321. パンチライン
前半の2人のステージを目指す行動があんまりにも切実すぎて、その割に2人の相互理解の部分はなかなか進まないので、見ていてとても重たいのです。また、特にヒロインの側は、地味で平凡な主婦だったのが途中から何か変わってくるのかと思っていたら、最後まであまり変わりませんでした。内容と描写の方向性があまり合ってなかったのではないでしょうか。尺も必要以上に長いです。 [DVD(字幕)] 5点(2009-03-12 01:34:27) |
322. ランブルフィッシュ
《ネタバレ》 ミッキー・ロークとマット・ディロンの憂いをたたえた横顔がたっぷり見られるだけでOK。この存在感はそれだけで芸術品ですね。兄弟関係の描写についても、言葉が少ないだけ、かえっていろんな感情や思いやりが伝わってきます。また、ダイアン・レイン扮する彼女と途中で破綻していて、普通の青春映画ならどこかで和解してめでたしめでたしなのですが、それを容赦なくそのまんまにしているのも凄い。 [DVD(字幕)] 6点(2009-02-27 03:17:47) |
323. ミスター・アーサー(1981)
《ネタバレ》 主人公の下らないアメリカン・ジョークの連発が面白すぎ。ナイフを振り上げられたときまで「チーズを切るんだろうか?」とかすっとぼけてます。ロマンティックなテーマソングにだまされてはいけません。これは完全なコメディです。大体、あんな適当な出会いをした相手とあんな安直な経過で自信満々に結ばれるなんて、それ自体がギャグでしょ。主人公がさしたる反省や改心の気配もなくあっさりハッピーエンドをゲットしているのも、よく考えると凄いかも。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2009-02-10 23:57:23) |
324. エル・スール
《ネタバレ》 冒頭、少女が目覚め、枕の下から振り子を取り出してじっと見つめるが、そのシーンが象徴するとおりに、じっくり、ゆったりと時間が流れ、静謐で神々しい空気すら感じさせる作品である。肝心の父親の内面の描写はそれほど深いとはいえず、観念的に流れる部分もないではないのだが、聖体拝受式の日の主人公の超絶的な可愛らしさに免じて+1点。 [映画館(字幕)] 6点(2009-01-11 12:55:03) |
325. 序の舞
制作者がこの素材のどこに注目したのかが分かりません。ほとんどが説明台詞ばかりで、思いついた場面をそのまま並べただけのような感じ。しかも、慣れない京都弁のせいか、俳優陣の喋りもみんなぎこちないです。主人公も、いろいろな体験を経ているはずなのに、成長や変化というものが見えません。少なくとも後半は、もっと逞しさや凛々しさを備えた人間になっているはず。美術関係の頑張りに5点。 [DVD(邦画)] 5点(2009-01-05 01:08:07) |
326. 愛と哀しみのボレロ
《ネタバレ》 ボレロという一発ネタだけで、第二次大戦を取り巻く各国の家族の描写を網羅してやろうという大風呂敷構想には大いに敬意を表したいのだが、肝心の各登場人物の描写が、どれも細切れで似たような感じなのです。一人二役をどうこういう以前の問題です。しかも、お互いにそれほど絡んでいるわけでもないしね。それでも、ラストのボレロの力強い演舞には、すべてを濁流のように飲み込んで一つの世界にしてしまうほどのパワーがあり、作品を心に残るものにしています。それを考えると、原題をまったく無視したこの英題と邦題は大正解だったんだなあ。●(追記)改めて見てみると、これって、作品自体もボレロみたいな構成で作りたかったということなんですね。似たようなストーリーがちょっとずつ繰り返されて積み重なって、いつしか大河のようにラストになだれ込む。そういう、作中に登場するテーマと構成自体が一致している作品は貴重なので、1点プラス。加えて、随所で炸裂する移動長回し、また丁寧なエキストラ配置も実に気持ち良いので、さらに1点プラス。 [映画館(字幕)] 9点(2009-01-02 01:20:56)(良:1票) |
327. ブラック・レイン
日本代表選抜豪華キャストという点を脇に置けば、中身はよくあるアクションものと大して違いません。ただし、私にとってのこの作品の功績は、優作でも健さんでも富三郎でもなく、神山繁先生を遂にハリウッド・デビューさせてしまったこと。出番も意外に多かったので嬉しい。 [DVD(字幕)] 6点(2008-12-15 01:47:56) |
328. さくら隊散る
《ネタバレ》 証言者や関係資料が現存するうちに、何としてもこのことを記録に残さなければならない、という制作者の真摯なばかりの思想と、そして祈りが通じる作品。死傷者の数が重要なのではなくて、大事なのは、その一つ一つに「背景」と「存在」があるということ、そしてそれが問答無用で断ち切られる容赦のなさ。そのことを伝える証言者の一言一言、そして再現ドラマは、これからも価値を失うことはなく、そして余りにも重い。 [DVD(邦画)] 8点(2008-12-13 13:26:00) |
329. バウンティフルへの旅
《ネタバレ》 何といっても、日常生活で起こりうる次元での「旅」「冒険」であるのが良い。わざとらしい大事件は何も起こらず、誰もがどこかで一度は体験したようなことの積み重ね。主人公も、回りくどいことを考えているわけではなく、純粋に一途に故郷を目指しているだけ。なのに(だからこそ)どきどきする。偶然出会うレベッカ・デモーネイも、もう少し何かあるかと思わせるところであっさりお別れ。この辺の引きの加減が心地よい。それらの集積は、朝の光の中でじっくりと撮られる朽廃した我が家で美しく結実する。見る側の心の奥にあるものを掘り起こし、共感を呼ぶ作品です。紛争の発端である息子の妻がうるさすぎるのが難点(特に導入部)。ここはもう少し抑えてほしかった。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2008-12-08 01:51:31) |
330. ホワイトナイツ/白夜
亡命した一流ダンサーが不時着で故国に戻る羽目になったなんて、凄く面白いことになりそうな設定なのに、やってることというか作品の作り方は青春王道系そのまんまなんです。おまけに、挿入曲はベタベタの80'sUSミュージック丸出し。バレエシーンの入れ方はかなり強引。このミスマッチぶりがたまりません。素材の方向性に反して、重たさが足りなすぎるんですよね。ソ連人が100%一方的な悪役というのも、時代を感じさせます。 [DVD(字幕)] 5点(2008-12-07 02:05:29) |
331. ペテン師とサギ師/だまされてリビエラ
そんなに面白いとは思いませんでした。設定(目標)自体も設定のための設定という感じだし、何よりも、この種の作品に不可欠な、スピード感、テンポ、シャープさというものに欠けています。やたら長く感じました。 [DVD(字幕)] 4点(2008-12-03 01:41:55)(良:1票) |
332. ザナドゥ
見事なくらい中身がまったくありません。というか、これはもうサントラ盤「ザナドゥ」のプロモ映像といった方が正確ですね。せっかくオリヴィア姫を出しておきながら、照明をちゃんと当ててあげようとか綺麗に撮ってあげようとかほとんど考えた形跡がないのも凄い。しかし、ELOの全盛期のセンスが炸裂し、サー・クリフ・リチャードまで必殺の甘口トロケ声で参戦してしまう楽曲群は、今聴いても、そこだけは身を乗り出させてしまう力があります。そっちの方に4点。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2008-10-27 01:43:05)(良:1票) |
333. 君が好きだから
《ネタバレ》 主演の方々のキャスティングからして期待してしまうが、製作年からいっても、これはみんな駆け出しの新人だった頃の作品なんですね。というわけで、風格とか演技力とかいうものは感じさせませんし、それ以前に内容的にもどうということもないB~C級のラブコメです。設定にもやりとりにも特に新鮮味はありません。地下鉄での追いかけっこという単純な発想が逆に面白かったかな(ただし、いったんスタートしたそれを時間をかけてきっちり追っているのは偉い)。初期のまだ初々しいマギー・チャンに4点。 [DVD(字幕)] 4点(2008-10-14 01:13:47) |
334. 男たちの挽歌II
《ネタバレ》 最後の分かりやすい盛り上がりとシャープなアクションで得をしている気はしますが、人間ドラマとしての描写は前作の方がずっと上。それに、展開がやたら慌ただしく、かつ作為的な部分があるところも目につきます(ホーがキットを撃つシーンなんて、そのシーンを撮りたいために無理矢理入れ込んだような感じ)。私は前作の方が好きです。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2008-10-05 02:54:54) |
335. 愛と宿命の泉 PART II/泉のマノン
《ネタバレ》 Ⅰで地道に積み上げた伏線がⅡで開花しまくり、かと思いきや、Ⅱもやはり当たり前のやりとりを淡々と重ねている感じです。マノンがセザールを告発する場面など、一番大事なところなんだから、もう少し工夫してほしかったんだけどな・・・。ただし、ラストのデルフィーヌとの対面から収束に至る流れは切れが良く、作品の印象を高めています。それと、エマニュエル・ベアールの美しさはやはり強烈。それだけでなく、あの格好で山道や岩場を飛ぶように動き回っているのが凄い。 [DVD(字幕)] 7点(2008-09-25 02:57:14) |
336. 愛と宿命の泉 PART I /フロレット家のジャン
《ネタバレ》 国内公開時は、Ⅰ・Ⅱまとめて上映されてたような・・・。さて、もっともらしい邦題、仰々しい二部構成、しかもそこで泉をめぐる愛憎人間模様が展開されるとなれば、壮大かつ華麗なドラマ絵巻を期待してしまうところですが、予想に相違して、なかなか地味な内容です。カメラはひたすらジャンの地道な農作業を追い続けます。立ち枯れた作物のショットなどどきっとするところもありますが、大自然の脅威や作業の過酷さがフィルム内に適切に切り取られているかというと、そうでもありません。一大重要場面のジャンの死のシークエンスなど、コメディチック(!)ですらあるし・・・。というわけで、何かが起こりそうで起こらないまま、Ⅱに続きます。 [DVD(字幕)] 7点(2008-09-25 02:49:10) |
337. アニー(1982)
肝心のアニーが、全然可愛くもなければ魅力的でもないんですが・・・。こういう単純ほのぼの系の作品でこの種の欠陥は致命的。金持ちの爺さんも人間的魅力がなく単に「いかにも強欲っぽい富豪」を演じようとしているだけで、どこでどう変化したのかも分からない。終盤はアクション映画のノリになっちゃってるし。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2008-09-22 02:20:39) |
338. ペレ
《ネタバレ》 冒頭、「安売りはしない。安売りはしない・・・」と呟きながら、あっという間に誰もいなくなって一番酷いところに連れて行かれる下りなんかは、切れ味の鋭い描写に息を飲みました。が、その後は、いろんな人が脈絡なくいろんなことをしているだけであって、そんなに面白いところは見あたりませんでした。とはいえ、登場人物の多くを最後まで泥まみれ藁まみれ埃まみれで押し通し、使用人生活の厳しさを映像上もリアルに反映させた徹底ぶりにはインパクトがありました。それにしても、スウェーデンとデンマークの間で移民なんてことも行われてたんですね。勉強にもなります。 [DVD(字幕)] 6点(2008-09-08 03:33:32) |
339. ジェニファーの恋愛同盟
86年という青春映画の1つの全盛期なのに、このつまらなさにはびっくりした。明るく楽しく弾けるわけでもなければ、真面目にしんみりさせるわけでもない。あってもなくてもいいようなやりとりが淡々と重ねられているだけです。登場人物は盛りのついた若者たちなんですから、通常はほっといても面白いことをしそうなもんなんですが・・・。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2008-08-22 03:27:16) |
340. ブロンコ・ビリー
イーストウッドがロマコメなんて!と、見る前は変な期待をしてしまったのですが、やはり、妙なところに妙な力が入っていたりして、こういう軽い作品には合いませんね。終盤などはつぎはぎでつないでいるような感じで、リズム感やスピード感にも欠けています。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2008-08-12 02:01:05) |