――。再び現役へと返り咲くため、タデックは強引に捜査を再開する。コズロフ本人はもちろんのこと、彼の元妻へも執拗に事情聴取を行い、彼の著書や違法風俗クラブに残された映像を何度も見返すタデック。だが、そんな彼にかつて事件を担当し今や警察長官となった男から、あからさまな妨害工作を受けるようになり……。果たしてタデックは無事に事件を解決することはできるのか?現代社会の闇に潜むおぞましい犯罪を重厚に描いたクライム・サスペンス。人気俳優ジム・キャリーが久々に主演を果たしたという本作、なかなか面白そうだったので今回鑑賞してみました。冒頭から繰り返される、秘密セックス・クラブ内での怪しげでエロティックな映像はなかなかにスキャンダラスで摑みはばっちりでした。その後もこのこってり濃厚な映像と、観れば観るほど気が滅入るような陰鬱なストーリー展開は見応え充分。何処か『セブン』を髣髴とさせるこの重厚な世界観(あ、それはさすがに言い過ぎか笑)はけっこう自分好みでした。コメディ要素を封印し、あくまでシリアスに徹した髭もじゃジム・キャリーもけっこう嵌まっていたと思います。ただ、ストーリー展開がわりかし単純で一本調子なのが本作の弱点。もう少しひねりが欲しかったですね。あまりにも似たような映像と展開が続くもんだから、一時間も過ぎるとさすがにダレてきちゃいます。全編に漂う、このダークな雰囲気はなかなか良かっただけに、ちょっと物足りない作品でありました。
[DVD(字幕)] 6点(2022-06-16 09:58:34)
314.  アリータ:バトル・エンジェル 《ネタバレ》 
26世紀の荒廃した未来社会を舞台に、鉄くずの中から拾われたサイボーグ少女“アリータ”の恋と成長、そして世界の存亡を賭けた闘いを壮大なスケールで描いたSFアクション。日本のコミックを原作に、ロバート・ロドリゲスが監督、そしてジェームズ・キャメロンが制作を務めたという本作、けっこう期待して今回鑑賞してみました。結果は……、「うーん、なんか微妙~」ってのが正直な感想です。華奢な身体で屈強な男どもとガンガン戦う大きな瞳のアリータはもちろん魅力的だったし、殺伐としたサイバーパンクな世界観もけっこう好みだし、何より進化した未来社会を緻密に再現した驚異のビジュアル・エフェクトなんて観ているだけで心がワクワクしちゃいます。特に中盤、アップグレードしたハンター相手に苦戦を強いられ、闘うたびに四肢や下半身が欠損してゆき、最後は上半身だけになりながらもまだ戦意を失わないアリータに思わず胸キュンしちゃった僕はヤバいんでしょうか(笑)。でもね~、さすがにこの脚本はしっちゃかめっちゃか過ぎるっしょ。命を狙うハンターたちとの攻防やらかつての敵が遺したバトルボディやらアリータの出生の秘密だとか彼女を救った博士の過去だとか、さらにはアリータの切ない初恋物語だとかいくら何でもエピソードを詰め込み過ぎ!そしてここまで取っ散らかったストーリーをどう締めるのかと思ったら、いつの間にかローラーボールもどきのリアル・マリオカートみたいな競技に参加しててそこで優勝目指して頑張るってなんですのん、それ。見るべきところはたくさんあっただけに、もう少し脚本を練って欲しかった。続編に期待しときます。
[DVD(字幕)] 5点(2022-06-09 05:16:04)
315.  アナと世界の終わり 《ネタバレ》 
彼女の名は、アナ。何処にでもいるような平凡な女子高生だ。数年前に母親を亡くしてから過保護な父親の鬱陶しい過干渉に頭を悩ませ、なんとなく付き合っている冴えない彼氏にも不満爆発、頭の固い学校の校長先生なんて早く死んじゃえばいいと思っている。唯一の希望は、高校を卒業してから旅立つ予定のオーストラリア一周ヒッチハイク旅。そんな彼女が迎えた高校生活最後のクリスマス。だけど、アナは自分でも分かっている。今日もきっと退屈な一日が始まるはずだということを――。だがその日、爆発しそうなエネルギーを何故か歌にして発散していたアナが目にしたのは、ゾンビに支配された世界の終わりの光景だった!原因不明のウイルスによって生ける屍が大量発生した世界を、アナとその仲間たちは持ち前の若いエネルギーと歌だけを武器に乗り越えようとするのだが……。ゾンビ・パニックと青春ミュージカルの奇跡の融合というアイデア一発勝負のそんな本作、「どうせ、イロものなんじゃろ」と大して期待せずに今回鑑賞してみました。なんですけど、え、意外にも僕はけっこう面白かったんですけど、これ。キラキラと輝くようなアナのミュージカルな日常に血みどろゾンビが同居するというマジカル・ポップなこの世界観は個人的にめっちゃツボでした。顔に返り血をつけたままクリスマスツリーの飾りの杖を武器に戦うアナをはじめ、彼女の仲間たちもそれぞれにキャラが立ってるのも大変グッド。あのクリスマスツリーのセーター(スイッチ入れたらイルミネーションつく!笑)を着たアナの彼氏の絶妙のダサさ具合いなんて思わず笑っちゃいました。他にもレズビアンな女の子やマッチョな元カレもみんな個性的で、彼らがそれぞれの方法でゾンビと戦うシーンもテンポが良くて普通に楽しい。全体を通して適度にグロく、適度にシニカル、そして適度にポップ。この絶妙な匙加減なんて監督、なかなかいいセンスしてるんじゃないですかね。そして後半はゾンビ映画としてちゃんと(?)仲間たちが次々犠牲になってゆくのもセオリー通りでいい。お互いゾンビに噛まれたリア充カップルがキスしながら最期を迎えようとするシーンなんてけっこう切なかったですし。後半になるにつれ、どんどんとぶっ壊れてゆく悪役の校長先生もナイスな仕事してます。そして、最後までミュージカルとしてそれぞれの楽曲のクオリティが下がらないのも普通に凄いと思います。うん、賛否両論あるみたいですけど僕はけっこう面白かった。8点!
[DVD(字幕)] 8点(2022-06-02 10:49:16)
316.  バーバラと心の巨人 《ネタバレ》 
信じられる?奴らは太陽も逃げ出すような恐ろしい存在よ――。彼女の名は、バーバラ。海沿いの寂れた田舎町で、まだ若い姉や兄とともに貧しい生活を送る彼女にはとある秘密があった。そう、この世の諸悪の根源である邪悪な〝巨人〟が森の奥深くに潜み、何も知らない人間どもを虎視眈々と狙っているということに、彼女だけが気付いてしまったのだ。いつも身に着けているポーチへと秘密の武器「雷神トールのハンマー」を潜ませ、巨人の大好物である甘い蜜や手作りの罠を森のあちこちに仕込み、いつでも巨人の動向を監視しているバーバラ。だが、巧妙な巨人たちは一向にその尻尾を彼女に摑ませることなく森の闇の中に蠢き続けるのだった――。でも、彼女の家族や学校の先生、そしてバーバラの同級生たちはその事実に全く気付くことなく、いつものような普通の日常生活を送っている。そんなことなど気にする様子もなく巨人の物語へとのめり込むバーバラ。周囲の人間との軋轢はどんどんと増すばかりで、彼女は次第に孤立を深めてゆくのだった。そんな彼女のことを心配する転校生のソフィアや学校のカウンセラーが、何とか彼女の孤独な心を開かせようとするのだったが……。妄想とも現実ともつかぬ世界へと迷い込んでしまった少女の孤独な闘いを幻想的に描いたダーク・ファンタジー。アメリカのグラフィック・ノベルを原作にしたという本作、なかなか面白そうだったので今回鑑賞してみました。観終わってまず真っ先に思い浮かぶのは、J・A・バヨナが監督しリーアム・ニーソンが怪物の声をアフレコした某作品と設定やビジュアル・センスが丸かぶりしているところでしょう。巨人の脅威をフォークロアのように描いた幻想的なシーンなんて全くそのまんまなんですけど、これって大丈夫なんですかね?ただ、あちらの如何にもきかん坊な少年主人公に全く共感できなかった自分としては、こちらのメンヘラ女子の方にはまだ好感持てました。バーバラもその友達となる同級生もけっこう可愛かったってのもあるかもですけどね(笑)。とはいえ、だからと言って本作に嵌まったかと言えばそこまででもなく、終始辛気臭い展開に終盤はぐったりしてしまいました。もう少しファンタジー色強めでも良かったような気もしますし。ま、ぼちぼちってとこでした。
[DVD(字幕)] 6点(2022-05-27 10:24:15)
317.  500ページの夢の束 《ネタバレ》 
彼女の名は、ウェンディ。何処にでも居るような平凡な女の子。でも、一つだけ人と違うことがある。それは人と話すのが大の苦手で、自分の思い通りにならないことがあると思わず“かんしゃく”を起こしてしまう困った癖を持っていること。そう、彼女はいわゆる自閉症なのだ。唯一の肉親である姉の結婚を機にウェンディは福祉施設で暮らすようになり、今はパン屋さんで働き自立している。でも、本当の願いは思い出がたくさん詰まった自分のお家に帰ること。そんな折、姉の勝手な判断で大切なお家が売却されてしまうことを知るのだった。到底納得いかないウェンディはまたしてもかんしゃくを起こしてしまう。食事が喉を通らないほど落ち込んだ彼女が、考え込んだ末に思いついた解決法。それは、映画会社が主催する、自分の大好きなテレビドラマ「スタートレック」の脚本コンテストに応募し、賞金10万ドルを手に入れることだった。寝る間も惜しんで書き上げた500ページにも及ぶ原稿はすでに完成してある。だが、締切は明後日。とてもじゃないが、今から郵便局に預けにいってては間に合わない。仕方なくウェンディは、たった一人ロサンゼルスへと向かうバスへと乗り込むのだった。愛犬のピートを相棒にして――。自閉症と言う個性を抱えた一人の女性が、自らの夢を叶えるために遠く離れたロサンゼルスまで旅する姿を描いたロードムービー。前作で、障碍者と性と言う難しい問題をあくまで軽く爽やかに描いたこの監督らしい、ほのぼのとした空気に包まれた心温まるお話でしたね、これ。とは言ってももちろんキレイごとばかりではなく、当然そこには障碍のある人の生き辛さや家族の葛藤、世間の無関心やそんな弱者を食い物にする悪人の存在もちゃんと描かれる。でも、そこまで深刻になる一歩か二歩手前で引くこの監督の絶妙な匙加減は見事としか言いようがありません。特に居なくなった彼女を追って奔走する、トニ・コレット演じる施設職員には好感持ちまくりです。バスの運転手や医者、融通の利かない映画会社の事務員など嫌なやつも沢山出てくるのですが、それ以上に彼女のような魅力あふれる人々がいっぱい出てくるのがとてもいい(宇宙の言葉を突然話し出す、あの警官マジサイコー!)。そう、どんな人にだってちゃんと手を差し伸べてくれる優しい人が居ることを改めて教えられました。主演を務めたダコタ・ファニングも自閉症を抱えた若い女性をリアルに演じていてとても良かったです。最近妹の方が何かと話題になることが多いのですが、彼女にはこのまま演技派の道を歩んでいって欲しいものです。今回の結果は残念だったけど、必ず認めてもらえる日がきっと来るよ。そう思わずにはいられないヒューマン・ドラマの佳品でありました。お勧めです。
[DVD(字幕)] 8点(2022-05-20 08:58:57)
318.  Z Bull ゼット・ブル 《ネタバレ》 
ストレス社会をぶっ飛ばせ!――。世界に冠たる一流兵器メーカー、アモテック社。そこは高性能銃器や小型地雷、破壊力抜群の重火器や最新型の戦闘ロボ、さらには清涼飲料水まで幅広く手掛けるグローバル企業だ。ある日、闘争心を高める兵士用エナジードリンク「ゾルト」を開発した社長は、全社員を集め、強制的に試飲させることに。だが、誰も知らなかった。そのエナジードリンクには致命的な〝欠陥〟があることを――。突如として狂暴化し、手近の武器を手に取るとお互いを殺し始める社員たち。一瞬にしてオフィスは血みどろの大パニックへと陥ってしまうのだった。遅刻してきた落ちこぼれ社員であるデズモンドは、目の前の信じられない光景に途方に暮れるばかり。同じくドリンクを飲まなかった落ちこぼれ社員たちと合流したデズモンドは、ほのかに好意を寄せている女子社員を救うため、そんな阿鼻叫喚の地獄絵図と化したオフィスへと乗り込んでゆく。果たしてデズモンドと仲間たちはこの絶体絶命の危機を脱することが出来るのか?アイデア一発勝負で撮られた、完全にB級であるそんな本作、まったく期待せずに今回鑑賞してみたのですが、これが意外や意外、なかなか面白いじゃないですか!まあゾンビものの単なる亜流と言ってしまえばそれまでだけど、全編に散りばめられた会社あるあるがけっこう笑える。経理部と営業部が無茶苦茶仲悪かったり、女社会である人事部がかなりドロドロだったり、典型的なパワハラ&モラハラな上司がブイブイ言わせていたりと、「あー、これ分かる分かる!」と終始ニヤニヤしっぱなし。日々のストレスを発散するかのように暴れまわる、ダメ社員主人公に思いっきり感情移入しながら見入っちゃいました。ドリンクを半分飲んだせいで我慢できないことがあると急に暴れ出すヒロインの女子社員もけっこう可愛くて、そんな彼女が前半ガムテープでぐるぐる巻きのまま移動させられるとこなんてすんごくキュート。そして、この会社が兵器メーカーであるとこも舞台として最高です。なんせクライマックスは、倉庫に保管されていた様々な武器爆弾に火炎放射器、果てはミサイルやバトルロボットまで持ち出して、もはやぶっ飛びまくり(笑)。うん、なかなか面白かった!!日々、会社のストレスにウンザリしているサラリーマン諸君にお薦めの一本です。
[DVD(字幕)] 7点(2022-05-20 07:08:51)
319.  ビリーブ 未来への大逆転 《ネタバレ》 
男は外に働きに出て、女は家で家庭を守る――。米国社会に色濃く残る、そんな古い価値観からくる性差別の歴史。本作は、司法の世界に伝統的に残る性差別へと果敢に戦い、後に女性として初めて最高裁判事となったルース・ギンズバーグの半生を描いたもの。監督は社会性の強いエンタメを得意とするミミ・レダー。正直、自分は全く嵌まらなかったです、これ。別に僕は性差別主義者でもなんでもありませんが、ここまで全面的にフェミニズムを持ち出されるとちょっと引いちゃいます。このギンズバーグって人、なんだか田嶋陽子さんの若い頃みたいなイメージで、何を言っても「それは男社会の論理!」で反論されそうな、ぶっちゃけて言うと物凄く面倒臭い感じがして僕はどうも苦手です。肝心のドラマ部分も、いかにもミミ・レダー監督らしく丁寧に作られていて好感は持てるのですが、全体的に専門用語が多くて分かりづらい部分もちらほら。最後の主人公の演説も僕の頭が悪いせいかいまいちピンとこず、法廷劇としてそこまでカタルシスを得られなかったです。うーん、そんなわけで自分とは合わない作品でありました。
[DVD(字幕)] 5点(2022-05-20 06:25:03)
320.  モンスターズ/悪魔の復讐(2018) 《ネタバレ》 
1892年、8月4日。マサチューセッツ州のとある豪邸で起こった凶悪な殺人事件。当主であるアンドリュー・ボーデンとその妻が、斧で顔面を元の形が分からなくなるほど何度も強打されるという残忍な手口で殺害される。しかも逮捕されたのが彼らの実の娘だったということで、当時世間でセンセーショナルな話題を振りまいたことでも有名な未解決事件だ。本作は、後に一転して無罪となった娘リジーの犯行に至るまでの6カ月を当時一家の召使いであったブリジットの視点から描いたサスペンス・スリラー。ブリジットを演じるのは、『トワイライト』シリーズで一躍人気女優となったクリステン・スチュワート。リジー役には、アカデミー賞にノミネートされたこともある実力派のクロエ・セヴィニー。彼女たちが実は秘密の同性愛的関係にあり、ともに恨みを抱いていた被害者を二人協力して殺害したのではないかという新たな?解釈で描いているのが本作のポイント。娘であるリジーは持病の癲癇を理由に父から虐待に近い抑圧を受けていて、召使いであるブリジットは夜な夜な彼から性的虐待を受けていた――。このことを映画の三分の二近くもの時間をかけて丹念に描いている。だが、正直自分にはこれが退屈で仕方なかった。やたらと暗い画面でダラダラダラダラ続くので途中から眠気と闘いながらの鑑賞となってしまった。しかも物語の焦点となる、この二人の百合的関係も鳥小屋でちょろっとキスして抱き合う程度。この二人の歪な関係性をこそ最も力を入れて描くべきだったのに、これでは極めてバランスが悪いと言わざるを得ない。ようやく殺害にいたるシーンも二人が協力して斧で殴り殺すだけという何の捻りもない展開で、肩透かしもいいところ。大胆なヌードを披露した主演女優二人も、これでは単なる脱ぎ損ではないか。どうせ脱ぐなら、もっと百合シーンでこの二人のヌードを見たかった。クリステン・スチュワートの形のいいおっぱい(クロエさんの方は正直どうでもいい!笑)に、+1点。
[DVD(字幕)] 4点(2022-05-20 06:10:49)
全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS