561. フランシスコの2人の息子
《ネタバレ》 映画館で観たのが約2年前の為、ちょっと細部の記憶があいまいです。前半の少年時代「ロードムービー」的な部分までは非常に良かった。秀作「セントラル・ステーション」以来、あまり馴染のないブラジルの珍しい風物や風景を久しぶりにたっぷり堪能出来ます。駅で二人が通りすがりの人相手に唄を披露し、才能を見出されるシーンが特に印象的。ところが成人してからが、何故かいきなり失速。これはおそらく、今現在でも同国で活躍中の実在アーティストに遠慮したのか、おもねてしまったせいなのか定かではないが、やけにヨイショ的なあざとい展開、及び結末になってしまったのには著しく鼻白みます、それが非常に残念。前半8点、後半5点、総合で、う~ん・・・6点。 [映画館(字幕)] 6点(2008-04-25 13:02:35) |
562. 蝿男の恐怖
50年代製作のこういう手造り感満点のSFホラー空想映画、楽しくてやたら好き。ぬちゃくちゃネラネラと人間からハエヘの「変態」を、リアルな映像でグロテスクに見せられるよりよっぽど。どの登場人物もドエライ事が起こっているにも関わらず、わりかしおっとりと優雅な物腰で終始行動しているのは、この時代ならではというべきか。複眼に映る奥さんの悲鳴顔のショットには思わず度肝を抜かれてしまった・・・(←弱い)科学の発達の早さについて行けないと嘆く奥さんに、自分はひたすら感情移入。身体半分蠅に変身してしまったダンナには、同情すべき点は多々あるけれど、科学者ゆえの悲しい性といおうか、神の領域に踏み込んでしまった者の宿命というべきか、まあ単なる自業自得ともいえる。トータル的にはひたすら哀しい鳴き声を上げ続けていた、原子ネコたんが一番可哀相だったなあ・・・。 [DVD(字幕)] 7点(2008-04-21 15:24:36)(良:1票) |
563. 大いなる陰謀
《ネタバレ》 「YES OR NO?」と問われたら、一個の映画作品として見た限り、これは「NO!」と自分は即答するかもしれません。鑑賞前はまず上映時間1時間半という短さが気になりました。果たしてこのビッグスリーの初顔合わせで、邦題の『大いなる陰謀』なるものが描けるんだろうか・・・?丁々発止のやり取りの中、策謀陰謀が政界に渦巻くパワフルな展開を期待していたんですが、ちょっとこれは思っていたのと違いましたね。肩透かし。これは豪華スターが出てるテロ対策ポリティカル・ディスカッションドラマとでもいおうか。何より映画を観た!という昂奮、醍醐味に欠けるのが難。冒頭からいきなりメリルとトムクルの緊迫感溢れる会談がスタートするので、こっちがモタモタしてて映画自体に乗り遅れてしまったというのもあるんですが。結論、これはR・レッドフォード版『君たちはどう生きるか?』(←図書館で大昔借りて読んだ)かな?彼の過去のヒット作に「大いなる勇者」「大統領の陰謀」があるが故にこの邦題にしたのであれば、配給会社さん怠慢でないかい?・・・ってちょっと思った。賛否両論、評価が極端に分かれそうな作品やね。 [映画館(字幕)] 5点(2008-04-19 11:38:11) |
564. 私は二歳
劇中山本富士子が、飄々のほほんダンナの船越英二に向かって「あなたはエゴイスト」って言い放つシーンがあるんです。私はそれを聞きながら、この台詞はもしや監督夫人脚本家和田夏十が、実はダンナの市川監督に向けて言いたかった、強烈なアッパーカット的一言じゃないのかと深読みしてしまいました。というのも以前、女優有馬稲子著自伝「バラと痛恨の日々」を読んでいて、その中にこれは市川監督のことを書いたとしか思えない、エピソードの数々が記されているのを読んでいた為。もちろん人間にはいろいろな面があるのは当然で、読後も私の市川監督の映画監督としての評価はいささかも揺るぎはしないのですが。もし仮にそうだったとしたら和田夏十という女性恐るべし!・・・まあ、興味がある方はお読みください。さて映画ですが、岸田今日子やら渡辺美佐子やら曲者をほんのちょい役で使っていても、彼女たちの個性をひらめかせる巧みな演出が光ってましたね。赤ちゃんがビニールを被る事故後の、船越英二が二人がかりで責められるシーンが最高です。韓国映画のようにバタバタと無意味に人を死なせなくても、浦辺粂子おばあちゃんに不意に訪れた突然の死、これたったひとつだけでも充分に尊い「生」の意味は伝わってきましたね。これがこの年のキネマ旬報ベストワンという評価はちと高いかなあとは思うけど、観ていて気持ちの良い佳作に仕上がっていると思います。物心ついた頃、目覚めた時に山本富士子みたいな美人のお母さんが目の前にいたら、その後の私の女性観は大いに変わっっていたかも(笑) [DVD(邦画)] 7点(2008-04-18 18:56:34)(良:2票) |
565. 遊星よりの物体X
意外に面白くなかった。もっともっと怖がらせてくれるのかと思ったんだけどなあ・・・(笑)製作にハワード・ホークスが絡んでるんで、結構期待していたんですが。軍と科学者、そしてジャーナリスト、三者三様の、未知なる物体へのそれぞれのアプローチに作者の興味が集中しすぎているような気がします。雪に閉ざされた北極基地という場所の設定を生かし、もっと閉塞的に追いつめられるようなシチュエーションも作れたのでは?火星人と対話で友好を深めようとする人道的?科学者が、あっさり怪人に張り倒されるのには笑えましたが。問答無用といわんばかりに未知なる物体を始末する軍の対応が、冷戦赤狩り時代のアメリカ合衆国のそのものを顕しているみたいで感慨深い。50年代のこの手のSF空想スリラーでは、自分は「ボディスナッチャー・恐怖の街」が一番好き。 [DVD(字幕)] 5点(2008-04-14 11:31:48) |
566. 光州5・18
《ネタバレ》 これはもうひとつの「ブラザーフッド」。近くてまだまだ遠かった時代の韓国の悲痛な出来事を描いた力作。一時期に比べ、世間の韓流熱もすっかり落ち着いてきた感があるけれど、これは久しぶりの気骨のある韓国映画。やっぱりこういう近現代史歴史的事件を描かせれば、アジア映画の中でも韓国は強みを発揮すると思います。1980年5月に韓国南部光州で実際に起こった市民と軍部との衝突を克明に描いています。1980年・・・、私はまだ小学生でしたが、当時のニッポンはといえば、毎日表面上は非常に安穏とした時間が流れていたような気がします。例えば蒼井優主演「1980」という映画を観れば、おおよそのこの時代の空気は分かってもらえるはず。今ではすっかり感覚的に近くなったお隣の国で、こんな悲劇が起こっていたとは・・・。しかも多くの事実をマスコミと軍部によって隠蔽されていたなんて・・・。私は自分の無知を恥じました。秀作「殺人の追憶」で若手刑事役を演じていたキム・サンギョンの男泣きっぷりがとにかく堂に入ってます。骨太な上川隆也って感じ。韓国の男優さんって、人目もはばからずオイオイ泣く演技がホント巧いですよね。後半は悲惨な出来事の連続。でも自分は画面から目を背ける事が出来ませんでした。ただ幾つか残念な点もあります。韓国映画のこれは常として、特に後半、もうくどいくらい「死」を強調しすぎるんです。それによって逆に「人間の生命」が軽んじられているような気がしてならないんだよなあ・・・。あとコメディリリーフのつもりらしい、タクシー運転手とその相方?コンビ(←くりいむなんとか上田似)の一連の行動が何となく軽薄そうに見え、自分は嫌な印象を持ちました。映画の出来としては「ブラザーフッド」より数等劣るような気がします。でもこれは観て良かったと思える作品。ラストのストップモーションが・・・哀切極まりない。 [映画館(字幕)] 7点(2008-04-13 10:39:13)(良:1票) |
567. 東京キッド
物心ついた時からテレビに映る美空ひばりという人には、他の歌手とは格段に異なる「私は偉いのよ」オーラが漂ってました。子供心に、何でこのヒトはこんなに偉そうなんだろう・・・?と不思議に思う事もしばしば。「愛燦燦」という曲だけは良いなあと思っていた矢先、急逝されてしまいそのまま自分の興味もここで一旦フェイドアウト。昔の日本映画を見るようになって、ようやくこの方の人気の所以がなんとなく理解出来るようになった次第。このヒトはガキの頃から「美空ひばり」以外の何者でもなかったんだなあ・・・という感慨が。特に美少女だったわけでもなく、芝居が巧いわけでもない。女優というより、あくまで「美空ひばり」という有一無二の存在。別に好きになったわけでもないのに「三人娘」シリーズ制覇、結構主演作を次々に鑑賞してしまったのはなんでだろう・・・?どこか哀愁漂う歌声が、戦後すぐの風景には合っていたとは思いますが。さてさてこの映画・・・ジャンルとしては「喜劇」のはずなのに、笑える部分はほとんどなし!人情悲喜劇?みたいなもの。日本映画初のハワイロケというのがウリらしいが、ストーリーとは全く絡まない夢のシーンの中でのみ使うなんて。へんなの・・・。「おじちゃん、三ちゃん!」っていうひばり嬢のこしゃまっくれた叫び声がやけに耳に残ります。この時期にはまだ、こんな戦災孤児の子供が巷にも溢れかえっていたんだろうなあ・・・。 [DVD(邦画)] 5点(2008-04-12 12:31:20) |
568. 復讐の谷
平々凡々たる西部劇。ハワード・ホークス監督「赤い河」(9点)にも出ていた、ジョーン・ドルーといういかにも勝気そうな女優さんと、無法者ジョン・アイアランドがキャストに名を連ねていたのでちょっと期待したんですが、お二人ともあまり個性が生かされていない。若かりし時代のバート・ランカスターが見られるのが一興か。牛追いの牧童生活の描写も傑作「赤い河」と比較するのは野暮かもしれないが、ただのんべんだらりんと撮っている感じで迫力がない。 [DVD(字幕)] 4点(2008-04-11 10:47:29) |
569. 三人の狙撃者
いかにも低予算、シチュエーションアイデア勝負のモノクロサスペンス映画。もっと面白くなって良い材料なのに、演出に隙間があり佳作とまでは言いかねる出来。大統領狙撃任務の為、丘の上の一軒屋を乗っ取った三人のスナイパー。列車到着までの数時間に巻き起こる予期せぬトラブルの数々。時間制限付きのサスペンスというと、同時期「真昼の決闘」「決断の3時10分」「必死の逃亡者」をどうしても想起してしまうが、この作品は肝心な時間経過についてもちょっと無頓着過ぎる。シナトラは二枚目気取りの役より、この手のいびつなコンプレックスを抱いた躁状態の異常者の方がよっぽど合ってますね。ラストのオチもこれはなかなかだと思う。50年代のこういう小品サスペンス、もっとDVD化してくれないですかねえ・・・。 [DVD(字幕)] 6点(2008-04-07 11:40:35) |
570. 江分利満氏の優雅な生活
う~ん・・・残念ながら私はこの映画、イマイチ好きになれないですねえ。鬼才岡本監督のただならぬ才気は認めます。突如画面にアニメーションを取り入れたり、背景をストップモーションにしたり、オープニングにミュージカルの手法を取り入れたり、画面の一人だけにスポットライトを浴びさせたり・・・。それらの技法がコメディとして絶大な効果を上げている。でもね、この主人公に本当に共感できるのって、戦中派の太平洋戦争中青春時代を過ごされた方に限られるんじゃないですか?しかもこの主人公の年齢設定ってこれで36?!マジ!?この若さでこんな演説好きなん?うわああああああ・・・。「自分語り」が好きでたまらない、苦手な上司のたわごとを居酒屋で延々と聞かされているようで正直かなり辛かったっす・・・。ディベート好きの、弁がやたら立つ人間はあんまり信用するんじゃないと、ガキの頃から親に教育されてたんで(笑)すみません、平均点下げます! [DVD(邦画)] 5点(2008-04-06 11:21:40) |
571. 女王エリザベス
同監督前年の「ロビンフッドの冒険」と同じく、鮮やかなテクニカラーがとにかく美しい!全編老けメイクのエリザベス女王=ベティ・デイヴィスの神経症的ノイローゼ演技が見もの。指先にまで細心の注意を払い、ちょっと演じすぎ?とも思えなくもない大熱演ぶり。やたらとお付きの家来を下げさせ、エセックス卿=二枚目エロール・フリン氏とイチャイチャしている場面ばかりが印象に残る。ダテ喰う虫も好き好きとはいえこのエセックス卿が、脇にオリヴィア・デ・ハヴィランドという美女がいるにも関わらず、妄執の権化エリザベス女王にご執心なのが私には解せず。やはり女王との英国共同統治という権力への野望が彼の審美眼を狂わせてしまったのかな・・・?スコットランドとの戦争スペクタル場面もちょっと物足りない。 [DVD(字幕)] 6点(2008-04-05 11:47:43) |
572. 古都(1963)
最初に市川=山口百恵リメイク版を観てしまっていた分、どうしても比較論になってしまいます。原作の雰囲気、古都京都の情緒、画面の厚み、どれを取ってもこの中村登=岩下志麻版の方が勝っていると思います。京都フェチ人間にはこれはホントにたまらない映画。時折NHK教育みたいなナレーションが入ってくるのだけは不粋だが、これは外国人向けに解り易い解説を施すためか?でも自分は沈んだ画調の山口百恵リメイク版も好きなんですよね・・・。別に百恵のファンって訳でもなかったけれど、この芯の強いヒロインには合ってました。リメイクのダメなトコは、三浦友和の出番を増やしたいがためにいらん人物を創作してしまった事。オリジナルの長門裕之の役をちょっとふくらませれば良かっただけなのに・・・。採点が同点なのは「鬼畜」レビューでも書いたけど、私は昔から志麻が怖いから。もう一番最初に観た時から怖い役だったので、これはもうどうしようもないトラウマ。今さらこの清純可憐なヒロインを見せられても、志麻が演じるからには何か絶対裏があるんじゃないか?双生児を入れ替えて(←「悪霊島」かいっ!)ドロドロのお家乗っ取りを企んで、志麻が暴れ回る展開になるんじゃないか?とつい変な邪推をしながら観てしまったせい。 [DVD(邦画)] 7点(2008-04-04 11:17:19)(笑:1票) |
573. 王様と私(1956)
《ネタバレ》 デボラ・カーの歌声は「マイ・フェア・レディ」のオードリーや「ウエストサイド物語」のナタリー・ウッドと同じくマーニ・ニクソンという方の吹替え、でも台詞から歌に変わる時の違和感が全くないのに驚かされました。声の質がホントに良く似てるんです。それより何より、このデボラ・カーの英国女性らしい仕草のひとつひとつ、物腰の淑やかさに自分は魅了されてしまいました。ああ・・・、歩くと衣づれの音がする、あのまふまふしたふわっとドレスの裾に頭ごと埋もれてみてえなあ・・・。この王様役はやっぱりユル・ブリンナー氏以外には考えられない。「エトセトラ~エトセトラ~エトセトラ!」っていう小気味良い台詞回しがしばらく耳から離れそうにもない。鍛え上げた腹筋使って台詞を言っているような感じ。オハナシ自体も今となっては古典的だし、ミュージカルとしても古風なんだけれど主役お二人の比類なき魅力、佳曲が多い事もあって楽しめました。タイの風俗等、おそらく相当間違いがありそうな描写が散見されるけれど、日本を含めハリウッド映画のアジア認識は当時いい加減だっだのはわかっているのであえて目くじらは立てません。ラストはアンナを引き留める為の王様の小芝居かと思って観ていたので、ホントに亡くなってしまったのにはびっくり。 [DVD(字幕)] 7点(2008-03-31 11:26:22)(良:1票) |
574. デッド・サイレンス(2007)
《ネタバレ》 ホラー映画に殆ど免疫のない、ごくごく善良な観客の自分はこの映画を「遊園地のお化け屋敷的アトラクション」ムービーとして大いに楽しみました。序盤から感じていたちょっとした違和感は、ラストのオチまで観てようやく納得。「ソウ」の監督が何もしないまま終わる訳はないと期待していたので、しっかり騙されてしまった事も素直に嬉しかったりする。不気味な腹話術人形をモーテルの部屋までも持っていくくせに、うっかり葬儀屋に置き忘れる主人公の青年、不思議。終始何故か単独行動を貫いてわざわざ危険な目に遭いに行くヒゲ面刑事さん、このヒトの行動も不思議。素朴な疑問点をホラー映画好きの友人にぶつけてみたところ、ホラー映画ではそういう些細な点は見逃してあげた方が楽しめるだよと優しく諭されてしまいました。ふ~む・・・。1200円で最新の恐怖アトラクションを体験出来たと思えば、これは値段相応だと思います。大昔のユニヴァーサル映画の会社のマークがタイトルバックに出てきた時、ああ、これは古典的な怪奇映画のセンを狙ってるんだなっていう予想だけは当たりました。 [映画館(字幕)] 6点(2008-03-30 10:13:59) |
575. ブラックサイト
《ネタバレ》 観終わって全身汗びっしょりっす!!ハラハラドキドキするのは保証しますが、神経的心理的にヤな方向性でのハラハラドキドキなんですよね、これが。似た傾向の作品として引き合いに出されている「羊たちの沈黙」は、自分はブラウン管での鑑賞だったんでそれほどとも思わなかったけど、これはかなりのグロさ。猟奇的殺人サスペンス+非常に今日的なインターネット犯罪ジャンルとしてはなかなかの出来。つい最近も某香港スターのエロ画像ネット流出事件も発生して話題になったし。ダイアン・レイン演じる、FBI捜査官、一児の母両方の責務を背負う責任感がやたら強い女性の、常に疲労感が全身に漂っている感じも良いです。それにしても相棒の男性刑事の方は役立たずな事この上ないなあ・・・。もう男の助けなんか必要ないみたいですね、この手の強靭な女性には。人間の好奇心に蓋をする事はそうたやすい事ではないと思う。登山家が「そこに山があるから登る」のと同じ事で、「そこにあるからつい見たくなってしまう」人間の脆弱な欲望を鋭く衝いた、単なる猟奇サスペンスには終わらせない問題提起作。6点か7点か迷ったけど色々考えさせられたんで7点。 [試写会(字幕)] 7点(2008-03-29 10:57:45)(良:1票) |
576. エル・ドラド(1966)
これはもう完全な「リオ・ブラボー」(10点)の姉妹編というか焼き直しですね。前作のアル中ディーン・マーティン→ロバート・ミッチャム、若手リッキー・ネルソン→ジェームズ・カーン、ご老体ウォルター・スタンピー爺・ブレナン→ひげ面のじっちゃんに変更しただけ。人物配置や状況設定が本当によく似てる。ラストが意外にあっけなく片付くのも同じ。確信犯としか思えないな~、これはもう(笑)全編に豪快でしかも巧まざるユーモアが漂っていて、これはこれで楽しい。つうかジョン・フォードでも、なかなかこういう味わいまでは出せかったような。ホークス監督お得意の男臭さ全開の痛快娯楽ウエスタン。ただこちらには名曲「ライフルと愛馬」「皆殺しの歌」に変わるような唄がないのが残念。ジョン・ウェインの指示を仰いでさえいれば、物騒な酒場や大西部で巻き起こるどんな難局だって乗り越えられそうな感じがしますね。とにかく渋くて安定感抜群でカッコイイ!彼の着ているシャツが荒くれ西部男にしちゃやけに洒落てると思ったら、衣装担当がイーデス・ヘッド女史でした・・・なるほど。 [DVD(字幕)] 8点(2008-03-28 11:09:09) |
577. 催眠
自分が観た数少ないジャパニーズホラーもの。確かこれ、菅野美穂が、「♪ケケケケ・・・・」と不気味に笑いながら病院の廊下を空中浮遊する映画ですよね。菅野美穂ってドラマじゃ当り役がたくさんあるのに、映画だとホント役に恵まれてないなあ・・・。好きな女優さんなだけに残念です。キャスト表見ると結構な豪華キャストだったんだ・・・、でもまるで印象にないや。 [映画館(邦画)] 3点(2008-03-24 11:35:40) |
578. ひばり・チエミの弥次喜多道中
何かの書籍で、美空ひばり主演映画は沢島忠監督とのコンビがベストっていうのを読んでいたので、これずっと見るの楽しみにしてました。同時期の東宝製作、「ジャンケン娘」を初めとする「三人娘」一連の現代ものミュージカルより、こちらの時代劇の方がお二人ともずっとイキイキして見えます。アイドルと呼ぶには二人ともお顔がご立派なので、ズラの似合う事似合う事(笑)ここにもし超小顔の雪村いづみが入ったら、やっぱりバランス的に悪くなっちゃうような感じ。全盛期の東映時代劇ってなんかホントに「お祭り的にぎにぎしさ」に満ちてますよね。映画を作ってるほうもひたすら楽しんでいて、観ている側にもその愉しさがストレートに伝わってくるような。映画ファンにとっては幸福な時代の娯楽作品。 [DVD(邦画)] 7点(2008-03-23 10:22:04) |
579. マイ・ブルーベリー・ナイツ
《ネタバレ》 この監督の映画から、スタイリッシュな映像美と、大いに見栄えのする美男美女スターたちの顔を除いたら、一体全体何が残るんだろう?という疑問と苦言を呈したくなる一篇。恋愛の切なさなんかち~っとも感じられないし、ストーリーもごくありふれていてつまらない。初主演ノラ・ジョーンズも最初登場してきた辺りはともかく、まだ一本の作品を背負えるほどの魅力があるわけでもない。皆さんお待たせ~♪と言わんばかりに、やっと後半登場してくる、ナタリー・ポートマンの相変わらずの奇妙で特異な存在感にだけは惹かれるものが。中身はなくとも雰囲気重視の観客向けかも。お洒落な業界人の方とかが集まるショットバーで映像流しっぱなしにしておくのが一番相応しいような作品だなあ・・・。ジュード・ロウは汗や粉で汚れててもやっぱりイケメンさんやね。 [映画館(字幕)] 4点(2008-03-22 15:10:56) |
580. 有名になる方法教えます
「ボーン・イエスタディ」に続く、ジュディ・ホリデイ&ジョージ・キューカー監督コンビの日本未公開秀作コメディ。これもなんで輸入されなかったのか不思議なくらい良く出来た映画。「ボーン~」よりオハナシが数等面白く、職人キューカー監督の演出もこの作品の方がより冴えているような気がします。しかも大好きなジャック・レモンのデビュー作!後の数々のビリー・ワイルダー作品でみせてくれた、軽妙洒脱演技の萌芽がこのデビュー作からも充分過ぎるほど伺えます。50年代のハリウッド映画って、表面上は結婚するまで関係を結ばないっていう厳しい倫理規定があったので、それが一歩間違えれば共感が得られそうにない自己中ヒロインを、良い方向にギリギリの所で救ってるんですよね。ただ素朴に「有名になりたい!」って願うだけの可愛いイノセントな女の子に見えてしまう。このブロンド美人の役って20世紀フォックス製作なら、マリリン・モンローにも演じられそうだけれど、このジュディ・ホリデイは頭でちゃんと計算したコメディ演技を披露していると思います。マリリンだと天然系のおバカさん演技になっちゃいそう。アパート階段でのレモンとのやり取りは特に出色。古き良き時代の都会派コメディ映画がお好きな方、そしてジャック・レモンが好きな人には特にお勧めっす! [DVD(字幕)] 8点(2008-03-21 12:01:59) |