381. カトマンズの男
《ネタバレ》 投稿ゼロから推測される相当の駄作と思いきや、観てみたらこれが面白い。 ヨーロッパやアメリカの人が東洋を舞台に映画を作ると、大抵は変な違和感があるのですが、この映画はコメディ色が強く、そのおかげで西洋人の表現するヘンテコな東洋かぶれっぷりが妙にマッチしているように思えます。 この映画はとにかく見どころが満載で、書きたいシーンは山ほどあるのですが、海に飛び込んだアルチュールが吊り上げられて煙まみれになったり、何台もの車が交差点に向かって突っ込んできたりするド派手なシーンも、今まで観たベルモンド主演の映画では決して見られないものですし、馬鹿デカいベルモンドのモンタージュ写真も吊り橋のシーンも女装も、みんな非常に楽しんで観ることが出来ました。 もちろん、ベルモンドだからこそ面白いというのは言うまでもなく、ハリウッドのアクションスターが同じことをやったら失敗作になるのは間違いナシです。 [2021.5.21追記] 改めて観てみて良かったのが、アレクサンドリーヌ役のウルスラ・アンドレス。 持ち味の美貌のみならず、終盤で殺し屋のセスナ機に飛び乗って格闘したりする身のこなしの軽やかさは必見。 終盤の盛り上がりに一役買っているのを完全にスルーしてしまっている昔の俺(笑)。 それと、建物の馬鹿デカいモンタージュ写真をよく見ると、こっちは髭が生えていて面白い。付け髭してからいつ撮ったんだ? [CS・衛星(字幕)] 8点(2006-12-06 18:27:04) |
382. カビリアの夜
《ネタバレ》 ジュリエッタ・マシーナ扮するカビリアの、娼婦生活から足を洗おうとする一生懸命な姿、特に、教会で涙する彼女の姿に心打たれました。 一歩一歩順調に階段を上がっていくなぁと思いながら見ていると・・・やられました。このまま上手くいくはずなんてないとは思っていながらもあのラストですからね。衝撃でした。 フランソワ・ペリエの目のドアップのワンカットなんかを見ると、“映像の力”ってやっぱりあるよなぁ~って思います。 エンディングのワンシーンもジュリエッタ・マシーナだからこそあのように望みあるエンディングを迎えられるわけで。こういうのって彼女の発するオーラですよね。 けど、何回聞いても“カリビア”って言っちゃうんだよなぁ。是非、また観ます。* [映画館(字幕)] 7点(2006-12-03 05:31:37)(良:1票) |
383. 郵便配達は二度ベルを鳴らす(1942)
《ネタバレ》 特に美人とは言えない極めて普通な女と、この時代に多くいたと思われるやや筋肉質で男性的な魅力を持った男というのが、この映画の持つ独特の雰囲気を作り上げているように思う。 ストーリー序盤、猫がうるさいと言って銃を持って外へ出たシーン(妻が不倫→夫が発見→怒って銃乱射・・と連想できる)と、ジョヴァンナとジーノが夫の唄をBGMに語っているシーンが何かどことなく不気味で面白かった。また、全編を通してモノクロ映画で黒い服を着た登場人物が驚くほど映えていたのが特に印象に残った。非常に珍しく、特異な映像に見えた。 しかし、この映画、わからないところがいっぱいある。 何故、女は夫を捨てて逃げないのか。何故、男は旅芸人を欺き蔑んだのか。何故、男は女が密告したと疑うのか(女にも罪があるはずだから密告はできないと思うのだが・・)。 そして、何故“郵便配達は二度ベルを鳴らす”のか。 勉強してまた観ます。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2006-11-30 02:09:52) |
384. ベニスに死す
《ネタバレ》 今の日本って、いやーな世の中だなぁと思う。なぜなら、“ストーカー”って言葉があるから。 レビューを書く前に全てのレビューを読みましたが、【映画小僧】さんの仰る通り、教授のあの行為は“「美」への愛”なのだと思う。少年を欲しているのではなく、完璧な「美」を追求し、あこがれ、それを手に入れようともがき続けた初老の男の切ない物語だと思う。 台詞が極端に少ない展開も良い。サイレントのように音を出せないのと、この映画のように音を出さないのとでは意味合いも違ってくる。ヴィジュアル的に物語を語ろうとしているのではなく、言葉を使う必要がないから使わない、それだけの事のように思える。 ただ、ペストが流行っていることをストーリーに組み込む際の唐突さがちょっと気になった。ペストを流行らせなければこの物語は成立しないのだけど、起承転結の“転”にもう少しスムーズに入れなかったかなぁと思う。 ラストで夕陽の中に佇む少年が左手の下にマルを作ったあのサインは一体何だったのだろうか・・・。 本当は高得点を付けたかったところだけど、自分の年齢を考えると・・・・・6点にしときます(笑)。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2006-11-29 19:03:35) |
385. 内なる傷痕
《ネタバレ》 寝そべっている女を連れ去る男。白一色の荒野に「息ができない」と、もがき苦しむ女。四方全てが雪の中、苦しみながらも彷徨い続け、そのまま倒れてしまう・・・。 この映画のただならぬ雰囲気に一気に引き込まれた。 ストーリーはあってないようなものであり、意味を求めるのはナンセンス。劇中の風景・台詞・歌・人物の行動など、全てが説話的であり神々しさを感じる。 何年たってもこの映画を理解出来るとは思わないが、とにかく強烈に印象に残る作品だった。 [映画館(字幕)] 7点(2006-11-16 17:52:37) |
386. 恋人たちのメロディー
《ネタバレ》 この映画は、全ての役者が実際の名前のまま演じている。と言うことは、シャルルのおっさんも普段の性格はちょっと図々しくて陽気な感じで、フランシス・レイもどことなく寡黙な感じの人なのでしょうかね。紅一点のカトリーヌ・アレグレは、飾り気のない素朴な印象(結婚式の衣装もすごく地味)でしたが、それがまたこの映画の雰囲気にマッチしてて、私は結構好きです。 一日に200フランも稼ぐアコーディオン弾きのフランシスが、100フランで雇われて旅に同行したり、新婚夫婦の新居がスゴ~く小さい家(撮影角度を変えて小ささを強調している)だったりという“ほのぼの感”がこの映画の一番の魅力でしょう。 一番面白かったのが、サントロペのレストランで食事をした時に領収書を回してみんなで見てた時。特に、一番手前の人が領収書を見たときの驚き方に笑わされました。 [地上波(字幕)] 6点(2006-10-25 22:33:20) |
387. 男と女の詩
《ネタバレ》 完全に読み違えてました。冒頭の映画のシーンからカラーの映像に変わるまでがずっと一つの回顧シーンだと思って見てしまいました(>_<) で、フランソワーズ・ファビアンの昔を演じてたのがアヌーク・エーメなのかな?とか・・・。 タイトルからしてラブストーリーなのかなと思っていたら意外と渋めな感じで、しかもフィルム・ノワールの一面もあってちょっと予想外な内容でした。 リノ・ヴァンチュラの素と老人の演技は良かったけど、宝石店の強盗シーンも結構マヌケな捕まり方だし、エンディングも凄く微妙でうまく言葉にできません。恐らく、きれいに片付けられてた中にも他の男の存在を察していたような感じですが・・・。 最初の、レストランでの会話の「部屋はある?」で、オシャレな映画のイメージを抱いてしまいましたが、今の自分には見るにはまだ早すぎる、難しい大人の恋愛映画でした。 [地上波(字幕)] 6点(2006-10-16 21:28:22) |
388. 結婚哲学
《ネタバレ》 字幕ナシ&桜井麻美さんの活弁付きで観させていただきました。 これはもう、とにかくイイ!素晴らしい。クラシック好きな映画ファンなら絶対お勧めの一本。 何がいいって、それぞれの夫婦がくっついたり離れたりと、二転三転するストーリー展開でありながらラストはきれいキッチリとまとめてしまうストーリー全体の構成の良さ、そしてルビッチならではの小物使いの器用さでしょう。 ストーリー序盤、ブラウン医師の妻シャルロットが庭に咲いた花を摘み、それを紙で束ねて旦那にプレゼントする。旦那は花を手にしたまま夫人と抱擁を交わすのですが、その時に花束が落ちてしまい、ここで笑いが出る。そして、シャルロットが旦那を見送った後に再び部屋に戻ると、先ほど笑いを誘ったあの花束が今度は悲しさや失望といった表情を醸し出しているのです。さらに、旦那の診療所に行くと、花を一輪もらったグスタフという男がコップに水を入れて大切にしているときた。花束を床にばらまく男と一輪の花を大切に育てる男。ここに誤解があれど、女性の好意の対象が花を用いた対比によって実に見事に表現されているのです。 終盤近く、ブラウン医師がミッチーの求愛を逃れ、家に着くと再び仲を取り戻す。かたや、探偵を依頼したスコット伯爵はミッチーに抱きつかれ、そのまま両者共ハッピーエンドで終わるだろうなと思っていたら(調査の報酬を渡して、探偵のメモを「もういいんだ…」などと言って断る)、まだ続きがあったけど、本当のエンディングの方が格好良くまとまっていました。流石ルビッチですね~。参りました(^_^) [映画館(吹替)] 9点(2006-10-06 22:32:29) |
389. オペラの怪人(1925)
《ネタバレ》 字幕ナシ&坂本頼光さんの活弁付きで観ることが出来ました。 やっぱり、この時代の恐怖映画は独特の怪しげな雰囲気があってイイ。この映画の見どころは、仮面を剥ぎ取られた怪人の素顔が出るところと巨大なシャンデリアが落ちてくるところですね。 エリックとかいう怪人は、確かに怖い顔をしていたと思うのですが、ヒロインの女が随分と早くあっさり仮面を取ってしまったので、それがちょっとマズかったのではないかと思います。それに、あの仮面に関してもさほどの恐怖感が出ていなかったので仮面をかぶったままでももう少し恐ろしさを出せれば、より一層の恐怖感を味わえたのではないでしょうか。途中で出てきたガイコツの仮面をかぶった男のほうがよっぽど不気味だっただけにちょっと残念です。 エンディングが、悪者を退治してメデタシメデタシで終わってしまっているのですが、あれがどうもイヤな感じです。クリスティーナに恋をして、彼女が他の男に近づくと怒りをあらわにしたり、嫉妬するくらいの人間味のある怪人なだけに、あの終わり方は非常に心が痛みました。 ところで、最初ファントムだと疑われていた背が高くて物静かで怪しい男が1人いたと思うのですが、あの役もロン・チェイニーが怪人エリックとの1人2役を演じていたと思うのですが、どうでしょう。 [映画館(吹替)] 6点(2006-10-04 18:44:29) |
390. ロイドの要心無用
《ネタバレ》 原題の「Safety Last」はいいタイトルですね。ナイスネーミング! さて、ギャグ一つ一つはそんなに面白くないのですが、ちゃんとストーリーが通ってるので良かったと思います。チャップリンやキートンのコメディ映画って、一つ一つのギャグの寄せ集めのような印象(先にギャグありき)なのに対し、ロイドはストーリーをまず組んで、その中にギャグを入れて面白く作っている(先にストーリーありき)、という印象を受けました(まだ1作しか観てないけど)。 他の方も言っておられますが、やはり一番の見どころはラストのビルを登るシーンでしょう。ひもが結ばれてなかったり、時計のバネが足に引っかかってたり、風車に頭をぶつけそうになったりと、結構馬鹿馬鹿しくて単純な緊迫感なんですが、かなり息を呑んでハラハラしながら観てました(^_^) また序盤で、フィアンセを安心させようとして、色々と贈り物をする心遣い「プレゼントを贈ることで、こっちでうまくいっているという事を知らせなければいけないんだ」というセリフがちょっと格好良かったです。 私は映画館で鑑賞したのですが、字幕ナシ&斎藤裕子さんの活弁付きで観たので、鑑賞環境は[吹替]とさせていただきました。 [映画館(吹替)] 7点(2006-10-02 21:55:45) |
391. チャップリンのスケート
《ネタバレ》 チャップリンに関しては「モダン・タイムス」を見ていたので知っていたのですが、他のどの役者もみんなスケートが上手い!エドナも颯爽とすべってるし、エキストラの人たちも含めて全員がすべれるようにならないとこの映画は完成しなかったでしょう。 ストーリーも、ちゃんとレストランと繋がっていたりと、他の初期の短編よりもストーリー性が高くてイイ。 それと、スタウト夫人を演じているのがヘンリー・バーグマンだということに映画の最後に出てくるキャストの紹介を見るまで全然気づきませんでした。彼もまた、チャップリン映画には欠かせない名脇役で、女性の役を演じきった彼も見事ですが、彼の才能を見込んだチャップリンもまた見事といえるでしょう。 [ビデオ(字幕)] 8点(2006-08-14 22:03:48) |
392. チャップリンの番頭
《ネタバレ》 この映画一番の注目シーンは客が持ってきた時計を査定するシーンです。 机の上にバラした部品がウヨウヨと動いたりハンマーが実はゴムで出来ていたりといったビミョ~なギャグはハッキリ言ってどうでもよく、執拗なほど延々と分解していたのが面白かった。このヒゲのオッサン(アルバート・オースティン)は後に「キッド」や「犬の生活」などで悪役として出てきたりと、チャップリン映画では欠かせない常連男優です。 あと、そのちょっと前に指輪を持ってきたオッサンが実はたんまり金を持っていて、金をせびって元気よく帰っていくところも笑えます。 この年代のチャップリンは、よく食べ物を投げたりすることが多くて、あまりそういうのが好きではないのですが、今回はそれを差し引いても面白かったと思います。finishもバッチリ!コメディらしく、いい終わり方で好きです。 [ビデオ(字幕)] 8点(2006-08-06 18:43:55) |
393. チャップリンの伯爵
《ネタバレ》 ストーリーは、仕立て屋の主人がお客さんの上着のポケットの中の手紙を読んでしまい、その手紙の主に成りすましてパーティーに出席してしまったのだが、パーティーの途中から当の本人が現れ追いかけ回されるという話。 序盤の、チャップリンが仕立てと全然関係ないところを測ったりするところなんかは相変わらずの仕事っぷりだなぁ~と楽しく観れたのですが、食事をするところが汚かったり、ケーキを杖でメチャクチャにしたり、最後の締め方もちょっとあっさりしすぎという感じだったのでイマイチ好きになれませんでした。 「のらくら」(ゴルフ狂時代)でも同じようなストーリーが展開されているところを見ると、チャップリンはよっぽど上流階級に対して物申したかったのでしょうね。 本作品のチャップリンは、食事のマナーが悪かったり、ダンスでもよく転んでいたりと、自身を徹底的に蔑んでいるところがあるので、風刺が好きな人にとっては「のらくら」よりも面白く感じられるかもしれませんね。 [ビデオ(字幕)] 5点(2006-08-06 01:08:37) |
394. チャップリンの舟乗り生活
《ネタバレ》 う~ん・・・船がよく揺れている割にはそんなに面白いギャグはなかったかなと。 クレーンの上げ下げを指示しているチャップリンが面白かった。倉庫から吊り上げられてる人がいたりしてパニックになってるのに、真顔で一生懸命指示を出してるところを見ると、何か思わず吹き出しちゃうんですよね。 あと、彼女のオヤジを海に突き飛ばすのはやっぱマズいでしょ(笑)。この頃はチャップリンもまだ若かったのかな。 [ビデオ(字幕)] 5点(2006-08-05 22:04:57) |
395. チャップリンの黄金狂時代
《ネタバレ》 チャップリン=コメディアンという図式がガチガチに頭に組み込まれてしまっている自分にとっては、どうも裏のある(ペーソスを含んだ)笑いというのが全然馴染めませんでした(>_<) そんな思慮深さゼロの自分にとっては、序盤で家の中に風が吹き込んできたときのアクションと、最後の方で小屋がシーソーみたいになるシーンが面白かったかなと。 それと、やっぱりサイレント映画はサイレントらしく、スポークンタイトル付きで見た方が面白いと思いますね。けど、ナレーションはいらないけどBGMだけは欲しい・・・って、贅沢? [ビデオ(字幕)] 6点(2006-08-05 13:21:04) |
396. チャップリンの冒険
《ネタバレ》 トータルで見ると、犯罪者でしかも脱獄した囚人のはずなのにそれを懲戒する終わり方になっていないのはマズイのではないかと。まぁ、それが初期のチャップリンらしくて楽しくて良いという見方も出来ますが。 途中、溺れている3人を助け出し、ヒゲの大男を担架に乗せて運ぼうとしたら、ズルッと滑ってまた海に落ちちゃったシーンが一番笑えました。あと、銃で撃たれて、やられたのか!?と思わせといて・・・というシーンも面白かったです。 あと、すごい勢いで崖を登るシーンがありましたが、あれは明らかにフィルムの逆回しでしょう。チャップリンに限らず、キートンとかでも、逃げるシーンなんかはフィルムをやや早回し気味にしていたりと、いろんなところでトリックを使っていると思います。 [ビデオ(字幕)] 7点(2006-07-30 17:26:12) |
397. ミツバチのささやき
《ネタバレ》 神秘的な雰囲気が漂っているのはわかった。ただ、何て言うんだろう・・・余りに詩的で、ちょっと面食らってしまった。 自分も小さい頃、お化けが出てきたらどうしようって考えて夜も眠れなかったことが確かにあった。最後にアナの前に出てきたフランケンシュタインはまさにそんな感じなんだと思う。 それと、父親の子供たちに対する愛情が感じられなかったのがちょっと残念だった。けど、映画のバックグラウンドに戦争の影響があったことを後で知って、少し納得した。そういった予備知識を前もって知っていればもっと物語に入り込めたと思う。 [映画館(字幕)] 6点(2006-07-22 16:47:54) |
398. はなればなれに
《ネタバレ》 すいません、平均下げます。全体的にストーリーに面白味がなかったです。中盤辺りでアルチュールがオディールを見送った後に近くにいた人たちにボコボコに殴られていたシーンで、劇場内に笑い声が多々聞こえてきたのですが、自分には、えっ?ここ笑うところなの?という感じで、さっぱり意味がわかりませんでした。 ただ、一つ一つのシーンを見てみると面白い箇所がいくつかあったのでそのシーンを挙げるとすると、「1分間沈黙しよう」といって無音になるシーンでしょうか。こういった斬新さも面白いですし、何よりも、アルチュールとフランツの表情が面白くて思わず吹き出しちゃいそうになりました。 あと、キスのしかたの話をしている時、オディールが「舌を使うんでしょ」と言った後にアルチュールの方にカメラが向けられた後、再びカメラがオディールの方を向いたらオディールが舌をベロ~ンと出していたシーンがありましたが、あの撮影方法が何というか、とてもレトロな感じがして妙に好きなんですよね。 それと、音楽がミシェル・ルグランということもあってか、「シェルブールの雨傘」の音楽が流れていたところもグー! [映画館(字幕)] 6点(2006-07-17 23:53:51) |
399. 巴里の空の下セーヌは流れる
《ネタバレ》 普通のオムニバスと違い、複数の人物の一日の行動を同時並行で描くことによってストーリーが展開していきます。 この映画に出てくる話というのは、当時のフランス、パリではごく普通にある事のたとえなのだと思う。 猫にやるミルクがないほど貧しい人がいたり、ちょっと頭のオカシイ人がナイフを振り回したり、家出をする子供がいたり、労働条件で反発している会社があったり、パリでは撮影は日常のありふれた光景なのだろう。また、文通は誰でもやっていることだし、身障者を街中で見かけるというのも特に珍しくはないんだろうなと思う。 一人一人の行動にさほど興味を引かれるということはないが、つまらなく感じたり飽きてきたりということはなかった。 最後は、全員がハッピーエンド、若しくは普通のありふれた日常のまま終わってもらいたかったが、全ての人が皆幸せになれるとは限らない、という監督からのメッセージなのだと思う。けど、心臓の鼓動と共に夜明けを迎えるという、パリという都市の力強さを表したところが希望に溢れるようでいて、良かった。 [映画館(字幕)] 6点(2006-07-12 23:49:52) |
400. 顔のない眼
《ネタバレ》 まず、クリスティアンヌの仮面を外した顔を出さないのがいい。それによって、見る側の想像力を駆り立て、より恐怖心が増すように描いたのが功を奏したのだと思う。 そして、この映画一番の注目ポイントは、何といっても女優エディット・スコブの天才的な演技力であると断言したい。眼の動きと立ち振る舞いだけで心に傷を負った少女の心情を完璧に表現し切っている!ここまで演じられる役者はそうはいない。途中、素顔で演じる場面もあるのだが、この時の顔がまたそれまでにイメージしていた顔とピッタリ重なって、本当に適役というに相応しい演技だった。 全体的に面白い映画なのだが、オープニングでのやや明るい調子の音楽がマッチしていなかったのと、終盤での警察の立ち入りの場面で、実験台の女が眼を覚ましそうになっている映像をカットバックで入れればより一層の切迫感が生まれた筈だけに、惜しいと思う。 最後、手術台の女を逃がし、ルイーズを刺し、自分のために実験台になった動物たちを解放して出来る限りの罪滅ぼしをしたクリスティアンヌ。そして、彼女は森の中へ歩き出す。恐らく、自殺を図るのだろう。わずかの救いも感じられない映画だけど、こんな悲しい映画もたまにはいい。 [映画館(字幕)] 8点(2006-07-04 00:52:58) |