21. レディ・キラーズ
最初の10分で、もう飽きた。人物紹介の脈絡の無さといい、全体の会話の噛み合わなさといい、無理やりコメデイといい、「なんじゃ、こりゃ」だ。トム・ハンクスも、「何でこんな映画に出たの?」という意味では、ラジー賞ノミネートものでは? え? 違う? あ、そうか。「善い子の皆さん、悪いことをすれば自分に返ってきますよ」っていう、ハンクス主演の政府公共番組なんですね。納得。いずれにしろ、設定の無理があるし、全ての展開がお定まりで、つまらなかった。ハンクス主演なだけに、声を大にして言いたくなってしまう。 3点(2005-01-23 23:51:28) |
22. ロスト・イン・トランスレーション
異国の地で、話す相手もなく、ホームシックになった父親と若い娘の孤独感の中で、結婚すれば家族と呼べるのか。結婚生活が長く子供がいれば家族なのか。ファミリーとは何ぞや?ってことなのかな?とは思ったけど、結局のところ、「パパに認められたいよぉ」っていう、ソフィアのファザ・コン映画に見えてしまう。個人的感情も映画の感想と認めてもらえるなら、こんなところで、反抗期に摘み食いした昔の男の名前なんか出すなよなぁ。何考えてんだ、この女!!と、思ってしまったよ。映画に描かれていた東京観、日本人像は、別に奇異には映らなかった。バラエティ番組の中には、もっと変で騒々しいものが実際にあるし、多忙な亭主に連れられてニューヨークのホテルにポンと置き去りにされたら、きっともっと悲惨だろうしさ。むしろ、どなたかが書かれていたけれど、彼女の行動力は立派。というよりは、やはり、アメリカ人は一番偉い、私は戦勝国の人間なのよ的潜在描写なのかな。だから日本なんだろうね。自作自演の介入戦争で、唯一成功した国だもの。だから、まあ、しょぼ映画ではないけれど、ムッとした作品よね。 3点(2005-01-07 23:42:30) |
23. ミスティック・リバー
《ネタバレ》 ヤな映画!!というのが、率直な感想。監督は、運命の悪戯で道が分かれたた男3人を描こうとしたのかなぁ? 私にはむしろ、女のエゴや嫌らしさが、存分に詰まった作品に思えた。まずデイブの女房の、「そんなことは警察に言えよ」な密告は、正義の有無より亭主がいなくなった後の自分の生活保障を求めるものだし、ショーンの嫁は、「私、煩わしいの嫌。でも、寂しいのも嫌。気遣うのは嫌だけど、気遣って欲しいの」ってか? でも、結局、1人勝ちしたのはジミーの後妻で、亭主が先妻の面影を引き摺る原因で、ついでに女としてもそろそろ年頃、老けてく自分との女っプリも比べられそうな継子は死んでくれて、いよいよ自分時代よと言わんばかりの、まるでジャクリーン・ケネディにでもなったかのような、パレードでの得意っぷり。正直に言えば、イーストウッドの女を見る目には、反吐が出るほど感服するわ。ついでに、さすが訴訟大国。「シカゴ」でも思ったけど、例え犯罪者でも、成り上がったもの勝ち。そう、勝てば官軍ってっ言葉は、ちゃんと日本にもあるのになぁ。そういえばペンは、これでオスカー受賞したんだっけ。キアヌが賞賛する俳優だから値するんだろうと自己暗示を掛けようにも、私はどうしても、ペンの御大層過ぎる演技は嫌いだ。ところで、デイブを誘拐した連中がしてた指輪と同じ十字のジミーの背中の刺青は何? 同じ犯罪者だっていうこだけ? それに、3人の友人関係は、度外視した方がいい。何の意味もない。点数は、二人の女優さんに、ですね。 4点(2004-12-07 22:35:28) |
24. ブレア・ウィッチ・プロジェクト
本作の利益率は現在も破られていないんでしょうか? 映画業界に口コミの凄さというものを改めて認識させた作品でしたよね。作品自体は、昔懐かしの川口探検隊みたいな乗りなんですけど、役者が素人揃いの割りには、結構マジ切れしてて、ああいった状況下に置かれた人間のエゴとか気遣いとかは、手振れする映像の相乗効果もあって、凄く伝わってきた。彼女の言い分は、マジ、ムカついたもの。ラストも、なまじ何か出てくるよりも、伝説や口伝に沿って終わっていて、余韻を残して上手く纏まってるんじゃないでしょうか。 5点(2004-12-07 21:52:30) |
25. ホーンテッドマンション(2003)
そうですね。やはり、全てにおいて中途半端。マーフィーを主演にするなら、とことんコメディを貫いても良かったし、子供向けにするなら、もう少し子供が活躍しなきゃ、かな。ストーリーが使い古しなのはともかくとしても、このご時勢だから、特殊効果の映像は綺麗だけど、もっとこう・・、なんつうか、消化不良だぞ!!ってか。引っ張りどころで引っ張ってくれないから、見ててもう、コケまくり。味わいは、テレンス・スタンプの執事さんと、水晶玉。何気に飄々と現れる水晶玉は、何しても壊れそうもない。でも、まあ、一度は映画館で見ておけばよかったかなぁ、とは思いました。もっとも、映画館で見たら見たで、やめとけばよかったと、思ったかもしれないけど。 5点(2004-12-07 21:31:52) |
26. 写楽
《ネタバレ》 公開前は、結構話題になったけど、公開後は、さっぱり話題を聞かなくなった覚えがあったけど、これのせいだったのね。江戸の町の背景も、当時の文化も、お上の意向も、それぞれがよく描かれているのに、肝心のタイトルロールである写楽が、あまりにもみっともない。夢破れた後は女の紐、タイトルロールを反映する絵に対しても中途半端で、惚れた(らしい)遊女にも煮え切ってない。これでは観客は主演に感情移入が出来ないどころか、反発さえせず、嫌悪してしまう。佐野=歌麿の絵に対する執念が見事なだけに、本作の構成では真田は気の毒としか言いようがない。当時の政治的背景に合わせて、北斎だの馬琴だの南北だのと登場させておいて、肝心の写楽が遊女との悲恋では、あまりにも間抜けている。遊郭を描きたければ歌麿のパートで十分だし、当時流行った遊郭物を意識したにしても、葉月=花里は無表情に徹し過ぎて、面白みもない。確かに、構成を煮詰めて、扱い方を変えれば、本作は邦画史に残る名作あるいは快作になっていたかもしれない。残念な一作である。 4点(2004-11-28 23:57:37) |
27. コラテラル
このムチャクチャで無理やりな設定のわりに眠くはならなかったのは、やはり役者の演技の賜物なんでしょうかね。最後は正義が勝つパターンに持っていくには、こんな設定にしなけりゃならないのかもしれないけど、嫌がる相手を巻き込むムチャクチャ度は、「ニック・オブ・タイム」に負けない無理やり感があって笑うしかないし、そもそも、仕事にケチがついてるってのにヴィンセント、おまえ、人の人生に説教垂れてる場合じゃないだろ? だいたい、この人、車運転出来ないのか? って、殺し屋のずさんさに、いちいち不満が出るのは、日本が生んだウルトラ・スーパー・ヒットマンのご長寿劇画を、未だに時々読んでいるせいかもね。それに、男と男の人生観のぶつかり合いを描くのなら、徹頭徹尾、貫いて欲しかった。はっきり言って、本作に女要らないっしょ。最後、ヴィンセントが孤独に死ぬのだとしても、マックスとの男としての意地の張り合いの末で、座席のあちらとこちらで座ってるのは、死んでいくヴィンセントと、この先の人生を思うマックスの沈黙だけにして欲しかったなぁ。トム・クルは、「俺はやるぜ!」みたいな気負いもなく、フォックスとのバランスも良かったと思うけど、いかんせん、設定のムチャクチャさが、それだけで補えるものではなかった。とにかく、もう少しやりようがあったろうにと、思った。それにしても、誰かジェイソン・ステイサム君に、もう少しいい役を! 6点(2004-11-06 23:51:26) |
28. シークレット ウインドウ
《ネタバレ》 眠かったよぉ。映画館で初見でこんなに眠かった映画なんて、なんか久し振りってくらい、眠かった。どこがいけないのかなぁ。これの落ちは「ファイト・クラブ」だなって途中で気付いちゃう展開はともかく、景色はいいし、役者の演技だって、そう悪くはない。けど、一見、複線に見える謎掛けの数々が、実はバラバラってとこが、緊迫感を殺ぐのかも。女房への憎悪を正当化する為の複線かもしれないけど、一番いらないのは、その間男の存在。原作がどういう流れかは知らないけど、本作の中では、要らない。盗作が主題のお話なんだから、むしろ、2年前だかの盗作事件の夫婦のイメージ・ショットを入れてくれた方が、なんぼか作家の狂気を増幅して面白かったように思うなぁ。それに、ここまでオーソドックスに作るんだったら、最後も、車中に残った腕時計も活かして欲しかったな。オーソドックスに、「太陽がいっぱい」みたいにさ。緊迫感も意外性もないし、なんか、全てが中途半端で、これで終わりですかい、な感じだった。 5点(2004-11-01 23:58:45) |
29. スパイダーマン2
これぞサム・ライミの作品!! って感じね(笑)。基本はスーパー・ヒーローの重責を担っちゃった若者の苦悩で、そこらへん、ちょっと感傷的というか、食傷気味なほど描くかれてはいたけど、これはピーター=トビーの、ちょっとダサめのキャラクター・イメージが救ってる。仮に、ハリーとピーターの役が逆だったら、「ウザイよ、おまえ」と思っていたところだから、キャスティングの確かさというもの。でも、なんと言っても凄いのは、「スパイダーマン」とライミの融合。病院で触手が暴れるシーンは、一瞬、センティネル?とか思ったけど、すぐに、「そうか、これってライミの映画だったっけ」と思い直した。他にも既出されてるように、「ああ」と思うところがふんだんで、前編に渡って効果をあげているのは、アクション映画というより、ホラー映画の手法だった。1作目はきっちりとスーパーマンの王道を行き、2作目で、存分に自分色を出して、きっちり融合させてしまうところが、ライミの凄さかもしれない。でも、MJをなんとかしてくれ。そら、美の基準は人それぞれとはいえ・・さ。 8点(2004-11-01 01:10:52) |
30. スパイダーマン(2002)
なんか久々に見た、「これぞアメリカン・スーパー・ヒーローの王道」って感じだなぁと思ったらば、よくよく思い返せば、プロットはスーパーマンと殆ど一緒。日常生活はドジで冴えないけど、いざ変身すると我が身を張って弱きを助ける。好きな人はいるけど、結ばれない運命の重さを背負ってたつ。でも、本作が受けたのは、主人公が少年から青年へとなろうとする年齢で、そんな過渡期の悩みをスーパー・ヒーロー&ハリーの悩みと上手くリンク出来たことでしょうね。それにしても、キルスティンってば、あんなに可愛い少女だったのに・・・。ヒロイン、他にいなかったのかなぁ。ピーターはともかく、そこまでハリーが入れ込む女には見えないよ。 7点(2004-10-29 01:35:22) |
31. ニック・オブ・タイム
緊迫感は凄かったのよ、緊迫感は。でも、既に記載されまくっている通り、ドキドキバクバクするような緊迫感と一緒に、「なんで、わざわざ素人にやらせるんだろ?」と思っていれば、暗殺計画は組織ぐるみになってくるし、なんだかスケールの大きそうな黒幕は出てくるし、意欲のない素人を脅してもやらせる理由は出てこなし、途中からずっと、「おまえがやれよ、おまえが!!」と、理不尽な怒りも伴うという、変な作品だった。ウォーケンもデップも、出演したなぁ。って、もしかしたら、最初の台本は、もっと違う異色サスペンスだったのかもね。とはいえ、これだけ間抜けなストーリー展開の中で、あれだけの緊迫感を感じることが出来たのは、やはりウォーケンとデップの演技の賜物でしょう。ちょっと気になったのは、デップと服を交換して、トイレで隠れてたホテルマンの人。この人の緊迫感も、見逃せない。全体として、役者の演技はいいんだけどねぇ。プロットがねぇ、なんじゃ、こりゃ、なんだよねぇ。 5点(2004-10-29 01:12:48)(良:1票) |
32. スター・ウォーズ/帝国の逆襲<特別篇>
待望の、正しく待望のDVDボックスを買った。いやあ、映像、やっぱり綺麗よね。でもさ。何が面白いって、そりゃあ、クライマックスで、ルークが落っこってくシーン。オリジナル版では、ルークは無言で落ちていった。VHSの特別編では、ルークの絶叫が入っていて、「何じゃ、こりゃ」「いらねぇよ、こんなの」と思った。で、待望のDVDを見ましたら、ルークの絶叫は消えていて、オリジナル版と同じく、無言で落っこっていった。やっぱり不興だったのねぇ。消えていてよかった。やれやれ。 10点(2004-10-14 23:38:18) |
33. スター・ウォーズ/帝国の逆襲
現在、5作品中では、やはり本作が一番好きだなぁ。とにかくR2D2が可愛いのよ。健気だし有能だし、電子音がこれまた可愛い。という妄想はさて置き、本作の何が一番好きなのかなぁと言えば、5作品中最も、世のしがらみのあざとさが出ているから、なのかな。1作目は、冒険心と正義感に溢れた若者と理想主義に邁進する御姫様が悪漢に立ち向かう純粋に正当な勧善懲悪を貫いていたし、ベイダーもただ悪者だったし、ハンにしても斜めに構えていても一匹狼を気取るガキ大将だったけど。本作では、ハンとレイアの微妙な男女の機微や、ランドの守らなければならないもの(利権もだろうけど、シティに暮らす人への責任もあるだろう)への葛藤とか、ベイダーの皇帝への暗く澱んだ上下関係、ルークの、ジェダイとして、しなければならないことと、人として、しなければならないこととの軋轢とか。実際、ハンとレイアを助けに行こうとするルークを止めようとするオビ・ワンとヨーダの言い分は、正論ではあるけど、十分あざとい。ルークは師に反して仲間を助けに行ったけど、あそこで助けに行かないルークには、誰も共感しない。世のしがらみのあざとさの中で、ルークだけがあざとさに無縁で、だからこそ、クライマックスで自ら落ちていくシーンにも説得力があるし、ジェダイの資格も見えてくるような気がする。確かに完結はしていないけど、ハンとレイアにしても、ランドの葛藤にしても、ベイダーの皇帝への思惑にしても、このお話はこのお話で、きっちり終わっていると思うし、だからこそ、本作が一番いいという人が多いのだろう。 10点(2004-10-14 23:26:12)(良:3票) |
34. リベリオン
確かに、マトリックスと比べるなという方が無理。設定も、管理社会を描くには辛いものがあるし、特撮も荒いんだけど、わりと面白く見たよ。クリスチャン・ベールの演技も良かったけど、本作のネックになっている息子役の子が、まるでオーメンのような雰囲気で、作品を締めてる。ただ、ベールの演技は良かっただけど、マトのネオのイメージが重なるだけに、ベールは3倍損してると思う。でも、ベール・ファンの方は必見だと思う。とにかく、ベールはいい演技をしてます。 6点(2004-10-14 00:03:37) |
35. キル・ビル Vol.1(日本版)
仁侠映画というのは見ないので何とも言えないんですが、本作を捧げられた深作作品の仁侠映画ファンの方は、本作を捧げられて誇りに思ったんだろうかと、素直に疑問に思いましたよ。仁侠映画は嫌いなだけに、本作もやっと見たけど、なんですの、これ? 血の吹き出しも、特撮も、ドラマの構成さえ、昔懐かしのキーハンターの方が、なんぼかよかない? アクション・シークエンスも、やりゃあいいってもんじゃない。この重いアクション、なんとかしてくれ(笑)。それ以上に、栗山千明の演技をなんとかしてくれ!! バトル・ロワイヤル好きの小学生の御遊戯会か? 大根以前に、演技というのが恥ずかしいぞ。っつうか、本作そのものが、タラ氏の妄想爆裂の御遊戯会か。意志を正確に伝えるために「ここからは英語で」とか言っておきながら、クライマックスで、訳の分からない日本語でボソボソ話されても、なぁ。心意気だけは買うけど、宣伝が凄かっただけに、なんか、さ。溜息の出る作品だったよ。 4点(2004-10-13 00:52:43)(良:1票) |
36. ギルバート・グレイプ
基本的に、演技的には、特殊な人格を演じるより、そんなキャラを受ける方が難しいと思っている。「レインマン」のトム・クル、「ディアボロス」のキアヌ、「シックス・センス」のブルース等々。そういう意味では、ジョニー・デップは、本作が最高の演技だと、今でも思う。レオ君の演技も衝撃的で新鮮だとは思うが、それを受ける本作のジョニ・デは、見事だった。普通の若者でありながら、ちょっと普通じゃない家庭事情の長男の役を、淡々と、けれど、隠そうとして隠せない難役を見事に演じているのが素晴らしい。なのに・・。ジョニ・デってば、本作でオスカーにノミネートされたのがレオ君だったのが、ショックだったのかなぁ。その後の、デフォルメ過多な役選びってば、いったい・・。いえ、シザー・ハンズも、十分デフォルメ過多ではあるんだけど・・。とはいえ、パイレーツでノミネートされたんだから、その路線であってるのかなぁ。それでも、やっぱり、本作のジョニ・デが、最高だと思うなぁ。 8点(2004-10-13 00:25:17) |
37. ザ・ワン
レンタルで見たのよね。パッケージの煽りに乗って。でも、あのジェット・リーが「マト・リロ」を蹴って選んだ作品っていうのは、ちょっとリーさんが可哀想では?アクション・シークエンスの洗練さでは、キアヌの方が遥かにいいし、現実味のあるアクションの泥臭さなら、ジャッキー・チェンの作品の方が遥かにいい。そもそも、ジェット・リーには、前述の二人に匹敵するカリスマは、どうしても感じられないんですよねぇ。何より、特撮の陳腐さが笑える。それよか、ジェイソン・ステイサムさんってば、こんなとこで何してんの?って、思ってしまった。この人、いい味のある、いい役者だと思うのだけどなぁ。リー主演だとしても、ステイサムにもう少し焦点を絞っていれば、結構味わいが出たかもしれないのになぁ。これもまた、ドラマ性の方が面白そうなのに、アクションを売りにした結果、見事に失敗した典型みたいな作品だったな。とにかくさ、ジェット・リーのにやけ顔がスケベったらしくて、凄く嫌。 3点(2004-10-12 23:56:48) |
38. 2001年宇宙の旅
《ネタバレ》 以前、確かに見た。けど、正直、この作品で覚えていたのは、映画の冒頭で猿が投げた棒切れが宇宙船になるんだよね。黒い石版がデンと立ってて、で、ラストは、宇宙に胎児が浮かんでたんだよね。って、それだけだった。久し振りに見て、改めて、それしか覚えていないことに納得してしまった。一番緊張するはずのハルの叛乱のシーンさえ、アニメのボトムズのラスト込みで覚えていたようなものだし。いえ、今見れば、それなりに分かる。それなりに知識も増えたし、人生経験も積んだし。でも、今、改めて見ても、やっぱりストーリーは悲しいくらいダイジェストだし、さあ、貴方の知性を試そうってなくらい、抽象的だし。だから、何なの?って、終わり方だし。今は分からないとは言わないけど、ある意味、傲慢な作品だなぁ。ま、ここまで抽象的だと、理解出来ない貴方は無能って言われる気がして、反発する気力も起きないかもね。殆ど、ムンクの叫び的映画。でも、これが68年作っていうのは、やはり凄い。でもって、その後の、日本のSFアニメに及ぼした影響力ったら、ジャパニメーションがマトリックスに及ぼした影響力に勝るとも劣らない。本作無くして、今日の日本のSFアニメはなかったかも。ただ、見る人を選ぶ作品ではあるよね。 6点(2004-10-04 23:58:51)(良:1票) |
39. ヴィレッジ(2004)
《ネタバレ》 ネタバレはしないで下さいとか、どんでん返しに次ぐどんでん返しとか、色々聞いたけど、悪いけど、冒頭の10分で少なくとも「村」が設立された理由は丸分かりで、こんなに見え見えでいいんだろうか、こんなヨタ話が延々と続くんだろうかと、早くも眠くなったけど、これって、もしかして、「村=アメリカ?」と思い始めた辺りから、わりとドキドキしながら見てしまった。アメリカはそもそも、ヨーロッパの厳しい階級制度や宗教戦争から逃げてきたボート・ピープルで形成された国だし、未だにアメリカ万歳の一国主義で、自由の国を標榜しながら、それが信じられない程、保守的な御国柄だし、「ヴィレッジ」は、まるでアメリカという国の精神を見ているような気がした。しかも、自分達が信じる精神を守る為には、たった一匹の蟻を巨大な化け物ででもあるかのように吹聴して国粋主義を煽る気風は未だに健在で、しかも、時としてそれは、自作自演であったりもする。盲目のアイヴィーは、一見、全てを見通している様に行動している。相手の「色」が分かるという。それは、白人から見た有色人種の色だと思うと、これはかなりきついブラック・ユーモアで、しかもアイヴィーは、ノアをそれと分からずに殺してしまった。ノア=ノアは、大洪水の前に箱舟を作り、家族と動物を安全な地へと導いた。純粋な家族愛によって。けれど、あまりの純真さは、世界を狭めるだけだった。アイヴィーは、それと分からずに殺してしまい、彼女を助けたのは、皮肉にも「ヴィレッジ」を守る為の組織だった。それは、FBIなのか、CIAなのか。本作は、まるでアメリカという国の精神を見ているようで、近年では、マトリックス・トリロジーについで、アメリカという国への痛烈なブラック・ユーモアのようだった。が、無論、シャマラン監督にそういう意図があったかは分からないし、単に私の深読みかもしれないが、本国アメリカで、賛否両論になったのは、分かるような気がした。アイヴィーは愛する人の為に頑なな保守の村に帰ったけれど、「彼女」の目が開かれることはあるのだろうか。 8点(2004-09-17 01:03:23)(良:6票) |
40. フラッド
《ネタバレ》 宣伝に偽り有りの典型でしたよ。邦題のフラッド(大洪水)でもなければ、原題のハード・レインでもなく、追う者と追われる者のチェイサー・サスペンスやん。しかも、皆々様そろって、追っているのは金・金・金。骨子はそれでもいいし、中々緊迫感もあったと思うけど、大自然の脅威の中で人がどう動くのかを期待してた分だけ、やっぱり裏切られたって感じだなぁ。初めから、「ダム決壊まで、リミット0。狙うは300万ドル。奪えるのか、阻止できるのか」っていう触れ込みの方が楽しめたような気がする。なまじ自然災害パニックだと思って見たのが、敗因だった。クライム・ムービーよね、これ。そう思って見てれば、まあ、そこそこ面白かったのにな。それに、大雨で河川が氾濫しただけだって家は流されちゃうことを実感していれば、ダムが決壊して、あんな鉄砲水が来たら、銃撃戦だの人助けなんて、そんな呑気なことしてらんないよ。はっきり言って、全て水に流して終わりよ。折角の緊迫感も、ラストで白々しくなってしまったよ。でも、やっぱり、モーガンさんは、いい人なんだねぇ。出だしで、悪役モーガンを見られると思ったのに。これも、ガッカリの理由かも。 4点(2004-08-11 00:49:39) |