3721. 時計じかけのオレンジ
モーグ・シンセサイザーの登場により、それまで開発されてきた他の電子楽器は冷や飯食うハメになりました(ミュージック・コンクレートもまた然り、でしょう)が、シンセサイザーの威力を世間に知らしめるのに、この映画の果たした役割はかなりのものがあるでしょう。大体、第九のスケルツォを取り上げるなんていう時点でセンス爆発。映画の狂気を盛り立てます。しっかし、マルコム・マクダウェルは、体張ってるなあ。片目だけツケ睫毛(?)は、何か知らんがカッコいいぞ。 9点(2003-08-10 14:55:31) |
3722. ドーベルマン(1997)
いいですけどねえ~。いいんですけど、何か足りないんですね~。映像のテンションの高さの割に、ストーリーが馬力不足で、ちょっとついていけないものが。まあ、たまには変わった映画が観たいので、こういうのもやっぱりアリでしょう。 7点(2003-08-10 14:20:18) |
3723. 晩秋(1989)
友人に誘われて突然観に行った映画でして、事前に殆ど何も知らず、ただ、渋い文芸映画かと思ってたのですが、いざ始まるとクレジットにアンブリンの文字が。こいつはダマされたか?と思いながら(←娯楽作品の方が好きな癖に!)観てたら、やっぱり、笑いあり、涙あり、展開もある程度読めるという、松竹新喜劇風の娯楽作品でして、結局楽しんでしまったわけです。ジャック・レモンの笑顔というのは世界遺産に指定すべき人類の宝でしたね。当時、え、こんなに老けちゃったの?という声も多かったようですが、まだ64歳でした。ディック・スミスによるメーキャップの威力でしょうか。 7点(2003-08-10 14:12:36) |
3724. ツイスター
普通はね、竜巻の映画作るんだったら、「大竜巻ロサンゼルスを直撃!」みたいなデタラメな題材に挑戦するところですよ。それを敢えて、現実路線の映画にした訳ですが。うーん。作り手側もどう盛り上げるか困っていたのでは?と思えてしまいます。変なライバルなんか出てこないでいいから、悲壮感溢れる自然との戦いをもっと徹底して描いてくれた方がよかったなあ。あと、ヤン・デ・ボンの演出力の無さは、『スピード』の時と大差なさそうですね。 4点(2003-08-09 21:23:44) |
3725. 愛の嵐
ストーリーは何ともヒドイ話なんですが、これでもかと選び抜かれた構図によって、異常なまでの緊張感に裏打ちされてるので、グイグイ引込まれてしまいます。単なる扇情的なコケオドシ映画ではなく、計算された不健全さみたいなものがあって、これが独特のアブノーマルな世界を形成していて、問題作と言われる所以でしょう。私にとっても「好きな映画」というよりはむしろ、「印象的な映画」「気になる映画」といったところです。 8点(2003-08-09 20:48:18) |
3726. 中国、わがいたみ
文化大革命批判の映画なわけですが、ホレホレ、こんなに異常な状況だったんだぞ、みたいに煽るようなことはなく、悲喜劇を織りまぜて、静かにエピソードを重ねて行きます。ちょっと哀しい思い出のような、そんな余韻が残ります。 8点(2003-07-27 09:36:35) |
3727. いちご白書
私は学生運動とは縁の無い世代です。学生運動に対する感情としては、憧れが無いと言えば嘘になりますが、ほとんど嫌悪の情です(当然、憧れ故の嫌悪でもあるのですが)。だもんでこの映画の受け止め方も、それに沿ったものになってしまうわけです。言葉を変えれば、あくまで当時を描いた映画であって、世代を越えて普遍的に訴えるような面には乏しいという印象を受けます。勿論、それもまた映画のあり方であって、決して悪い事ではないと思いますけどね。カメラの凝り方が、むしろ時代を感じさせて、ちょっとレトロな味わいもあります。 6点(2003-07-27 01:12:44) |
3728. オー・ブラザー!
のどかな映画のようですが、何となくアナーキーな毒が見隠れしてます。某秘密結社の描写にしてもそうだし、大体、牛を撃ったり車でハネるシーンなんて普通は撮らんわな。中途半端なデタラメさが、かえって妙に可笑しい、変な映画。 8点(2003-07-27 00:35:34)(良:1票) |
3729. ピースメーカー
ストーリー構成はちょっと残念に思います。クライマックスが分散されてしまった感じです。でも、全体的に面白いと感じたのは確か。それに、真のクライマックスといいますか、狙撃のシーンは、ホントに怖いです。最後に至ってこういうシーンに出会えるとは予想外で、これはインパクトありました。 8点(2003-07-26 21:32:15) |
3730. メン・イン・ブラック
まあこの映画が面白かったかときかれたら、ストーリーは何ともトホホなんですが、リック・ベイカーとILMによる湯水のような特殊効果に目を奪われて、気がついたら結構楽しめてしまっていたという感じ。特殊効果の質の高さがギャグを生かしています。 7点(2003-07-26 21:10:40) |
3731. 街の灯(1931)
映画の設定を、セリフに頼らずに観客に伝え切ってしまう、恐るべき手腕に舌を巻きます。で、途中のドタバタギャグが最高。最後はホロリ。全身で笑わせて、表情で泣かせる、サイレント喜劇の究極と言っていい映画でしょう。 10点(2003-07-26 20:42:26)(良:1票) |
3732. トッツィー
ダスティン・ホフマンのあっと驚く女装が見どころなのは間違いないんですが、気のきいたギャグも魅力で、ホント、笑わされました。それでいて妙な切なさがあるのがまたたまりません(チャールズ・ダーニングが何とイイ味出してることか)。シドニー・ポラックもノリノリで、何だか楽しそう。 8点(2003-07-26 20:27:11) |
3733. 遠すぎた橋
話のスケールを映画自身が持て余してしまって、エピソードの積み重ねにややチグハグなものを感じます。このため、観終わった後に残る徒労感を、映画の反戦メッセージとして受け取るのか、それとも映画自体に対する徒労感として感じてしまうのか、微妙なところです。それでも、戦闘シーンの迫力ある描写は観るものを圧倒するに十分。主役級の俳優が、もう出るわ出るわで、ミーハー魂にまで引火する始末。 7点(2003-07-26 20:07:49) |
3734. タイタニック(1997)
恋愛物としては何だか少女漫画にありそうな甘っちょろい話だし、パニックものとして観れば、あちこちで恋愛ドラマの御都合主義が鼻につき、不満はそれなりにあるわけですが。でもやっぱり、合わせ技一本「以上」の映画には違いありません。何と言っても、大建築物のごとき堅牢さを誇った豪華客船が、脆くも傾き、浸水していく光景。不滅を夢にも疑わなかったものが見る間に滅びていくその虚しさを、真正面から描き切っており、これはもうなかなか忘れられるものではありません。それと、長い映画ですが、結構細かい点も配慮した、演出上のイタズラっぽい工夫があって、観る度に何かしら発見があります。ただ、沈没時いくら波が無かったとはいえ、どうしても海じゃなくてプールに見えてしまうのは私だけでしょうか。 9点(2003-07-26 19:45:59) |
3735. ル・ブレ
いや~コレだよコレ!こんな映画を待っていた!こんなアタマ悪い映画作れるのは並みの天才じゃないね。観覧車のシーンは『A.I.』を意識してた?そんな訳ないよね。忘れた頃にやってくるギャグが最高。観てる間もう楽しくてしょうがなかったよ、コレは。 9点(2003-07-21 16:10:10)(良:2票) |
3736. 自転車泥棒
本当に何でもない話なんですよね。予定調和みたいなものもない。ただ精一杯生きている姿を、ズバっと切り取って、容赦なく突き付けてきます。単にトーシロ(その言い方やめなさい)を起用しただけではこれだけの説得力は出ないでしょうね。デ・シーカの人間観察力のスゴさ。ここで示される人生のキビしさを、普遍的なテーマとして受け止めることができます。 8点(2003-07-21 11:20:38) |
3737. タイムマシン(2002)
H.G.ウェルズの小説は、日常と懸け離れた設定を提示することで、現状に安住する人々を告発する、というものが多いですが、悪く言えば、ストーリー性が希薄で説教臭いんですね。で『タイムマシン』もその一つで、読んで面白い事は面白いけど、映画化には向いて無さそう。それでも敢えて原作になるべく沿うように映画化に挑戦したのは、ゴリッパ、しかし無理があります。映画化のために色々味付けしてますが、説明足りないよお。時間旅行中の映像は圧倒的ですが、個人的には、原作の白眉は、最後に出てくる滅亡寸前の地球の描写だと思ってたので(幻想的で物悲しい)、こここそ原作通りのものを期待してたんですけどね。ここは軽く流されて、なんだか『華氏451』と『火星年代記』を足したみたいな終わり方になっちゃいました。 6点(2003-07-21 10:30:57)(良:1票) |
3738. 突撃(1957)
前半の戦場の舐めるようなカメラワークと、後半の裁判での突き刺すようなカメラとの対比が、鮮烈な印象を残します。短い映画でもあるし、ストーリー的にはコンパクトなんですが、カメラが雄弁に語っている映画です。 8点(2003-07-20 22:25:27) |
3739. マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ
大学受験を控えて、しばらく映画は断とうかと思い、最後にチケット買ったのがコレ。ちなみに一緒にもう一枚買ったのが『チャイルド・プレイ』。バカだね~。閑話休題、私はこの映画、大変好きなんですが、一番の理由は、観終わって、「イングマルとサガの二人、今頃どうしてるのかな~」なんてセンチな気分になっちゃうからです。懐かしさ溢れる映画です。もしハリウッド製だったらきっと続編とか作っちゃうんだろう。ゾッとするね。 10点(2003-07-20 21:47:05) |
3740. 光る眼
何なんでしょうか、あのクライマックスの、子供たちとの訳のわからんノイローゼみたいな闘争は。ジョン・ウィンダムの原作『呪われた村』にはそんな描写は無いわけで、この余計なひとヒネリが、映画の印象を奈落の底に落としています。もっといいオチを用意できてたら、結構面白い映画になったと思うのにねえ。 4点(2003-07-20 21:27:06) |