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six-coinさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 210
性別 男性
ホームページ http://mixi.jp/show_friend.pl?id=8512182
年齢 49歳
自己紹介 映画は娯楽である。笑ったり泣いたり学んだり、空想という鑑賞時間を過ごす「芸術作品」である。実際に映画づくりを体験していない人間に、映画批評が出来るとは思えない。プロの批評家でもなく映画を作った経験も無いのだから、作品のシナリオや背景など、基本設定に理屈っぽくケチをつけるようなナンセンスな行為はなるべく止めにしたい。映画好きのハシクレとして、作家が作った作品を、素直に楽しみ、感動できる姿勢を何よりも大事にしたいと思う。

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41.  ひまわり(1970) 《ネタバレ》 
男と女が愛し合い、その仲が戦争によって引き裂かれ、待ち続け探し続けた末に会えたと思ったらかつての恋人には夫が…というお決まりのパターン。当時でこそ最新ファッションだったのかもしれないけれど、ソフィア・ローレンのボンバーヘッドはどう見たって美しいとは思えなかった。……子どもとベッドを見て自分の願いが叶わないことを予想し、駅のホームでそれは確信に変わる。そこで終わっていれば美しい別れだったのかもしれないが、未練がましく夫が訪ねてきたり、挙句の果てには自分の子どもも忘れて「一緒にいこう」なんて情けない台詞を吐いてみたり、その後の余計な引きずり方にはさっぱり共感できなかった。物語の筋書きは「シェルブールの雨傘」なんかと良く似ていると思うが、あの雪のエンディングの美しい「肯定の別れ」に対して、この映画の別れは(別にそんな別れ方を否定する訳ではないが)すべてに「否定で後ろ向き」で後味が悪い。……評判どおり音楽の美しいこと、かつての恋人を追い求める時に汽車の窓から見えるひまわり畑。線路にひどく揺れるカメラアングルの観辛いのが何とも味がある。
[映画館(字幕)] 6点(2006-09-23 20:05:37)(良:1票)
42.  ユナイテッド93 《ネタバレ》 
石油という資源のために搾取され、自分たちの国と民族のアイデンティティの為に抵抗しようとした場合、圧倒的な軍事力を誇る相手に立ち向かうにはテロしかない。かつてベトナムではベトコンがゲリラ戦でアメリカ兵を苦しめた。その意味では、現代のテロとは、世界規模に広がった「ゲリラ戦」そのものなのかもしれない。……この機に乗っていた人々が我が身を呈してテロに抵抗したというのも、電話連絡や無線から導き出した「あくまでも想像」に過ぎないのだ。下に書き込まれているように、その意味ではこの映画は「ドキュメンタリー」ではない。アメリカでは犠牲者の人々が「身を挺してテロに立ち向かった英雄」視されている部分だろうが、果たして本当に電話連絡や無線があったものか、それも事実なのか、テロを前にアメリカ政府が国威高揚のために流したデマなのか、客観的に考えればそれも疑う余地があるだろう。……ただ、理不尽な運命に亡くなった多くの人々が居るのは紛れもない事実であり、それらの人々の魂は、きっと自分たちの死が英雄として祭られることを願ってなんかいない。思想の違いから生まれた必然的な争いに巻き込まれ、亡くなるしかなかった人々を心に留めるために、飾らず極めてリアルに描いたその姿勢に、心から敬意を評したいと思う。
[映画館(字幕)] 6点(2006-09-02 17:47:40)
43.  パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト 《ネタバレ》 
この映画の公開前に、とある映画を見に行った予告編で、「Captain Jack is back!」の文字がスクリーンに浮かんだ時、思わずガッツポーズをした。あのジャック・スパロウが帰ってくる!自由と浪漫の男、奴が帰ってくる!そんな期待に胸を躍らせるほど、あの1作目のキャラクターは強烈この上なかった。この2作目の冒頭、棺の蓋をピストルでぶち抜いて彼が姿を現したときも、やっぱりわくわくしてしまった。……自由を愛し、期待を裏切るお調子者だが、誇りを失わない、そんな愛すべきキャラクターの彼が、いくらタコの化け物に襲われたからって仲間を見捨てるのはどうかと思ったが、やっぱり今回も随分笑わせてもらったし、あからさまに「次回へ続く!」的な不完全燃焼も、ラストの「なんでお前が生きてんだ!」的な無理ヤリも、愛すべきスパロウ船長に免じて許すとしよう。今回も同じ音楽が使われているのはとても嬉しかったし、きっと3作目の予告をスクリーンで見ても、あのテーマ音楽と共に颯爽と戻ってくる「彼」に胸を高鳴らせることができるだろう。不完全燃焼に終わった本作の分まで、でっかり盛り上がりを期待している。だから、「頼みますよ!スパロウ船長!」。
[映画館(字幕)] 7点(2006-08-14 22:18:58)
44.  イントゥ ザ ブルー 《ネタバレ》 
バハマのコバルトブルーの海のなんと美しいこと。あんな海で宝探しなんて羨ましい。おまけにジェシカみたいなとびきりの美人が一緒だなんて言うこと無し。金持ちになるより、彼らの奔放な生活が羨ましい。ヤクの売人と結託した元凶の男がのうのうと生き残って金持ちってのは納得いかなかったけれど。
[映画館(字幕)] 6点(2006-08-14 22:04:25)(良:1票)
45.  M:i:III 《ネタバレ》 
トシをまるで感じさせないトムの全力疾走、回数を重ねるごとにスパイ映画からアクション映画へと変化していくが、息もつかせぬクライマックスの連続は確かに面白い!難解なミッションを次々にクリアしていく見事なチームプレイ、そしてやっぱり魅力的なのは、作戦の過程に使われる、見る手の度肝を抜くマル秘ハイテクアイテムの数々。バチカン宮殿への侵入~脱出シーンは、思わず心で拍手を贈ってしまった。頭の中の爆弾はエゲツなく、悪役の彼はあまりにもアッサリ素人に撃ち殺されてしまったが返ってスッキリ。このシリーズもどうやらコレで終わりのようだ。
[映画館(字幕)] 7点(2006-08-14 21:54:23)
46.  ゲド戦記 《ネタバレ》 
日本が世界に誇るジブリアニメのブランド、あの素晴らしい世界観も、宮崎駿のマスターベーションだから成りえた世界なのかもしれない。映画という商業主義の世界でも、彼の徹底したこだわりが完成させた芸術の世界、それが世代を超え、日本をはじめ世界中の共感を呼んだ。「田植え休み」なんて言葉も知らない私たちの世代が、「トトロ」の世界に共感する。ジブリ作品の特徴は、その世界観を表現する「ここまでやるか」と見る手を唸どに創り込まれた映像の圧倒的なクオリティと、その根底に流れる真摯で強烈なメッセージにあった。芸術とは、作家のマスターベーション=自己満足の世界に尽きると思う。……「ハウル」で急速に失速したジブリのブランド復興なるかと、僅かな期待を抱いて見に行ったが、予想以上の失望に終わった。「ハウル」以上にチグハグで尻切れトンボな筋書き、アニメのクオリティ以前に物語自体が盛り上がりも目的も起承転結もなく陳腐この上ない。息子はなぜ父親を手にかけなければならなかったのか、主人公が怯えていた「影」の姿は一体何だったのか、少女はなぜ竜に成り得たのか、かつて人とひとつであった「竜」が物語の中で何を意味していたのか。すべてがぼんやりと中途半端なままで、更に素人棒読みの台詞の中では、何の共感も感動も覚えることができなかった。……「千と千尋」までの、あの愚直なまでにこだわった作家の圧倒的な世界観はもはや見当たらず、公開前のあからさまな広告戦略に象徴される商業主義。マスターベーションの抜けきった商業映画は、もはや娯楽芸術ですらない。作者が息子であれ、ジブリブランドという極めて特殊なフィルターでお客は見に来る。これは筆舌に尽くしがたい大変な重圧であると思うが、たとえ何年もの時間はかかっても、それに恥じない作品を発表してもらいたい。……「もののけ姫」時代の、まるで油彩と見まがうばかりの素晴らしい画力に比べ、あまりに陳腐で粗雑な背景の作画は誠に残念だ。ラストの悪役はまるで二昔前のテレビアニメ並み、これを日本代表の芸術として海外で公開するのはいかがなものか。……この映画を最後に、ジブリアニメはもう映画館に観に行くことはないだろう。日本の誇るジャパニメーションの頂点も、遂にここまで失墜した。宮崎駿氏の世界は、やはり彼にしか創りえないものだったのだ。
[映画館(邦画)] 2点(2006-08-14 21:45:49)(良:2票)
47.   《ネタバレ》 
主演の仲代達矢、原田美枝子演じる楓の方の鬼気迫る演技。城攻めの合戦シーンには圧巻。まだCGの技術が発達していない時代だからなのか、実物大の城と炎の中で撮影されたシーンは生々しく、泥臭く、重い迫力を感じさせる。地方豪族である登場人物たちの装いや、板敷きの城の内部、随所にリアルさへのこだわりが見えた。・・・・・・壮大な阿蘇でのロケの中、最初の猪狩りのシーン以外は、晴れの空の記憶がない。随所にスモークがたかれ、曇り空が延々と続いていくような何とも湿っぽい映像の中、無い腹を探りあい、自ら好んで殺しあいの結果を招く人間の愚かしさが、ずっしりと感じられる。
[DVD(邦画)] 8点(2006-07-27 13:04:47)
48.  椿三十郎(1962) 《ネタバレ》 
ストーリー展開のわかりやすさ、テンポの良さ、コミカルなシーンと緊迫したシーンのコントラスト、いずれをとっても素晴らしい。血気盛んな若侍や人質の男、それに危機的状況にも全く上の空の奥方と娘。登場人物は多いのに、見る手が考え込んでしまうような複雑さは微塵も感じられない。決して見る手を飽きさせない起承転結、トントンと進んだ物語が最後の立会いで一気に緊迫度を高め、お約束の「あばよっ!」で見事に終結する。黒澤監督の映画は、まるで文学のようだ。・・・・・・全体としてはむしろコミカルな映画なのに、最後の立会いシーンのリアルさは、流石に伝説になっただけのことはある。ピーンと空気の張り詰めた数秒から貫胴一閃、血飛沫が舞うあのシーンで、後ろで見守る世間知らずな太平の若侍達と、殺し合いの現実を生きてきた一匹狼の三十郎との、ふたつの世界のコントラストが最高潮になる。
[DVD(邦画)] 8点(2006-07-27 12:44:57)
49.  七人の侍
台詞がやや聞き取りづらい部分はあるものの、やはりこの時代にこれだけのスケールの映画を撮った黒澤監督の才能には驚くばかりだ。この映画をハリウッドが様々なカタチでリメイクしたのも頷ける。・・・・・・映画はまだまだ勉強不足なのだが、この「七人の侍」は、間違いなく映画界のエンターテインメントの新しいジャンルを開拓した作品だろう。勿論、これ以前にもエンターテインメント目的に撮影された映画は世界中に沢山あったのだろうが、誰しもが共感できる「勧善懲悪のストーリー展開」において、この映画のスケールは他の作品とは一線を画する。当時のハリウッドの人々は、この作品を観たときにはさぞ驚いたに違いない。一人の無敵のヒーローではなく、七人の同志が集結して力を合わせ、巨大な悪を迎え撃つアクション映画。スターウォーズ以前のハリウッド映画にはこんな観点の脚本は存在しなかったのではないか。・・・・・・弱きを助け強きを挫く武士道精神、「南総里美八犬伝」など、日本古来の文学にもある日本人の観念だから、こんな大作も生まれたような気がしてならない。この映画に関しては、専門の方々に語らせれば他にも評価すべき部分は山ほどあるのだろうが、この1点だけは勉強不足の私でも理解できる。日本人の観念が世界の映画界に影響を与えた一作として、そして日本人として、この映画を誇らしく思う。
[DVD(邦画)] 8点(2006-07-25 12:58:56)
50.  ウルトラヴァイオレット(2006) 《ネタバレ》 
ミラのプロモーション映画と覚悟はしていったのだが、漆黒の髪に緑碧眼の美しさには、ただただ驚くばかり。多少の画像処理はあるのだろうが、まるでアニメの世界からそのまま抜け出てきたような端正な顔、とても同じ人類とは思えないプロポーション、画面いっぱいに彼女の姿が見られただけでも良しとしなければならない(笑)「美貌プロモ映画」のジャンルでは、「イーオン・フラックス」のシャーリーズ・セロンといい勝負である。悪役をバッタバッタとなぎ倒す彼女のダンスのようなアクションもサマになっていて、特に面白い機銃装備のデザインは眼を引いた。・・・・・・死んだ人間が生き返ったり、男の子に対する思い入れの理由もわからず、この際、チンプンカンプンなストーリーは問題なし。
[映画館(字幕)] 3点(2006-07-25 12:44:40)
51.  アンジェラ(2005)
自分自身を肯定することで、主人公が生きる希望を見出していくまでの展開が、ただただ素晴らしい。もしも自分にフランス語が分かったら良かったのに。日本語に訳されてはいるが、そう思わせるほど言葉の運びがうまい。人の弱さの描写がうまい。相手が天使である事実を知らされ、「なぜ、俺だ?」と浮かべる涙。鏡を前に「愛している」とつぶやく時の涙。全てのシーンの涙に共感できる。それに併せて、鏡の中や空の上など、主人公の心理描写に合わせて繊細に撮られた、古典的な匂いのするカメラアングルも秀逸。こんな時代に、こんな映画にお目にかかれるとは思っていなかった。・・・・・・ああそれなのに、なぜベッソン、あなたは余計な興醒め演出を好むのか?なぜ繊細な高級料理に蜂蜜をぶちまけるのだ?翼を描く必要がどこにある?超能力を描く必要がどこにある?主人公の素晴らしい台詞、表情だけで、ただシンプルにそれだけで、彼女は素晴らしい天使なのに!モノクロームの繊細な心の世界から一転、最後の最後に余計でガサツな演出が入ってしまい、それだけが悔しくて悔しくてならない。それがなかったら、近年にない完璧な映画なのに!・・・・・・エンターテインメントに走った(それは別に悪いことじゃないが)リュック・ベッソンには、もうこんなレオン・二キータ時代の映画は撮れないのかと思っていた。個人的に大変惜しまれる部分はあったが、次の作品に大きな期待が膨らむ一作だった。
[映画館(字幕)] 8点(2006-05-15 08:43:38)(良:1票)
52.  ナイロビの蜂 《ネタバレ》 
確かにリアルな映画ではあったが、アカデミーに選ばれた根拠が分からない。俳優の演技がずば抜けて優れているとも思わなかったし、音楽もさほど印象には残っていない。もし、この残酷なテーマが賞の理由なら、それを権威ある賞に取り上げる事自体が、何か大国の偽善的な匂いが感じられてならない。鑑賞しながら、映画好きのハシクレとして恥ずかしい、そんな「下衆の勘ぐり」が拭い去れなかった。・・・・・・西欧の国の大企業の、なりふり構わぬ搾取をリアルに描いてあるのは分かる。現に、海外といわず日本国内だって、こんなことは行われているのだろう。アメリカの石油産業や軍需産業と政府の結びつきもそうだが、国と企業が利益で手を結んだときのやり方は、ホントにエゲツない。・・・・・・己が利益のために、他国の苦しみを黙認する、そんな人間にはなりたくないなんて、誰もが思っていることだ。それでも、我々が豊かな生活を送っている陰では、少なからずこの映画のような他国の搾取的な事実があるのだろう。それに気がついても、見えないフリの生活から逃げられない。救済募金がせいぜい、結局、我が身可愛さに豊かな生活を捨てることなどできないのだ。・・・・・・話題の本「国家の品格」じゃないが、人類愛をまず最初に説くならば、まずは家族愛から出発しなければならない。身近な家族や友さえ幸せにできない人間が、どうして他国の人間を救えるだろうか。ヒロインは自己犠牲に徹し、家庭をも顧みずに糾弾活動に命を燃やしたが、夫は理解していたとしても本当に幸せだったんだろうか。自分の活動が死後、夫に理解され、夫もまたそれに殉じる。確かに糾弾には成功した。しかし結局、夫の命までも失う結果になった。夫の死ぬことなんて、自分の活動に夫を巻き込みたくなかったヒロインは望んでいなかったに違いない。・・・・・・どうにもならない現実に、ただただ悲しくなる、そんな映画だった。
[映画館(字幕)] 6点(2006-05-14 15:11:02)(良:1票)
53.  リバティーン 《ネタバレ》 
奇人変人を演じさせたら、ジョニー・デップほど強烈にキャラクターを演じられる人間もそうは居ない。自由奔放に生きながら、彼の姿勢は単なる反権力ではなく、純粋な芸術探求への渇望であったのだろう。その渇望が満たされたとき、自分自身が救われる。それだけを信じて、梅毒に侵され権力の座を奪われても救いを求め苦しみ続けた彼は、別に国を嫌っていたわけでもなく、王政転覆を目論んでいたわけではない。・・・・・・「舞台でもセックスでも、芸術は、国の退廃の象徴ではなく、純粋に芸術のための芸術たるべき」芸術を愛し、芸術を育て、肉体的関係を持ち、そして滅んだ彼の姿勢からは、そんな意固地なわがままが見える気がした。
[映画館(字幕)] 6点(2006-05-01 16:23:57)
54.  戦場のアリア
戦争の悲惨をドンパチ画面だけで説明しようにも、所詮戦争を体験していない私たちには実感として分かるはずもない。ただ悲惨を観念だけで捕らえるだけだ。この映画では、戦争の悲惨を「血や痛み」というマイナス面ではなく、人々の「交流」というプラス面を通して語られているから、大変現実味があって感情移入できた。・・・・・・冒頭の突撃の前、司令室の片隅でただ一人、恐怖のプレッシャーに嘔吐する司令官の姿。目的が公的な死であれ、私的な死であれ、死を目前にした人間の心境なんてそんなものだろう。国としての義務から戦争には参加するけど、誰だって出来ることなら殺し合いなんてしたくない。そんな極限のプレッシャーの中、クリスマスイブという「共通の観念」が入り込んだ時、そこに歩み寄ることでお互いに救いを見出そうとした心境は、とてもよく分かる。どこか滑稽で心温まる場面に光が当たっているから、「戦争の悲惨」がその影で際立っていて心に染みた。・・・・・・敵同士とはいえ、一度お互いが「ホンネでは殺し合いを望んでいない」ことを確認しあった時、情が移ってしまうのは当たり前だ。相手を敵として憎んでいるのは、国の上層部やこれから出征する兵士など、戦う相手の顔を見たこともない人間だけ。戦争なんてものは、国レベルの損得でしか勘定できないことであるのを思う。・・・・・・悲惨な状況の中で、唯一の共通観念であり正義であるはずの宗教さえ、戦争のための道具にしかなりえない。何かを諦めたようにロザリオを外し、去っていったあのバッグパイプ吹きの優しい神父さんの行方が気になって仕方がなかった。
[映画館(吹替)] 8点(2006-05-01 16:08:56)(良:1票)
55.  Vフォー・ヴェンデッタ 《ネタバレ》 
Vの誕生が語られてはいるものの、彼が独裁という「政権」を憎む理由が今ひとつ不明。最終的な目的は結局のところ、政権ではなく、独裁者「個人」への個人的な復讐に過ぎないように思える。彼は自由への戦いのシンボルとなって物語はクライマックスとなるが、彼が自由を勝ち取ることを人々に推奨し独裁政権打倒を目指す理由がちょっと分からなかった。・・・・・・某映画評論家の言葉のとおり、確かに爆破シーンや、人々が仮面を脱ぐシーンでのクラシック音楽との融合は迫力があり斬新だった。アクションシーンやもっと他でも使ってみたら面白い。あとはナタリー・ポートマンの身体の細さにびっくり。レオン時代の神々しい色気はなくなっていても、やっぱり美しい女優さんだ。
[映画館(字幕)] 4点(2006-04-29 18:05:38)(良:1票)
56.  サウンド・オブ・サンダー
ジュラシックパークなんかに比べると恐竜のCGが安っぽく違和感ありありで、未来カーが走る街中の風景のCGは稚拙すぎて観るに耐えない。せめて歩く二人にピンが合っている時は背景をボカすくらいの手は入れてほしい。ストーリーは面白いが問題が安易に解決してしまうし、先が読めてしまって、イマイチ緊迫感が感じられなかった。過去の間違いを矯正して消えてしまったあの主人公は、存在が消滅してしまったのかな。自分自身が消滅してしまって、本当に問題の解決になったのか、どうもアタマがこんがらがる。
[映画館(字幕)] 2点(2006-03-26 02:23:01)
57.  東京ゾンビ
B級ギャグ映画と割り切って作ってある映画なのに、スイープやベイスなどの柔術専門用語に加え回転三角締めやデラヒーバなど、柔術技にはリアルにシッカリこだわっているのが可笑しい。カメラワークや筋書きなんてどうでもいいバカバカしさに徹したありえない映画に、最初は正直引いたがじきに慣れて楽しく観ることができた。凄惨なシーンに席を立っていたおばあさんも居たが、「キル・ビル」と違ってパロディに割り切って作ってあるため、そんな場面もギャグだと思えば我慢できた。柔術経験者から観ても、それなりにサマになっているのがますます可笑しい。はなくまゆうさくのシュールなマンガの世界を、クソ真面目に映画化したその姿勢が可笑しい。ギャグ映画なのに、クライマックスに愛という壮大なテーマをムリヤリ掲げてあるのが可笑しい。そして、この可笑しさを熱心に演じている浅野忠信と哀川翔の二人のプロ意識が可笑しい。こちらもバカになって鑑賞する価値のある、可笑しさづくしのB級映画だった。
[映画館(邦画)] 6点(2006-03-20 01:48:03)
58.  SPIRIT スピリット(2006)
「武」とは「戈を止める」と書く。よく武道を学ぶにあたり「礼に始まって礼に終わる」だとか「本当の敵は自分自身」とか、実力よりも優先した言葉が説かれるが、この映画は本当の意味での武道というものを、ベスト・キッド同様に極めて的確に描いている。まず第一に強くなければ意味が無く、鍛錬を積み「他人の戈を止める」力を極める上で「自らの戈を止める(抑制しコントロールする)」力も養われていく。その強さの探求を通じて、それを基軸に豊かな人生を築いて行くという「道」という人生観。「全ての武道に優劣はなく、使う人間の実力による。互いに技を競い、真の敵である自分自身と向き合う」強さを極め復讐の連鎖に陥り、その誤った末路を見た霍元甲だからこそ、彼の説くひとつひとつの言葉に重みが感じられる。‥‥‥ラストサムライにも描かれていたが、西洋の物質主義に染まる前に、西洋文明にはないこの精神(スピリット)主義を、日本を含むアジアは教育に重んじ、もっと誇るべきだった。この映画の「SPIRIT」というタイトルはまさに的を得ている。単なるアクションエンターテインメントというだけではなく、世の中が物質的に飽和し求める行き場を失った欲望がドス黒く噴出した事件が起こっている今日の日本に、この映画は「物質を求めるのではなく、自分という人間の肉体的・精神的な完成を求める生き方」を痛烈に示している気がする。私個人も格闘技は細々続けて12年、無論実力は伝説の達人霍元甲や黄飛鴻、李書文ら先人達のツメのアカにも及ぶはずもないが、武道の末席に学ぶハシクレとして、この映画の発するメッセージには共感でき、諭されるものが多かった。‥‥‥中村獅童の身体は薄いものの、動きは思ったより素人臭くなかったのが嬉しかった。日本人の立ち居振る舞いの品格という点で、歌舞伎役者である彼のキャスティングは決して間違っていないと思う。ジェット・リーのアクションの冴えは相変わらず、この先もスクリーンで観ることができるのを期待したい。
[映画館(字幕)] 8点(2006-03-19 12:44:24)(良:5票)
59.  イーオン・フラックス(2005)
シャーリーズ・セロンの同じ人類とは思えないあのプロポーションと美貌は反則である。彼女の為のプロモーション映画と言っても過言ではない。彼女の美しさの演出へのこだわりは随所にみえた。‥‥‥しかし、それだけ。あまり映画の設定やシナリオに理屈っぽくケチをつけるのは映画ファンの姿勢に反するので嫌だが、この映画は大きな背景を説明できず言葉で省略しすぎて、かなり空っぽになった感がある。実は悪だった的なベタベタのオチや記憶喪失の超能力がある主人公、フラッシュバックは前世の記憶など使い古された設定は良いとして、映画の中で展開される物語に至るまでの過程やレジスタンスのボスも最後まで善悪がはっきりしないため、組織の目的や発生の意図、目指すものや存在意義も分からない。「倒そうとする組織と狙われる政府」の構図や設定が明確ではないので、末端の工作員の主人公がいくら頑張っても物語にも面白さがない。‥‥‥ただ、映像の随所にみえるジャパナイズは観てて面白かった。背中に背負った忍者刀ならぬガンホルダー、特殊部隊や狙撃隊の忍者ファッションや、畳や壁の雲紋様などのインテリアデザイン、生死をかけた舞台の桜。薬物を使った通信や口笛爆弾など描かれている未来図は意外性があって新しかった。「人間は死ぬもの。だから、生きる意味があるのよ」物語は浅いのに、台詞は深いのが憎い。
[映画館(字幕)] 3点(2006-03-12 11:20:08)(良:1票)
60.  ハムナプトラ/失われた砂漠の都
この映画やインディ・ジョーンズを見る度に、考古学者って、地道だけどなんてロマンのある仕事だろうと考えてしまう。好奇心から騒動を巻き起こすトラブルメーカーのレイチェル・ワイズの可愛らしいが、それで犠牲になった方々が大変お気の毒。どんなに撃たれても当たらない無頼漢のヒーローのタフネスにびっくり。スカラベに食われるあんな最後なんて絶対にゴメンである。この映画をビデオで観て、面白かったからこれなら、と2を映画館へ観にいって、CGに閉口しながらも大変楽しめた。1も2もお腹いっぱいのエンターテインメントだ。
[ビデオ(字幕)] 7点(2006-03-06 00:02:20)
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