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ユーカラさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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【製作年 : 1950年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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41.  あらくれ(1957)
キャストに限らず、全編が見どころに溢れ充実している。●つなぎの面白さ。中盤の場面転換で、海辺を歩く男女のショットが不意に登場する。一体何かと思うと、実は高峰秀子と森雅之が見ている映画内映画『金色夜叉』の一場面で、そこでは貫一が宮に蹴りを入れ始める。(言うまでも無く、加東大介らを蹴りつける高峰の暴力的なキャラクター造型に対応している。)これを見る彼女の表情がまた絶妙で、さりげないユーモアが利いている。(仏壇、さらには墓地への唐突なつなぎ等もいい。)●大正期の街並みと風俗を精緻に再現した、河東安英によるオープンセットの見事さ。活気に満ちた東京の路地の情景、行き交う物売りの担ぐ荷車、人力車まで凝りに凝った美術が素晴らしい。●雨、雪、風。終盤の雨はもちろん、山村の旅館に積もった雪の質感と情感も驚異的である。(高峰と森の絡みの場面で、雪塊が氷柱のはった屋根から一気に雪崩れ落ちる、その構図とアクセントの見事さ。)また、風物や音声を駆使して木目細かく表現される四季の移り変わり。短いはずの撮影期間内で、折々の光を玉井正夫が繊細に掬い取っている。
[映画館(邦画)] 9点(2009-07-27 20:03:00)
42.  草の上の昼食(1959)
まずは、人工授精に関するニュースを伝えるテレビ番組のモノクロ画面。続いてそれが置かれた研究室も白を基調とした寒色系の画面である。これら巻頭に提示された無機質な人工物の色彩が、映画の中で語られる科学と自然の視覚的対比として南仏カーニュの緑豊かな情景の美しさを一層際立たせる。絵画『コレット荘』そのままの陽光あふれるのどかな風情、ヒロイン(カトリーヌ・ルーヴェル)の水浴場面の瑞々しさ、縦移動で捉えられた疾走するバイクの爽快感・ライブ感、性愛表現としての水草のうねりの官能性等〃。いずれもロケーションを活かした光と風の感覚が素晴らしい。今回のDVD版では従来のビデオ版よりも明度がさらにあがり、特にヒロインの衣装の赤がより鮮烈なイメージとなって彼女の陽性の魅力が一段と引き立っている。華やかな色彩の乱舞する最後のモブシーンも圧巻だ。
[DVD(字幕)] 10点(2009-06-01 22:30:28)
43.  街の野獣(1950)
実景による街の俯瞰ショットは、人間の矮小さをも際立たす。冒頭で闇の街中を逃げ回るリチャード・ウィドマークの人影もその卑小さを強く印象付け、続くジーン・ティアニーのアパート階段上から彼を捉えるカメラアングルもまた、その勾配がもたらす遠近法によってその孤立を駄目押しするかのようだ。一方の屋内空間では、極端なパースを活かした構図や仰角画面によって顔面はいびつにデフォルメされ、空間の狭さが強調される。これら「見晴らしの悪い夜の屋外実景」と「窮屈な屋内セット」の二段活用は、何処へも「逃げ出せない」という主題と、物語の結末の暗示ともなる。終盤の逃走場面に登場する工事現場内の狭いらせん階段の歪曲と闇がもたらす切迫感、レスリング場面の張り詰めた重量感と迫真性も非情に見事である。
[DVD(字幕)] 9点(2009-05-09 22:11:47)
44.  いとはん物語
身分・性差に囚われない私的な舞台として登場する、二階屋根に外接した見晴らしの良いもの干し用広縁が良い。鉢植えの美しい菊が並ぶその空間は、お嘉津(京マチ子)と友七(鶴田浩二)の接点となり、花々や刻々と変化する夕焼け空の色、二番星・三番星の明かりがアグファカラーの郷愁を帯びた色調で豊かに彩られる。そして何といっても映画の白眉といえるのは、箱根の写真を契機に広がるお嘉津の夢の場面である。奇跡的というべき金色の夕焼け雲の下、裾野を並び歩く京マチ子と鶴田浩二の小さなシルエット。その叙情的なロングショットと伊福部メロディの絶妙な融合具合は両者の数あるコンビ作の中でも随一と思われる。
[映画館(邦画)] 10点(2009-04-07 22:42:58)
45.  春琴物語
同原作では島津版に続いて2度目の映画化。こちらは軟らかなローキーのタッチが特徴的である。春琴(京マチ子)の視覚に同調するように極度に明度に落としながら、その中で舞い散る桜や枯葉、雪、驟雨を美しく浮き立たせ、あるいは終盤の暗闇の中で絶妙の配光で針を鈍く輝かせるといった繊細な照明設計が為されているのがわかる。序盤での暗い廊下の奥から玄関口を臨む構図で捉えられた二人の初めての出会いと、後日談として付加されたラストの佐助の故郷における明るく開放的な入江の光景との対比。それは二人の開眼した心象を示すものだろうか。『忠治旅日記』での極めて情緒的な1ショットのごとく、触れ合う手と手のアップも印象深い。佐助と目の不自由な春琴が手をとり合うショットは度々反復されるが、二人の微妙な心情の機微と変化がその重なる手のアクションの微細な変化として捉えられていく様が見どころである。実演としか見えない京マチ子の琴の演奏も素晴らしい。
[映画館(邦画)] 9点(2009-04-02 23:12:40)
46.  姉妹(1955) 《ネタバレ》 
中原ひとみの初々しく、溌剌たる輝き。表情変化の豊かさ、発声の良さ、コメディエンヌとして抜群の運動神経を感じさせる。  同年のオムニバス映画『くちづけ』の一篇でも活発な次女役で見事な快足ぶりをみせるが、この映画でもその見事な走りはもちろん、友人宅の廊下や、凧揚げ場面、寮の階段での見事な転び方や、コミカルな演技の数々で楽しませてくれる。過疎山村の失業問題など、独立プロ的なテーマを盛り込みながらも映画が硬直しないのは彼女の起用に追う部分も非常に大きい。  姉妹愛の主題についてもこの映画は、その観念を実直に具象化してみせる。二人は言葉においてはあくまで個別性・自主性をお互いに尊重し仲違いもするが、彼女たちが画面に登場するときは常に身体的に触れ合わせるよう演出されている。お互いに肩を寄せ合い、手を置き合うという直截な映画表現がこの作品の視覚的な美質だ。 クライマックスとなる姉の嫁入りの日、妹は姉(野添ひとみ)にやさしく手を差し伸べ、自室へと誘う。その触れ合いの身振りが素晴らしい。  また、家己監督の心情表現は様々な小道具の活用においても発揮されている。社会の矛盾に憤る真っ直ぐな次女が、ポンプで乱暴に井戸水を汲む。ここで手桶に納まりきれず溢れ出る水のショットは彼女の思いを見事に視覚化する。不本意な見合い結婚を決めた姉を難詰する妹と、それに答えず一心にミシンを踏む姉。そのミシンが真っ直ぐに縫い進むショットは姉の決意の象徴だろうか。
[映画館(邦画)] 10点(2009-03-08 22:27:46)
47.  くちづけ(1955)
第一話『くちづけ』… いかにも石坂洋次郎原作らしいユニークなボキャブラリーと気取った台詞回しが楽しい。会話の中に『IT(あれ)』なんて単語が出てくるのも映画ファンにとっては一興。青山京子と太刀川洋一が教授(笠智衆)の前でホールドアップする身振りのコミカルさなどは『石中先生行状記』の杉葉子の一場面を連想させる。  第二話『霧の中の少女』…あぜ道、橋の上、温泉街、そして駅のホームを、次女(中原ひとみ)が風のように走りまわる。その軽やかな走り・躍動感がこの挿話最大の魅力といって良い。彼女を始めとする一家の屈託無い笑顔も素晴らしい。小泉博を迎えた夕飯の席、あるいは山の温泉で祖母(飯田蝶子)と姉妹たちが横並びになって「小原庄助さん」を歌うショットの和やかな幸福感。 まるでホークス映画のジャムセッションのような充実感。  第三話『女同士』…キャスティングはいわずもがな。短編ながら、自転車・チンドン屋といったお馴染みの意匠の数々が成瀬映画の刻印として登場する。表玄関を入ると一本廊下、診療室と並んで中村メイ子の下宿部屋といった特徴的な家屋構造もまた然り。 冒頭ではパッとしない彼女だが、自室でくちずさむ鼻歌を上原謙らに何気なく隣室で聞き流され、勝手口での八百屋の青年(小林桂樹)との会話を高峰秀子に廊下で立ち聞きされ、あるいは高峰秀子に日記を読まれるという、空間共有の劇を経ていくことで最後には不思議なほど魅力的なキャラクターへと変貌していく。 嫁入りのために表戸を駆け出していく彼女の姿が非常に感動的だ。 さらに最後。見事に「振り返」って作品を締める八千草薫も実に可愛らしい。 
[映画館(邦画)] 9点(2009-03-06 21:30:42)
48.  私は貝になりたい(1959)
橋本忍自身によるテレビ用脚本の劇場版だが、撮影・音楽・美術など東宝黒澤組の錚々たるスタッフの支えによって、映画として差別化が図られている。縦構図を多く取り入れ、画面に奥行きをもたせると共に、随所で丹念な長回しを多用してフランキー堺他の演技の持続から迫真性を引き出している。最期の笠智衆との静かな対話場面などがその白眉といえるだろう。村木与四郎氏による床屋の細やかな内装美術とその画面内配置は、主人公夫婦の人となりや戦中戦後の生活実感をよく表現し、対照的に巣鴨プリズン内の殺風景をより際立たせている。暗闇に浮かぶ絞首台の俯瞰ショットとハイライトも強い余韻を残す。そうした「善良なる」主人公への感情移入や共感を促す作劇や演出はそつない故に、映画自体の宿命ながら「反戦」という理性的主題論においては非常に弱い。例外的エピソードに基づくドラマは横浜裁判という国際問題のもつ欺瞞性を日本のヒエラルキーの問題へと矮小化させ、「戦犯」裁判の本質を見誤らせる危険を多分に孕んでいる。
[ビデオ(邦画)] 5点(2009-02-09 21:45:27)
49.  コタンの口笛
現地ロケを活かした川辺のコタンの風情が素晴らしい。  隣家の病に臥した老婆のために秋味を密漁する場面での朝もやの美しさ、姉弟が父の遺体と共に朝を迎える場面で窓から入射する陽光の荘厳な様。成瀬組らしい美術・照明・撮影の技能が結集している。  病や怪我や死で横臥した人間を傍らからいたわるように見(看)つめる場面が多く、若い姉弟の悲しみや苦悩を印象的な光のもとに滲ませる演出は本作でも傑出している。  同時代的テーマ重視型の橋本忍脚本との相性は疑問だが、長大な二部構成の児童文学をシンプルにまとめながら、単純な差別・被差別の構図に陥らせない主題提示と脚本構成が巧い。  また忘れてならないのが、北海道出身でアイヌの伝承芸能に造詣の深い伊福部昭による音楽演出の貢献である。アイヌ民具の図柄が描かれた和紙を背景としたメインタイトルをはじめ、要所でその伝統古謡をモチーフとした声楽曲の旋律がリフレインされ、民族の苦難を重厚に浮かび上がらせる。  一方、主人公姉弟を慈しむように流れるピアノ曲の旋律もリリシズムに溢れ清らかで美しい。
[映画館(邦画)] 9点(2009-01-17 22:22:48)
50.  人生模様(1952)
O・ヘンリーの有名短編を原作とするオムニバス5話。各々20分弱の短編だが監督はFOXを代表する錚々たる顔ぶれである。  第一話「警官と賛美歌」:チャールズ・ロートンの傘ナイスキャッチと空振りキックは抱腹絶倒。その驚愕の反射神経ととぼけた表情のアンバランスが絶妙だ。  第二話『クラリオン・コール』:鏡像を使った演出。そしてギャング役リチャード・ウィドマークの憎々しい悪役像の魅力。  第三話『最後の一葉』:雪と強風の実感描写、ドアの開閉を契機とした場面転換が見事。美術商と画家の無言のやりとりのさりげさが良い。  第四話:『赤酋長の身代金』:子供に翻弄される誘拐犯の表情のリアクションが可笑しい。人間と熊が共演するショットのハラハラする面白さはハワード・ホークスの真骨頂。  第五話『賢者の贈り物』:主演(ファーリー・グレンジャー&ジーン・クレイン)の若夫婦が抱き合うツー・ショットの至福感。原作が豊かに膨らまされ、貴金属店の主人の粋な計らいと帰り道での募金というオリジナルエピソードが、ささやかながら情話を巧く盛り上げている。 
[DVD(字幕)] 8点(2009-01-03 22:30:00)
51.  弥太郎笠(1952)
両思いでありつつ、主役の二人は真正面から直に向き合う事がない。奥ゆかしく振り向きあい、寄り添いあい、面を介して肩越しに覗き込み合う。両編通じて、優雅な円の動きによって二人のエモーションが描出される。二人の逢瀬、祭りの輪、多人数掛けの殺陣と、それぞれに活かされる円のアクションはひたすら優美である。多人数が入り乱れる驚異的な長まわしの殺陣においても画面が安定感を失わないのは、鶴田浩二の重心を落とし摺り足を基本とした能あるいは合気道に近い円運動とキャメラの滑らかな水平移動の組み合わせの絶妙さによる。そして緩から急へのうねりの見事さ。鈴木静一の音楽と相俟って盛り上がる殺陣終盤のショット繋ぎの力強さと流動感は圧倒的だ。能に絡んで、霧の漂う木立や墓地の美術セット等、何れもまさに幽玄を感じさせる素晴らしさである。
[映画館(邦画)] 10点(2008-11-26 22:57:21)
52.  ゴジラ(1954)
この映画(1954年)のドラマパートは撮影:玉井正夫、照明:石井長四郎、美術:中古智、録音:下永尚、といった具合に成瀬組の主要スタッフが担当している。『山の音』、『晩菊』、『浮雲』と続く成瀬巳喜男監督の絶頂期と同時期の仕事である。円谷特撮を前面に出した空想SF映画に迫真性を与えた重要な要素の一つが、成瀬組による優れたスタッフワークであるといえるだろう。成瀬作品の特長の一つが緻密な美術セットとロケーションとの自然な融合にあるように、本作ではさらに加えて特撮場面との違和感の無い融合に各部門が大きな貢献をしている。ローキーで統一した照明設計。その中で映える、終盤の救護所に差し込む外光の美しさ。あるいは芹沢博士の洋館の中で不気味に発光する水槽の禍々しさ。美術でいうなら、成瀬作品でもお馴染みの二間続きの日本間、路地、オフィスなどの精緻な生活空間や、大戸島での残骸家屋の見事な造形。録音でいうなら、オフ空間を活かした足音の効果音の見事さ等〃。ドラマ部分の日常空間づくりに貢献した撮影所技術スタッフの優れた仕事があってこそ生まれた迫真の怪獣映画であるといえる。
[映画館(邦画)] 10点(2008-10-11 19:10:44)
53.  雪の女王(1957) 《ネタバレ》 
透過光のふんだんに使われた幻想的な氷の宮殿や、氷の宝石の光沢、あるいは暖炉の炎の照り返しなど、特殊効果の贅沢な用法に光への意識の高さが窺える。  生命感あふれるカモメやカラスや鹿たちの動きや、主人公の少女の細やかな仕種・動作のアニメーションが絶品だ。(髪を梳かす場面の質感表現の見事さ。旅の途中でお世話になった人々や動物たちに都度丁寧にお礼をするその仕種も大変愛らしい。)  とりわけ特徴的なのは波や風雪の表現の多彩さで、旧ソビエトの風土ならではだろう。日本語が多様な雨の種類を使い分けるのと同様、本作では彼地の特色たる多様な降雪がこだわりをもって描き分けられており面白い。  キャラクター設定だけでなく、映像表現の面でも日本のアニメーションへの影響が多々窺われる作品であると思う。  様々な民族の助けを経ながらの旅といった要素が旧ソビエト的でもあり、大団円が「雪解け」であるのも象徴的だ。
[ビデオ(吹替)] 9点(2005-08-14 23:27:24)
54.  ピカソ-天才の秘密
ピカソの絵画制作過程が、特殊キャンパスの裏面を通して直に画面上に描写される。  モノクロの簡素な描画(スタンダード画面)から始まり、 最後には大掛かりな油彩(シネスコサイズ)にスケールアップして 変幻自在に絵筆が展開される様が非常に圧巻であり、劇的な構成も工夫されている。  中盤では、色鮮やかなキャンパスと対比して色を落とした硬質な画面で 撮影風景が挿入されその手法の種明かしをしてくれると共に、 フィルム残量を示しながらの時間制限のサスペンス要素を取り入れたりと、 『恐怖の報酬』の監督らしい趣向が凝らされている。  最後の油彩制作過程は裏面からのリアルタイムの撮影は当然出来ない為、 表面側からコマを割っての撮影となり必然的に画家の試行錯誤の「間」は 省略されてしまっているのが残念だが、 このクライマックスの画面変化は凄まじい。  完成品の内側に込められた膨大な下書きと手直しの過程。 絵がまさに躍動する。 モーション・ピクチュア=映画である。 
[DVD(字幕)] 9点(2005-03-05 17:52:51)
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