21. 太陽はひとりぼっち
《ネタバレ》 冒頭、別れ話をさんざ話し合った後らしい二人のシーン。なんのメリハリもなく、意味なく続く20分間に唖然とする。なんだろうこれは。あんなに未練たらたらでどうしようもなくなっている状況で、男が髯を剃ることにも驚く。どういうことだ。妙な余裕かまされても困る。とにかくこのダラ付いたシーンの連続でこれが2時間以上も続く。思い出しただけで恐ろしい。映像優先で根拠もない行動もちらほら。作り手の狙いは理解出来ないわけではないが、この手のインテリ風の狙いは透けて見えるだけに、そこに衒いや小賢しさの方を強く感じてしまう。まあ自分には向かない映画だった。 [CS・衛星(字幕)] 1点(2008-02-10 15:33:25) |
22. 放浪記(1962)
かつて原作を読んだときは内容に惹かれない上、やたら断片的な日記すぎて、読んでいて苦痛しか感じなかったが、さすがに映画とあってこちらはそれなりにまとめてくれてくれているので原作よりは楽しみやすい。原作になかった部分も程よく作品のバランスを取るものになってはいる。しかしやっぱり面白くない。この主人公の生き様になんら魅力を感じないのだからどうしようもない。ただ原作で主人公に感じたイメージにとても近いものを、主演の高峰さんがしっかり再現していて感心した。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2008-02-10 15:19:45) |
23. 風林火山
《ネタバレ》 勘助の知略の数々が観られるかと思ったら、意外と佐久間良子とのロマンスがメインに据えられているような。その後は彼女が遺児でもある勝頼との擬似的親子愛も見られたり、戦乱における知略どうこうよりも人情的な話がメインなんですな。これがどうもたるい。TVドラマならすんなり見ていられるのかもしれないが、一度に見せる映画としてはこんな話で3時間引っ張るのは辛いようだ。勘助の智謀を際立たせたいがためなのか、信玄が凡庸にしか見えないというのもかなりマイナス。もっと信玄と勘助の考えが一緒という描写があっても良かったような気がする。台詞ではそんなことも言っているんだし。出演陣は豪華だけど、イメージに合う人があまり居ない。戦闘シーンもエキストラの数は多く使って豪華だが、イマイチまとまりというものにかけていて、訓練された軍勢という感じがまったくなくて萎える。場面転換も上手くはないし、散漫な印象が強い映画。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2008-01-14 16:36:38) |
24. 剣
《ネタバレ》 三隅研次監督が現代劇を撮っていたんだということにちょっとびっくり。これ以外は時代劇しか見てないけれど、とても安定した監督さんで今作も現代劇とはいえ安心して観ていられます。話も悪くはなかったが、最後の死でどっちらけ。何故そこで死ぬのか。たかが自分の指導が部員が無視したというだけですよ。たかが大学の部活。死ぬほどの意味があるわけもない。それで自分には指導力が無い、人の上に立てないなどと悲観するというのはどうかしている。あまりに弱い。弱すぎる。原作は未読ですが、この結末は同じなんでしょうかね?だとすれば、この主人公に死に走らせることに対して、なんら違和感を感じなかっただろう原作者の三島由紀夫。三島と自分との死というものの捉え方、価値観、あるいは理念の違いを思い知らされる展開だ。これを是とするのは自分には無理。死という物を美化しすぎ。主人公が死んだ後の部長の口上など聞いていても、ぷんぷん臭う。そんなもので本当に人が変わると思うのだろうか。そして、そんなもので人が変わることに意味があると思えるのか。前時代的発想としか思えない。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2008-01-13 17:44:09)(良:1票) |
25. 危険がいっぱい
《ネタバレ》 出だしは面白げだったが、結構その後がもっさりしている。プレイボーイの男が何故あんな年増の女に夢中になるのか謎。金を狙っているのか、逃げる口実なのかと思ったがそうでもないらしい。よう判らん。途中ギャングの存在がないような行動が見られたり、女の計画もそこまで上手く行くようなものでもなかったり、ややご都合感が感じられる。皮肉な結末は古き良きサスペンスらしくて良かったけど、全体としてちょっと緩かった。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2008-01-13 17:20:52) |
26. 赤毛
《ネタバレ》 コミカルでマンガのような内容が楽しい。隊長から赤毛を借りて自分の村に戻って村を圧政から解放する下りまでトントンとリズミカルに繋いでいき、テンポは上々。特徴ある音楽も妙にはまっている。しかし遊撃一番隊が登場するあたりから調子も面白さも落ち着いてしまいます。最後はバタバタと人が死んでいくけど、どれもあっさりしてしまっていて、見せ場として成立していない感じ。遊撃一番隊もあっさり、高橋悦史もあっさり。結局鉄砲最強である。「たった三日間だけでもお前は百姓の天下にしたんだ」というお話なので、爽快感のあるラストには成り得ないのがちょっと寂しい。役者さんは皆良かったが、特に代官役の伊藤雄之助さんがとぼけた味を存分に見せてくれて本当に楽しく素晴らしかった。三船さんは確かにこの役をするにはちょっと歳を取りすぎ。でもその違和感に慣れてくると段々楽しくなります。この歳でこんなコミカルな役をやってくれてることが可愛らしく思えたりして。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2007-12-30 22:57:21) |
27. アルバレス・ケリー
《ネタバレ》 主人公を筆頭に登場人物の魅力がいまひとつ。もっとストーリーに活用できるはずのキャラクターも意外に沈んだままで終わってしまっています。ただ最後の牛を兵力として突破するというのは発想は面白く、迫力もあって良かった。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2007-12-30 22:19:21) |
28. 父と娘の歌
タイトル通り、いかにも文芸作品的な作りの親子愛の物語。クラシックが題材というのはこの時代の邦画では珍しいような気がする。まあストーリーどうこうよりも、吉永小百合がなんと言っても可愛らしい。浜田光夫と練習しながら見上げる顔の可愛らしいこと。モノクロの画に映える映える。ああもうこれだけで満足だ。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2007-12-16 11:21:42) |
29. ニッポン無責任時代
続編の「無責任野郎」の方を先に見てしまい、最高に期待が高まった状態で観たこともあり、正直ちょっと肩透かし。決してつまらない訳ではなく、十分に楽しいんだけど「無責任野郎」の勢いに比べると落ち着いた印象が強かった。逆の順番で見れば恐らくもっと楽しめたはずなので、観る順番を間違ったのが残念。 [DVD(邦画)] 7点(2007-11-30 20:12:58) |
30. ニッポン無責任野郎
冒頭、植木等さんが出てきただけで陽気な気分になれる。こうなると、もう植木等の口上がいちいち面白い感じられて仕方ない。由利徹などの脇もしっかり楽しさを膨らませてくれるし、テンポも澱むこともなく、ハイスピードでラストまで突っ切っていく感じだった。とにかくこれほどパワフルな映画もない。今まで観た植木等もので一番のパワーを感じさせてくれる。調子の良さにやり手感を上乗せして、ほいほいと渡り歩く割に、意外に筋が通ったところがあったり、不思議と周りも幸せになったりしているところが素晴らしい。 [DVD(邦画)] 10点(2007-11-30 20:04:12)(良:1票) |
31. 猿の惑星
真面目に観ればつっ込みどころは多いものの、人間と猿の立場を逆転させるというアイディアだけで十分意義のある映画。特殊メイクはかなり頑張っていて、後続作よりも寧ろ今作の方が出来が良いような気がする。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2007-11-29 17:38:19) |
32. 尻啖え孫市
信長が勝新太郎とはびっくりだが、結構これはこれで良かった。栗原小巻さんが綺麗です。ただ彼女にまつわるエピソードがあまりスムーズとは言い難い。時間に追われた感じもしなくもない。メインの秀吉との交流は結構楽しめる。戦闘シーンはちょっと迫力不足。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2007-11-14 21:16:53) |
33. 続・サラリーマン清水港
《ネタバレ》 前作よりもこちらの方が面白い。笑えるところも若干増えたかも。何と言っても今回も三木のり平さんが面白い。小林桂樹の松は、生活のことは何一つ自分で出来ない。あんなに社長に振り回されているのでは結婚してもこの先大変そうだ。宝田明の酒造メーカーの二代目もボンボン丸出しで、今回は助かったけど、この男の下での経営ではこの先長くはなさそうだ。そんなわけで皆とりあえず丸く収まったけど、よく考えると皆先行き不安。それがらしくて、かえって良いとも言えるかな。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2007-11-14 21:07:55) |
34. サラリーマン清水港
《ネタバレ》 小林桂樹さんもこういうちゃめっけのある役をやってたんだなぁと意外で楽しかったり、森繁さんも面白いが、なんと言っても三木のり平さんが面白い。優秀なコメディアンだなぁと感心します。とはいえ、全体としてはあまり笑えるところはなく、ちょっと退屈。ストーリーは結構適当だけど、女と会っていても、いざ一大事が起こると社長自ら駆けつけるという姿勢に、一本通ったものを感じさせくれるのは良かった。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2007-11-14 20:55:08) |
35. サーカスの世界
《ネタバレ》 駅馬車強盗ショーなどで馬がガンガンサーカス小屋を駆け回るわ、銃まで撃つわでなんだか凄い。実際こんなショーがあったのかどうか判らないけど、迫力満点でこれだけで結構満足。他のサーカスの芸も意外にしっかり楽しめるし、サーカスと映画で二度楽しめると思えばお徳かも。しかしストーリーはそれ程面白味はなく、終盤などはグダグダ。少なくとも、あんなうやむやな解決の仕方はさすがにいい加減すぎます。みんな良い人で終わらせようという強引さも相まって、長尺使いながらとても残念な着地でした。娘役の方の声がやけにハスキーで役柄に合わないような気がする。母親役がリタ・ヘイワースだったとは観終わるまで気付かなかった。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2007-11-14 20:40:16) |
36. ティファニーで朝食を
《ネタバレ》 オードリー・ヘプバーンはとても美しい。しかしキャラクターに魅力がない。自由奔放、その自由を束縛されることを極端に恐れるのは良いが、結局身勝手なだけで終わってしまう。弟の学資の為に金持ちと結婚する必要があるというのはいいとしても、その弟が軍の基地内での交通事故で死んでしまった後も金持ちと結婚することを望みとしているのはどういうことか。動機が変わってしまっています。その辺の筋は通しましょうよ。それにしても初っ端か登場する変てこ日本人。特別日本人である理由はまったくないのに、何故日本人なんでしょう。このワンシーンだけの登場ならともかく、結構ちょこちょこ顔出すのね、この人。出てくるたびに嫌~な気分にさせられます。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2007-11-05 18:03:55) |
37. 野望の系列
《ネタバレ》 確かに重厚に政治世界を描いてはいるけれど、結末があれではどうもスッキリしない。結局、元に戻ったというような結末はどうなのか。虚虚実実の政治の攻防などを期待して観たが、そういう部分は結構弱めで、実に判り易い感じ。どことなく議会の様子も現代に比べるとほのぼのとした感じまでしてしまう。共産主義がどうのという話がメインに据えられているあたり、いかにも時代ですな。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2007-11-04 18:51:02) |
38. 勇気ある追跡
《ネタバレ》 父を失った娘のしっかり者という域を超えたがっちり振りが、世間はそんなに甘くないだろうという気がするがこれはコミカル部分なので良いとしよう。やたら弁護士の名前を盾にするのは面白かった。映像的にも広がりのある画が美しくて良い。知名度ほどの面白味は感じられなかったがそこそこに楽しめる。西部劇好きの人ならきっと満足出来る内容なんじゃなかろうか。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2007-09-25 22:30:52) |
39. 逆転
ノーベル賞授賞式が舞台というのはなかなか変わっていて良い。しかしサスペンスとしてはかなり緩く、詰めもつっ込みも甘い。ヒッチコック作品の劣化版のようなイメージ。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2007-08-27 22:50:58) |
40. 永遠の人
どろどろした話で、下手すりゃ昼メロ的な感じになって終わってしまいそうなところを、そうはならずにしっかり踏みとどまっている。監督の物の考え方が、自然にそれでは終わらせないのでしょう。長年月を断片的に切り取ってみせるこの監督のスタイルが良く合っているし、そのポイント選択のセンスも間違いはない。ちょっとしたシーンや台詞にその人間の本質を感じさせるものがあり、良く出来ているなぁ感心します。惜しむらくは、フラメンコ音楽があまりにもミスマッチ。日本語でのフラメンコ歌謡がさらに酷い浮きっぷり。さすがにこれはちょっと。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2007-08-15 15:35:27)(良:1票) |